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第二章 学園生活中等部編

15話 アリエスの気持ち

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 私はコバルト王国第五王女アリエス・ラネス・コバルト、父様はコバルト王国の王様で、母様は下級貴族の出身らしい、そのせいで私は王国にとっても厄介な存在で疎まれてきた、そんな私に精一杯愛情を注いでくれて守ってくれていたのが母だ、母はいつも私に。

「アリエスごめんね、私のせいで辛い思いをさせて、いつか母さんが自由にさせてあげるから今は我慢してね」

 そうよく口にしていた、私はそんなことどうでも良くて、ただ母と一緒にいられればそれで良かったのに、母は突然私の前から消えた、病死だ、なにやら不治の病らしく医者がもう治らないと、母は最後までずっと私に謝っていた、そして私は一人ぼっちになってしまった、そんな一人ぼっちの私に手を差し伸べたのがルシウスだ、ルシウスは当時宮廷騎士団の団長でその座を捨ててまでして私を救ってくれた、何故こんな私に尽くしてくれるのか、それが疑問で一度ルシウスに聞いたことがある、ルシウスは昔母に助けられたこがありその恩を返すため、また病気の母に私のことを頼むと言われたと、それで私に生涯忠誠を近い側で守り続けると、そしてルシウスはその言葉どうり力の限り私を守ってくれた。


 そして月日は流れ私が13歳の頃私はグロリア領の学園に送られることになった、正直この国にいても自由も得られるものも何も無い、なので私的にはこれで良かったのだが、ルシウスがそれを反対してきた、しかし大臣達の取り決めでそれは決まってしまう、そして私の初めての旅がはじまった、護衛はルシウスを含めた10人でグロリア領を目指す、この時私は旅をなめていた、その後なぜルシウスが頑なに反対した意味を理解することになる。


 最初のうちは順調に進み何事も無かったのだが、旅の後半からその過酷さが如実に現れだした、時に盗賊に襲われ、また魔物の群れに遭遇し、また悪天候に見舞われ、そんな中護衛は1人また1人と命を落として行った、私はこの時初めて旅の恐ろしさを理解しその過酷さに旋律を覚えた。


 そしてとうとう護衛はルシウスだけとなり2人きりになる、ルシウスは必死に私を守り抜こうと孤軍奮闘してくれた、そしてやっとの事でロノア王国までたどり着く、そこで道に迷ってしまい魔物に襲われた、私は茂みの中に隠れルシウスが魔物と戦う、しかし満身創痍のルシウスだ、魔物相手に遅れを取り劣勢、このままではルシウスがやられてしまう。
 

そして遂にルシウスの剣が魔物によって弾かれやられそうになっていた時彼が現れた、彼は幼いながらも凄い魔術を使い魔物を一撃でやっつけてしまった、彼がいなかったら私もルシウスももうこの世にはいないだろう、その彼の名前はルークと言った、ルークは親切に私たちを家まで連れ帰って休ませてくれた、ルークの母親とルシウスは旧知の中らしくここなら安全だと、私は久しぶりにルークのベットでゆっくり寝ることが出来た。


 そして私が起きるとルークとその親が旅に同行してくれる事になっていた、正直今更少し増えた所でどうせ途中で皆死んでしまうんだ、意味は無い、そう思っていた、しかしそれは杞憂におわった、ルークの母親は元宮廷魔術師団長でそれはもう凄まじく、迫り来る魔物を魔術でどんどん倒していく、またルークの父も剣の腕前がルシウス程ではないがかなりあり、旅は快適に進んでいった。

 しかしそこで事件が起きる、グロリア領まであと少しという所でそいつが姿を現す、そいつはルシウスと彼の父母を一撃で戦闘不能にしてしまったのだ、残るは私とルーク、ルークはすぐさま魔術を放とうとしたがそれに反応したゴーレムにやられてしまう、とうとう私1人になってしまった、怖い怖い怖いまだ死にたくない、こんな所で死ぬわけにわいかない、誰か助けてよ、そんな時やられていたルークが急に私の前に立ち塞がり物凄い魔術を放って助けてくれた。
 

