上 下
10 / 50
第一章 転生生活編

9話 グロリア領

しおりを挟む
 俺は日が出るか出ないかぐらいの時に目が覚めた、俺は生きていることを再実感させられ安堵する、これも魔王ジルのお陰だ、魔王ジルがいなければ俺達は今頃死んでいるだろうそれほどまでにあの魔物は強かった、そして俺が起きたことに気づいた母が。

「ルークおはよう! 昨日あんな化物に襲われたから早めにグロリア領を目指すわよ、アリエスちゃんを起こして」

 そう言って母また準備を始めた、そりゃそうか、またあんなのに襲われたらひとたまりもない、もう二度とあんなバケモノには遭遇したくないものだ、そして俺は母に言われた通りアリエスを起こした。

「アリエスさん 起きてください! 出発しますよ」
「うーん、なによこんな朝早くからーーー」
「すみません、昨日のことがあるので早めに出るそうです」

 少しぐずっていたが事情を説明してなんとか納得してもらった、以外にも昨日あんな事があったのにアリエスは平気そうだ、意外と肝が座っているんだろう。

 そして俺達はまたグロリア領に向け出発した、道中アリエスは俺にしきりに話しかけてくるようになりその対応に俺は追われていた。

 昨日までのぶっきらぼうな態度が嘘のようだ、相変わらずの上から目線だが、魔法を教えてくれだの、あの竜の息吹はどうやったらできるのだとかありとあらゆる事を聞いてきいてきた。

 そして挙句の果てには家来にしてやると、それはごめんこうむるので丁重に断ったが、母やルシウスに助けを求める視線を送ったのだが子供同士の微笑ましい光景に見えたのだろうニコニコしながら見ているだけで助けてはくれなかった、そうこうしているうちにグロリア領までたどり着いた、そこは俺が住んでいた村より遥かに都会で家がずらりと並んだ町並みで、その奥には大きな時計台があり人が沢山行き来している。

「母さん!これがグロリア領ですか、凄いですね!」
「そうよ。ルークは初めてだったわね、相変わらず綺麗な町並みね、あの奥にある時計台のところが学園よ!」

 母さんはこの街に来たことがあるみたいだ、そして大きな時計台がある所に学園があると、それにしてもすごい街だな、活気に溢れている、大魔王が治める土地とは思えない、俺のイメージだが普通大魔王が治める土地ならこうもっと殺伐としたようなところぽっいのに。

「そうなんですね! それにしても凄いです!」

 それにしてもこのファンタジーな世界にそんな物が本当に存在するなんて信じられない、誰が何のために作ったのだろうか、そんな疑問を抱えながら、俺たち一行は街の中へと入っていった、やはり魔大陸なので魔族らしき者が多い。

 角が生えていたり翼があったり外見が少し違うだけでほとんど人間と代わりないが、ちらほらと人間も見かける、やはりちゃんと共存しているようだ、そして学園についた、学園には大きな門があり中になん棟かに別れた建物が連なっている、作りはレンガだが現代風の大学に酷似している、てか大学だ、何でこんなに現代風なのか、俺の疑問はさらに深まるばかりだ、そしてルシウスが何やら門番と話し、門の前で待っていると教員らしき魔族の人が出てきた。

「初めまして私はこの学園の校長を務めるジークと言います。アリエス・ラネス・コバルト陛下ようこそ我が学園へ、長旅ご苦労様です、おやお連れの方に見知った方がおりますね」

 そう言ってジークは母の方を見た、えっまさか母と知り合いなのか、そりゃ母は宮廷魔術師団団長という肩書きを持っているがこんな所まで名前が届いているとは。

「お久しぶりですジーク校長お変わりなくお元気そうで」
「あなたは随分雰囲気が変わりましたね。我が学園切手の秀才が・・・・・・ そうそう立ち話も何ですから中にお入りください」

 どうやら母はこの学園の出身みたいだ、だから街のことも知っていたのか、しかし学生時代の母はどんな感じだったんだろうか、しかも校長に秀才とまで言われている、やはり母はとても凄い人なのだろう、そうあらためて実感させられた、そして中に入るとやはり、日本の大学のような作りになっている、俺達は応接間のような部屋に通された、そしてジークが口を開いた。

「さてアリエス陛下ですが予定どおり入学を認めましょう、そちらのお子さんは入学希望ですか?」

 これは思ってもみない話だ、俺はアリエスを送り届けたあと村に帰る予定になっている、まさかここで入学の話が出るとは思ってもみなかった、もし仮に入学できたとしたなら魔王の体を探す手がかりも得れるかもしれない、俺はジークの問に即答で。

「そうです! 入学したいです」

 俺がそう答えると母は慌てて否定した。

「ルークなにいっているの!? あなたはこのまま帰るのよ!」

 予想どおりの反応だ俺は旅に付いていくだけのはずだったのでそれが入学希望となると反対するに決まっている、まだ幼い俺を置いて行くわけには親としていけないだろう、さてここからどうしたものか、何とかして入学を認めさせねば。

「母さん僕も入学したいです! ここでもっと魔術の勉強をそして母さんみたいになりたい!」

 俺は母にそう言った、これなら入学を認めてくれると踏んだのだがまだ母は渋って。

「でもルークはまだ幼いし一人残すのは・・・・・・」
「お願いします!」
「でも・・・・・・」

 俺は母にどうしてもと頼み込んだがまだダメだと、しかし母はかなり迷っているようでもう一押しすれば行けそうだ、そしてジークが入学を促すように話し始めた。

「この学園は完全寮制で安全対策も完璧です、そして学園きっての秀才だったあなたの息子となれば入学は当然のことかと」

 ジークはそう言って母に俺の入学を促してきた、どうやら俺を学園に入れたいみたいだ。

「ですが・・・・・・ あなたどうする?」
「そうだな、ルークはあのゴーレムを倒したぐらいだからなもっとここで魔術を勉強して高みを目指すべきかも・・・・・・」

 父の反応はかなりいいものだった、俺がゴーレムを倒したことを話している。

「でもまだ幼いのよ」
「子供はいつか親の元を離れるそれが早いか遅いかだけの違いだろう、ましてやここなら安全だろうし」

 父さんめちゃくちゃいいこと言ってくれるじゃないですか、これなら母も納得してくれるだろう、そしてその一言が決め手となり俺は学園へ入学することになった、母はまだあまり納得していないようだが、父になだめられなんとか認めてくれた、やっだぞこれで魔王の手がかりを探すことが出来る、しかもおまけに魔法の勉強までできる一石二鳥だ、こうして俺は学園に入学することが決まり新しい生活が始まることとなった。
しおりを挟む

処理中です...