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ファンタジーっていいですよね
3.ハイリシエールの魔法事情と、わたしの家
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さて、魔法が使えることが周りの人たちにばれてしまいました。
草をそのままにしとくなんてどんだけうっかりなんでしょうか……。
今まではどうやってベットを抜け出しているのかと聞かれてもニパーっと笑顔でごまかしていたのですが……ごまかせないですね、これは。
「ユイちゃんどうやってベットから降りていたの?
草が出せるってことは地魔法の上位の樹木魔法まで使えるのよね?
すごいわぁ、まだ1歳なのに……天才なのかしらぁ……?」
そんなほわほわニコニコいうお母様がもう可愛くって仕方ありません。
でもこれはどこまで情報を開示してもいいものか悩みますね……。
お兄様に教えてもらった情報から考えると……。
------------------------------------
「え? どうしたの?」
ラルフお兄様が絵本を読んでくれている横で魔法はみんなどれくらい使えるのか疑問に思ったわたしは絵本の魔法を使ってるシーンがでてくるたびにバシバシと本を叩いてアピールをしてみました。
「ん? なに魔法? 魔法が使いたいの?
流石に1歳にもなってないからまだ無理かなぁ……僕なんて8歳になるまで使えなかったし……といっても得意じゃなくって地魔法を少し使えるくらいなんだけど……。
あ、でもアイラとキズリは二人ともすごいんだよ。
アイラは氷結魔法がとっても得意みたいで5歳のときに発現したんだけと、母上との練習で庭にでっかい氷をだして制御に失敗して柵を壊してしまってね、ハイジェルさんにすっごい怒られてたなぁー。
あ、氷結魔法っていうのは水の上位魔法なんだよー。アイラはすごいよねぇ。
キズリも5歳で豪雷魔法、えっと、風の上位魔法のことねー。
それを使えたんだけど、これまたアイラと同じく柵を壊して怒られてたなー。
アイラがすっごいニヤニヤしながら見てたら『お嬢様あなたも同じですからね!』って巻き添えくらって怒られてたよ。
僕魔法使えなくてよかったってあの時は思ったよ。」
「ん! ん! 」
「ん? どうしたの? そんなに目を輝かせて、そんなに魔法に興味あるの?
ユイは可愛すぎてもう天使だなぁ……僕もう可愛すぎてユイのためならなんでもできる気がするもん……。
よっし、じゃあユイのために魔法のご本を持ってくるから待っててね。」
やった! やりました!
さすがラルフお兄様です、妹溺愛率100%でわたしのこと一番わかってくれていますね。
ていうかなんで「ん!」だけで伝わるのでしょう、ある意味怖いですね。
えーっとお兄様が書斎に魔法の本をとりにいってる間に今の話を復習しましょう。
ラルフお兄様が『地魔法』
アイラお姉様が『氷結魔法』
キズリお兄様が『ゴウライ魔法』
ゴウライってなんだろう、風の上位……ゴウライ……雷? 豪雷、とかですかね? なんかとっても強そうな名前。
ラルフお兄様は魔法が得意じゃなくてお姉さまとキズリお兄様はすごい。
人によって向き不向きがあるんですねぇー……血筋とか関係あるのかな……いやでもそれならラルフお兄様も得意になるはずなのかな?
っとかえってきたみたいで……すが……
「なぁ!?」
「ただいまぁ~重かったぁ~……」
ドスンっと置かれた本は計10冊。
しかも前世の漫画サイズとかではなく、大きくて分厚いので鈍器みたいです……RPGでよくある僧侶とかが使いそうな武器ですよ、それ!
