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連載
ウェブ版鍛冶見習い104・『霧の森』のヴァンパイア④
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前回のあらすじ・ノアは3年前、ダンピールの赤ん坊を助けていた。
「あっ、ノアだっ!」
抱きしめられた睦月の腕の中からジタバタと抜け出し、オイラの足元にくっついた……と思ったら、女の子はくるくるっとのぼって首っ玉に抱きついた。
ウトウトしていた黒モフが、びっくりして毛を逆立てているのもお構いなしに、オイラの顔を持ってチュッチュしてくれる。
その隙に、黒モフはしゅるっとオイラの胸元に逃げ込んでいる。
女の子、如月は、黒モフをやたら触りたがるけれど、黒モフは如月が苦手なようだ。
まあ、たいていの動物は幼児が苦手だ。
「覚えててくれたんだ。
元気そうだね。
最初に会ったときには、どうなるかと思ったけど」
如月は、今年で四歳になる。
まだ三歳かな?
幼児の一か月は大人の一年より長いという。
一年なんて、今までの人生の三分の一なんだから。
半年以上も来られなかったオイラを、覚えていてくれるとは思わなかった。
「え?
ノアでしょ?
なんで?」
「もう忘れちゃったかと思ったよ。
ずいぶん来られなかったから」
「なんで?」
幼児独特の「なんで?」攻撃に苦笑していたら、如月が、オイラの背後にいるマリル兄ちゃんたちに気づいたようだ。
顔をこわばらせて、睦月の後ろへ隠れ、しがみつく。
「だれ?」
「ああ、オイラの友だちだから、怖がらなくて大丈夫」
「友だち?」
安心させようとそう言ったのに、なぜか如月の目にみるみる涙が盛り上がる。
「ノアは、きーきの他に、友だちいるの?」
如月は、自分のことを『きーき』と呼ぶ。
確かに、『きさらぎ』というのは、幼児には発音しづらそうだ。
「きーきは、ノアの他に、友だちいないのに」
「あー……」
オイラは慌てて、マリル兄ちゃんを引っ張り出し、如月の身長に合わせてしゃがんだ。
「ほら、前に話したことあるでしょ?
マリル兄ちゃんだよ」
如月が、睦月のズボンから少しだけ顔を出し、マリル兄ちゃんを見上げる。
「マリル兄ちゃんて、鼻のいいオオカミの獣人なのに、うっかり尿だめに落っこちて、クサくてクサくて、さらに鼻のいいテリテおばさんに、一週間は帰ってくるな、って言われた、あのマリル兄ちゃん?」
「ノア、お前……
こんなとこまで来て、何の話してんだよぉっ」
「だってホントのことでしょ?」
「ホントだからって言っちゃダメなこともあるんだよっ」
オイラとマリル兄ちゃんの掛け合いを、呆気に取られて見つめていた如月が、ぷははっ、と笑って睦月の後ろから出てきてくれた。
「ホントだ、マリル兄ちゃんだ」
「おう、俺がマリルだ。
よろしくな」
マリル兄ちゃんもしゃがんで、如月の小さな手をつまんで握手している。
「もうくさくないね」
「そりゃあなっ、もう一年も前だからなっ」
照れくさそうに頭を掻くマリル兄ちゃんに、如月も楽しそうに笑っている。
「そうだ、如月にお土産があったんだ。
気に入るといいんだけど」
そう言って、オイラは前掛けのポケットから金平糖の包みを取り出す。
オイラの剣はまだ売れた試しがないし、ラウルとかに納めているダンジョン用の剣は物々交換なので、相変わらずオイラの懐は寂しい。
そんなわけで、今回の金平糖は、『妖精の森』のポポルに持ってったのを分けてもらった分だ。
「わぁっ」
手のひらに広がった色とりどりの小さな星に、如月が目をキラキラさせる。
「甘いものは、牙に悪いかな?」
そう言って、ちらっと睦月を見やると、如月も涙をためた目で睦月を見上げる。
仕方なさそうに睦月も苦笑する。
「いいよ、食べて。
でも、ちゃんと歯を磨くんだよ?」
「はーいっ」
金平糖につられて、オイラの胸元から首を出していた黒モフをガシッとつかむと、如月は向こうのソファの上によじ登って金平糖を数え始めた。
「いーち、にーい、きゅーう、ごーぉ」
数が前後して、首をひねっている。
その様子に、笑いながらリリィが側に行って構っている。
特技・子守りと言うだけあって、本当に子どもが好きな様子だ。
「でね、こっちが本題なんだけど。
前に来た時、睦月に預かってもらったものがあるでしょ?
