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6話 オーシェン王子の憂鬱
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「イヴェエル兄さん、今回の魔獣討伐で起こった出来事ですが、秘密結社レイアルクが背後で何か動いているのかもしれないですね」
楽しいパーティーの時間を終えた後、私達は魔獣討伐で何が起きていたのかを振り返っていた。
「ああ、それは俺も考えていた」
秘密結社レイアルクは魔術の力で世界を収めようとしている組織。
諜報員が世界中に散らばっていて、世界を自分達にとって都合のよい方向へ導こうとしていると言われている。
「陰謀論としか思っていませんでしたが、本当にそのような秘密結社が存在しているのですね……」
秘密結社の存在は聞いたことはあったが、まさか本当に実在しているとは思わなかった。
「実際に存在していて魔術研究がなされているのは事実ですが、謎が多い組織ですので、その目的が本当に世界を収めることなのかは、実のところわかってはいません」
「どうして、秘密結社レイアルクが関わっていると?」
近辺に怪しい人物がいたようには見えなかった。
「そもそも魔術で狂暴化した魔獣が群れを成している時点で違和感があります。その狂暴性から同じ魔獣同士で殺し合うこともあるくらいですから――、今回の騒動の魔獣の動き方を思い返してみても、魔獣達を先導する者がいたのではないかと推察できます」
ふむふむ。
「そして、魔獣が群れをなしていたということは、魔術を組織的に使っていたということになりますが……、現在、魔術を組織的に研究しているのは秘密結社レイアルクだけということです」
「なるほど」
相変わらず、フーリュの説明は分かりやすい。
「現時点ではそれくらいしかわかっていませんので、後は捕えた魔獣を調べていくしかないですね」
「分析はフーリュの方が得意だからな、お前にお願いするよ」
「フフ、任せてください、イヴェエル兄さん」
フーリュがイヴェエルに頼られて嬉しそうにしている。
「それって、エスタレアお嬢様に、また危険が降りかかるかもしれないってことよね……。今回は悔しい思いをしたから、もっと強くなっておかないと――」
「アミーラ?」
「エスタレアお嬢様、私はもっと強くなります!!」
「あ、うん、でも――、アミーラの身体に傷痕が残ったら嫌だから、できれば今回みたいに無理はしてほしくないかな……」
もし顔に傷が残って、アミーラが結婚する際の障害になってしまっても悲しいし――
「お嬢様……」
勢いで魔獣討伐に参加してしまったが、危うく大切な親友を失いかけるところだった。
私が危険に遭遇するということは、アミーラも危険にさらされるということ――
気持ちだけで行動するのではなく、そのことも理解して行動しなければならない。
今回の件で、私はそれを強く実感した……
◇
「――エスタレアを王都から追放するように仕向けたのはリンディリアなんだろ?」
僕が好意を寄せていたエスタレアが、王都を離れている間に、義妹のリンディリアによって王都を追放されてしまっていた……
「そ、それは――」
「エスタレアが僕をたぶらかしていたという噂になっているけど、僕が彼女に一方的に片想いをしていただけということを、リンディリアは知っていたはずだよね?」
「だ、だからこそ、私の愛するオーシェンお兄様が、あのような女に想いを寄せているなどとは到底納得できず、お父様に王都から追放してもらうように相談したのです――」
「くっ、なんてことを……。しばらくはお前の顔など見たくもない、当分は僕の前に姿を現さないでくれ――。それと、もし次にエスタレアに何かしたら、今度は僕が許さないから!!」
「わ、わかりました……」
普段は温厚な僕の怒りに触れ、リンディリアは怯えた様子で部屋から出て行った。
リンディリアが僕を溺愛しているのは知っていたが、まさか、エスタレアに危害まで加えるとは――
「エスタレア、怒っているだろうなぁ……」
