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こんなところに異世界 ―俺は勇者じゃないとそろそろ気づいてほしい―
魔王との決戦
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シモンと魔王は牽制し合う状態が続き、互いに攻撃の機会を窺っているように見えた。武器同士の戦いではつけ入る隙が少ないが、剣と魔術の戦いなら援護できるかもしれない。
俺は遠くからシモンを援護しようと考えた。
あれだけの強力な攻撃魔術を防御できるか不安はあるが、シモン一人に重荷を背負わせるべきではないだろう。
他の仲間も同じように考えたようで、魔王に近づき始めた。
「……かなりヤバそうな相手だな」
「すごい迫力です」
「リュート、エレン、気を引き締めていこう」
オーウェンたちは武器を構えて、シモンの近くにたどり着いた。
数人の戦士が迫るというのに、魔王は微動だにしなかった。
隙だらけのように見えるが、やたらに魔術を放っていいものか迷ってしまう。
敵の高い攻撃力を警戒する以上、慎重にならざるを得ない状況だった。
このままでは攻めあぐねてしまう。
かといって、先制攻撃に抵抗がある。
俺が悩んでいると、シモンが弾丸のように飛び出して魔王に斬りかかった。
流星のごとく接近したシモンは剣を一薙ぎして攻撃を繰り出した。
「……あれ、おかしいですね」
間合いを取り直したシモンが不思議そうに言った。
魔王に攻撃が当たったはずなのに変化が見られなかった。
余裕を表しているのか、魔王は反撃をしてこない。
「シモン、手応えは?」
「たしかにありました。もしかすると、物理的な攻撃は効かないかもしれません」
シモンはそう言い終えると、剣を鞘に納めて右手を掲げた。
先ほどの戦いと同じように緑光の剣が浮かび上がった。
さらに、その剣を掴んだ彼の周囲に淡い光が発生した。
シモンの両手は緑色に変化して、魔人と同じようになっていた。
「カナタ、援護頼みますよ」
「うん、わかった」
彼の頼みを承諾して、俺は魔王との距離を少し縮めた。
敵の射程範囲は分からないが、あれだけ強力ならかわしようがないだろう。
もしもの時は腹を括って防御するしかない。
この戦いの決着をつけるしかないのだ。
意を決してマナに意識を向けると、全身に力が湧いてくるような気がした。
光の剣を手にしたシモンは魔王へさらに攻撃を加えようとしていた。
再度、彼は弾丸のような勢いで魔王に攻撃を仕掛けた。
あまりに速すぎて剣の動きが見えなかった。
攻撃を終えたシモンは軽やかな身のこなしで魔王との間合いを取り直した。
彼が言った通り、物理攻撃以外は効果があるようで、今度はダメージを与えられたようだった。
魔王の身につけた甲冑に亀裂が走り、魔王は不意を突かれたようにその部分を触って確かめていた。傷をつけられたことに驚いているように見える。
俺はシモンを援護しようと魔術を発動しようとしたが、先に魔王の反撃がきた。
マナの奔流を感じた直後、少し前と同じように氷柱が降り注ぐ。
シモンは跳躍力でかわしたが、今度はこちらにまで飛んできた。
咄嗟に氷魔術で盾を作り、それを防御する。
力が分散しているおかげで、どうにか防ぎきれそうだ。
シモン以外の仲間は距離を取って回避できている。
この状況では攻撃可能なのはシモンだけだった。
ただ、彼の光の剣による攻撃だけでは大きなダメージを与えられそうにない。
他に攻撃手段はないものかと考え始めたところで、頭上から大きな音がした。
驚いて天井に目を向けると、その一部が崩れて落ちてきた。
「うわっ、危ない!」
落石のように落下してくるがれきを必死でよけた。
「――なかなか危険な敵と戦っているようですね」
とても懐かしく聞き覚えのある声だった。
「……エルネス」