そして色んな本を読みながらお兄様が教えてくれた情報をまとめると……
火・水・地・風が『下位魔法』、光・闇が『特殊魔法』その6種類の総称が『初期魔法』。
そして焔火・氷結・樹木・豪雷が『上位魔法』で4種類。
早くて5歳、遅くても15歳には魔法の才能がハッキリしてくるそうです。
そして現在10歳のラルフお兄様は地魔法1種類、他も試したそうですが地魔法しか適正がなかったうえに魔力量もあまりなく、ほぼ魔法適正はないようなものだそうです。
そしてアイラお姉様は上位の氷結魔法とその下位の水魔法の2種類が使えるそうです。
アイラお姉様の氷結魔法の適正はとても高いうえに魔力量も高いらしいので、本来なら12歳から15歳の3年間通う魔法学校に10歳から入れる5年制の特待生のクラスに今年から通っているそうです。すごい!
ちなみにラルフお兄様は得意ではないうえに他の場所で学びたいからと魔法学校には通わずに12歳から別の学校に通うそうです。
そしてキズリお兄様は上位である豪雷魔法と下位の風魔法の2種類が使えるそうです。
キズリお兄様は強い魔法が使えるけれど魔力量が多くはないそうなので、魔法学校よりも普通の学校がいいと言ってるらしくお兄様と同じ学校に通うつもりらしいです。
ふむふむなるほど、だいぶ情報を得られましたね!
とりあえずアイラお姉様が魔法の扱いに飛びぬけているということなんですね。
と、思っていた時期がわたしにもあったのですよ。
どうも魔法に飛びぬけているのはお姉さまではなくお父様だそうです。
なんと火・焔火・水・氷結・地・光の6種類が使えるそうで、滅多に与えられることのない『魔道士』って称号を王家から与えられているそうでとてもかっこいいです。ーーそれのせいで仕事が増えて家族と過ごせないってお父様が嘆いてるってお兄様が言ってましたがーー
中でも得意なのが焔火と光らしくて『焔の癒し手』なんて二つ名がついてしまっているらしいです。
なんですかその厨二病患者のような二つ名は。
ていうか光魔法はイメージ通り治癒の魔法なんですねぇ。
そしてお母様はというと、お兄様と同じであまり魔法が得意ではないけれど代わりにとっても剣の扱いがうまいとのこと。
あまり魔法適正が高くなくても火と風の魔法と剣技ををうまくつかってバッシバッシと敵をなぎ倒していくそうです。
10年くらい前に魔物の大規模侵攻があったらしいのですが、その時にお父様とお母様は大活躍だったそうです。
そこでついたのが『焔の癒し手』と『黒の天使』という二つ名だそうです。
なんでもお母様の『黒の天使』という二つ名は、髪の色を表した黒なのかと思いきやそれだけではなくて。
笑顔で魔物をザックザックバッシバッシなぎ倒していく様が味方が見ても妖艶でもあり恐ろしくもあったので天使にも悪魔にも見えたそうです。
なので黒というのは髪の色であり悪魔という意味も含められていて『悪魔であり天使である、黒の天使』という二つ名だそうですが全然しっくりきません、わたしにはただの黒髪の天使に思えます……。
あ、ちなみに上位魔法が使えると基本的には下位魔法は簡単に使えるらしいです。
---------------------------------------
なんてことがありましてですね……5歳から15歳の間に開花するであろう魔法の才能なのに、すでに1歳で使えるという異常性。
そして氷結・風・樹木の3種類、下位も含むと10種類中5種類を今日すでに使っているので、すでに天才とかそういうレベルじゃないのですよね。
さすがにそれはまずいと思うので樹木魔法のみ使えることにしましょうかね、うん。
まぁわたしの魔法創造魔法なので別枠なんですけどね……。
「こえーにょきにょきー」
ニョロニョロとまわりに草を生やして身体に巻きつけて持ち上げたついでにお花を咲かせ、魔法を使って可愛さアピールをしつつこれだけしか使えないんですよアピール。
「まぁぁーユイちゃんすごいわぁ、綺麗ねぇ!」
「おぉ~ユイちゃんすごい! 魔法興味あったもんね、才能もあってよかったねぇ! さすが僕の天使だぁ~」
