ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい

古森きり

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未来のことはわからないけれど

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 恐るべし、大離神おおりかみ日和ひより
 秋月に物怖じせずにこんなことを言うなんて。
 
「それよりも、他の六芒星の家の者たちに今の条件を呑ませられるのかい?」
「もちろん! そのあたりは俺に任せてほしい!」
 
 日和ひよりが自分の胸を叩く。
 まあ、その辺は確かに日和ひよりの方が得意そう。
 小学生なのにおとなにも一目置かれる存在。
 実際、六芒星の一角の家の当主になるのなら、日和ひよりは伴侶として相当優良物件。
 よその家なら土下座してでも来てもらいたいだろうな。
 でも私はまだ将来の結婚相手んことなんて考えたくない。
 明日、Vtuberとしてデビューするんだもん。
 そっちに集中したい。
 
「わかった。ではとおるとその家族を連れておいで。真宵が住んでいるこの屋敷ではなく、本宅の方ね。僕の本体もそっちにある。本宅の方で詳しい話をしよう。真宵はどうする? その話し合いに同席する?」
「明日Vtuberとしてデビューするの! そっちに集中したいから、その話し合いが直近なら同席しなくてもいい?」
「ああ、ずっと準備していたやつね。いいよ。僕の好きにしちゃうけれど」
「ぐ」
 
 それは大丈夫か?
 不安だけれど――。
 
「秋月は私の味方だもんね?」
「うん。もちろん」
「じゃあ、信じている。よろしくお願いします」
「わかった」
 
 秋月なら大丈夫でしょう、多分。
 そこは信じて待ってよう。
 と言うわけで今日のお話し合いは終わりね!
 私、明日の夜の準備を進める!
 っていっても、もうほとんど終わっているんだけれども。

「では、千頭山せんずやまとおる様との、そのあたりの連絡役は自分がやらせていただきます。よろしいでしょうか?」
「うん。すぐる、よろしく」

 すぐるはこの年でシゴデキだから、安心して丸投げしよう。
 安心していると、すぐるはまだなにか言いたげ。

「なぁに? 他にもなにかある?」
「今回お話し合いに参加されないとのことですが、その……一応祖父であることは間違いないので、一度くらいはお会いするつもりがあるのか――」
「あー……」

 一応親戚の部類か。
 正直言うとまったく興味がない。
 でも、そういう親戚づきあいからは逃げられないんだろうなぁ。
 なにしろ、私が成人するまでは千頭山せんずやま家のことをお任せするのだ。
 私はまだ子どもで、未熟者。
 彼らの助力は必要不可欠。
 保護者としての役割は春月しゅんげつさんが担ってくれることになったから、千頭山せんずやま家の立て直しについてを祖父と話し合う感じになるのかな。
 問題は彼らがどんな主張をしてくるかどうかだ。
 家を完全に乗っ取ろうって考えなら、追い出さなければいけないけれど、一緒に家の立て直しをしてくれるのなら手を取り合って頑張っていけたらいいな。
 ……うん、その話はしなければいけない。
 秋月のことがあるから、向こうも断らないとは思うけれど。

「そうね。すり合わせはしておかなきゃいけないことがあるもの。うん、そのうち会ってお話ししようと思う。でも、少なくともVtuberとしてデビューして落ち着いてからがいいな。Vtuberとしての生活が落ち着かないと、余裕が出ないと思うから」
「なるほど。わかりました。そのようにお伝えします」

 すぐるに任せれば大丈夫、という安心感。
 すぐるだって子どもなのにね。
 なんだ、この頼もしさは。

「じゃあ僕は一度本宅に帰るね。ぶいちゅーばー頑張ってね、真宵」
「うん、頑張るね!」

 秋月、帰宅。
 一通りの話が終わったので、すぐる日和ひよりもすぐ帰るのかな、と思ったが普通に茶の間に戻ってテーブルの前に着席。
 まあ、りんがせっかく淹れたお茶が残っているから、いいんだけれど。
 りんの淹れたお茶を堪能してから帰りなさいな。

「で? Vtuberというのはあれだっけ。なんか配信者になるやつ」
「そうですよ」
「よくわからないけれど応援するね。いずれ妻となる君のやりたいことを、夫として否定たりしないから!」
「なにをおっしゃっているのかわかりませんね」

 こ、こいつ……一度割としっかりお断りしているのに、またなにか頭沸いたようなことを言い出した。
 そもそも私は中身が君のふた周りくらい年上なんだから、君のことをそんな目で見られるわけがないだろうよ!?
 マジ無理だよ!?
 うーん……ここはしっかり五寸釘並みの太い釘を打ち込んでおくか……。

「なんだか日和ひよりさん、怖い。すぐる大離神おおりかみ家の方に日和ひよりさんが怖いって伝えてくれないかしら」
「エッ」
「そうですね。しっかりとお伝えしておきます。日和ひより、あまりしつこい男は気持ち悪いぞ」
「きも……!?」

 おそらく、日和ひよりが言われたことがないであろうどストレートな表現。
 いや、まだ足りない。
 しっかりとどめを刺しておこう。
 
「なんだか、ストーカーみたいで気持ち悪いですよ」
「スト……っ」

 すぐるの後ろに回って、不審者見る目で睨む。
 私とすぐるに冷たい目で睨まれている日和ひよりだが、すぐに肩を落とす。
 りんが落ち込んだ日和ひよりを哀れに思ったのか、肩をポンポン叩きながら「女性心はお姉様から学ばれれば間に合いますよ」とアドバイスをしている。
 ぐっ……そ、そうか。
 日和ひよりの姉、稲穂いなほさんは日和ひよりの実姉か。
 あまりそこの成長は期待していないのだが、それこそゲーム開始の頃の日和ひよりにガチで迫られたら私、家のこともあるし断りきれないかもしれないのだが?
 りん、どうか余計なことを言わないでぇー!

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