「カナタさん、シモンだけに任せるのは申し訳なかったので、私も来ました」
どうやってここまでと思ったが、天井にぽっかり空いた穴の向こうにいつかのドラゴンの姿があった。
「……なるほど」
「彼にここまで送ってもらいました」
「二人とも、感動の再会はそこまでで」
シモンの呼びかけで現実に引き戻された。
俺たちは強敵の魔王と対峙しているところだった。
「エルネス、何とかして魔術で攻撃したいです」
「分かりました。私が防御をするので、カナタさんは攻撃を」
「了解」
オーウェンたちは魔王の魔術を防げないので前線には立たせられない。
俺が視線で合図すると、彼らは後方に下がった。
感情を表さない魔王だったが、天井を打ち破られたことに驚き、あるいは怒りの感情を抱いているようだ。
ただでさえ強い圧力がさらに強力になっている。
それには明確な殺気がこめられていた。
「――マナの流れが、カナタさん来ますよ」
「はい!」
今度は氷柱ではなく巨大な火球だった。
無数の火球が勢いをつけてこちらに飛んでくる。
「こちらは準備万端。お任せあれ」
エルネスは特大の氷魔術を発動して氷壁を発動した。
炎の高熱で溶かされていくが、破られる気配はない。
「よしっ、今なら」
エルネスが火球を防ぎ切ったところで、俺は前に踏み出した。
マナを使い切らない程度に出力を上げて、雷魔術を発動する。
シモンはすでに攻撃範囲を避けており、味方を巻きこむ心配はない。
「これでどうだ!」
掲げた両手の先から迸る稲妻が飛び出していく。
激しい稲光を発しながら、魔王に直撃した。
玉座の周りには焦げるような煙が生じ、魔王の姿が見えなくなった。
「油断は禁物です」
エルネスの制する声が聞こえた。
たしかに一撃で倒せるほど脆くはないはずだ。
煙が晴れてきたところで、再び前方からマナの流れを感じた。
「――エルネス」
「問題ありません」
やはり、トドメは刺せなかったようだ。
再び、巨大な火球が飛来してくる。
今度もエルネスが氷壁で防御していた。
攻撃が止んだところで魔王の姿を見ると健在だった。
相変わらず、玉座から動く気配はない。
ダメージは与えられそうだが、長期戦も覚悟しなければいけないようだ。
俺は遠くからシモンを援護しようと考えた。
あれだけの強力な攻撃魔術を防御できるか不安はあるが、シモン一人に重荷を背負わせるべきではないだろう。
他の仲間も同じように考えたようで、魔王に近づき始めた。
「……かなりヤバそうな相手だな」
「すごい迫力です」
「リュート、エレン、気を引き締めていこう」
オーウェンたちは武器を構えて、シモンの近くにたどり着いた。
数人の戦士が迫るというのに、魔王は微動だにしなかった。
隙だらけのように見えるが、やたらに魔術を放っていいものか迷ってしまう。
敵の高い攻撃力を警戒する以上、慎重にならざるを得ない状況だった。
このままでは攻めあぐねてしまう。
かといって、先制攻撃に抵抗がある。
俺が悩んでいると、シモンが弾丸のように飛び出して魔王に斬りかかった。
流星のごとく接近したシモンは剣を一薙ぎして攻撃を繰り出した。
「……あれ、おかしいですね」
間合いを取り直したシモンが不思議そうに言った。
魔王に攻撃が当たったはずなのに変化が見られなかった。
余裕を表しているのか、魔王は反撃をしてこない。
「シモン、手応えは?」
「たしかにありました。もしかすると、物理的な攻撃は効かないかもしれません」
シモンはそう言い終えると、剣を鞘に納めて右手を掲げた。
先ほどの戦いと同じように緑光の剣が浮かび上がった。
さらに、その剣を掴んだ彼の周囲に淡い光が発生した。
シモンの両手は緑色に変化して、魔人と同じようになっていた。
「カナタ、援護頼みますよ」
「うん、わかった」
彼の頼みを承諾して、俺は魔王との距離を少し縮めた。
敵の射程範囲は分からないが、あれだけ強力ならかわしようがないだろう。