またルークに助けられたのだ、彼は魔術を放つと苦しそうにその場に倒れ込んでしまった、死んだのか・・・・・・ いや息はしている、でも凄く苦しそうだ、せっかく私を助けてくれたのに私は何も出来ない、私は守ってもらってばかりだ、そんな中辛うじて意識のあるルシウスが3人を運び介抱する、そしてルシウスも気絶してしまった、私は4人を見守り祈っていた、どうか皆の意識が早く戻りますように。

 すると一番最初にルークが目覚めた、ルークは私に事情を聞くとすぐさま回復魔法を残りの3人に掛ける、瞬く間に三人の意識がもどった、まだ幼いのにルークは凄い、それに比べ私は無力だ、だから私は強くなることを決意した、そして、ルークに魔術教えてと頼んだ、そして家来になれといった、本当はそばにいて欲しかっただけなのだが言葉のあやでそう言ってしまった、私はなんて不器用なんだろう、ルークはそれを渋々了承してくれる。

 そして学園についた、学園は広く魔族や人間が入り交じりとても栄えている、ここで私は6年間生活することになるのだ、そしてルークも入学することになった、なぜだか私はそれが嬉しかった、てっきりルークは帰るかと思っていたのだか残って勉強がしたいそうで、もう私的には充分だと思うのだが、ルークは上昇志向が強い。

 そして私の学園生活が始まった、それは王宮にいた時よりも自由でとても素晴らしかった、ルークは魔術の授業ですぐにトップになってしまった、流石ルークだ、でも剣術がダメダメで意外な弱点も見つけた。

 そしていつもルークは図書室にこもり何かを調べている、私も手伝おうかと言ったが自分のことなのでアリエスさんは気にしないでください、そう断られた、私はそれが少し嫌でルークに魔術を教えてくれと頼んだ、ルークは快く引き受けてくれた、そこから休み時間と放課後に私とルークで魔術の特訓が始まった、ルークはとても丁寧に説明し私にわかりやすく指導してくれる、一方私はなかなか出来なく心が何度折れかけた事か、ルークはそんな私を見捨てずに何度も励まし嫌な顔ひとつせず教えてくれた、しかしそれでも出来なかった。


 私には才能がないのか・・・・・・ そんな時ルークが一つのことを考え出し、それを実行するとできるようになったのだ、やはりルークは凄い。

 そしてルークはルシウスに剣術を習いだした、魔術があれだけ出来るのに剣術までするとは、それを毎日私は見ていた、そして最近剣をふるルークはかっこよく見える、いつからだろうルークを意識しだしたのは、私から見ればまだ子供なのにルークはずっと大人に見える、私を不良たちから救ってくれた時からだろうか・・・・・・ あの時私がやられて普段怒らないルークが激高していたのだ、そして私のことを可愛いと言ってくれた時だろうか、でもまだこれが好きかどうかは分からない、私は恋をした事がないから。


 そうして日々は流れ魔術大会が行われることを知った、ルークはもちろん参加するらしく日々特訓している、帰りの馬車で私はいつもルークに寄りかかって寝てしまう、ルークの隣はとても安心するのだ、そして魔術大会前日の帰りいつもどうり馬車で帰り私はルークにもたれかかって寝ていた、正確には寝た振りをしていたのだ、ルークは私の髪をなでてきた、ビックリして目を開けるとルークと目が合う、撫でられて私は嫌な気持ちが無かったのでそのまま続けてと言った、この時私は確信した、ルークのことが好きだと、ドキドキ気が止まらなかったが優しく撫でられて私は寝てしまった。


 そして魔術大会が行われルークは見事優勝した、私は何か褒美をやろうと思いルークに聞く、するとルークは少し考え込んでからキスがして欲しいと、そう言われて私は困った、だか優勝した褒美だそれとルークのことも好きだから頬に口付けをした、物凄くドキドキして恥ずかしくすぐさまその場を逃げた、ルークはどう思っただろう、嬉しかっただろうか・・・・・・ ルークは私のことをどうも思っているのだろうか、キスを求めるぐらいだから好きなのだろうか、私はそんなことを考え部屋に戻りベットの上でバタバタしていた。
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