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13 死の山の調査
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しおりを挟むサシャの究極魔法の余波は、轟音を響かせ、人界、魔界にまで届いていた……
* * * * * * * * *
魔界の場合……
「な、なんだ!!」
四天王は会議中であったが、轟音に驚き、建物から出て東の空を見上げる。
「雲だな……」
「おっきなキノコみたいだ~」
レオンは驚き、ミヒェルは暢気な事を言う。そこをスベンが冷静に分析する。
「先ほどの音は、ミニンギーの街で聞いた音に似ていますね」
「あ! 確かに……」
「と言う事は、人族はまた、あんな非道な兵器を使っただか?」
「いいえ。あの方角なら、姫騎士様の向かった方向ではないので、戦闘をしていると言うのなら、サシャ様でしょう」
「そう言えば、ちょっと前にサシャ様が死の山に向かったと連絡があったな……」
四天王の三人は、めちゃくちゃな振る舞いで魔界を恐怖に陥れたサシャの顔を思い出し、犯人を特定する事に成功したようだ。
だが、今回の魔法は規模が大きく、三人はそんな爆弾娘をそばに置いていたのかと考え、顔が青くなる。
「と、とりあえず、魔界の驚異ではないのですから、魔族に言い聞かせないといけません!」
「んだ! みんな怯えているかもしれないだ~!!」
「そうだな。俺はこの町を指揮して来るから、二人は他の町に連絡してくれ!」
ミヒェルとスベンは慌てて役場に戻り、通信マジックアイテムで、各町の町長に連絡を入れる。レオンは走り回り、魔族や人族に安全だから大丈夫と説得をしている姿があった。
その時、原因も説明したので、皆の納得は早かったようだ。
勇者サシャが、無茶をしたのだと……
* * * * * * * * *
人界の場合……
轟音は帝都城にまで微かに聞こえ、騒ぎが起きる中、皇帝はバルコニーから巨大なキノコ雲を見ていた。
「へ、陛下! 危険です!!」
しばらくして、執務室に飛び込んで来た宰相が慌てて声を掛ける。
「何が危険なのだ?」
「そ、それは……」
帝都から見える爆心地は森の中。それも、どれほど離れているかもわからない距離だ。キノコ雲は巨大だが、遠くにあるから巨大だと思われる程度の大きさにしか見えていない。
「さて……アレは何が起こした事態かは、わかったのか?」
「予想の範囲内ですが……」
「よい。申してみよ」
「まずは……」
宰相の予想で真っ先に疑ったのは、長兄の使った爆発マジックアイテム。町をふたつも爆破させる事ができるのだから、それを大量に用意すれば同じ事ができると考えているようだ。
問題となるのが、それを誰が使ったのか……
長兄からは、第一次進行の際に持ち出していたと報告は受けていたのだが、第二次進行にはサシャが居たので持ち出していない。
そうなると、魔族が使ったと予想される。しかし、魔族が何と戦っているかもわからないので、実験をしている可能性を示唆する。
最後の可能性として、勇者サシャ。当然勇者なのだから、それだけの火力を有すると考えるが、帝都ではサシャの力の一旦しか見ていないので、判断が付かないようだ。
宰相からの長い説明を聞き終わると、皇帝が口を開く。
「予想はわかった。だが、どう対応する?」
「そ、それは……」
宰相は情報を整理するしか時間が無かったので、対応策はまだ考えていなかった。
「もうよい。余が命令する」
「はっ!」
「爆発マジックアイテムを直ちに魔界への道に配備。奴隷にその起動をさせろ」
「よ、よろしいのですか?」
「向こうも使って来ておるのだ。正当な防衛だ。それに町を吹き飛ばすわけではない。魔族を一網打尽にするだけだ」
「クリスティアーネ殿下は……」
「誰だそれは?」
「い、いえ。何でも御座いません。ただちに準備いたします」
姫騎士の名を出したのに、眉ひとつ動かさずに応える皇帝。もちろん、誰だかわかっているのだが、帝国を裏切った者は、すでに魔族認定されているのでお構い無し。
例えそれが肉親であろうとも……
そうして皇帝は、着々と戦準備を続けるのであった。
* * * * * * * * *
姫騎士軍の場合……
「落ち着け~! 落ち着くんだ! アレは……あのお方だ~~~!!」
昼食休憩を終えた姫騎士軍が行進していると、突如轟音が響き渡って空が暗くなり、混乱に見舞われた。その轟音で馬は暴れ、人族軍は歩調を乱している。
姫騎士は叫んで落ち着かそうとするが、勇者が近くにいるのでサシャの名を出せないようだ。
そんな混乱の最中、勇者がのほほんと呟く
「凄い魔法が使われたようだな~。まるで妹の魔法みたいだ」
「あ……ま、魔王殿!」
「はい! 任せてください!」
サシャを思い出しそうになった勇者に、姫騎士が焦って魔王を呼び、魔王もそれに応える。
「プシューーー!」
当然、勇者暗殺だ。サシャを気付かれたくないのだから、魔王ハグで意識を刈り取った。
勇者が気絶する事によって、サシャの蛮行を兵士に説明して回り、ようやく軍は落ち着きを取り戻す。
一部を除いて……
「いつまで抱き締めているのだ!」
「そうよ。もう落ち着いたんだから離しなさ~い!」
姫騎士とコリンナだ。魔王がこの機を逃さず抱きついたまま離れないから、揉めているようだ。
「ぐふっ。ぐふふ。もっとやれ~」
おっさんテレージアもだ。キャットファイトが見れて楽しいのか、パタパタと飛びながら煽っている。
そうして皆で遊んでいると、青筋を額に浮かべた姫騎士軍参謀のベティーナがガミガミと割り込み、皆がしゅんとしたところで報告を告げる。
「魔獣だと!?」
感知魔法で辺りを調べていた魔法使いが、多数の魔獣が迫っていると報告を上げ、遊んでいる場合では無くなった姫騎士達は戦闘準備に取り掛かるのであった。
魔獣が迫っている理由も、勇者サシャの、究極魔法のせいなのだが……
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