愛玩人形 ~その人形は、戀(コイ)を知って少女(ひと)になる~

姫 沙羅(き さら)

文字の大きさ
22 / 39

ⅩⅩⅠ.The Star

しおりを挟む
 シェリルは案外よく動く。
 長い旅生活で、自分のことは自分で、が身に付いているのか、いくらしなくていいと言っても、女中と一緒に部屋の掃除をしていたりする。
 だから、小動物が動き回るように可愛いその姿を、ソファにごろごろしながら眺めていたのだけれど。

「セスク……! だらだらしてないで……!」

 自分は尻に敷かれるタイプだったらしい。
 腰に手を当て、ぷりぷりと怒るその可愛い姿に、やはり口元が緩んでしまう。

「だって。休日だよ? こんなに可愛い奥さんがいて、家でだらだらしなくてどうするの。これ以上至福の時間が何処にあるの」
「奥さんじゃない……っ!」
「もういい加減諦めて結婚しようよー。いつまで待たせるの。おじいちゃんになっちゃうよー?」

 近くにやってきた少女を捕まえて、その匂いと柔さかを堪能しながら口を尖らせる。
 シェリルとの付き合いを両親に報告した時、やはり最初は渋られた。一応、セスクは子爵の家柄だ。それなりの家のご令嬢を迎えて欲しいと願うのは当然だろう。妾の存在が黙認される世界ではあるけれど、それでもあまり良い目では見られない。
 しかも、セスクがシェリルに溺れ切り、何時でも何処でも身体を繋げていることは公然の事実となっている。息子がたぶらかされているのではないかと心配になるのは当然だろう。
 だが、最近では、早く結婚しろとせっついてくる始末だ。
 プライベートでは恋人にデレデレの情けない男と化しているセスクだが、仕事面では、シェリルと恋人同士になってからというものの、めきめき腕を上げている。鬼気迫るものがあるほどのそれは、愛しい少女を守ることを誓ったセスクの強い意志の現れだろう。騎士団長である父親をその席から引きずり下ろす日も近いかもしれない。
 だからそんな父親は、最近では手を出したからには男として責任を取れというくらいのスタンスだ。
 一方、シェリルと母親との仲もいつしか良好になっていた。顔を合わせる機会はそう多くはないか、マナーや教養がきちんと身に付いているシェリルの姿には驚かされたらしい。元々医者の助手をやっているほどには頭もいい。最近では早く娘になって欲しいと言うくらいのお気に入りぶりだ。むしろ、その洗練された雰囲気から、何処かの国の王族か高貴な家柄の出なのではないかと心配しているほど。
 それなのに。
 シェリルはずっと、セスクからの求婚を頑なに拒み続けている。
 いつか相応しい方を妻に娶われるのでしょうと。
 どれだけ愛を告げても、その強い意志は変わらない。
 その度に半分喧嘩越しにさえなってしまうくらいだが、最終的にシェリルは、困ったように微笑むだけ。
 シェリルもセスクを好きでいてくれることには違いなく、ちゃんと恋人として認めてくれているというのに、どうしてなのかわからない。
 それでも、長い月日をかければ頷いてくれると、そう思っているのだけれど。

「……ちょ……っ、何処触って……!」
「だって、今日もシェリルが美味しそうだから」
「待……っ」

 腕の中に閉じ込めたシェリルの身体の柔らかさを、上から下まで堪能する。
 今日は休日だ。手を繋いで外へ出かけるのもいいけれど。

「エッチしよ?」
「……っ! セスク……ッ!」
「シェリルもエッチ大好きでしょー」
「……あ……っ」
「ほら、もうこんなになってる」

 少女の身体は快楽に酷く弱い。知り尽くした弱い部分に掌を這わせつつ、スカートの裾から潜り込ませた指先で恥ずかしい場所へ触れれば、そこはひくひくと口を開きかけていた。

「もー、本当にシェリル可愛い。食べちゃいたい」
「セ、スク……ッ、ぁ、ん……っ」

 そうして膝の上に乗せてしまえば、シェリルは逃げ出したりはしない。
 後はただ、与えられる快楽に、素直な吐息を洩らすだけ。

 シェリルが結婚を拒む以外のことは、全てが順調。とてもとても幸せな、満たされた日々。

 だから。

 ――まさか、これ以上の幸せがあるなんて、思いもしていなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

行き遅れ王女、重すぎる軍団長に肉で釣られる

春月もも
恋愛
25歳、独身、第四王女システィーナ。 夜会でも放置されがちな行き遅れ王女の前に、ある夜突然現れたのは、ローストビーフを差し出す重すぎる第三軍団長だった。 形のない愛は信じない。 でも、出来立ての肉は信じてしまう。 肉に釣られ、距離を詰められ、気づけば下賜され、そして初夜へ。 これは、行き遅れ王女が重たい愛で満たされるまでの、ちょっとおかしなお話。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...