愛玩人形 ~その人形は、戀(コイ)を知って少女(ひと)になる~

姫 沙羅(き さら)

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ⅩⅩ.Temperance

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「ただいま」
「おかえりなさい」

 これが蜜月。新婚生活というものだろうかと、セスクはお迎えの軽いキスを交わしながらニマニマと幸せオーラを出してしまう。

「シェリル……。会いたかった……」
「まだ三日しか経ってな……っ、ぁ……っ!」

 初めてシェリルを抱いてから、初めての宿泊ありの出張。
 早く帰りたくて帰りたくて。こうして愛しい少女を抱き締めて、その感触と香りに満たされたくて、全速力で帰宅した。
 だから、その柔らかさを確かめるように胸元へと手を滑らせれば、シェリルはびくりと肩を震わせていた。

「待……っ。……こんな、とこ、で……っ、ぁ、ん……っ」
「今日、ギャヴィンは休暇でしょ?今日は帰ったらここで抱くって、前から決めてたんだよね」
「セ、スク……ッ!」

 ギャヴィンというのは、古くから仕える執事だが、今日は前々から休暇願いが出ていた。
 いつもであればシェリルと共に玄関で出迎えてくれるところだが、今日はそれがない。つまり、チャンスは今日だけだ。
 家の中には他にも女中や料理人などもいるにはいるが、滅多にこちらにまでは出てこない。こちらに気づけば気を遣ってくれるだろう。
 誰に見られても構わないと思う一方で、シェリルのそんな姿は誰にも見せたくないとも思う複雑さ。女中たちであればまぁいいかと思う程度には最近大胆になっている。

「あ……っ、セ、スク……ッ!んん……っ」

 本気ではない優しい抵抗は、深いキスと共に奪ってしまう。
 今日は繋ぎのワンピースではなく、都合よく上下に別れた膝下のスカートを履いていた為、腰の辺りから掌を潜り込ませると、すぐに直接、胸元の柔らかさを堪能する。

「あ……っ、ん、ん、ん……っ」
「シェリルもしたかったでしょ?」
「そんな、こと……っ、ぁ、ん……っ」

 可愛らしい抵抗に笑みを溢しながら、もう片方の手はスカートの裾を捲り上げ、下着の中まで指先を潜らせる。

「嘘。もう濡れ始めてる」
「や……、ぁ……っ」
「シェリルってば淫乱ー」

 しっとりと濡れた秘密の場所へと触れれば、そこは恋人を待ち侘びていたかのようにひくひくと反応し、セスクは嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

「やらしくて大好き。可愛い。離さないよ?」

 形ばかりの抵抗はしても、シェリルが本気でセスクを拒んだことはない。
 最初はお風呂で。それから客間のソファでも。リビングのテーブルに押し倒したこともあったし、先日外へと出掛けた際には、馬車の中でしたのも興奮した。
 今度は開放的な空の下。庭でもいいなぁ、などと思っている。
 自分にそんな趣味があったことは驚きだが、それは過分に嫉妬心から来るものだ。シェリルが過去、どんな男たちにどんな風に扱われてきたのかは知らないが、全部上書きしてやりたくて堪らない。過去の嫌な記憶を、全て自分に塗り替えたい。
 そして、シェリルもそんなセスクの気持ちに気づいているから。シェリル自身もセスクと同じ気持ちでいるから。だから、いつも快楽に素直で、セスクに溺れ切ってくれる。
 こんなに気持ち良かったことはないと、そう言われた時の衝撃をどう表現したらいいだろうか。少女を好きにしてきた男たちへの憎悪と、それ以上に、今まで少女がどれだけ意に添わない快楽を与えられてきたかという事実。
 誰かを好きになったのは初めてなのだと、そう泣かれた時には胸が締め付けられる思いがした。
 なにも身体を繋ぐことだけが愛情表現ではないけれど、それでも互いに欲しくて堪らなかったから。

「舐めてあげるから。脚、開いててね」
「セ、スク……ッ!」

 すでに足腰立たなくなっているシェリルを玄関の扉へと押し付けて、その足元へと潜り込むと、すでに愛液を溢れさせている蜜口へと顔を寄せる。

「ひぁ……っ、ぁ、あ、あ……っ!」
「もうトロトロだね。れてもいい?」
「ん……っ、欲し……っ」
「あー、ほんと。やらしくて可愛すぎる」

 がくがくと生まれたての子鹿のように脚を震わせるシェリルへと、セスクは欲に濡れた声で囁きかける。

「前からと後ろから、どっちがいい?」
「あ……っ、ま、え……っ」
「うん。そう言うと思った。顔が見えた方が好きなんだよね?」

 それは、自分を抱く相手を確かめるかのように。
 だから、後ろから抱く時は、ずっとその耳元で愛を囁き続けることを忘れないようにしている。そしてそれがきっと、余計にシェリルを恥ずかしくさせていることも知っている。

「でも、後ろからの方が奥まで届いて好きでしょ?」

 いっぱい奥まで突かれるの好きだもんね?とからかえば、シェリルの顔はより一層赤くなる。

「だから、ね? シェリル、見て」
「ぁ、ん……っ、……え……?」
「玄関には鏡があるから。ずっと見てて」

 少女の背後に回り込み、すでに固くなった己の半身を足の間に宛がいながら、セスクはシェリルの顔を備え付けの鏡の方へと向けさせる。

「オレに抱かれて気持ちよくなってるところ。ずっと見てて」
「あ……」
「これなら、奥まで突きながら顔も見られるでしょ?」

 一石二鳥、と笑いかければ、シェリルの顔は今までになく赤く燃えた。
 それでも、言われるまま鏡の中に映り込む自分達の姿を見ている様子から考えるに、確かに自分がセスクに抱かれていることを目に刻み付けたいのだろうと思う。
 きっと、それほどまでにシェリルの過去は過酷で哀しい。

「ぁあ、ん……っ!」
「シェリルが好きな奥まで届いてる?」
「あ……っ、だ、め……っ。すぐ、イキそ……っ」
「それは少し我慢してくれないと困るなぁ……。一緒にイこ?」

 三日ぶりの交わりは、セスクもすぐに達してしまいそうだが、それよりも遥かに快楽に脆いシェリルには、きっと最奥への刺激は堪らないのだろうと思う。

「動くよ?」
「あ……っ! あっ、あ……っ、ぁ、ぁあ……っ!」
「すっごいね……っ、シェリルの胎内なか、きゅうきゅう締め付けてくる……っ」

 すぐに二人が交じり合う粘着質な水音が響き始め、鏡の中で、立ったまま快楽に身悶える少女の姿に煽られる。
 脱がせていない服が中途半端に乱れている様が、却っていやらしくて堪らない。

「あー、シェリルだ。この三日間、ずっと抱きたくて仕方なかった」
「ふぁ……っ、ぁ、ぁん……っ! わたし……、も……っ」

 本当に、この少女は素直でいやらしくて可愛すぎて。
 愛おしさばかりが募っていく。

「一緒にイこうね?」
「ぁ……っ、ぁあ……っ!」

 律動を早くすれば、生理的な涙を溢しつつ、少女はコクコクと頷いた。

「可愛い、シェリル。大好き」

 耳元で囁けば、それだけでその肩がぞくぞくと感じているのがわかって嬉しくなる。

「大好き、シェリル。愛してる」

 そうして三日ぶりの欲望を、セスクは少女の最奥へと放っていた。




「ずっと繋がってたいなぁ……。このままご飯食べてみる?」
「っ! バカ……ッ!」

 繋がったまま呼吸を整えて。温かく包み込んでくる少女の胎内なかから出ていくことが名残惜しくて呟けば、真っ赤になったシェリルから、甘いお叱りの声が上がる。
 最近、完全に気を許した態度を見せる、そんなシェリルも可愛くて仕方がない。

「しょうがない。続きはまた夜だね」
「っ!」
「するでしょ?」
「…………バカ……ッ!」

 そんなシェリルの叱責は、了承の意だと知っているから。

「ぁ、ん……っ」

 ずるり、と胎内から引き抜けば、もの寂しそうな声を上げたシェリルへと、甘い甘いキスを落としていた。
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