好きな人に嫌われてしまったかもしれないと考えるだけで、僕の胸は強く締めつけられた。
◇
――僕がエスタレアに初めて出逢ったのは、魔法学校に通っていた頃だった。
エスタレアは僕の一つ上の学年で、何事にも一生懸命に取り組んでいる姿を何度か目撃していたのだが……
そんな彼女のひたむきな姿に、僕はいつの間にか心惹かれていた。
そんなある日――
生徒に扮していた敵対している王国からの刺客に僕は命を狙われた。
何とか返り討ちにしたが傷を負ってしまったので、魔法学校の医務室に向かっていると――
偶然、エスタレアに出会い、その場で僕の傷を治癒魔法で治してくれた。
エスタレアは治癒魔法が得意で、怪我を負った生徒をよく治していたらしく、アルザナ王国の皇太子だということには気づかずに傷を治してくれたようだった。
「相手が誰であったとしても同じように優しく接することができる――。そんなところもエスタレアの魅力なんだよね……」
刺客に襲われたことで、魔法学校は父の指示で退学することになってしまった。
魔法学校では逢えなくなってしまったため、僕は傷を治してくれたお礼の手紙と贈り物をエスタレアにさせてもらったのだが――
「まさか、その様子をリンディリアに見られていたとは……」
エスタレアが卒業する時に告白しようと思っていたのに、魔法学校に通えなくなってしまった――
手紙をきっかけに逢う機会を作って、仲良くなれたら告白したいと思っていたのに、王都からもいなくなってしまった――
「やっぱり、エスタエレアと僕の間には縁がないのかなぁ……」
でも、本当に縁がないのなら、出逢うことすらなかったはず――
まずは、エスタレアが僕をたぶらかしていたという話は、リンディリアの嘘だったということをしっかりと父上に話して、王都に入れなくなってしまった禁を解いてもらう。
そして、エスタレアに逢って謝罪をし、縁を作るところからもう一度始める。
最悪な印象からの出発で前途多難ではあるが、ここまで女性に心惹かれたのは初めての体験だから――
「もう少し、あと少しだけ、この恋を諦めないことをお許しください……」
遠く離れた地に行ってしまったエスタレアのことを想いながら、僕はそう心から願った。
楽しいパーティーの時間を終えた後、私達は魔獣討伐で何が起きていたのかを振り返っていた。
「ああ、それは俺も考えていた」
秘密結社レイアルクは魔術の力で世界を収めようとしている組織。
諜報員が世界中に散らばっていて、世界を自分達にとって都合のよい方向へ導こうとしていると言われている。
「陰謀論としか思っていませんでしたが、本当にそのような秘密結社が存在しているのですね……」
秘密結社の存在は聞いたことはあったが、まさか本当に実在しているとは思わなかった。
「実際に存在していて魔術研究がなされているのは事実ですが、謎が多い組織ですので、その目的が本当に世界を収めることなのかは、実のところわかってはいません」
「どうして、秘密結社レイアルクが関わっていると?」
近辺に怪しい人物がいたようには見えなかった。
「そもそも魔術で狂暴化した魔獣が群れを成している時点で違和感があります。その狂暴性から同じ魔獣同士で殺し合うこともあるくらいですから――、今回の騒動の魔獣の動き方を思い返してみても、魔獣達を先導する者がいたのではないかと推察できます」
ふむふむ。
「そして、魔獣が群れをなしていたということは、魔術を組織的に使っていたということになりますが……、現在、魔術を組織的に研究しているのは秘密結社レイアルクだけということです」
「なるほど」
相変わらず、フーリュの説明は分かりやすい。
「現時点ではそれくらいしかわかっていませんので、後は捕えた魔獣を調べていくしかないですね」
「分析はフーリュの方が得意だからな、お前にお願いするよ」
「フフ、任せてください、イヴェエル兄さん」
フーリュがイヴェエルに頼られて嬉しそうにしている。
「それって、エスタレアお嬢様に、また危険が降りかかるかもしれないってことよね……。今回は悔しい思いをしたから、もっと強くなっておかないと――」
「アミーラ?」