「んなっ……本当に樹木魔法使ったのユイだったの……?」
「おー。」
それぞれほめてくれたり驚いたり思い思いの反応をしていますが、お父様だけは何か考えているようでお顔が真顔です、怖いです……。
異常な子はいらないとか言われたらどうしよう、まだまだこの魔法程度序の口なんですけど……。
さすがに1歳と少しで一人で暮らしていくのは無理があるのですよ……寂しいし……。
「ユイは樹木魔法が使えるんだね。」
「あい」
「ラルフが教えてくれたのか?」
「あい!」
「ぐふっ……」
返事をしつつニッコリ笑顔を向けたらあちらの方で多大なるダメージをくらったラルフお兄様が鼻血を出しています。
ちょっとずつお兄様が妹溺愛の変態になっていってる気が……いえ、素質は前から十分にありましたね。
「ユイは他にも魔法が使えるのか?」
「あいっ……あい? あっ……ちゅあえあいよ!?」
咄嗟に返事をしてしまいましたが、危ない、わたしは樹木魔法のみ使える子ですよー普通よりちょっとすごいだけですよーとアピールしてみます……ちらっ
わぁぁぁ、めっちゃ見られてますっ
お父様の愛しのユイちゃんは普通、よりちょっとだけ、ちょーっとだけすごい子なだけですよー
「……そうか、でもユイ、1歳でその魔法の才能は樹木魔法一つだとしてもとてもすごいことなんだ。
その分危険もいっぱいだから庭とかにでたときは使ったりしちゃダメだからな。
屋敷の中だけで使うようにな?
ユイは言葉も理解しているみたいだけど……こんなに可愛いんだから本当に誘拐されてしまうのではないかとお父様は心配だよ……」
なるほど、たしかに貴族で魔法の才能があるとか拉致ってくださいと言ってるもんですもんね!
よかった、こんな娘はいらん、捨ててこーい! じゃなくて。
わたしの中でも貴族=金持ち=身代金、才能ある=長い目で見て金になる
って方程式は成り立ちますからね、気をつけたほうがいいですよね。
「あいっ、きーつえあう!」
キリッという効果音がつきそうな表情で神妙そうに返事をします。
「うん、ならいいんだよー。」
ああ、強張っていた顔が解れたお父様のほんわか笑顔も素敵ですね……なでなで気持ちいいです。
「うっ……母上父上、僕はもうダメです……。」
あっ、あっちでラルフお兄様が死んだ。
ここは追い討ちをかけておきましょうか、せっかく溺愛されてますし、サービスです!
ずりずりとラルフお兄様のほうにはいはいをしていき、ストンと横に座る。
そして小首を傾げて一言です。
「おにーたあだーぞぶ?」
「がふっ」
ラルフお兄様のライフがゼロになったお知らせです。
**ここまでの人物まとめ*****
☆ユイリエール・リシュール(1)
(前世:杉崎葵)
髪色:ガーネット(赤黒)
瞳:翡翠
愛称:ユイ
神様にビンゴで選ばれた地球からの転生者
(対象者は高校生以上のゲーマーオタク)
転生する際に天使からチート機能をもらっている。
『アクティブスキル:創造魔法・鑑定・地球知識検索・収納
パッシブスキル:運動能力増加』
創造魔法なのでハイリシエールに住む普通の人たちとは違い属性はなんでも使える。ビバ転生チート
家族構成は父、母、兄1.2姉の6人。
みんな好きだが今のところ兄1=ラルフシェイドが一番好き。でもたまにウザいなと思っちゃうのは仕方ないよねと思っている。溺愛はほどほどがいいと思う。
☆天使、クロサワ(ー)
神様の命令で杉崎葵を異世界に転生させた天使。
そこそこ偉いが人が良いので天界でも弄られている、という設定が活かされることはきっとない。
神様が(ビンゴで)選んだ転生者の好みと一致したのがクロサワのみだったのでダテメガネまでつけさせられたうえに「ヒョロいのお前だけだから行ってこい」と蹴り出された哀れな人。
作者的にはもう一度登場させたいとは思っているが、クロサワ本人は出る気ないみたいだから本編では出ない予定。
☆カイザント・リシュール(28)
髪色:ガーネット
瞳:アイオライト(紺色を薄めたような色)
魔法:火、焔火、水、氷結、地、光
