55 / 139
玖の抄 最愛
其の弐
しおりを挟む
※
────くん。
──だくん。
「起きろ石田ァ!」
は、と力哉が顔をあげた。
──まもなく、京都。京都。
新幹線のアナウンスが耳に入る。ちらと左を向くと、彼女が、いつの間に買ったのかじゃがりこを口に放り込んでいた。
「オレ、そんなに寝てた?」
「寝てたねー。なんか笑ってたよ」
といってもう一口。
「楽しい夢でも見てたの」
──夢。
かつて、写真を見つめてそうつぶやいた彼女を思い出す。力哉は「ふむ」とサングラスを押し上げた。
「愛しのあやさんが出てきた気がする」
「それはそれは、光栄なことで」
しかし彼女は動じない。その反応にムッとして、椅子に深く身を沈めた。
「またそうやってはぐらかす」
「はぐらかしてないよ。現に、いろいろと決別するためにこうして旅行してるんだから」
「決別?」
バネのように勢いづけてふたたび身を起こす。
「なにから」
「…………」
彼女は、じゃがりこをまた一口食べてちいさく「夢」とつぶやいた。
──。
────。
近鉄奈良駅。
「りーや! アヤちゃーん!」
刑部環奈が飛び跳ねている。環奈が東京にいた一年間、力哉と綾乃は時間のゆるすかぎり、環奈とたくさん交流をした。
おかげで、一年しか関わりのなかった綾乃でさえ、いまでは環奈を見るとすっかり妹ができたような気持ちになる。
かんなぁ、と駆け寄った綾乃は、その頭を撫でくりまわす。
「やはは、環奈変わんねー!」
「アヤちゃんはちょっと老けたねッ。あいたっ」
容赦のない拳骨を食らいながらも、ケタケタと笑う環奈は、出会ったときからこのがさつで陽気な姉貴分が大好きだった。
綾乃の手を握って、あのねあのねと子どものようにはしゃぐ。
「はっちゃんママがね、車だしてくれたンだよ。お荷物多いだろうからってみんなでお迎えに来たの!」
「えぇーッ、やっさしーね」
「うちの実家より優しいやんか。帰るって言うたのにみんな既読無視やで」
「ハハハ、アンタどんだけ嫌われてンのよ」
と笑って、綾乃はボストンバッグを担ぎ上げた。すると目の前にあった六人乗りの車からふたりの男子高校生が降りてくる。
「ちがうのヨ、りーや。落ち込まないで。かんなたちがお迎え行くから、りーやママたちはいいのってかんながいったの!」
「いや『わかった』の一言くらいあってもええやんか──おん?」
と力哉が口角をあげた。
八郎がまばゆい笑顔で力哉のもとに駆けてくる。その後ろから歩いてきた柊介は、綾乃の手からボストンバッグを預かって車に乗せた。
「力哉さん、チーッス!」
「ちぃーす」
八郎と柊介が頭を下げる。
それから隣の綾乃を見上げて「力哉さんが女連れ──」と唖然とした顔をする。
環奈は元気いっぱいに手を広げた。
「アヤちゃん、あのね。はっちゃんと柊クン!」
「ふふ、これがうわさの。こっちが『はっちゃん』で、こっちが『柊クン』だな? ははーん、どっちもいい男じゃないのよ」
艶かしく瞳を細めて、八郎のピョコンと跳ねた前髪を触った。とたん、慣れない空気を味わった八郎はカッと耳を真っ赤に染めて後ずさる。
わは、と環奈が肩を揺らした。
「はっちゃんが照れてるゥ!」
「こら茶化すな。……三橋綾乃です。環奈が東京にいた一年間、ふたりの話をよく聞いてたから──すごく楽しみにしてたの。ごめんね」
といって綾乃はからりと笑った。
大人の女だ。
ほう、と男子高校生たちは感嘆の息をつく。よほど感動したのか柊介は「あの力哉さんがねえ」と半笑いの顔を力哉に向けた。
「かつて奈良市内一ヤリチンやった人がつくる彼女って、どないな人かと思ててん。さすがやわ」
「おい柊──」
「ホンマやな。タバコと女の味は中学で覚えたいうて、さんざっぱら親に迷惑かけ続けてきよった人も、落ち着くときが来るねんなァ!」
「ハチ、法螺吹くなボケ! 嘘やでアヤさん。コイツら悪がきやさかいにこんなん言うて」
とサングラスを頭の上に押し上げる。
が、綾乃はすでに環奈に連れられて車の運転席に座る八郎の母、ゆきのもとに行き、深く頭を下げていた。幸か不幸か、いまの言葉をなにひとつ聞いちゃいないようだ。
「お前らええ加減にせえよ……」
力哉はふたたびサングラスをかけ、八郎と柊介の肩をがっしと掴む。
