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揺れる異世界 ―戦乱のフォンス編―
リーフマン襲来 その2
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「あれ、リーフマンが死んでる」
「ヘレナも知ってるんだな」
「大森林にもいるから、でも今は昼間なのに変なの」
シモンとヘレナの二人はこの奇妙な生物――彼の言葉通りならば魔物のことを知っているようだ。
クルトは動かないことを確かめてから、全身を覆うたくさんの葉に触れた。
何の変哲もない木の葉だった。
彼が生まれ育ったレギナは都市化が進んでいるため、魔物の話は子どもを怖がらせる手段の一つに過ぎなかった。それぐらい現実的ではなかった。
しかし、今彼の目の前で横たわっているのは魔物の一種だという。
コダンにいたアーラキメラも、魔物のようなものだとクルトは振り返った。
「どうもどうも、この町の町長です。静養中のお客様の危険を助けていただいたそうでありがとうございます」
三人がリーフマンについて話していると、メガネをかけて白髪をはやした身なりの整った男性がやってきた。クルトはその姿に見覚えがあった。
「町長、騎士のクルトです」
「おおっ、これはクルト様。クルト様がやられたのですか?」
「いや、僕ではなくて、共に旅をしている彼がやってくれました」
クルトはシモンに視線を向けて説明した。
シモンは大雑把な動きで町長に頭を下げた。
「これはリーフマンというそうですが、町によく出てますか?」
「いえ、湖の向こうの山にいると聞いたことはありましても、実物を見るのは生まれて初めてです」
クルトは町長の話を聞きながら、頭の中で内容を整理していた。
皆一様にリーフマンが出たことを珍しいと話している。
「幼い頃に、夜の山にはリーフマンが出るから入るなと聞いておりました」
「これまでに被害はなかったですか?」
「いえ、目立ったものは特に……。ただ、山で行方不明になったままの者がたまにおるのですが、そうなった場合の何割かはリーフマンに襲われたらしい……そんなような噂は耳にします」
クルトは被害が出ているようなら、山に入って調べてもよいと考えていた。
しかし、町長の話を聞く限りでは、具体的な被害はなさそうだった。
「時間に余裕があれば、あの山を調べに行くこともできるのですが、今回は急ぎの旅なので、すぐに手助けができなくて申し訳ありません」
「いえいえ、クルト様にそこまで言っていただくなんて、こちらこそ申し訳ないです。今回が特別なことだったので、町の者同士で警戒して対処するようにします」
町長はにこにことした表情で深々と頭を下げた。
「ところで、今日の宿が決まっていなくてですね。よろしければどこか紹介して頂けますか?」
「ええ、かまいません。おすすめの宿をご紹介します」
町長に先導されて、クルトたちはその場を後にした。
リーフマンの遺骸は町の物で処分するという話だった。
リーフマンの件があってから、クルトたちは町長に案内されて今日の宿に向かっているところだった。
湖の近くを離れて、ビアンカの菓子店などがあった一帯を移動している。
クルトは普段通りの様子を見せていたが、その心中では滅多に見られないはずの魔物が出てきたことへの警戒感が強まっていた。
アーラキメラでさえ大騒ぎする出来事なのに、短期間にリーフマンという奇怪な魔物まで現れてしまった。
クルトは己の預かり知らぬところで、何か好ましくないことが起きているのではという考えが浮かんでいた。当然ながらその根拠はなく、あくまで感覚的なものにすぎなかった。
そんな彼の内面に誰も気づくことはなく、町長は一軒の建物の前で立ち止まった。
ベージュの外壁に白い窓枠が印象に残る外観だった。
「ヘレナも知ってるんだな」
「大森林にもいるから、でも今は昼間なのに変なの」
シモンとヘレナの二人はこの奇妙な生物――彼の言葉通りならば魔物のことを知っているようだ。
クルトは動かないことを確かめてから、全身を覆うたくさんの葉に触れた。
何の変哲もない木の葉だった。
彼が生まれ育ったレギナは都市化が進んでいるため、魔物の話は子どもを怖がらせる手段の一つに過ぎなかった。それぐらい現実的ではなかった。
しかし、今彼の目の前で横たわっているのは魔物の一種だという。
コダンにいたアーラキメラも、魔物のようなものだとクルトは振り返った。
「どうもどうも、この町の町長です。静養中のお客様の危険を助けていただいたそうでありがとうございます」
三人がリーフマンについて話していると、メガネをかけて白髪をはやした身なりの整った男性がやってきた。クルトはその姿に見覚えがあった。
「町長、騎士のクルトです」
「おおっ、これはクルト様。クルト様がやられたのですか?」
「いや、僕ではなくて、共に旅をしている彼がやってくれました」
クルトはシモンに視線を向けて説明した。
シモンは大雑把な動きで町長に頭を下げた。
「これはリーフマンというそうですが、町によく出てますか?」
「いえ、湖の向こうの山にいると聞いたことはありましても、実物を見るのは生まれて初めてです」
クルトは町長の話を聞きながら、頭の中で内容を整理していた。
皆一様にリーフマンが出たことを珍しいと話している。
「幼い頃に、夜の山にはリーフマンが出るから入るなと聞いておりました」
「これまでに被害はなかったですか?」
「いえ、目立ったものは特に……。ただ、山で行方不明になったままの者がたまにおるのですが、そうなった場合の何割かはリーフマンに襲われたらしい……そんなような噂は耳にします」
クルトは被害が出ているようなら、山に入って調べてもよいと考えていた。
しかし、町長の話を聞く限りでは、具体的な被害はなさそうだった。
「時間に余裕があれば、あの山を調べに行くこともできるのですが、今回は急ぎの旅なので、すぐに手助けができなくて申し訳ありません」
「いえいえ、クルト様にそこまで言っていただくなんて、こちらこそ申し訳ないです。今回が特別なことだったので、町の者同士で警戒して対処するようにします」
町長はにこにことした表情で深々と頭を下げた。
「ところで、今日の宿が決まっていなくてですね。よろしければどこか紹介して頂けますか?」
「ええ、かまいません。おすすめの宿をご紹介します」
町長に先導されて、クルトたちはその場を後にした。
リーフマンの遺骸は町の物で処分するという話だった。
リーフマンの件があってから、クルトたちは町長に案内されて今日の宿に向かっているところだった。
湖の近くを離れて、ビアンカの菓子店などがあった一帯を移動している。
クルトは普段通りの様子を見せていたが、その心中では滅多に見られないはずの魔物が出てきたことへの警戒感が強まっていた。
アーラキメラでさえ大騒ぎする出来事なのに、短期間にリーフマンという奇怪な魔物まで現れてしまった。
クルトは己の預かり知らぬところで、何か好ましくないことが起きているのではという考えが浮かんでいた。当然ながらその根拠はなく、あくまで感覚的なものにすぎなかった。
そんな彼の内面に誰も気づくことはなく、町長は一軒の建物の前で立ち止まった。
ベージュの外壁に白い窓枠が印象に残る外観だった。
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