ハチのドロップ品。
ちょっと使う用が出来て。
返してもらえないかなー、と」
「あー……」
オイラの言葉に、睦月があいまいな笑顔を浮かべて視線をそらす。
「睦月?」
「あれ、ね。
そのー。
この辺は、甘いものが少ないから。
如月にねだられて、つい」
「食べちゃったの!?」
ユーリが非難のまなざしを向ける。
なるほど、ユーリもオイラの目的をハチミツだと思ったのか。
「ハチミツはね、まぁいいよ。
そうじゃなくて、オイラが必要なのは、ローヤルゼリーと、プロポリス」
「プロポリスって?
今までのドロップ品になかったよね?」
カウラが不思議そうな顔をする。
「プロポリスってのは、兵隊蜂だけがドロップするレアアイテムでね。
ミツバチが植物のエキスを集めて作る、まあ、薬みたいなものかな?
ハチの獣人が身一つで巣を追われたなら、ケガしてる人も、病気になってる人もいるだろうし」
「そういえば、そもそも、邪妖精に狙われたダンジョンを助けるために、ソイミールに行く途中だったんだっけ。
色々ありすぎて忘れてたよ」
ユーリがため息をついて首を振っている。
「邪妖精?」
「うーんとね、睦月になら言ってもいいかな?
あんまり他言しないでね」
オイラがダンジョンについて説明すると、睦月は目を丸くして、それから納得した。
「なるほどね。
確かに、この村でも時々、小さな生き物を見る気がするね。
こんな村だから、特に気にしてなかったけれど」
そういえば、ここは野良ダンジョン。
ハチの獣人に乗っ取られたダンジョンなんだろうげと、仕組みはどうなっているんだろう?
「ローヤルゼリーとプロポリスならそのままだよ。
ハチミツもね、普段なら自分で狩りに行くんだけれど。
最近、ここのダンジョンの浅い階が騒がしくてね。
うっかり冒険者にでも見つかったりしたら面倒だから。
滅多に、十階を超えてくる冒険者はいないんだけれど、もう少し深いエリアに引っ越そうかと村の皆と相談しているところなんだよ」
睦月は話しながらも、奥の納戸から幾つもの壺を出して渡してくれた。
オイラはそれを、ハチミツの上からリュックに入るだけ入れる。
リュックに入っていた鉱石は、この際まとめて『鉱石転送』で鍛冶場へと送る。
なんで鉱石を拾った側から転送しなかったか、というと、実はリュックには愛用の金槌も入っている。
出稼ぎの途中、どこか鍛冶が出来る場所があったらやりたい、と思って最優先で入れてきた。
そうでもしないと、最悪、三か月は鍛冶お預けだし。
「ありがとう、助かったよ」
「いやいや。
こちらこそ、ハチミツはすまなかったね。
……また、苦労して、人を助けようと頑張ってるんだね」
穏やかに微笑む睦月に、オイラは照れて頭を掻く。
「そんな大したもんじゃないよ。
カウラにも言ったけど、知り合いだから助けたいだけ。
万人を助けたいと思うほど欲張りでもないしね」
「欲張り?
世界平和を望むのって、欲張りなわけ?」
世界平和を望んでいるらしいユーリが、口をとがらす。
「うーん、ユーリは天才だから、ひょっとしたら出来るかもね。
でも、凡才なオイラの手には余るよ」
「凡才?