「いやいや、いまの話聞いて別れたくなる彼女やったら、ぜったい長続きせえへんし」
「そうっすよ。あの姉御やったら大丈夫っすよ!」
「アホ! 長続きもなんも、まだ付き合うとらんのやぞ!」
「えっ」
八郎と柊介はきょとんとした。
付き合ってないのにふたりで旅行をしているのか──という心の声が顔面に漏れ出ている。
「分かる、分かるぞお前らの考えてることは。オレかて正直そう思てるねん。ほんでもなぜかここまで来れた。つまり逆に考えれば、この旅行ですべてが決まるっちゅーことやねん。ええか、この旅行であの人のブレる気持ちを固めたるねんぞ。ええか、くれぐれも……くれっぐれも」
邪魔だけはすんなよ。
と念押しに熱がこもる力哉に、八郎と柊介は顔を見合わせてにたりと笑う。
かつて奈良県内の高校生ヤンキーの頂点に立ち、各校のマドンナを一人残らず食い散らかしたという伝説から『白泉の第六天魔王』などという、ひどくダサい二つ名をつけられた石田力哉は見る影もない。
そのとき、車中からゆきが「はやく乗んなさい」と顔を覗かせる。
二十五歳のいい大人が、かわいいものだ──と八郎は力哉の背中をぐいとひと押しした。
※
「きゃあかわいいっ」
綾乃は刑部家の玄関にてさけんだ。
足もとにすり寄ってきた文次郎を見ての反応である。文次郎は、見知らぬ客人ながら自分に好意的と分かるや、とたんに尻尾のない尻をぶるぶると震わせて愛想を振りまきだした。
「話は聞いてたよ、文次郎くん──本当に人懐っこいね、かわいいィ」
と綾乃はデレデレだ。
すこしジェラシーを覚えた力哉が「男にはなーんも言うて来ォへん」とぼやいている。そんな彼を押しのけて、ゆきがスリッパを出した。
「よかった、犬が嫌いって言われたらどうしようかと思うて」
「うちの実家もコーギー飼ってたんですよ。去年死んじゃったけど……だからここに泊まれるなんてすごく嬉し──あの本当によろしいんですか、二泊もお邪魔しちゃって」
「ええのよ、ホテルよりもおいしいご飯出したるさかいね。ゆっくりくつろいでちょうだい」
菩薩のようなほほえみを浮かべるゆきの肩をつんとつついて、
「ゆきちゃんオレは?」
と力哉が小首をかしげる。ゆきは一瞬にして明王のような顔つきに変わった。
「アンタの家はこっから五分もかからんところにあるでしょうが。綾乃ちゃんと環奈ちゃんまでいてるのに、同じ屋根の下に泊めるわけにはいきまへん」
「あ、そゆこと?」
八郎はハッとわらった。
なるほど、いっしょに旅行に来たといっても泊まる場所が違うのならば、付き合っていなくともうなずける。フフッとわらい、綾乃の荷物を二階の空き部屋に持っていこうと腰をあげた。すると「ちょっと待った」と綾乃がストップをかける。
「あのこれ」
とボストンバッグをあさり、中から紙袋をひとつ。
さらにそのなかに入っていたお菓子の包みを見て、刑部家はワッと湧いた。
「鳩サブレ!」
「やだこれウチみんな大好きなんよ、やったねえ環奈ちゃん」
「ウン!」
「って、石田くんに聞いたものですから。ささやかで申し訳ないです。お世話になります──」
と行儀よく頭まで下げる彼女に、柊介は本日二度目となる感嘆のため息をつく。
「力哉さんにはもはやばちの当たるようなヒトやないか」
「なーにをいうか。おまえはアヤさんの本性知らんからそんなこと言うてんねん。この人ホンマはめっちゃ怖いねんぞ、お前なんざ一発で」
「石田くん」
綾乃は威圧的に呼び止めた。
「アナタもいい加減、自分のお母さんに顔見せに行ってやりなよ。きっと喜ぶから」
「分かったわかりました。おい環奈、アヤさん引き止めとけよ。あとであんみつおごったるから」
「あーい」
チョロいものだ。
力哉は暑い日差しを一瞥したのち、さっさと刑部家をあとにした。柊介と八郎もそのあとを追う。
ゆきはアッと口に手を当てた。
「……やーね、八郎ったら結局綾乃ちゃんの荷物も上に持っていかへんで」
「あ、いいんです。ちょっと重いし」
「かんなも手伝うー」
「ありがと」
むしろ好意で泊めてくれるのだから、どんな不都合があったとて綾乃にとっては問題ではない。
ボストンバッグを担ぎ上げた彼女の身体は、細く見えるがきれいに鍛え上げられている。
夏がよく似合う娘だ──とゆきは惚れ惚れした。
「アヤちゃん、お部屋案内したげる。二階なのネ」