愛称:カイ
ユイリエールのパパさん。
ハイリシエールの貴族で実は侯爵位の名家の主。本編ではまだ侯爵家なことはユイは知らない。
家族をとても大事にしていて、ユイが1歳なのに魔法が使えることを知ったときはびっくりしたと同時に誘拐が心配になりどうしようと考えていたら怖い顔になった。
普通の人の魔法は1.2種類、多くても3種類程度が一般的のところをカイザントは6種類使えるので、王様から魔導士の称号をもらっている。
詳しいことは本編でいうので割愛。
パパは優しくってすごい人でした。
☆リリエラ・リシュール(26)
髪色:黒曜石(黒色)
瞳:翡翠
魔法:火、風
愛称:リリィ
ユイリエールのママさん。
ほわほわ優しい可愛くて綺麗な人。これで本当に子供4人もいるの?と誰もが思ってしまうような見た目をしている。
伯爵位の貴族令嬢だったが、物心ついたころから冒険者をやりたいと思い続け父親から無理やり剣技を教わっていた。
魔法の才能があるわけではないが剣の才能はとてもある。
ほんわかしている雰囲気から舐められがちだが持ち前の天然パワーとふんわり笑顔で相手を黙らせることが出来てしまうすごい人。
カイザントのことをとても愛していて、あと2人くらい子供欲しいなぁと実は思っている……ことを夫は知らない。
☆ラルフシェイド・リシュール(9)
髪色:黒曜石
瞳:アイオライト
魔法:地
愛称:ラルフ
主人公の一番上のお兄ちゃん。長女とは双子
母親譲りであまり魔法の才能はないうえに、残念ながら剣技や武術の才能もない。
しかし末の妹に対する愛情は誰よりも深い変態級のシスコン。何故か双子の妹にはそこまで興味ない。
少し前までは父親の真似をして髪の毛を伸ばして後ろで結んでいたが、妹に「ユイあみじあいほおあいいえす」と言われてしまいその場で断髪をした。
ちなみに妹の愛情を一身に欲しいのでそのことは父には内緒にしている。
自己卑下はしてはいないが、家族の中で自分だけ特徴も何もないと思っている。しかし実際のところはめちゃくちゃ頭が良い……けど変態シスコンという残念仕様。
☆アイラ・リシュール(10)
髪色:黒曜石
瞳:アイオライト
魔法:水、氷結
愛称:アイラ
ユイリエールのお姉ちゃんでラルフシェイドの双子の妹。
一見するとクールだが人に嫌がらせをして楽しむタイプと歪んだ人、でも優しい。
双子の兄や二つ下の弟に嫌がらせをしてはニヤニヤ笑っている人の不幸は蜜の味というタイプ。ーー妹とは年が大分離れているからか意地悪対象外らしく可愛がっているーー
本編ではまだ二言しか喋っていないのに作者からこれからの活躍に期待されている。
適性魔法は水と氷結という2種類のみだが魔力も高く相性抜群で威力がすごい。
庭の柵を壊して怒られてからは家の周りでは気をつけているが、弟を無理やり連れてコッソリ近くにある森の魔物退治という名の魔法練習をしにいってる。
☆キズリエラ・リシュール(8)
髪色:ガーネット
瞳:ルビー
魔法:風・豪雷
愛称:キズリ
ユイリエールの2番目のお兄ちゃん。
寡黙であまり表情が豊かではないがとても優しい。
無言で頭撫でてくれたりとかするのでユイにたらしになりそうだなと思われていることを彼は知らない。
兄や父のことを尊敬していて、兄が将来爵位を継いだら自分は手伝いができたらいいなと思っている。
魔法の才能はあるが、魔力があまり多くないので魔力のやり繰りをうまくできる器用なタイプ。
普段から姉に連れられて森で魔物退治をしているので剣技は才能がなかったが才能のあった弓の技術はどんどん磨かれていってる。
☆ハイジェル
名前が少しだけ出てきたメイド長。
第一話で出てきたメイドさんっぽい人いるし~みたいなところにいたメイドさんはこの人。
草をそのままにしとくなんてどんだけうっかりなんでしょうか……。
今まではどうやってベットを抜け出しているのかと聞かれてもニパーっと笑顔でごまかしていたのですが……ごまかせないですね、これは。
「ユイちゃんどうやってベットから降りていたの?