凡才って、ノアみたいなことを言うんだっけ?」
首をひねるカウラに、睦月が笑い出した。
その後、少しおしゃべりしている内に、如月と黒モフが金平糖を食べ終わって舟をこぎ始めた。
仲良く半分こ出来たようだ。
それを合図に、睦月が如月を抱き上げ、オイラが黒モフを抱き上げる。
「それじゃあ、また。
結局、歯磨きしないで寝ちゃったね」
「寝てるとこを磨いておくさ。
ちょっとやそっとじゃあ起きないからね」
穏やかに微笑む睦月に別れを告げて、家の外に出ると、最後まで残っていたリリィが慌ててやってくる。
「どうしたの?」
「ん。
睦月に、言ってきた。
まだ、リリはノアといるのが楽しい。
でも、もしノアがリリを必要としなくなったら。
そしたら、この村で暮らしたい。
そう、言ってきた」
リリィの言葉に、オイラは目を丸くする。
一緒にいるのが楽しいって言ってもらえるのは嬉しいけど……
「リリィ、お願いだから、オイラが生きてる内は鍛冶手伝ってよ。
リリィがいなくなっちゃったら、オイラの剣、いったいどうなっちゃうんだか……」
リリィが得意の風で炉を見ていてくれるから、オイラは剣を打つのに集中できる。
コットンシードのカカとココに頼まれたシャベルとツルハシはまだ打ててないし、如月がもう少し大きくなったら、子ども用の包丁もプレゼントしようと思っている。
速さ補正MAXにしたシャベルとか、どんな掘りっぷりになるのか、今から楽しみにしている。
「ん」
そっけなく頷いたリリィの、無表情な頬がほんのりと染まっている。
無言で手をつないできたリリィの手は、ひんやりとして柔らかい。
それを見とがめたユーリが、あー、ずるーい、とか言いつつ反対の手に指を絡ませてきた。
なんだか最近、ユーリが、幼児化しているような?
まあ、なんだか幸せだし、これはこれでいいとしよう。
オイラたちは魔女と透明人間とを探しながら、祭りの中へと溶け込んでいった。
後書き
牛雑学・牛の離乳食は、米ぬかや麦のふすま。それが小さい粒になっているもの。ミルクの匂いのする手からだと、喜んで手から食べてくれるけど、一回手を洗っちゃうと見向きもしなかったり。
先日の次男との会話
次男「おねーちゃんがねー、ベランダでチロクロ(猫)が騒いでるの見つけてー。
おにーちゃんが、ヘラクレスだ!って気がついてー。
おにーちゃんが、大変だー、って牛舎に知らせに行ったん」
私「へー、そうなんだー」
次男「でー、玄関の、カブトムシがいたでっかい虫かごを開けてー、今そこにいるのー」
私「えっ、本物!?」
↑おもちゃの話だと思っていた。
今日は牛舎でサワガニを見つけました。沢も川もないのに。どーなってるんだ、うち。
「あっ、ノアだっ!」
抱きしめられた睦月の腕の中からジタバタと抜け出し、オイラの足元にくっついた……と思ったら、女の子はくるくるっとのぼって首っ玉に抱きついた。
ウトウトしていた黒モフが、びっくりして毛を逆立てているのもお構いなしに、オイラの顔を持ってチュッチュしてくれる。
その隙に、黒モフはしゅるっとオイラの胸元に逃げ込んでいる。
女の子、如月は、黒モフをやたら触りたがるけれど、黒モフは如月が苦手なようだ。
まあ、たいていの動物は幼児が苦手だ。
「覚えててくれたんだ。
元気そうだね。
最初に会ったときには、どうなるかと思ったけど」
如月は、今年で四歳になる。
まだ三歳かな?
幼児の一か月は大人の一年より長いという。
一年なんて、今までの人生の三分の一なんだから。
半年以上も来られなかったオイラを、覚えていてくれるとは思わなかった。
「え?
ノアでしょ?
なんで?」
「もう忘れちゃったかと思ったよ。
ずいぶん来られなかったから」
「なんで?」
幼児独特の「なんで?」攻撃に苦笑していたら、如月が、オイラの背後にいるマリル兄ちゃんたちに気づいたようだ。
顔をこわばらせて、睦月の後ろへ隠れ、しがみつく。
「だれ?」
「ああ、オイラの友だちだから、怖がらなくて大丈夫」
「友だち?」
安心させようとそう言ったのに、なぜか如月の目にみるみる涙が盛り上がる。
「ノアは、きーきの他に、友だちいるの?」
如月は、自分のことを『きーき』と呼ぶ。
確かに、『きさらぎ』というのは、幼児には発音しづらそうだ。
「きーきは、ノアの他に、友だちいないのに」
「あー……」
オイラは慌てて、マリル兄ちゃんを引っ張り出し、如月の身長に合わせてしゃがんだ。
「ほら、前に話したことあるでしょ?
