108 / 132
六芒星結界の結界核
しおりを挟む『六芒星』の結界は六つの家が『核』を担当して超強力なものを形成している。
それのおかげで、日本は安全地帯が確保されており、『六芒星結界』を基盤にアジア圏全体を薄い『六芒星結界』が覆って反転巫女の祟りが薄まるまで人の力で穢れを地道に癒していくことができているという。
要するに、まあ……完全に祟に覆われることを阻み、時間の余裕ができた、ということ。
反転巫女を神として崇め、奉ることで祟りを“反転”させ、世界を救うことこそが『六芒星』の悲願。
今のところ、反転巫女は祀られてから新たなに祟りを増やすことはなくなっている。
祟りこそ増えないが、人間は生きているだけで穢れを増やす生き物。
政府が思っていた以上に、世界浄化は進んでいない。
だがそれでも、『六芒星結界』が世界を延命させているのは間違いないのだ。
そしてその“核”がこの辺りに、ある?
「ここが大栄神社だよ。見てごらん、あの立派な御神木! すごいだろう? 樹齢五百年なんだそうだよ」
「「「へーーー」」」
真智叔父が指差す方向には五メートルはありそうな幹を持つ、二十メートルはありそうな高さの大木が鎮座していた。
しめ縄が幹に巻かれ、実に神々しい。
なんだろう?
この木、見上げていると不思議な感覚がしてくる。
「この御神木が核ですか?」
「――っ」
なんとなく、そんなことを口走ると、真智叔父と十夜母の表情が凍りつく。
あ、言ったらいけないことだったっぽい……?
『――――』
「……そうなんだ……」
木が教えてくれている。
言葉はなく、なんというか……感覚のようなもの。
「ありがとうございます」
「なんだ?」
「どうしたのー? マヨイちゃん」
「ううん。人前で話すようなことではないみたいだから」
私がそう言うと、おとなたちが顔を見合わせている。
形容し難いのだが、木が“伝えてきた”のだ。
なんだろう? 情報として?
頭と心に入ってきたというか――。
「本殿の方に行きましょう」
「そ、そうだね。じゃあ手を洗って。鳥居を潜ったら道の端の方を歩きなさい。道の真ん中は神様の通り道だから、人間は歩くと不敬にあたる」
「そうなんだー」
「わかった!」
水場で手と口を洗い、身を清める。
鳥居の前でお辞儀をして、鳥居を潜ったら道の端を歩く。
本殿の前まで来たら深く二回、礼。
一度右手を少しだけ下げてずらし、手を合わせる。
パン! パン! と拍手を打ち、ずらした手のひらを元に戻ししっかりと合わせて最後に一礼。
「……!」
まただ。
また、不思議な感覚がする。
情報が入ってくるというか……“声”ではなくて“言葉”が入ってくるというか……。
「そうなんだ」
「「なにが?」」
「あ、う、ううん。なんでもない。二人にはまだ聞こえないんだね」
「「?」」
隣で手を合わせていた真智と十夜は、なにも感じなかったのか。
二人がまだ幼いためだろうか。
だとしたら、真宵の霊力の高さ、おそらく“中身”が私だからこそ……祈ることで情報というか、色々流れ込んでくるのだろう。
この二人だって霊力はある。
いつかお祈りすればわかるようになるんじゃないだろうか。
というか、もしかしてパワースポットがパワースポットと呼ばれる所以なのかな、これが?
結構すごいことを教えてくれたから、旅行や修行や取材と称してあと五ヵ所、行ってみようかな。
今すぐでなくてもいいみたいだけれど、今ご神木から教えてもらったところによると『六ヵ所ある六芒星結界核を巡ることで、霊能力を持っている者は六芒星結界の構造を理解できるようになる』のと、『元来の能力が開花する』らしい。
おそらく元来の『宵闇の光はラピスラズリの導きで』の悪役令嬢、千頭山真宵はここに来てはいないだろう。
だから今、神社に参拝したことで私の中にあった占術の力が開花したのもわかる。
どうやら私、夢で“未来が視える”タイプらしい。
好きな未来を選別して視られるのかどうかは、まだわからない。
おそらく他の結界核になっている神社に行けば、わかるかも。
「どう? 参拝してみてなにか感じられた?」
「はい! とてもすごい場所ですね、ここ!」
「なにが?」
「なんかポカポカする、って感じだったー」
「あらあら。やっぱり女の子の方が精神的にも霊能力者的にも成長が早いのかしらね?
十夜はかろうじて神社の力は感じ取っていそうだが、真智はいまいち。
しかし、ここは本当に素晴らしい力がある。
帰ったら英に六芒星の結界核に行ってみるよう、教えてあげよう。
でも、真智叔父と十夜母の反応を見るに数多ある神社の中で『六芒星結界の結界核』である神社というのは外で言ってはいけないようだ。
おそらく結界核を守るためのものだろう。
結界核の神社だとは言わず、パワースポットとして勧めるのはいいかな?
「お腹空いたー。ねー、おやつない?」
「ぼくもお腹空いたー」
「あ、あれ? そういえば私も……」
二人がそれぞれの保護者の腕にしがみついておねだりを始めたのをみて、いつもの男児らしいわがまま化と思ったら、私も自分のお腹がめちゃくちゃ減っているのに気がついた。
なんなら心なしか霊力量も減っている時の空腹感のような気がして目を閉じる。
ゲージが……減っている!?
な、なんで!? 霊力を使うようなことしてないのに!?
い、いや、よく見ると――霊力量ゲージが伸びている?
つまり霊力量が増えたってこと?
それにしたって増えすぎじゃない!?
ただ参拝しただけで霊力量が増えるなんてそんなことあるの!?
1
あなたにおすすめの小説
転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!
柊
ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」
卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。
よくある断罪劇が始まる……筈が。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる