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はじめての異世界 ―ウィリデ探訪編―

宿屋グランディス その1

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 見知らぬ街を歩くのは楽しい。
 学生の頃まではそう感じていたことを振り返る。

 初めて行った修学旅行、同級生とのちょっとした冒険。
 そんな好奇心も大人になると減っていたと思う。

 遠い世界の街を歩きながら、不思議と感傷的な気持ちになっていた。
 レギナの街は昼下がりの時間帯から夕方に移っていくところだった。

 この街はウィリデに比べて少し騒がしく感じるが、都市の喧騒を思い出せてくれるぶんだけ落ち着ける感じもあった。
 おそらく、静かに穏やかにすごしたいならウィリデの方が向いている。

 さて、肝心の宿探しだが、リサが必死に歩き回って探しているところだ。
 一軒目が空振りに終わってから、またもや早足になっている。

 今日の寝床が彼女の働きにかかっているので、俺とエルネスは何もいわずに後ろに続いていた。
 エンジンのかかったリサに余計な口出しをしようものなら噛みつかれそうな勢いがあるからだ。

 先ほど二軒目も満室だと分かり、続いて三軒目に向かって歩いている。
 街並みを眺めているだけでも楽しめるものの、宿が見つかるまではゆっくりできそうにない。

 もっとも、明日以降も時間はあるのだから焦る必要もないだろう。

 冒険に出た子どもみたいな感想かもしれないが、今回の旅で少しは精神的に成長できた気がする。
 以前の自分はもっと余裕のない性格だったような記憶がある。

 もしかしたら、仕事に追われない日々というのも関係しているのだろうか。

 旅に夢中で意識することすら稀だったが、自分は地球の日本人であってこの世界の住人ではない。
 村川の装置が使える以上、いつかは日本へ帰ることになるのか、あるいはそうでないのか。
 今の時点では何ともいえない。

 ウィリデの人たちは長く住むことを歓迎してくれるかもしれない。
 ただ、それは虫のいい話のような気がして後ろめたい感情を覚える。

 行き交う人々とすれ違いながら、幅の広い石畳の道を歩く。
 どこまでも続く西洋風の街並みを横目に前を行くリサの後に続いた。

「さあ、今度こそ空いてるわよね!」

 リサはそう意気込んで三軒目の宿屋に入っていった。
 
 三階建てでしっかりした作りの建物だった。
 鋭角のとんがり気味の屋根とやや縦長な外観が印象に残った。

 三つの中で一番大きいところなので、さすがに空いているのではと思った。
 日本の都市部や観光地ではあるまいし、予約なしでは泊まれないということはないだろう。
 
 まあ、いくらか希望的観測もこめられているが。

 時間にして五分ほどだろうか。
 少し長引いているなと思いかけたところで、リサがこちらに戻ってきた。
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