草が出せるってことは地魔法の上位の樹木魔法まで使えるのよね?
すごいわぁ、まだ1歳なのに……天才なのかしらぁ……?」
そんなほわほわニコニコいうお母様がもう可愛くって仕方ありません。
でもこれはどこまで情報を開示してもいいものか悩みますね……。
お兄様に教えてもらった情報から考えると……。
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「え? どうしたの?」
ラルフお兄様が絵本を読んでくれている横で魔法はみんなどれくらい使えるのか疑問に思ったわたしは絵本の魔法を使ってるシーンがでてくるたびにバシバシと本を叩いてアピールをしてみました。
「ん? なに魔法? 魔法が使いたいの?
流石に1歳にもなってないからまだ無理かなぁ……僕なんて8歳になるまで使えなかったし……といっても得意じゃなくって地魔法を少し使えるくらいなんだけど……。
あ、でもアイラとキズリは二人ともすごいんだよ。
アイラは氷結魔法がとっても得意みたいで5歳のときに発現したんだけと、母上との練習で庭にでっかい氷をだして制御に失敗して柵を壊してしまってね、ハイジェルさんにすっごい怒られてたなぁー。
あ、氷結魔法っていうのは水の上位魔法なんだよー。アイラはすごいよねぇ。
キズリも5歳で豪雷魔法、えっと、風の上位魔法のことねー。
それを使えたんだけど、これまたアイラと同じく柵を壊して怒られてたなー。
アイラがすっごいニヤニヤしながら見てたら『お嬢様あなたも同じですからね!』って巻き添えくらって怒られてたよ。
僕魔法使えなくてよかったってあの時は思ったよ。」
「ん! ん! 」
「ん? どうしたの? そんなに目を輝かせて、そんなに魔法に興味あるの?
ユイは可愛すぎてもう天使だなぁ……僕もう可愛すぎてユイのためならなんでもできる気がするもん……。
よっし、じゃあユイのために魔法のご本を持ってくるから待っててね。」
やった! やりました!
さすがラルフお兄様です、妹溺愛率100%でわたしのこと一番わかってくれていますね。
ていうかなんで「ん!」だけで伝わるのでしょう、ある意味怖いですね。
えーっとお兄様が書斎に魔法の本をとりにいってる間に今の話を復習しましょう。
ラルフお兄様が『地魔法』
アイラお姉様が『氷結魔法』
キズリお兄様が『ゴウライ魔法』
ゴウライってなんだろう、風の上位……ゴウライ……雷? 豪雷、とかですかね? なんかとっても強そうな名前。
ラルフお兄様は魔法が得意じゃなくてお姉さまとキズリお兄様はすごい。
人によって向き不向きがあるんですねぇー……血筋とか関係あるのかな……いやでもそれならラルフお兄様も得意になるはずなのかな?
っとかえってきたみたいで……すが……
「なぁ!?」
「ただいまぁ~重かったぁ~……」
ドスンっと置かれた本は計10冊。
しかも前世の漫画サイズとかではなく、大きくて分厚いので鈍器みたいです……RPGでよくある僧侶とかが使いそうな武器ですよ、それ!
そして色んな本を読みながらお兄様が教えてくれた情報をまとめると……
火・水・地・風が『下位魔法』、光・闇が『特殊魔法』その6種類の総称が『初期魔法』。
そして焔火・氷結・樹木・豪雷が『上位魔法』で4種類。
早くて5歳、遅くても15歳には魔法の才能がハッキリしてくるそうです。
そして現在10歳のラルフお兄様は地魔法1種類、他も試したそうですが地魔法しか適正がなかったうえに魔力量もあまりなく、ほぼ魔法適正はないようなものだそうです。
そしてアイラお姉様は上位の氷結魔法とその下位の水魔法の2種類が使えるそうです。
アイラお姉様の氷結魔法の適正はとても高いうえに魔力量も高いらしいので、本来なら12歳から15歳の3年間通う魔法学校に10歳から入れる5年制の特待生のクラスに今年から通っているそうです。すごい!