「エスタレアお嬢様、私はもっと強くなります!!」
「あ、うん、でも――、アミーラの身体に傷痕が残ったら嫌だから、できれば今回みたいに無理はしてほしくないかな……」
もし顔に傷が残って、アミーラが結婚する際の障害になってしまっても悲しいし――
「お嬢様……」
勢いで魔獣討伐に参加してしまったが、危うく大切な親友を失いかけるところだった。
私が危険に遭遇するということは、アミーラも危険にさらされるということ――
気持ちだけで行動するのではなく、そのことも理解して行動しなければならない。
今回の件で、私はそれを強く実感した……
◇
「――エスタレアを王都から追放するように仕向けたのはリンディリアなんだろ?」
僕が好意を寄せていたエスタレアが、王都を離れている間に、義妹のリンディリアによって王都を追放されてしまっていた……
「そ、それは――」
「エスタレアが僕をたぶらかしていたという噂になっているけど、僕が彼女に一方的に片想いをしていただけということを、リンディリアは知っていたはずだよね?」
「だ、だからこそ、私の愛するオーシェンお兄様が、あのような女に想いを寄せているなどとは到底納得できず、お父様に王都から追放してもらうように相談したのです――」
「くっ、なんてことを……。しばらくはお前の顔など見たくもない、当分は僕の前に姿を現さないでくれ――。それと、もし次にエスタレアに何かしたら、今度は僕が許さないから!!」
「わ、わかりました……」
普段は温厚な僕の怒りに触れ、リンディリアは怯えた様子で部屋から出て行った。
リンディリアが僕を溺愛しているのは知っていたが、まさか、エスタレアに危害まで加えるとは――
「エスタレア、怒っているだろうなぁ……」
好きな人に嫌われてしまったかもしれないと考えるだけで、僕の胸は強く締めつけられた。
◇
――僕がエスタレアに初めて出逢ったのは、魔法学校に通っていた頃だった。
エスタレアは僕の一つ上の学年で、何事にも一生懸命に取り組んでいる姿を何度か目撃していたのだが……
そんな彼女のひたむきな姿に、僕はいつの間にか心惹かれていた。
そんなある日――
生徒に扮していた敵対している王国からの刺客に僕は命を狙われた。
何とか返り討ちにしたが傷を負ってしまったので、魔法学校の医務室に向かっていると――
偶然、エスタレアに出会い、その場で僕の傷を治癒魔法で治してくれた。
エスタレアは治癒魔法が得意で、怪我を負った生徒をよく治していたらしく、アルザナ王国の皇太子だということには気づかずに傷を治してくれたようだった。
「相手が誰であったとしても同じように優しく接することができる――。そんなところもエスタレアの魅力なんだよね……」
刺客に襲われたことで、魔法学校は父の指示で退学することになってしまった。
魔法学校では逢えなくなってしまったため、僕は傷を治してくれたお礼の手紙と贈り物をエスタレアにさせてもらったのだが――
「まさか、その様子をリンディリアに見られていたとは……」
エスタレアが卒業する時に告白しようと思っていたのに、魔法学校に通えなくなってしまった――
手紙をきっかけに逢う機会を作って、仲良くなれたら告白したいと思っていたのに、王都からもいなくなってしまった――
「やっぱり、エスタエレアと僕の間には縁がないのかなぁ……」
でも、本当に縁がないのなら、出逢うことすらなかったはず――
まずは、エスタレアが僕をたぶらかしていたという話は、リンディリアの嘘だったということをしっかりと父上に話して、王都に入れなくなってしまった禁を解いてもらう。
そして、エスタレアに逢って謝罪をし、縁を作るところからもう一度始める。
最悪な印象からの出発で前途多難ではあるが、ここまで女性に心惹かれたのは初めての体験だから――
「もう少し、あと少しだけ、この恋を諦めないことをお許しください……」
遠く離れた地に行ってしまったエスタレアのことを想いながら、僕はそう心から願った。
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