マリル兄ちゃんだよ」
如月が、睦月のズボンから少しだけ顔を出し、マリル兄ちゃんを見上げる。
「マリル兄ちゃんて、鼻のいいオオカミの獣人なのに、うっかり尿だめに落っこちて、クサくてクサくて、さらに鼻のいいテリテおばさんに、一週間は帰ってくるな、って言われた、あのマリル兄ちゃん?」
「ノア、お前……
こんなとこまで来て、何の話してんだよぉっ」
「だってホントのことでしょ?」
「ホントだからって言っちゃダメなこともあるんだよっ」
オイラとマリル兄ちゃんの掛け合いを、呆気に取られて見つめていた如月が、ぷははっ、と笑って睦月の後ろから出てきてくれた。
「ホントだ、マリル兄ちゃんだ」
「おう、俺がマリルだ。
よろしくな」
マリル兄ちゃんもしゃがんで、如月の小さな手をつまんで握手している。
「もうくさくないね」
「そりゃあなっ、もう一年も前だからなっ」
照れくさそうに頭を掻くマリル兄ちゃんに、如月も楽しそうに笑っている。
「そうだ、如月にお土産があったんだ。
気に入るといいんだけど」
そう言って、オイラは前掛けのポケットから金平糖の包みを取り出す。
オイラの剣はまだ売れた試しがないし、ラウルとかに納めているダンジョン用の剣は物々交換なので、相変わらずオイラの懐は寂しい。
そんなわけで、今回の金平糖は、『妖精の森』のポポルに持ってったのを分けてもらった分だ。
「わぁっ」
手のひらに広がった色とりどりの小さな星に、如月が目をキラキラさせる。
「甘いものは、牙に悪いかな?」
そう言って、ちらっと睦月を見やると、如月も涙をためた目で睦月を見上げる。
仕方なさそうに睦月も苦笑する。
「いいよ、食べて。
でも、ちゃんと歯を磨くんだよ?」
「はーいっ」
金平糖につられて、オイラの胸元から首を出していた黒モフをガシッとつかむと、如月は向こうのソファの上によじ登って金平糖を数え始めた。
「いーち、にーい、きゅーう、ごーぉ」
数が前後して、首をひねっている。
その様子に、笑いながらリリィが側に行って構っている。
特技・子守りと言うだけあって、本当に子どもが好きな様子だ。
「でね、こっちが本題なんだけど。
前に来た時、睦月に預かってもらったものがあるでしょ?
ハチのドロップ品。
ちょっと使う用が出来て。
返してもらえないかなー、と」
「あー……」
オイラの言葉に、睦月があいまいな笑顔を浮かべて視線をそらす。
「睦月?」
「あれ、ね。
そのー。
この辺は、甘いものが少ないから。
如月にねだられて、つい」
「食べちゃったの!?」
ユーリが非難のまなざしを向ける。
なるほど、ユーリもオイラの目的をハチミツだと思ったのか。
「ハチミツはね、まぁいいよ。
そうじゃなくて、オイラが必要なのは、ローヤルゼリーと、プロポリス」
「プロポリスって?
今までのドロップ品になかったよね?」
カウラが不思議そうな顔をする。
「プロポリスってのは、兵隊蜂だけがドロップするレアアイテムでね。
ミツバチが植物のエキスを集めて作る、まあ、薬みたいなものかな?
ハチの獣人が身一つで巣を追われたなら、ケガしてる人も、病気になってる人もいるだろうし」
「そういえば、そもそも、邪妖精に狙われたダンジョンを助けるために、ソイミールに行く途中だったんだっけ。
色々ありすぎて忘れてたよ」
ユーリがため息をついて首を振っている。
「邪妖精?」
「うーんとね、睦月になら言ってもいいかな?
あんまり他言しないでね」
オイラがダンジョンについて説明すると、睦月は目を丸くして、それから納得した。
「なるほどね。
確かに、この村でも時々、小さな生き物を見る気がするね。
こんな村だから、特に気にしてなかったけれど」
そういえば、ここは野良ダンジョン。
ハチの獣人に乗っ取られたダンジョンなんだろうげと、仕組みはどうなっているんだろう?
