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観光、するぞ!
しおりを挟む「それじゃあ、どこかで休憩しましょうか。きっと神社に来るまでの道中でいっぱい歩いて疲れたのね」
「向こうにカフェがあるから、みんなで一休みしましょう」
小学生なんて絶賛成長期。
この時間帯ならお腹も空くだろうけれど、多分、今回の空腹は私たち三人の霊力量が参拝によって増えたことによる生理現象。
参拝すると霊力が増えるってなんだそれって思うが、それは『六芒星の結界』を張る家に関わる。
全容はよくわからなかったが、『六芒星』の家はなにかを対価に、結界核に参拝すると霊力量が増える“契約”を“なにか”と交わしているようだ。
多分だけれど――そんなことができる存在は……反転巫女、天月刃天。
千頭山家が『六芒星』の家の頂点なのは、秋月の例があるからなのでは?
秋月という元々の“悪鬼”を千頭山家は時間をかけて“家族”としてあたたかく奉り続け、今では“座敷童子”という善神にした。
秋月の奉り方をさらにシステム化して構成したのが『六芒星の結界』なのでは?
それを世界規模にした、といわれたら……納得できるんだけれど。
秋月の“縛り”は千頭山家の本家外には出られないこと。
私と粦が住んでいる別邸は千頭山家所有だから、鏡を通り道にして来ることができる。
その代わり、我が家の“守護神”として、家を守ってくれている。
だからそれを、もしも反転巫女が『六芒星』の家に対して世界規模で行っているのだとしたら……?
世界で反転巫女を奉る。
その代わり、『六芒星』の家の人間が結界核に参拝すると霊力が上がる……とか。
それにしても異常だけれどね、霊力が増えるなんて。
その異常を可能するのが反転巫女といわれたら……まあ、納得してしまうけれども。
「真宵お嬢様、なにを召し上がりますか?」
「えっと……抹茶アイスプリンパフェ!」
ま、なんとなくの憶測に過ぎないし、今はカフェでおやつ!
和風メニューの多い小洒落たカフェは、時間もあってか人はそれなりに混んできている。
しかし、がっつり昼食を食べたい人はカフェよりもレストランや食堂に行くだろう。
おとなたちはさすがに軽食を頼んでいたが、ここで真智がまさかのオムライス大盛り。
十夜も真似をしてなのか、カレーを注文。
どんだけがっつり食べる気だこの成長期たち。
――が。
「「おかわり!」」
「嘘でしょ……!? まだ食べられるの!?」
「うん! お腹減ったー! 夜まで絶対もたない!」
「お腹鳴ってるよ、ママ」
おとなたちが顔を見合わせている。
そりゃあそうだ。
子どもが食べる量じゃない。
と言っても、私が真智の家で爆食いした記憶が新しい。
二人もあの時の私と似た状態と思えば、この爆食いも納得ではあるのだが。
「真宵さんは大丈夫? 遠慮しなくていいですよ」
「魔力量が増えたんじゃないかな? 大栄神社は有名なパワースポットだから、力を与えられることがあるんだ。真智も十夜くんも真宵ちゃんも若いから、大栄神社に祀られていた神様が力を与えてくださったんだろう」
「え? おれたち強くなった!?」
「え? ぼくら強くなったの!?」
「おそらくね。あなたたちくらいの歳の子は、特に霊力量の成長が著しいと言われているの。七五三の時もこことは別の神社に行っているでしょう? その神社でもご加護が与えられるのよ」
と、十夜母がドヤ顔で教えてくれるのだが、七五三で“三ヶ所の結界核”に訪れて霊力を高めるのだとしたら――。
い……いやいや。
さすがに考えすぎ……?
効率いいなぁ、とか思ってしまった。
だいたい、反転巫女が祀られることで、そんな恩恵を『六芒星』の家の人間に与えるのって、それじゃまるで反転巫女が世界の浄化を許しているみたい。
祟り神になっている反転巫女が、そんなことを許すだろうか?
それとも、秋月が言っていたとおり……最初の頃は意識がなく憎しみで染まっていて、ただ祟りを撒き散らす存在だったけれど、浄化が進んだ結果人間の頃の記憶を取り戻した、みたいなことを言っていたからその段階の途中なのかも?
まあ、あくまでも今日得た情報からの憶測だけれど。
でもなんか、合ってそうな気がするんだよなぁ。
「じゃあおれたち強くなったんだな!」
「強くなるとどうなるのー?」
「悪魔をぶちのめせるようになるんだよ!」
真智が高々に告げると十夜も「悪霊やっつけられる?」と目を輝かせる。
そうか、真智たちにとって自分たちがヒーロー。
悪役が悪魔や悪霊。
まあ、確かにその通りではあるのだけれど。
「じゃあ七五三でもっと強くなれる?」
「そうね。大栄神社とは違う神社に行くから、今より強くなっていると思うわ。十夜はもっと強くなって、たくさんの悪霊や悪魔から人々を救うのよ」
「うん!」
十夜の頭を撫でる十夜母。
なんだかいつもパワフルな十夜母が、お母さんをやっている姿。
……嫌だな、なんか……フラグみたい。
「お待たせしました。抹茶アイスプリンパフェです」
「ありがとうございます!」
とりあえず霊力を戻そう。
なにか起こった時に満タン状態じゃないと不安だもの。
まあ、すぐに満タンになるかどうかはわからないけれど。
「粦はなにを食べたの?」
「パンケーキです。ベリーソースの」
「美味しそうだね」
「食べますか?」
「じゃあ一口ずつ交換しましょう」
「いいんですか!?」
粦も抹茶アイスパフェ、食べたそうにしてたのちゃーんと見てたからねー。
多分だけれど、粦も霊力量が増えていると思うのよね。
私の叔母なのだから。
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