ちなみにラルフお兄様は得意ではないうえに他の場所で学びたいからと魔法学校には通わずに12歳から別の学校に通うそうです。
そしてキズリお兄様は上位である豪雷魔法と下位の風魔法の2種類が使えるそうです。
キズリお兄様は強い魔法が使えるけれど魔力量が多くはないそうなので、魔法学校よりも普通の学校がいいと言ってるらしくお兄様と同じ学校に通うつもりらしいです。
ふむふむなるほど、だいぶ情報を得られましたね!
とりあえずアイラお姉様が魔法の扱いに飛びぬけているということなんですね。
と、思っていた時期がわたしにもあったのですよ。
どうも魔法に飛びぬけているのはお姉さまではなくお父様だそうです。
なんと火・焔火・水・氷結・地・光の6種類が使えるそうで、滅多に与えられることのない『魔道士』って称号を王家から与えられているそうでとてもかっこいいです。ーーそれのせいで仕事が増えて家族と過ごせないってお父様が嘆いてるってお兄様が言ってましたがーー
中でも得意なのが焔火と光らしくて『焔の癒し手』なんて二つ名がついてしまっているらしいです。
なんですかその厨二病患者のような二つ名は。
ていうか光魔法はイメージ通り治癒の魔法なんですねぇ。
そしてお母様はというと、お兄様と同じであまり魔法が得意ではないけれど代わりにとっても剣の扱いがうまいとのこと。
あまり魔法適正が高くなくても火と風の魔法と剣技ををうまくつかってバッシバッシと敵をなぎ倒していくそうです。
10年くらい前に魔物の大規模侵攻があったらしいのですが、その時にお父様とお母様は大活躍だったそうです。
そこでついたのが『焔の癒し手』と『黒の天使』という二つ名だそうです。
なんでもお母様の『黒の天使』という二つ名は、髪の色を表した黒なのかと思いきやそれだけではなくて。
笑顔で魔物をザックザックバッシバッシなぎ倒していく様が味方が見ても妖艶でもあり恐ろしくもあったので天使にも悪魔にも見えたそうです。
なので黒というのは髪の色であり悪魔という意味も含められていて『悪魔であり天使である、黒の天使』という二つ名だそうですが全然しっくりきません、わたしにはただの黒髪の天使に思えます……。
あ、ちなみに上位魔法が使えると基本的には下位魔法は簡単に使えるらしいです。
---------------------------------------
なんてことがありましてですね……5歳から15歳の間に開花するであろう魔法の才能なのに、すでに1歳で使えるという異常性。
そして氷結・風・樹木の3種類、下位も含むと10種類中5種類を今日すでに使っているので、すでに天才とかそういうレベルじゃないのですよね。
さすがにそれはまずいと思うので樹木魔法のみ使えることにしましょうかね、うん。
まぁわたしの魔法創造魔法なので別枠なんですけどね……。
「こえーにょきにょきー」
ニョロニョロとまわりに草を生やして身体に巻きつけて持ち上げたついでにお花を咲かせ、魔法を使って可愛さアピールをしつつこれだけしか使えないんですよアピール。
「まぁぁーユイちゃんすごいわぁ、綺麗ねぇ!」
「おぉ~ユイちゃんすごい! 魔法興味あったもんね、才能もあってよかったねぇ! さすが僕の天使だぁ~」
「んなっ……本当に樹木魔法使ったのユイだったの……?」
「おー。」
それぞれほめてくれたり驚いたり思い思いの反応をしていますが、お父様だけは何か考えているようでお顔が真顔です、怖いです……。
異常な子はいらないとか言われたらどうしよう、まだまだこの魔法程度序の口なんですけど……。
さすがに1歳と少しで一人で暮らしていくのは無理があるのですよ……寂しいし……。
「ユイは樹木魔法が使えるんだね。」
「あい」
「ラルフが教えてくれたのか?」
「あい!」
「ぐふっ……」
返事をしつつニッコリ笑顔を向けたらあちらの方で多大なるダメージをくらったラルフお兄様が鼻血を出しています。
ちょっとずつお兄様が妹溺愛の変態になっていってる気が……いえ、素質は前から十分にありましたね。
「ユイは他にも魔法が使えるのか?」
「あいっ……あい? あっ……ちゅあえあいよ!?」
咄嗟に返事をしてしまいましたが、危ない、わたしは樹木魔法のみ使える子ですよー普通よりちょっとすごいだけですよーとアピールしてみます……ちらっ
わぁぁぁ、めっちゃ見られてますっ
お父様の愛しのユイちゃんは普通、よりちょっとだけ、ちょーっとだけすごい子なだけですよー
「……そうか、でもユイ、1歳でその魔法の才能は樹木魔法一つだとしてもとてもすごいことなんだ。
その分危険もいっぱいだから庭とかにでたときは使ったりしちゃダメだからな。
屋敷の中だけで使うようにな?
ユイは言葉も理解しているみたいだけど……こんなに可愛いんだから本当に誘拐されてしまうのではないかとお父様は心配だよ……」
なるほど、たしかに貴族で魔法の才能があるとか拉致ってくださいと言ってるもんですもんね!
よかった、こんな娘はいらん、捨ててこーい! じゃなくて。
わたしの中でも貴族=金持ち=身代金、才能ある=長い目で見て金になる
って方程式は成り立ちますからね、気をつけたほうがいいですよね。
「あいっ、きーつえあう!」
キリッという効果音がつきそうな表情で神妙そうに返事をします。
「うん、ならいいんだよー。」
ああ、強張っていた顔が解れたお父様のほんわか笑顔も素敵ですね……なでなで気持ちいいです。
「うっ……母上父上、僕はもうダメです……。」
あっ、あっちでラルフお兄様が死んだ。
ここは追い討ちをかけておきましょうか、せっかく溺愛されてますし、サービスです!
ずりずりとラルフお兄様のほうにはいはいをしていき、ストンと横に座る。
そして小首を傾げて一言です。
「おにーたあだーぞぶ?」
「がふっ」
ラルフお兄様のライフがゼロになったお知らせです。
**ここまでの人物まとめ*****
☆ユイリエール・リシュール(1)
(前世:杉崎葵)
髪色:ガーネット(赤黒)
瞳:翡翠
愛称:ユイ
神様にビンゴで選ばれた地球からの転生者
(対象者は高校生以上のゲーマーオタク)
転生する際に天使からチート機能をもらっている。
『アクティブスキル:創造魔法・鑑定・地球知識検索・収納
パッシブスキル:運動能力増加』
創造魔法なのでハイリシエールに住む普通の人たちとは違い属性はなんでも使える。ビバ転生チート
家族構成は父、母、兄1.2姉の6人。
みんな好きだが今のところ兄1=ラルフシェイドが一番好き。でもたまにウザいなと思っちゃうのは仕方ないよねと思っている。溺愛はほどほどがいいと思う。
☆天使、クロサワ(ー)
神様の命令で杉崎葵を異世界に転生させた天使。
そこそこ偉いが人が良いので天界でも弄られている、という設定が活かされることはきっとない。
神様が(ビンゴで)選んだ転生者の好みと一致したのがクロサワのみだったのでダテメガネまでつけさせられたうえに「ヒョロいのお前だけだから行ってこい」と蹴り出された哀れな人。
作者的にはもう一度登場させたいとは思っているが、クロサワ本人は出る気ないみたいだから本編では出ない予定。
☆カイザント・リシュール(28)
髪色:ガーネット
瞳:アイオライト(紺色を薄めたような色)
魔法:火、焔火、水、氷結、地、光
愛称:カイ
ユイリエールのパパさん。
ハイリシエールの貴族で実は侯爵位の名家の主。本編ではまだ侯爵家なことはユイは知らない。
