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揺れる異世界 ―戦乱のフォンス編―
湖の町カセル その2
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「そうか、君から見ればこの辺りは平和な部類に入るな。大規模な戦いは数十年間起きていない。これまでは危険なのは盗賊ぐらいだった」
「比べても仕方がないってもんです。戦いは起きるべくして起きてしまうもの。もちろん、ないに越したことはありませんけど」
彼の達観したような目を見て、クルトは底知れなさを改めて知った気がした。
心強い味方であると共に、人として魅力を感じるようでもあった。
「君やヘレナがいなければ、こうしてカルマンを偵察に行こうという気にもならなかっただろう。それに一人でどこまで行けたものか」
「ははっ、やめて下さいよ。今生の別れみたいに」
シモンは軽い調子で笑った。
その様子を見てクルトも微笑みを浮かべた。
三人とも丈夫で体力に余裕があったので、移動は順調に進んだ。
昼下がりと夕方の合間には、カセルに到着することができた。
ここまでの道中では、平地に畑や水田という風景が多かった。
しかし、町の中へ入ると、風光明媚な景色が広がっていた。
街道から町への入り口があり、そのまま道なりに進んでいくと左手にさざ波の浮かぶ湖が水をたたえていた。そして、湖の奥には小高い山の緑が映えている。
これまでの町と比べて民家の数は少ないようだが、家屋よりも高級そうな作りのログハウス風の建物がちらほら建っている。
湖のほとりでは釣りをする人、椅子に座ってのんびりすごす人がいた。
「いやー、フォンスに来て初めて見る種類の町ですね」
「もともとは農業用に湖を水源にしていたらしいが、いつの間にか資産家の静養先のようになっていた」
シモンがいわんとするのは、レギナのような都市と郊外の農家以外の町を見るのが初めてという意味なのだろう。彼は物珍しそうに周辺の様子を眺めている。
「……えっと、ふんふん。見える範囲だけで護衛が二人はいますね」
「何、本当か?」
シモンに指をささないように注意を受けながら、クルトは説明を聞いた。
周りが見渡せるように、岸近くに浮かぶ船に一人。それから、岸辺で釣り糸を垂れているのが一人。
その二人は間違いなく、それなりに手練の戦士だと気づいたらしい。
「それに加えて、町の警備があるなら、青い髪の男を足止めするぐらいはできるってもんです。ただ、あの男は感覚で動いているみたいなので、こういう守りは気づかれやすいと思います」
「少なくとも、カセルを襲撃する可能性は低いというわけか」
クルトはそれを聞いて胸を撫でおろした。
シモンがいなければ、刺し違えることでしか倒す可能性が望めない相手。
そんな相手に遭遇しないで済むのだから、彼が国民を守る役割を持つ騎士であっても責められないだろう。
もっとも、安心しながらも、彼はその先のことも考えていた。
「この先の町は二つ。先端の町は警備が多少厚いが、カセルの次の町に向かっていなければよいが」
「うーん、どうですかね」
シモンは何かを考えながら話し始めた。
「ここに来る途中で馬の足跡がなかったので、街道を避けて通っている可能性が高い気がします」
「そうか、街道を使わずにカルマンへ戻ろうとしたのか」
クラビリスの獣道へ通じる方角か。
もしくはそれ以外のルートを使った可能性もある。
そうなれば、必然的に町を通らずにカルマンへ戻っていくはずだ。
クルトは深く息を吸いこんで、湖とその周りの景色を眺めた。
「比べても仕方がないってもんです。戦いは起きるべくして起きてしまうもの。もちろん、ないに越したことはありませんけど」
彼の達観したような目を見て、クルトは底知れなさを改めて知った気がした。
心強い味方であると共に、人として魅力を感じるようでもあった。
「君やヘレナがいなければ、こうしてカルマンを偵察に行こうという気にもならなかっただろう。それに一人でどこまで行けたものか」
「ははっ、やめて下さいよ。今生の別れみたいに」
シモンは軽い調子で笑った。
その様子を見てクルトも微笑みを浮かべた。
三人とも丈夫で体力に余裕があったので、移動は順調に進んだ。
昼下がりと夕方の合間には、カセルに到着することができた。
ここまでの道中では、平地に畑や水田という風景が多かった。
しかし、町の中へ入ると、風光明媚な景色が広がっていた。
街道から町への入り口があり、そのまま道なりに進んでいくと左手にさざ波の浮かぶ湖が水をたたえていた。そして、湖の奥には小高い山の緑が映えている。
これまでの町と比べて民家の数は少ないようだが、家屋よりも高級そうな作りのログハウス風の建物がちらほら建っている。
湖のほとりでは釣りをする人、椅子に座ってのんびりすごす人がいた。
「いやー、フォンスに来て初めて見る種類の町ですね」
「もともとは農業用に湖を水源にしていたらしいが、いつの間にか資産家の静養先のようになっていた」
シモンがいわんとするのは、レギナのような都市と郊外の農家以外の町を見るのが初めてという意味なのだろう。彼は物珍しそうに周辺の様子を眺めている。
「……えっと、ふんふん。見える範囲だけで護衛が二人はいますね」
「何、本当か?」
シモンに指をささないように注意を受けながら、クルトは説明を聞いた。
周りが見渡せるように、岸近くに浮かぶ船に一人。それから、岸辺で釣り糸を垂れているのが一人。
その二人は間違いなく、それなりに手練の戦士だと気づいたらしい。
「それに加えて、町の警備があるなら、青い髪の男を足止めするぐらいはできるってもんです。ただ、あの男は感覚で動いているみたいなので、こういう守りは気づかれやすいと思います」
「少なくとも、カセルを襲撃する可能性は低いというわけか」
クルトはそれを聞いて胸を撫でおろした。
シモンがいなければ、刺し違えることでしか倒す可能性が望めない相手。
そんな相手に遭遇しないで済むのだから、彼が国民を守る役割を持つ騎士であっても責められないだろう。
もっとも、安心しながらも、彼はその先のことも考えていた。
「この先の町は二つ。先端の町は警備が多少厚いが、カセルの次の町に向かっていなければよいが」
「うーん、どうですかね」
シモンは何かを考えながら話し始めた。
「ここに来る途中で馬の足跡がなかったので、街道を避けて通っている可能性が高い気がします」
「そうか、街道を使わずにカルマンへ戻ろうとしたのか」
クラビリスの獣道へ通じる方角か。
もしくはそれ以外のルートを使った可能性もある。
そうなれば、必然的に町を通らずにカルマンへ戻っていくはずだ。
クルトは深く息を吸いこんで、湖とその周りの景色を眺めた。
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