「ローヤルゼリーとプロポリスならそのままだよ。
ハチミツもね、普段なら自分で狩りに行くんだけれど。
最近、ここのダンジョンの浅い階が騒がしくてね。
うっかり冒険者にでも見つかったりしたら面倒だから。
滅多に、十階を超えてくる冒険者はいないんだけれど、もう少し深いエリアに引っ越そうかと村の皆と相談しているところなんだよ」
睦月は話しながらも、奥の納戸から幾つもの壺を出して渡してくれた。
オイラはそれを、ハチミツの上からリュックに入るだけ入れる。
リュックに入っていた鉱石は、この際まとめて『鉱石転送』で鍛冶場へと送る。
なんで鉱石を拾った側から転送しなかったか、というと、実はリュックには愛用の金槌も入っている。
出稼ぎの途中、どこか鍛冶が出来る場所があったらやりたい、と思って最優先で入れてきた。
そうでもしないと、最悪、三か月は鍛冶お預けだし。
「ありがとう、助かったよ」
「いやいや。
こちらこそ、ハチミツはすまなかったね。
……また、苦労して、人を助けようと頑張ってるんだね」
穏やかに微笑む睦月に、オイラは照れて頭を掻く。
「そんな大したもんじゃないよ。
カウラにも言ったけど、知り合いだから助けたいだけ。
万人を助けたいと思うほど欲張りでもないしね」
「欲張り?
世界平和を望むのって、欲張りなわけ?」
世界平和を望んでいるらしいユーリが、口をとがらす。
「うーん、ユーリは天才だから、ひょっとしたら出来るかもね。
でも、凡才なオイラの手には余るよ」
「凡才?
凡才って、ノアみたいなことを言うんだっけ?」
首をひねるカウラに、睦月が笑い出した。
その後、少しおしゃべりしている内に、如月と黒モフが金平糖を食べ終わって舟をこぎ始めた。
仲良く半分こ出来たようだ。
それを合図に、睦月が如月を抱き上げ、オイラが黒モフを抱き上げる。
「それじゃあ、また。
結局、歯磨きしないで寝ちゃったね」
「寝てるとこを磨いておくさ。
ちょっとやそっとじゃあ起きないからね」
穏やかに微笑む睦月に別れを告げて、家の外に出ると、最後まで残っていたリリィが慌ててやってくる。
「どうしたの?」
「ん。
睦月に、言ってきた。
まだ、リリはノアといるのが楽しい。
でも、もしノアがリリを必要としなくなったら。
そしたら、この村で暮らしたい。
そう、言ってきた」
リリィの言葉に、オイラは目を丸くする。
一緒にいるのが楽しいって言ってもらえるのは嬉しいけど……
「リリィ、お願いだから、オイラが生きてる内は鍛冶手伝ってよ。
リリィがいなくなっちゃったら、オイラの剣、いったいどうなっちゃうんだか……」
リリィが得意の風で炉を見ていてくれるから、オイラは剣を打つのに集中できる。
コットンシードのカカとココに頼まれたシャベルとツルハシはまだ打ててないし、如月がもう少し大きくなったら、子ども用の包丁もプレゼントしようと思っている。
速さ補正MAXにしたシャベルとか、どんな掘りっぷりになるのか、今から楽しみにしている。
「ん」
そっけなく頷いたリリィの、無表情な頬がほんのりと染まっている。
無言で手をつないできたリリィの手は、ひんやりとして柔らかい。
それを見とがめたユーリが、あー、ずるーい、とか言いつつ反対の手に指を絡ませてきた。
なんだか最近、ユーリが、幼児化しているような?
まあ、なんだか幸せだし、これはこれでいいとしよう。
オイラたちは魔女と透明人間とを探しながら、祭りの中へと溶け込んでいった。
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先日の次男との会話
次男「おねーちゃんがねー、ベランダでチロクロ(猫)が騒いでるの見つけてー。
おにーちゃんが、ヘラクレスだ!って気がついてー。
おにーちゃんが、大変だー、って牛舎に知らせに行ったん」
私「へー、そうなんだー」
次男「でー、玄関の、カブトムシがいたでっかい虫かごを開けてー、今そこにいるのー」
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