家族をとても大事にしていて、ユイが1歳なのに魔法が使えることを知ったときはびっくりしたと同時に誘拐が心配になりどうしようと考えていたら怖い顔になった。
普通の人の魔法は1.2種類、多くても3種類程度が一般的のところをカイザントは6種類使えるので、王様から魔導士の称号をもらっている。
詳しいことは本編でいうので割愛。
パパは優しくってすごい人でした。
☆リリエラ・リシュール(26)
髪色:黒曜石(黒色)
瞳:翡翠
魔法:火、風
愛称:リリィ
ユイリエールのママさん。
ほわほわ優しい可愛くて綺麗な人。これで本当に子供4人もいるの?と誰もが思ってしまうような見た目をしている。
伯爵位の貴族令嬢だったが、物心ついたころから冒険者をやりたいと思い続け父親から無理やり剣技を教わっていた。
魔法の才能があるわけではないが剣の才能はとてもある。
ほんわかしている雰囲気から舐められがちだが持ち前の天然パワーとふんわり笑顔で相手を黙らせることが出来てしまうすごい人。
カイザントのことをとても愛していて、あと2人くらい子供欲しいなぁと実は思っている……ことを夫は知らない。
☆ラルフシェイド・リシュール(9)
髪色:黒曜石
瞳:アイオライト
魔法:地
愛称:ラルフ
主人公の一番上のお兄ちゃん。長女とは双子
母親譲りであまり魔法の才能はないうえに、残念ながら剣技や武術の才能もない。
しかし末の妹に対する愛情は誰よりも深い変態級のシスコン。何故か双子の妹にはそこまで興味ない。
少し前までは父親の真似をして髪の毛を伸ばして後ろで結んでいたが、妹に「ユイあみじあいほおあいいえす」と言われてしまいその場で断髪をした。
ちなみに妹の愛情を一身に欲しいのでそのことは父には内緒にしている。
自己卑下はしてはいないが、家族の中で自分だけ特徴も何もないと思っている。しかし実際のところはめちゃくちゃ頭が良い……けど変態シスコンという残念仕様。
☆アイラ・リシュール(10)
髪色:黒曜石
瞳:アイオライト
魔法:水、氷結
愛称:アイラ
ユイリエールのお姉ちゃんでラルフシェイドの双子の妹。
一見するとクールだが人に嫌がらせをして楽しむタイプと歪んだ人、でも優しい。
双子の兄や二つ下の弟に嫌がらせをしてはニヤニヤ笑っている人の不幸は蜜の味というタイプ。ーー妹とは年が大分離れているからか意地悪対象外らしく可愛がっているーー
本編ではまだ二言しか喋っていないのに作者からこれからの活躍に期待されている。
適性魔法は水と氷結という2種類のみだが魔力も高く相性抜群で威力がすごい。
庭の柵を壊して怒られてからは家の周りでは気をつけているが、弟を無理やり連れてコッソリ近くにある森の魔物退治という名の魔法練習をしにいってる。
☆キズリエラ・リシュール(8)
髪色:ガーネット
瞳:ルビー
魔法:風・豪雷
愛称:キズリ
ユイリエールの2番目のお兄ちゃん。
寡黙であまり表情が豊かではないがとても優しい。
無言で頭撫でてくれたりとかするのでユイにたらしになりそうだなと思われていることを彼は知らない。
兄や父のことを尊敬していて、兄が将来爵位を継いだら自分は手伝いができたらいいなと思っている。
魔法の才能はあるが、魔力があまり多くないので魔力のやり繰りをうまくできる器用なタイプ。
普段から姉に連れられて森で魔物退治をしているので剣技は才能がなかったが才能のあった弓の技術はどんどん磨かれていってる。
☆ハイジェル
名前が少しだけ出てきたメイド長。
第一話で出てきたメイドさんっぽい人いるし~みたいなところにいたメイドさんはこの人。
応援ありがとうございます!
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