もしもの時は腹を括って防御するしかない。
この戦いの決着をつけるしかないのだ。
意を決してマナに意識を向けると、全身に力が湧いてくるような気がした。
光の剣を手にしたシモンは魔王へさらに攻撃を加えようとしていた。
再度、彼は弾丸のような勢いで魔王に攻撃を仕掛けた。
あまりに速すぎて剣の動きが見えなかった。
攻撃を終えたシモンは軽やかな身のこなしで魔王との間合いを取り直した。
彼が言った通り、物理攻撃以外は効果があるようで、今度はダメージを与えられたようだった。
魔王の身につけた甲冑に亀裂が走り、魔王は不意を突かれたようにその部分を触って確かめていた。傷をつけられたことに驚いているように見える。
俺はシモンを援護しようと魔術を発動しようとしたが、先に魔王の反撃がきた。
マナの奔流を感じた直後、少し前と同じように氷柱が降り注ぐ。
シモンは跳躍力でかわしたが、今度はこちらにまで飛んできた。
咄嗟に氷魔術で盾を作り、それを防御する。
力が分散しているおかげで、どうにか防ぎきれそうだ。
シモン以外の仲間は距離を取って回避できている。
この状況では攻撃可能なのはシモンだけだった。
ただ、彼の光の剣による攻撃だけでは大きなダメージを与えられそうにない。
他に攻撃手段はないものかと考え始めたところで、頭上から大きな音がした。
驚いて天井に目を向けると、その一部が崩れて落ちてきた。
「うわっ、危ない!」
落石のように落下してくるがれきを必死でよけた。
「――なかなか危険な敵と戦っているようですね」
とても懐かしく聞き覚えのある声だった。
「……エルネス」
「カナタさん、シモンだけに任せるのは申し訳なかったので、私も来ました」
どうやってここまでと思ったが、天井にぽっかり空いた穴の向こうにいつかのドラゴンの姿があった。
「……なるほど」
「彼にここまで送ってもらいました」
「二人とも、感動の再会はそこまでで」
シモンの呼びかけで現実に引き戻された。
俺たちは強敵の魔王と対峙しているところだった。
「エルネス、何とかして魔術で攻撃したいです」
「分かりました。私が防御をするので、カナタさんは攻撃を」
「了解」
オーウェンたちは魔王の魔術を防げないので前線には立たせられない。
俺が視線で合図すると、彼らは後方に下がった。
感情を表さない魔王だったが、天井を打ち破られたことに驚き、あるいは怒りの感情を抱いているようだ。
ただでさえ強い圧力がさらに強力になっている。
それには明確な殺気がこめられていた。
「――マナの流れが、カナタさん来ますよ」
「はい!」
今度は氷柱ではなく巨大な火球だった。
無数の火球が勢いをつけてこちらに飛んでくる。
「こちらは準備万端。お任せあれ」
エルネスは特大の氷魔術を発動して氷壁を発動した。
炎の高熱で溶かされていくが、破られる気配はない。
「よしっ、今なら」
エルネスが火球を防ぎ切ったところで、俺は前に踏み出した。
マナを使い切らない程度に出力を上げて、雷魔術を発動する。
シモンはすでに攻撃範囲を避けており、味方を巻きこむ心配はない。
「これでどうだ!」
掲げた両手の先から迸る稲妻が飛び出していく。
激しい稲光を発しながら、魔王に直撃した。
玉座の周りには焦げるような煙が生じ、魔王の姿が見えなくなった。
「油断は禁物です」
エルネスの制する声が聞こえた。
たしかに一撃で倒せるほど脆くはないはずだ。
煙が晴れてきたところで、再び前方からマナの流れを感じた。
「――エルネス」
「問題ありません」
やはり、トドメは刺せなかったようだ。
再び、巨大な火球が飛来してくる。
今度もエルネスが氷壁で防御していた。
攻撃が止んだところで魔王の姿を見ると健在だった。
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