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13 死の山の調査
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しおりを挟むドラゴンを倒し、しばしの歓談の後、サシャはドラゴンブレス跡地の調査に取り掛かる。
「やっぱしだしぃ」
「やっぱり?」
「ウチの攻撃力には劣るけど、ドラゴンの攻撃を喰らったのに死の山は傷ひとつないしぃ」
「本当だ! あんなブレス、普通の地面なら穴が開いているはずだ」
サシャはドラゴンとの戦いで、爪で傷がつかなかった事に疑問に思い、真下にドラゴンブレスを撃たせたようだ。
「う~ん……入口はここじゃないのかな?」
「と言う事は……」
「行くしぃ~!」
「うわ~~~!!」
ヨハンネスの不穏な考えはドンピシャ。ヨハンネスは悲鳴をあげながら、死の山から落下し、崖の暗闇に消えて行くのであった。
「【光球】!」
崖から数分降りると光が届かなくなり、サシャは魔法の光を灯す。
「まだ着かないのか? いくらなんでも深すぎるだろう」
「ウチに聞かれてもわからないしぃ。でも、情報はあるしぃ」
「情報?」
「死の山の壁も反対の壁もツルツルだしぃ」
「確かに……まるで帝都の城壁みたいだ」
崖の中は真っ平らの壁に囲まれており、二人はそこをゆっくりと降下して行く。暗闇に覆われてしまっては、サシャの出した光では数百メートルを見渡せるのが限界。
そのせいで、あまりスピードが出せず、サシャのイライラが溜まる。ヨハンネスがいつ爆発するかわからないサシャを宥めていると、ようやく地に足を着ける事ができたようだ。
「ここも平らだ……」
「なんもないしぃ……とりあえず一周回ってみるしぃ」
「ああ」
二人は歩き出すが、ゆっくり探索するのはサシャの性分に合わないので、空中浮遊で移動。単調な景色だったため、直角に曲がる壁にぶつかりそうになった。
「壁があるって言っただろ!」
もちろんヨハンネスがだ。
「わり~わり~」
全然反省していないサシャ。そもそもモルモットで連れて来たのだから、サシャの危険回避に使われている。
この場所では少し調査を行い、直角に曲がっている事だけ確認して残りの調査を済ませ、死の山頂上に戻った。
「結局、扉も魔獣も居なかったしぃ!」
「帝国兵も落ちていなかったな。骨すら無かったし、あそこに落ちる物も無いのか?」
「だからウチに聞かれてもわかんないしぃ」
「あ、すまない」
「とりま、腹へったし、なんか作ってよ」
「俺がか??」
「料理もできない男はモテないしぃ」
「そうは言われても、厨房になんか入った事もないんだ」
「チッ……使えないしぃ」
サシャの言い分に、ヨハンネスはしょんぼり。貴族なんだから、料理はお抱え料理人の仕事だからできるわけがない。それに、ここへはモルモットで連れて来たのだから、怒るのは筋違いだ。
ひとまずサシャは、ステーキでも作ろうとドラゴンに近付く。
「しわしわだしぃ!」
「しわしわ??」
残念ながら、ドラゴンはミイラ化が始まっているらしい。ヨハンネスも駆け寄り、ドラゴンの首と尻尾があった場所を確認する。
「死の山に、血が吸われているぞ!」
「本当だしぃ……ちょっとヨハンに頼みがあるんだけど~?」
サシャは何やら閃いたらしく、甘えた声を出す。
「い、いやだ!」
当然ヨハンネスは何をされるかわかったので、強く拒否する。
「ちょっと~。ちょっとだけだしぃ。ね? 先っちょだけだしぃ」
「いやだ~~~!!」
かわいそうなヨハンネス。女に無理を言って性行に持ち込む男のようになったサシャに押し倒されて犯され……もとい、指の先を刀の先で傷を付けられてしまった。
サシャは、いちおう約束を守ったようだが、やられた側はたまったもんじゃない。サシャに無理矢理傷口を死の山に押し付けられて、半べそになった。
「うっ! なんか吸われてる~!!」
「ふ~ん……【治癒の光】。ほい、治ったしぃ。もう大丈夫っしょ?」
「うっうぅぅ……」
「わ! な、泣くなしぃ!」
魔法で傷を治してもらったヨハンネスであったが、ついに涙する。最強のガキ大将にずっとイジメられていたのだから、そりゃ泣くよ。
サシャもやり過ぎた感はあったらしく、謝ってドラゴンステーキをご馳走していた。でも、「美少女の手作りが食べられて嬉しいっしょ~?」とか言って、また泣かせていた。
うまいのだが、肉を切って塩コショウをして焼いただけなので、「これが料理?」とか言う、ヨハンネスも悪い。だから泣かされるんだ。
腹ごしらえの終わったサシャは、おもむろに立ち上がり、背伸びをしながら大きな声を出す。
「いっちょ、やってやるしぃぃぃ!!」
ヨハンネス、嫌な予感が爆発。顔を青くして言葉も掛けられないようだ。そうして、首根っこを掴まれた猫が如く、ダラリと力の抜けた体勢でサシャに空に浮かべられ、死の山から遠ざかる。
「究極魔法……【反物質】だしぃぃぃ!!」
長い詠唱の後、サシャの右手から小石大の黒い塊が放出される。ヨハンネスは最強魔法と聞こえたから、もっと派手な魔法だと思ったようなので、不思議に思いながらその真っ黒な塊を目で追う。
塊は小さいので残念ながら見失うが、死の山頂上ど真ん中に接触した瞬間、光が膨らみ、大爆発を引き起こした。
「ぎゃ~! 目が~。目が~~~!!」
突如、ヨハンネスから悲鳴があがる。大爆発の瞬間を直視したからには致し方ない。死の山に接触した瞬間、強烈な光が死の山一体を包み込んだのだから当然の結果だ。
「あ、普通の人が見ると、そうなるんだ~」
轟音と爆風の嵐にさらされるなか、ヨハンネスは目が潰れて悲鳴をあげ、サシャはのほほんとヨハンネスの目を治してあげる。
いちおうは防御結界を張っていたので鼓膜は守れたのだが、光は別だったようだ。
そうして治療の終わったヨハンネスは息を切らしながら、その惨状に恐怖する。
「う、うわわわわ」
死の山は見えないが、そこから空を覆い尽くすキノコ雲ができて、夜のように暗くなっているのだから、そうなるよ。
その巨大なキノコ雲は、魔界、人界からも確認され、世界はこの日、恐怖に包まれるのであった。
勇者サシャの所業によって……
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