ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい

古森きり

文字の大きさ
86 / 132

また一つ賢くなった

しおりを挟む

 なんだろう?
 また聞いたことのない単語が。
 
「ねえねえ、すぐるすぐる巴山はやまさんって?」
「『六芒星』の家のどの家の派閥にも参加していない、いくつかの宗派を支援している名士ですね。そういう宗派や家があるのも救いになるのであればいいだろうと『六芒星』の家々で決まっているそうです」
「あーーー。なるほど、そっか。普通に考えてそうだよね」
 
 この世界で『六芒星』の家の宗派だけが残って他の宗派がなくなってしまったら、それまでその宗派を信仰して残してきてた人たちの行き場がなくなるものね?
 千頭山せんずやま家は祈祷師、宇治家うじいえ家は悪魔祓い……みたいに職種が分かれているけれど、さらにそこから宗派が分かれているわけで。
 ある程度の統率はとっても、お取り潰しみたいなことまでする必要はないだろう。
 むしろ、そういう人たちが各地に残って六家でも手が届かない端々を担当してくれている方が、健全というか楽というか。
 しかし、その地域はお金がなくて浄化ができていないのか。
 それって意味ないんじゃ……。
 
「でも結界の中で禁足地って放置したら危ないんじゃ……」
「はい。ですが、『六芒星』の家が禁足地を浄化しようとすると巴山はやま家が口を出してくるのです。うちの管轄に手を出すな、と。巴山はやま家は『六芒星』の家同様、政界、財界とも繋がりのある家なので無視はできないんですよね。御愚間おぐま家と同様に国外とも繋がりが深いので、対立が深まってもいいことがないですし」
「なんか難しい関係なのね」
「ええ、そうなんです。信仰の自由の観点から、『六芒星』の家が統一するのも……ですし。新しい宗教が生まれても土地を穢すモノであれば本末転倒ではありますが、逆に『六芒星』以外の宗派が日和ひより並の浄化ができるようになれば、ありがたくもありますしね」
「そっか」
 
 ダメな方に転んだら最悪だけれど、いい方に転んだら世界浄化が一気に進む可能性もある。
 確かに。
 日和ひよりみたいな浄化能力のある手法が開発されたなら、世界の浄化もスピードアップするものね。
 まあ、それはそれでかなり、難しいことだろうけれど。
 ――それにしても、ゲーム内では出てこなかった話がたくさん出てくるなぁ。
 巴山はやま家なんて、ゲームに出てこなかった。
 
「そろそろ第一段階の結界解除が行われる時間帯だね。見に行くかい?」
「第一段階の結界解除?」
「結界は第一段階から第三段階で解除され、溜まっていた浄化の気が外へと放出されるんだよ。一気に放出したら、危ないからね」
「電波を遮断するほどの気が溜まっているので、調整の意味も兼ねて第一段階から第二段階、第三段階と分けて放出されるのですよ」
「そうなんだ」
 
 確かにここまで溜めた気を一気に出すと磁場が狂う。
 結界のおかげで平行感覚が保てているけれど、普通だったら歩けなくなっているだろう。
 溜まった気を三回に分けて放出し、集まっている浮遊霊や盆帰りの霊を浄化。
 波紋のように広がっていく陽の気で、悪霊や悪魔を弱体化させ、二回目以降の波でトドメを刺す感じか。
 かしこっ!
 
「気の流れを感じる修行になるから、十夜と真智くん、真宵ちゃんも目を閉じて集中してみるといいわ」
「それはいいですね。真智、やってごらん」
「わかった! やってみる!」
「はーい! 僕もやってみるねぇー。マヨイちゃんも一緒にしゅぎょー、やろー」
「うん!」
 
 もちろんすぐるも誘う。
 すぐるはまだ開花していないから、なにもわからないかもしれないけれど……こういうのは参加することに意味があるのよ。
 真智、十夜と並んで目を閉じて気の流れを感じてみる。
 すると……驚いた。
 結界の効果で地面に渦巻く陽の気が、外側に向けて移動して流れるのがわかる。
 こういうの、集中しなくてもわかるようなりたいなぁ。
 それにはまだまだ修行が足りてないってことか。
 そう考えると、私ってまだ伸び代あるんだなぁ!
 
「あ、すごい流れてる!」
「ケッコー速い!」
「確かに」
 
 沈黙のすぐる
 俯いて、落ち込んでいるように見えた。
 真智と十夜は生まれつき霊感がある、私と同じタイプ。
 だからすぐるが劣等感を抱く必要はない。
 すぐるの場合はこういう感じる機会そのものに触れる機会が必要なのだ。
 そう言って背中を叩くと、微笑み返される。
 すぐるは絶対に霊能力に開花するのだ。
 だってゲームの中でそうだったのだから!
 だからそんな顔をしないで。
 
「すげーなぁ。陽の気って本当にぽかぽか! 日向ぼっこしてるみてぇ!」
「本当だぁ。夏の暑い感じとは違うねえー」
「確かに。なんだか春の陽気みたい。……ぬくぬくするのよ。それに、やっぱり浄化の力が強いから、気の流れが変わってそよ風に吹かれているように感じるの。想像してみて」
「は、はい」
 
 すぐるが想像しやすいように、私や真智と十夜が感じる感覚を教えてあげる。
 その方がすぐるの霊能力が開花しやすいだろう。
 想像して、その感覚を感じているような気になれば開花もしやすくなる。
 霊感ってほぼ感覚の話だからね。
 
すぐると真宵嬢が仲いいの、俺どっちに嫉妬したらいいんだろう」
「「さあ?」」
 
 日和ひよりがなにか言い出したが、流した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!

ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」 卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。 よくある断罪劇が始まる……筈が。 ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

【完結】前提が間違っています

蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった 【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた 【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた 彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語 ※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。 ご注意ください 読んでくださって誠に有難うございます。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...