「うんよろしく。ええっと、ゆきさん──」
「はいはい」
「お、お邪魔します」
と綾乃がはにかむ。ゆきは足元をうろついていた文次郎を抱き上げて「スイカでも切りましょ」と微笑した。
────くん。
──だくん。
「起きろ石田ァ!」
は、と力哉が顔をあげた。
──まもなく、京都。京都。
新幹線のアナウンスが耳に入る。ちらと左を向くと、彼女が、いつの間に買ったのかじゃがりこを口に放り込んでいた。
「オレ、そんなに寝てた?」
「寝てたねー。なんか笑ってたよ」
といってもう一口。
「楽しい夢でも見てたの」
──夢。
かつて、写真を見つめてそうつぶやいた彼女を思い出す。力哉は「ふむ」とサングラスを押し上げた。
「愛しのあやさんが出てきた気がする」
「それはそれは、光栄なことで」
しかし彼女は動じない。その反応にムッとして、椅子に深く身を沈めた。
「またそうやってはぐらかす」
「はぐらかしてないよ。現に、いろいろと決別するためにこうして旅行してるんだから」
「決別?」
バネのように勢いづけてふたたび身を起こす。
「なにから」
「…………」
彼女は、じゃがりこをまた一口食べてちいさく「夢」とつぶやいた。
──。
────。
近鉄奈良駅。
「りーや! アヤちゃーん!」
刑部環奈が飛び跳ねている。環奈が東京にいた一年間、力哉と綾乃は時間のゆるすかぎり、環奈とたくさん交流をした。
おかげで、一年しか関わりのなかった綾乃でさえ、いまでは環奈を見るとすっかり妹ができたような気持ちになる。
かんなぁ、と駆け寄った綾乃は、その頭を撫でくりまわす。
「やはは、環奈変わんねー!」
「アヤちゃんはちょっと老けたねッ。あいたっ」
容赦のない拳骨を食らいながらも、ケタケタと笑う環奈は、出会ったときからこのがさつで陽気な姉貴分が大好きだった。
綾乃の手を握って、あのねあのねと子どものようにはしゃぐ。
「はっちゃんママがね、車だしてくれたンだよ。お荷物多いだろうからってみんなでお迎えに来たの!」
「えぇーッ、やっさしーね」
「うちの実家より優しいやんか。帰るって言うたのにみんな既読無視やで」
「ハハハ、アンタどんだけ嫌われてンのよ」
と笑って、綾乃はボストンバッグを担ぎ上げた。すると目の前にあった六人乗りの車からふたりの男子高校生が降りてくる。
「ちがうのヨ、りーや。落ち込まないで。かんなたちがお迎え行くから、りーやママたちはいいのってかんながいったの!」
「いや『わかった』の一言くらいあってもええやんか──おん?」
と力哉が口角をあげた。
八郎がまばゆい笑顔で力哉のもとに駆けてくる。その後ろから歩いてきた柊介は、綾乃の手からボストンバッグを預かって車に乗せた。
「力哉さん、チーッス!」
「ちぃーす」
八郎と柊介が頭を下げる。
それから隣の綾乃を見上げて「力哉さんが女連れ──」と唖然とした顔をする。
環奈は元気いっぱいに手を広げた。
「アヤちゃん、あのね。はっちゃんと柊クン!」
「ふふ、これがうわさの。こっちが『はっちゃん』で、こっちが『柊クン』だな? ははーん、どっちもいい男じゃないのよ」
艶かしく瞳を細めて、八郎のピョコンと跳ねた前髪を触った。とたん、慣れない空気を味わった八郎はカッと耳を真っ赤に染めて後ずさる。
わは、と環奈が肩を揺らした。
「はっちゃんが照れてるゥ!」
「こら茶化すな。……三橋綾乃です。環奈が東京にいた一年間、ふたりの話をよく聞いてたから──すごく楽しみにしてたの。ごめんね」
といって綾乃はからりと笑った。
大人の女だ。
ほう、と男子高校生たちは感嘆の息をつく。よほど感動したのか柊介は「あの力哉さんがねえ」と半笑いの顔を力哉に向けた。
「かつて奈良市内一ヤリチンやった人がつくる彼女って、どないな人かと思ててん。さすがやわ」
「おい柊──」
「ホンマやな。タバコと女の味は中学で覚えたいうて、さんざっぱら親に迷惑かけ続けてきよった人も、落ち着くときが来るねんなァ!」
「ハチ、法螺吹くなボケ! 嘘やでアヤさん。コイツら悪がきやさかいにこんなん言うて」
とサングラスを頭の上に押し上げる。
が、綾乃はすでに環奈に連れられて車の運転席に座る八郎の母、ゆきのもとに行き、深く頭を下げていた。幸か不幸か、いまの言葉をなにひとつ聞いちゃいないようだ。
