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第三章 ワールドウォー・トゥモロー
お嫁にしなさいっ!
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「ここで王国侵入操作作戦の概要について話そう。」
エドが真剣な声色でそう言った。ここから王国侵入作戦の第一歩が始まる。
「まず前提として、各々が超能力の出し惜しみをしないこと。この作戦は命懸けだ、身の危険を感じたのならば逃げる事。これらは特に肝に命じておいてくれ。」
「……まあ、私は超能力なんて使えないんですけどね。しかも全側近の中で私だけ。何か仲間外れみたいですね。」
エドの言葉に対し、レイが不満そうに唇を尖らせてそんな愚痴をこぼす。
「いや、レイさん。…貴女には重大な任務があります。」
エドは真剣な雰囲気のまま、レイにそう言葉を返す。
「王国は我々の超能力について既に把握していると思います。ただ一人、慎一郎を除いて。その為、戦いになれば真っ先に狙われるのは慎一郎、そしてレイさんの筈です。慎一郎の能力は自身に危険が迫れば発動出来ますが、また自身が愛する人に危険が迫ったときにも同様に発動する事が出来ます。しかもその思いの力が強ければ強いほど、強力な力になります。その為、レイさんは慎一郎のバーター、能力発動の為のキーマンとしてこの作戦に同行してもらいます。」
「いいですね!それ!いいですよ!チロさん、この際生涯のバーターになりましょう!私と!」
今のこの状況に七海以外の他の面々は拍手をして、祝杯を上げている。
「って、何でだよ!言っとくけどなあ、俺はあくまでカナ一筋なんだよ!レイは嫌いじゃないけど、レイとは恋人未満、友達以上ってそんな感じなの!」
俺は絶叫する。が、そんな俺の言葉に各々がツッコミを入れてくる。
「やめとけやめとけ、あんなスカポンタンは。人の服ひん剥くしな、更には部屋に泊めてやったちゅーのに適当な礼で終わりや。酒の席の悪ふざけでもなぁ、人としてちゃんと謝礼はすべきやねん。」
「まあ、確かにごもっともだけど、アンタは過去の事ちょっと根に持ちすぎじゃ無いですか?あの事は今俺が代わりに謝りますよ。スイマセン。」
「馬鹿慎一郎!!何でそこで私の名前が出てこないのよ!カナよりレイより私でしょ?アンタ昔プールに行った時に私の胸揉んだわよね?責任とって籍入れなさいっ!私をお嫁にしなさいっ!」
「やめろ!掘り返すな!黒歴史を!ちなみにアレは不可抗力だ!ホントに悪かった!」
「まあ、おふざけは終わりにしてさぁ…」
ツッコミの押収と化していた現場を、静な声で制したのはナオだった。彼女は言葉を続ける。
「慎一郎、君は“あくまで”カナ様一筋だと言った。自然と出た言葉だろうけど、それってどういう意味なんだい?恐らくだが、もしレイさんに泣きながら懇願でもされたら、きっとそっちへ落ちてしまう。君の浮気症な部分から出た言葉なんじゃないかな?それとももう落ちているかもしれないけど…。まあ、それだけ君がレイさんの事を想っているなら作戦に支障はないよ。それじゃあ真面目な話に戻りましょう。エドさん。」
「…ああ、そうだな。」
真面目に話そうとしていた矢先に、場を乱されたエドは深く溜息を吐く。ナオが場を整えて、俺とレイとの関係の話は終結した。
…俺自身も、レイの事をどう思っているのか、よく分からない。まあ、終わった話だ。俺はエドの言葉に耳を傾ける。
「ナオの言った通り、ここはおふざけの場ではない。これから行う事は生死を左右する。むやみに死人は出したくない。…私の作戦を聞いてくれ。」
まずエドはそう切り出す。
「任務は王国の秘密兵器を破壊する事。その兵器は王城地下、隠し扉の先にあるが、内部は迷宮の様になっていて初見ではまず最奥までは行けないだろう。ルートを把握しているのは私と、ミミ様と、ナオさんの三人、そしてちょうど秘密兵器の場所へたどり着く道も三通りある。なので三手に分かれて行動してもらう。そこでルート毎に敵が待ち構えている可能性も考えて戦力を等分してチームを組んだ。このチームで行動を共にしてくれ。」
エドの指名により決められたチームはミミ、ナオ、そしてエドをリーダーとした3チーム。
まずチームミミのメンバーは三人、リーダーミミとレイ、そして俺だ。
チームナオにはナオとニシの西の国メンバーと七海。
最後にチームエドは一人、リーダーエドの文字通りの個人軍。…もはやチームですら無い。
と言う訳で王国侵入作戦のチーム分けが決まった訳だが、俺には疑問に思うところが一つあった。
「なあ、愚問かもしれないが、さっきから言ってる秘密兵器ってのは何なんだ?名前を言ってはいけない的なヤツなのか?」
俺の質問に対し、エドは失念していたと頭を押さえるジェスチャーをして答える。
