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ありふれた異世界 ―エルフに頼まれてドラゴン退治―
騒動の決着
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ディアナが相手なので苦戦するかと思っていたが、結末はあっさりしていた。
最初は強気だったカレンはうなだれた様子で地面に視線を向けている。
二人を引き入れた時点で勝利を確信していたのだろう。
シモンが強すぎたのと、ディアナのやる気のなさは予想外だったと思うが。
礼を言うために彼に近づくと、普段どおりのリラックスした雰囲気だった。
「助かりました。俺たちではどうにもならなかったと思います」
「大したことないですって。カナタたちは仲間みたいなものなんで、困った時はお互い様です」
シモンの仲間という表現に照れくさい気持ちになった。
「ところで、あの男はどうするつもりです?」
「ははっ、おれにそれを聞かれても」
「カレンに引き取ってもらいますかね」
あとは、ディアナはどうなるのか。
風魔術で運ばれてきたのなら、帰りは長旅になりそうだが。
「カレン、悪ふざけはここまでにしてください。これ以上追撃を繰り返すのなら、ウィリデが国として対処するように動きます」
誰がその役目をやるのかと思ったら、エルネスが忠告を始めた。
カレンは茫然自失なままに見えるので、聞こえているのか分からない。
「――そもそも、わしを倒せそうとか思っちゃう時点で無謀だけどなあ」
激しい突風が起きたかと思うと、黒く大きな影が地面を通り過ぎた。
上空を見上げると、ドラゴンが飛んでいた。
「最近、ザコ扱いされがちだから、いっちょ本気出しちゃお」
ドラゴンは独り言をこぼした後、巨大な両翼で飛行している。
しばらく上空を旋回した後、その大きな口がぱかっと開いた。
そこから吐き出されたすさまじい炎が空を焦がす。
熱風の勢いは激しく、こちらまで熱が伝わってきた。
……というか、割と熱いので、できればもう少し加減してほしい。
「これに懲りたら、二度とやってくるんじゃないよ」
ドラゴンの言い方は諭すような雰囲気だった。
カレンは無言のまま頷くと、甲冑の戦士を掴んでどこかへ飛び去っていった。
「ようやく、これで一件落着ですね」
ドラゴン退治から始まった一連の出来事は、思いもよらぬかたちで決着した。
魔術の腕試しをするはずが、ほとんど活躍の場がなかった。
「それにしても、こんなはずじゃなかったのにな……」
退屈しのぎにはなったものの、何だか残念な結果に終わった。
ちなみにディアナはそのままだが、どうやって帰るのだろうか。
それから数日後。
俺とエルネスは大臣に呼び出された。
ドラゴンの近くに見回りを強化した方がいいとか、一般の見学ができるようにドラゴンを説得できないかとか、まとまった時間を使って話を聞いた。
最終的に、ウィリデに残ったままのシモンが見回りをしてくれることになった。
現在のフォンスは平和で仕事がないらしい。
大臣との話し合いが済むと、城の敷地を出たところでエルネスと別れた。
いつもなら、カフェでゆったりとハーブティーを飲むところだが、今日は接待しなければいけない相手がいる。
それは、カレンに置いていかれたままのディアナだ。
前々から風魔術で長距離移動してみたかったものの、カレンに教わる前に離れることになってしまった。
それでも、魔術のエキスパートのディアナなら仕組みを理解しているのではと思い、カフェで待ち合わせをしていた。
約束の時間に行くと、すでにディアナがテラス席に座っていた。
白銀の髪と白いローブが周囲の景色にマッチして、一枚の絵葉書のようだった。
「お待たせしました。早めに着いたんですね」
「カナタが教えてほしいことがあるって言ってたから、張りきってきたのよ」
彼女の裏表がないところは好印象だったが、お色気キャラみたいな雰囲気はそんなに得意ではなかった。それでは、気を取り直して。
「……ははっ、そうなんですか。ディアナには風魔術のことを教えてほしいと思ってるんですけど、実際に使うことってできますか?」
距離感が測りづらいところがあり、どう話しかければいいのか手探りだった。
「使うことはないけど、仕組みは分かるから、私からすれば簡単なこと」
彼女は少し真面目な雰囲気になり、自信があるように聞こえた。
「よかったら、使い方を教えてもらえませんか?」
「お安い御用よ。ただ、戦い向きでない魔術を覚えたい理由が分からないわ。それを聞いてからでないと教える気にならないかもね」
ディアナは勿体ぶるように明確な回答を渋った。
その理由は隠すほどのことでもないので、伝えることにした。
「風魔術を使って遠くへ行ってみようと考えてます」
「そんなことしなくても、馬があるじゃない?」
「いえ、馬でも長い時間がかかるような遠くへ行ってみたいんです」
「ふ~ん、面白いこと言うわね」
彼女は珍しい動物でも見るような目で、俺のことを不思議そうに眺めた。
「それじゃあ、わかったわ。やり方さえ覚えれば簡単よ」
俺はディアナに風魔術を習い、新たな地に旅立つ準備を始めた。
カレンの一件で、この異世界にまだ見ぬ場所が存在すると知ったので、これから少しずつ開拓していこうと思う。
最初は強気だったカレンはうなだれた様子で地面に視線を向けている。
二人を引き入れた時点で勝利を確信していたのだろう。
シモンが強すぎたのと、ディアナのやる気のなさは予想外だったと思うが。
礼を言うために彼に近づくと、普段どおりのリラックスした雰囲気だった。
「助かりました。俺たちではどうにもならなかったと思います」
「大したことないですって。カナタたちは仲間みたいなものなんで、困った時はお互い様です」
シモンの仲間という表現に照れくさい気持ちになった。
「ところで、あの男はどうするつもりです?」
「ははっ、おれにそれを聞かれても」
「カレンに引き取ってもらいますかね」
あとは、ディアナはどうなるのか。
風魔術で運ばれてきたのなら、帰りは長旅になりそうだが。
「カレン、悪ふざけはここまでにしてください。これ以上追撃を繰り返すのなら、ウィリデが国として対処するように動きます」
誰がその役目をやるのかと思ったら、エルネスが忠告を始めた。
カレンは茫然自失なままに見えるので、聞こえているのか分からない。
「――そもそも、わしを倒せそうとか思っちゃう時点で無謀だけどなあ」
激しい突風が起きたかと思うと、黒く大きな影が地面を通り過ぎた。
上空を見上げると、ドラゴンが飛んでいた。
「最近、ザコ扱いされがちだから、いっちょ本気出しちゃお」
ドラゴンは独り言をこぼした後、巨大な両翼で飛行している。
しばらく上空を旋回した後、その大きな口がぱかっと開いた。
そこから吐き出されたすさまじい炎が空を焦がす。
熱風の勢いは激しく、こちらまで熱が伝わってきた。
……というか、割と熱いので、できればもう少し加減してほしい。
「これに懲りたら、二度とやってくるんじゃないよ」
ドラゴンの言い方は諭すような雰囲気だった。
カレンは無言のまま頷くと、甲冑の戦士を掴んでどこかへ飛び去っていった。
「ようやく、これで一件落着ですね」
ドラゴン退治から始まった一連の出来事は、思いもよらぬかたちで決着した。
魔術の腕試しをするはずが、ほとんど活躍の場がなかった。
「それにしても、こんなはずじゃなかったのにな……」
退屈しのぎにはなったものの、何だか残念な結果に終わった。
ちなみにディアナはそのままだが、どうやって帰るのだろうか。
それから数日後。
俺とエルネスは大臣に呼び出された。
ドラゴンの近くに見回りを強化した方がいいとか、一般の見学ができるようにドラゴンを説得できないかとか、まとまった時間を使って話を聞いた。
最終的に、ウィリデに残ったままのシモンが見回りをしてくれることになった。
現在のフォンスは平和で仕事がないらしい。
大臣との話し合いが済むと、城の敷地を出たところでエルネスと別れた。
いつもなら、カフェでゆったりとハーブティーを飲むところだが、今日は接待しなければいけない相手がいる。
それは、カレンに置いていかれたままのディアナだ。
前々から風魔術で長距離移動してみたかったものの、カレンに教わる前に離れることになってしまった。
それでも、魔術のエキスパートのディアナなら仕組みを理解しているのではと思い、カフェで待ち合わせをしていた。
約束の時間に行くと、すでにディアナがテラス席に座っていた。
白銀の髪と白いローブが周囲の景色にマッチして、一枚の絵葉書のようだった。
「お待たせしました。早めに着いたんですね」
「カナタが教えてほしいことがあるって言ってたから、張りきってきたのよ」
彼女の裏表がないところは好印象だったが、お色気キャラみたいな雰囲気はそんなに得意ではなかった。それでは、気を取り直して。
「……ははっ、そうなんですか。ディアナには風魔術のことを教えてほしいと思ってるんですけど、実際に使うことってできますか?」
距離感が測りづらいところがあり、どう話しかければいいのか手探りだった。
「使うことはないけど、仕組みは分かるから、私からすれば簡単なこと」
彼女は少し真面目な雰囲気になり、自信があるように聞こえた。
「よかったら、使い方を教えてもらえませんか?」
「お安い御用よ。ただ、戦い向きでない魔術を覚えたい理由が分からないわ。それを聞いてからでないと教える気にならないかもね」
ディアナは勿体ぶるように明確な回答を渋った。
その理由は隠すほどのことでもないので、伝えることにした。
「風魔術を使って遠くへ行ってみようと考えてます」
「そんなことしなくても、馬があるじゃない?」
「いえ、馬でも長い時間がかかるような遠くへ行ってみたいんです」
「ふ~ん、面白いこと言うわね」
彼女は珍しい動物でも見るような目で、俺のことを不思議そうに眺めた。
「それじゃあ、わかったわ。やり方さえ覚えれば簡単よ」
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