「お前らええ加減にせえよ……」
力哉はふたたびサングラスをかけ、八郎と柊介の肩をがっしと掴む。
「いやいや、いまの話聞いて別れたくなる彼女やったら、ぜったい長続きせえへんし」
「そうっすよ。あの姉御やったら大丈夫っすよ!」
「アホ! 長続きもなんも、まだ付き合うとらんのやぞ!」
「えっ」
八郎と柊介はきょとんとした。
付き合ってないのにふたりで旅行をしているのか──という心の声が顔面に漏れ出ている。
「分かる、分かるぞお前らの考えてることは。オレかて正直そう思てるねん。ほんでもなぜかここまで来れた。つまり逆に考えれば、この旅行ですべてが決まるっちゅーことやねん。ええか、この旅行であの人のブレる気持ちを固めたるねんぞ。ええか、くれぐれも……くれっぐれも」
邪魔だけはすんなよ。
と念押しに熱がこもる力哉に、八郎と柊介は顔を見合わせてにたりと笑う。
かつて奈良県内の高校生ヤンキーの頂点に立ち、各校のマドンナを一人残らず食い散らかしたという伝説から『白泉の第六天魔王』などという、ひどくダサい二つ名をつけられた石田力哉は見る影もない。
そのとき、車中からゆきが「はやく乗んなさい」と顔を覗かせる。
二十五歳のいい大人が、かわいいものだ──と八郎は力哉の背中をぐいとひと押しした。
※
「きゃあかわいいっ」
綾乃は刑部家の玄関にてさけんだ。
足もとにすり寄ってきた文次郎を見ての反応である。文次郎は、見知らぬ客人ながら自分に好意的と分かるや、とたんに尻尾のない尻をぶるぶると震わせて愛想を振りまきだした。
「話は聞いてたよ、文次郎くん──本当に人懐っこいね、かわいいィ」
と綾乃はデレデレだ。
すこしジェラシーを覚えた力哉が「男にはなーんも言うて来ォへん」とぼやいている。そんな彼を押しのけて、ゆきがスリッパを出した。
「よかった、犬が嫌いって言われたらどうしようかと思うて」
「うちの実家もコーギー飼ってたんですよ。去年死んじゃったけど……だからここに泊まれるなんてすごく嬉し──あの本当によろしいんですか、二泊もお邪魔しちゃって」
「ええのよ、ホテルよりもおいしいご飯出したるさかいね。ゆっくりくつろいでちょうだい」
菩薩のようなほほえみを浮かべるゆきの肩をつんとつついて、
「ゆきちゃんオレは?」
と力哉が小首をかしげる。ゆきは一瞬にして明王のような顔つきに変わった。
「アンタの家はこっから五分もかからんところにあるでしょうが。綾乃ちゃんと環奈ちゃんまでいてるのに、同じ屋根の下に泊めるわけにはいきまへん」
「あ、そゆこと?」
八郎はハッとわらった。
なるほど、いっしょに旅行に来たといっても泊まる場所が違うのならば、付き合っていなくともうなずける。フフッとわらい、綾乃の荷物を二階の空き部屋に持っていこうと腰をあげた。すると「ちょっと待った」と綾乃がストップをかける。
「あのこれ」
とボストンバッグをあさり、中から紙袋をひとつ。
さらにそのなかに入っていたお菓子の包みを見て、刑部家はワッと湧いた。
「鳩サブレ!」
「やだこれウチみんな大好きなんよ、やったねえ環奈ちゃん」
「ウン!」
「って、石田くんに聞いたものですから。ささやかで申し訳ないです。お世話になります──」
と行儀よく頭まで下げる彼女に、柊介は本日二度目となる感嘆のため息をつく。
「力哉さんにはもはやばちの当たるようなヒトやないか」
「なーにをいうか。おまえはアヤさんの本性知らんからそんなこと言うてんねん。この人ホンマはめっちゃ怖いねんぞ、お前なんざ一発で」
「石田くん」
綾乃は威圧的に呼び止めた。
「アナタもいい加減、自分のお母さんに顔見せに行ってやりなよ。きっと喜ぶから」
「分かったわかりました。おい環奈、アヤさん引き止めとけよ。あとであんみつおごったるから」
「あーい」
チョロいものだ。
力哉は暑い日差しを一瞥したのち、さっさと刑部家をあとにした。柊介と八郎もそのあとを追う。
ゆきはアッと口に手を当てた。
「……やーね、八郎ったら結局綾乃ちゃんの荷物も上に持っていかへんで」
「あ、いいんです。ちょっと重いし」
「かんなも手伝うー」
「ありがと」
むしろ好意で泊めてくれるのだから、どんな不都合があったとて綾乃にとっては問題ではない。
ボストンバッグを担ぎ上げた彼女の身体は、細く見えるがきれいに鍛え上げられている。
