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揺れる異世界 ―戦乱のフォンス編―
キメラとの遭遇 その1
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クルトたちはレギナを囲う城壁を出て、カルマンに向かっているところだった。
市街地の外には街道が続き、遠くの方までその道が伸びている。
街道に沿うように豊富な水量の水路が整備されていた。
周辺には平野が広がり、水田や畑がそこら中に耕されている。
ゆるやかな風が吹いて、道端の草花がゆらゆらと揺れていた。
クルトが先頭を歩き、その隣にヘレナ、後ろにシモンがいる。
「フォンスとカルマンの国境までは街から街へ移動して、途中で宿をとりながら進めばいいはずだ」
クルトは隣を歩くヘレナ、後方のシモンに声をかけた。
それを聞いた二人はクルトの言葉に頷いていた。
「カルマンまで徒歩でどれぐらいかかるんですか?」
「……わからん。向こうから攻めてくることはあっても、こちらから進軍したことはないからな。その手前の街までなら二日もかからないだろう」
情報が十分とはいえないことで、クルトは自信なさげな様子で話した。
それを聞いたシモンからは気にするような素振りは見られなかった。
「状況的に二日以内で行けるなら上等ってもんです。カルマンはフォンスをなめているようなので、準備が遅れた分だけ、攻めるのを先送りにすると読んでます」
「君のいうように内通者の可能性があるなら、余裕を見せてもおかしくないか」
クルトは内通者の件について、まだ確信を持てずにいた。
しかし、その可能性を否定することは難しいとも考えていた。
情報が漏れることでカルマンが有利になることは明らかだったからだ。
フォンスにとって城壁を活かす戦い方は手堅い作戦だった。
とはいったものの、内部に潜入者がいれば話は違ってくる。
特にカルマン迎撃に消極的な者がいることは影響が大きかった。
それでも、クルトの中で味方を信じたい気持ちも残っている。
「どうなるにせよ、まずは敵情視察が重要です。カルマンまで行けばつかめるものがあるでしょうって」
シモンは自信があるように言いきった。
クルトは彼の思い切りがよいところを頼もしく思っていた。
「君の言うとおりかもしれない、情報が不足しすぎていた。国と国同士の戦いの経験が少なすぎて、知るべきことがおろそかになっているんだ」
「まあまあ、そう卑屈にならなくても」
シモンはクルトを励ますようにいった。
ヘレナはそんな会話に興味はないようで、道の脇に咲く花々に目を向けている。
「ヘレナ、次の街までかなり歩くが、問題ないか?」
「うん、ぜんぜん」
彼女は涼しい顔で答えた。
クルトはその言葉を聞いて、エルフは丈夫な者が多いという話を思い出した。
「シモンは殺しても死ななそうに見えるから、二人とも問題なしか」
「ひどい言われようですね」
「本当のことだろう。君はいまだに得体が知れない」
三人は会話をかわしながら街道を歩き続けた。
時折、農夫や商人とすれちがい、それなりに人通りがある道だった。
カルマンへと続く道で最初にある町はコダンだ。
コダンまではレギナから徒歩で数時間かかる。
フォンスという国は、中心のレギナと地方の町で規模に大きな差があり、財や物資はレギナに集中している。
その例に漏れず、コダンも小規模な町だった。
クルトもコダンまでは何度か足を運んだことがあった。
フォンス全域を見れば、治安はそこまで悪くはないが、レギナを外れると野盗が出回ることがある。
役割の一つとして、クルトも定期的に見回りに行く機会があるのだ。
もっとも、他の騎士や兵士の中には訓練をおろそかにしている者が多い。
そのような状況にあっても、野盗討伐を軽視すれば名誉に傷がつくため、頼まれたら行かざるを得ない背景があった。
生真面目な性格のクルトは己の責務として、不満をこぼすことなくその任を担っていた。
「最初の町コダンまでならそこまでかからない。今日はそこで休むようにしよう」
「うん、わかった」
「よしっ、そうしましょう」
シモンとヘレナはクルトの提案に同意した。
それを見たクルトは安心していた。
コダンから次の街までは離れているため、そこを通過するようなら野宿するしかないが、都市部のレギナで生まれ育ったクルトにとって、野宿は抵抗ある行為だった。
「そういえば、ヘレナは豪邸を買おうとしているぐらいだから、現金はどれぐらい持っているんだ? 急に付き合わせてしまったから、宿代を出すこともできるが」
「……秘密。宿代は自分で出せるからいい」
クルトはヘレナのもったいぶる姿が可愛いらしいと思ったが、何事もなかったかのように会話を続けた。
「そうか、それならいいか」
「……あれ、おれには聞いてくれないんですか?」
「君はどこでも寝られそうなタイプじゃないか」
クルトはシモンの軽口に応じるようにいった。
それを受けたシモンはうれしそうに笑みを浮かべた。
「いやまあ、たしかにどこでも寝られますけど」
「冗談だ。宿代がいるようならいってくれ」
クルトはかすかに笑みを浮かべ、シモンは楽しそうにしている。
物静かなヘレナはマイペースに歩いている。
そのような雰囲気のまま、一行はコダンの町に到着した。
市街地の外には街道が続き、遠くの方までその道が伸びている。
街道に沿うように豊富な水量の水路が整備されていた。
周辺には平野が広がり、水田や畑がそこら中に耕されている。
ゆるやかな風が吹いて、道端の草花がゆらゆらと揺れていた。
クルトが先頭を歩き、その隣にヘレナ、後ろにシモンがいる。
「フォンスとカルマンの国境までは街から街へ移動して、途中で宿をとりながら進めばいいはずだ」
クルトは隣を歩くヘレナ、後方のシモンに声をかけた。
それを聞いた二人はクルトの言葉に頷いていた。
「カルマンまで徒歩でどれぐらいかかるんですか?」
「……わからん。向こうから攻めてくることはあっても、こちらから進軍したことはないからな。その手前の街までなら二日もかからないだろう」
情報が十分とはいえないことで、クルトは自信なさげな様子で話した。
それを聞いたシモンからは気にするような素振りは見られなかった。
「状況的に二日以内で行けるなら上等ってもんです。カルマンはフォンスをなめているようなので、準備が遅れた分だけ、攻めるのを先送りにすると読んでます」
「君のいうように内通者の可能性があるなら、余裕を見せてもおかしくないか」
クルトは内通者の件について、まだ確信を持てずにいた。
しかし、その可能性を否定することは難しいとも考えていた。
情報が漏れることでカルマンが有利になることは明らかだったからだ。
フォンスにとって城壁を活かす戦い方は手堅い作戦だった。
とはいったものの、内部に潜入者がいれば話は違ってくる。
特にカルマン迎撃に消極的な者がいることは影響が大きかった。
それでも、クルトの中で味方を信じたい気持ちも残っている。
「どうなるにせよ、まずは敵情視察が重要です。カルマンまで行けばつかめるものがあるでしょうって」
シモンは自信があるように言いきった。
クルトは彼の思い切りがよいところを頼もしく思っていた。
「君の言うとおりかもしれない、情報が不足しすぎていた。国と国同士の戦いの経験が少なすぎて、知るべきことがおろそかになっているんだ」
「まあまあ、そう卑屈にならなくても」
シモンはクルトを励ますようにいった。
ヘレナはそんな会話に興味はないようで、道の脇に咲く花々に目を向けている。
「ヘレナ、次の街までかなり歩くが、問題ないか?」
「うん、ぜんぜん」
彼女は涼しい顔で答えた。
クルトはその言葉を聞いて、エルフは丈夫な者が多いという話を思い出した。
「シモンは殺しても死ななそうに見えるから、二人とも問題なしか」
「ひどい言われようですね」
「本当のことだろう。君はいまだに得体が知れない」
三人は会話をかわしながら街道を歩き続けた。
時折、農夫や商人とすれちがい、それなりに人通りがある道だった。
カルマンへと続く道で最初にある町はコダンだ。
コダンまではレギナから徒歩で数時間かかる。
フォンスという国は、中心のレギナと地方の町で規模に大きな差があり、財や物資はレギナに集中している。
その例に漏れず、コダンも小規模な町だった。
クルトもコダンまでは何度か足を運んだことがあった。
フォンス全域を見れば、治安はそこまで悪くはないが、レギナを外れると野盗が出回ることがある。
役割の一つとして、クルトも定期的に見回りに行く機会があるのだ。
もっとも、他の騎士や兵士の中には訓練をおろそかにしている者が多い。
そのような状況にあっても、野盗討伐を軽視すれば名誉に傷がつくため、頼まれたら行かざるを得ない背景があった。
生真面目な性格のクルトは己の責務として、不満をこぼすことなくその任を担っていた。
「最初の町コダンまでならそこまでかからない。今日はそこで休むようにしよう」
「うん、わかった」
「よしっ、そうしましょう」
シモンとヘレナはクルトの提案に同意した。
それを見たクルトは安心していた。
コダンから次の街までは離れているため、そこを通過するようなら野宿するしかないが、都市部のレギナで生まれ育ったクルトにとって、野宿は抵抗ある行為だった。
「そういえば、ヘレナは豪邸を買おうとしているぐらいだから、現金はどれぐらい持っているんだ? 急に付き合わせてしまったから、宿代を出すこともできるが」
「……秘密。宿代は自分で出せるからいい」
クルトはヘレナのもったいぶる姿が可愛いらしいと思ったが、何事もなかったかのように会話を続けた。
「そうか、それならいいか」
「……あれ、おれには聞いてくれないんですか?」
「君はどこでも寝られそうなタイプじゃないか」
クルトはシモンの軽口に応じるようにいった。
それを受けたシモンはうれしそうに笑みを浮かべた。
「いやまあ、たしかにどこでも寝られますけど」
「冗談だ。宿代がいるようならいってくれ」
クルトはかすかに笑みを浮かべ、シモンは楽しそうにしている。
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そのような雰囲気のまま、一行はコダンの町に到着した。
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