「ああ、そういえば言っていなかったな。すまない。」
「…王国の秘密兵器、それはこの世界を終わらせるスイッチみたいなものだ。」
エドが真剣な声色でそう言った。ここから王国侵入作戦の第一歩が始まる。
「まず前提として、各々が超能力の出し惜しみをしないこと。この作戦は命懸けだ、身の危険を感じたのならば逃げる事。これらは特に肝に命じておいてくれ。」
「……まあ、私は超能力なんて使えないんですけどね。しかも全側近の中で私だけ。何か仲間外れみたいですね。」
エドの言葉に対し、レイが不満そうに唇を尖らせてそんな愚痴をこぼす。
「いや、レイさん。…貴女には重大な任務があります。」
エドは真剣な雰囲気のまま、レイにそう言葉を返す。
「王国は我々の超能力について既に把握していると思います。ただ一人、慎一郎を除いて。その為、戦いになれば真っ先に狙われるのは慎一郎、そしてレイさんの筈です。慎一郎の能力は自身に危険が迫れば発動出来ますが、また自身が愛する人に危険が迫ったときにも同様に発動する事が出来ます。しかもその思いの力が強ければ強いほど、強力な力になります。その為、レイさんは慎一郎のバーター、能力発動の為のキーマンとしてこの作戦に同行してもらいます。」
「いいですね!それ!いいですよ!チロさん、この際生涯のバーターになりましょう!私と!」
今のこの状況に七海以外の他の面々は拍手をして、祝杯を上げている。
「って、何でだよ!言っとくけどなあ、俺はあくまでカナ一筋なんだよ!レイは嫌いじゃないけど、レイとは恋人未満、友達以上ってそんな感じなの!」
俺は絶叫する。が、そんな俺の言葉に各々がツッコミを入れてくる。
「やめとけやめとけ、あんなスカポンタンは。人の服ひん剥くしな、更には部屋に泊めてやったちゅーのに適当な礼で終わりや。酒の席の悪ふざけでもなぁ、人としてちゃんと謝礼はすべきやねん。」
「まあ、確かにごもっともだけど、アンタは過去の事ちょっと根に持ちすぎじゃ無いですか?あの事は今俺が代わりに謝りますよ。スイマセン。」
「馬鹿慎一郎!!何でそこで私の名前が出てこないのよ!カナよりレイより私でしょ?アンタ昔プールに行った時に私の胸揉んだわよね?責任とって籍入れなさいっ!私をお嫁にしなさいっ!」
「やめろ!掘り返すな!黒歴史を!ちなみにアレは不可抗力だ!ホントに悪かった!」
「まあ、おふざけは終わりにしてさぁ…」
ツッコミの押収と化していた現場を、静な声で制したのはナオだった。彼女は言葉を続ける。
「慎一郎、君は“あくまで”カナ様一筋だと言った。自然と出た言葉だろうけど、それってどういう意味なんだい?恐らくだが、もしレイさんに泣きながら懇願でもされたら、きっとそっちへ落ちてしまう。君の浮気症な部分から出た言葉なんじゃないかな?それとももう落ちているかもしれないけど…。まあ、それだけ君がレイさんの事を想っているなら作戦に支障はないよ。それじゃあ真面目な話に戻りましょう。エドさん。」
「…ああ、そうだな。」
真面目に話そうとしていた矢先に、場を乱されたエドは深く溜息を吐く。ナオが場を整えて、俺とレイとの関係の話は終結した。
…俺自身も、レイの事をどう思っているのか、よく分からない。まあ、終わった話だ。俺はエドの言葉に耳を傾ける。
「ナオの言った通り、ここはおふざけの場ではない。これから行う事は生死を左右する。むやみに死人は出したくない。…私の作戦を聞いてくれ。」
まずエドはそう切り出す。
「任務は王国の秘密兵器を破壊する事。その兵器は王城地下、隠し扉の先にあるが、内部は迷宮の様になっていて初見ではまず最奥までは行けないだろう。ルートを把握しているのは私と、ミミ様と、ナオさんの三人、そしてちょうど秘密兵器の場所へたどり着く道も三通りある。なので三手に分かれて行動してもらう。そこでルート毎に敵が待ち構えている可能性も考えて戦力を等分してチームを組んだ。このチームで行動を共にしてくれ。」
エドの指名により決められたチームはミミ、ナオ、そしてエドをリーダーとした3チーム。
まずチームミミのメンバーは三人、リーダーミミとレイ、そして俺だ。
チームナオにはナオとニシの西の国メンバーと七海。
最後にチームエドは一人、リーダーエドの文字通りの個人軍。…もはやチームですら無い。
と言う訳で王国侵入作戦のチーム分けが決まった訳だが、俺には疑問に思うところが一つあった。
「なあ、愚問かもしれないが、さっきから言ってる秘密兵器ってのは何なんだ?名前を言ってはいけない的なヤツなのか?」
俺の質問に対し、エドは失念していたと頭を押さえるジェスチャーをして答える。
「ああ、そういえば言っていなかったな。すまない。」
「…王国の秘密兵器、それはこの世界を終わらせるスイッチみたいなものだ。」
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