夏がよく似合う娘だ──とゆきは惚れ惚れした。
「アヤちゃん、お部屋案内したげる。二階なのネ」
「うんよろしく。ええっと、ゆきさん──」
「はいはい」
「お、お邪魔します」
と綾乃がはにかむ。ゆきは足元をうろついていた文次郎を抱き上げて「スイカでも切りましょ」と微笑した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】結界守護者の憂鬱なあやかし幻境譚 ~平凡な男子高校生、今日から結界を繕います~
御崎菟翔
キャラ文芸
【平凡な高校生 × 妖従者たちが紡ぐ、絆と成長の主従現代和風ファンタジー!】
「選ぶのはお前だ」
――そう言われても、もう引き返せない。
ごく普通の高校生・奏太(そうた)は、夏休みのある日、本家から奇妙な呼び出しを受ける。
そこで待っていたのは、人の言葉を話す蝶・汐(うしお)と、大鷲・亘(わたり)。
彼らに告げられたのは、人界と異界を隔てる結界を修復する「守り手」という、一族に伝わる秘密の役目だった。
「嫌なら断ってもいい」と言われたものの、放置すれば友人が、家族が、町が危険に晒される。
なし崩し的に役目を引き受けた奏太は、夜な夜な大鷲の背に乗り、廃校や心霊スポットへ「出勤」することに!
小生意気な妖たちに絡まれ、毒を吐く蛙と戦い、ついには異世界「妖界」での政変にまで巻き込まれていく奏太。
その過程で彼は、一族が隠し続けてきた「残酷な真実」と、従姉・結(ゆい)の悲しい運命を知ることになる――
これは、後に「秩序の神」と呼ばれる青年が、まだ「ただの人間」だった頃の、始まりの物語。
★新作『蜻蛉商会のヒトガミ様』
この物語から300年後……神様になった奏太の物語も公開中!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858
幽縁ノ季楼守
儚方ノ堂
キャラ文芸
「季楼庵当主の代理を務めてもらう」
幼少期、神隠しにあった過去を待つ青年ユメビシ。
迷い込んだ先で、事件に巻き込まれ両手を失い、生死を彷徨うことに。
ただ「死にたくない」と望んだ願いは、ある故人の手を移植することで実現した。
これを境に不死の体質へと変貌したユメビシは、約70年の時を経て、因縁の土地『瞑之島(みんのとう)』へ帰還する。
しかし、どうして今自分がここにいるのか、その理由となる記憶がすっぽり抜け落ちた状態で……。
奇妙な忘却に焦りを抱えながら、手がかりを求め探索するさなか、島の中枢を担う組織『季楼庵(きろうあん)』の面々と関わりを持ち、次々と巻き起こる騒動に身を投じていくのだった。
現代において、人と人ならざる者が共存する瞑之島を舞台に、半ば強制的に当主代理に据えられたユメビシの非日常。
異色の現代ファンタジー✖️和風奇譚✖️ミステリー
様々な思惑が交錯する中、彼の帰還を以て、物語は一つの結末へ動き出す。
その約束は、何十年何百年経ち、たとえ本人達が覚えていなくとも。
幽かな縁で繋がり続け、決して解けない糸となる。
それを人は、因縁――またの名を『呪い』と呼ぶのだった。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
祓い姫 ~祓い姫とさやけし君~
白亜凛
キャラ文芸
ときは平安。
ひっそりと佇む邸の奥深く、
祓い姫と呼ばれる不思議な力を持つ姫がいた。
ある雨の夜。
邸にひとりの公達が訪れた。
「折り入って頼みがある。このまま付いて来てほしい」
宮中では、ある事件が起きていた。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
白苑後宮の薬膳女官
絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。
ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。
薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。
静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる