鬼神伝承

時雨鈴檎

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第四章

花の国

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壬生が示す目的地へはかなり距離があるため、数日かけて国を渡り行くこととなった。
最初は国は避け、最短で目的地を目指すことを提案した壬生だったが、戦鬼の人馴れにもつながるだろうという門桜の希望もあり、急ぎでもなと通りがかる国へは立ち寄ることとなった。

目を向ける先々に色とりどりの花が咲く。
花に囲まれた大国-華湯國はなゆのくに-
「すごいな…あれが全部花なのか」
入国審査を終えて門をくぐると、戦鬼は色とりどりの店先、道の脇に植えられている花に驚いたように、感嘆の声を漏らす。
壬生は入国証を2人に手渡しながら、ここに来たのは初めてかと笑った。
「まぁな…温泉で有名な国でなその地熱で花の栽培が盛んなんだよ」
食える花もあるぞと、珍しいものを見るように、頷く2人にそりゃいい面白いものもあるぞと国を見渡した。
「綺麗だね…あと街が明るい」
数日は歩いたとはいえ出立した場所からはさほど離れていない。
これだけの距離でこんなに違うのかと呟いた門桜に壬生は、少し眉尻を下げる。
「あの港も前はもう少し、活気があったんだがな…あの辺りは大分影虚に侵食されててあの有様だ。そうなりゃ人まで変わっちまう」
ここももしかしたら今だけかもしれんがなと、近くを走り抜ける子供を視線で追いかける。
「子供が元気だね」
視線に気づいたのか、門桜がじゃれ合いながら声を上げて走り抜ける子供の走り去る方を見る。
「あぁ、ここもずっとこうならいいんだけどな、ガキはガキらしく何も考えねぇではしゃげる国は、いい国だと思ってる」
目を細めて呟く壬生に戦鬼も門桜のように子供の走り去った方へ目を向ける。
少し小柄で短めの髪がツンツンとはねた活発そうな茶髪の子供と、その子供よりは背の高い、長い髪を揺らして引っ張られるように走る黒髪の子供。
随分と仲の良さそうに、話しながら走るその姿に、戦鬼は懐かしさを覚える。それは子を思うような…
「……?」
俺に子供はいないよな?と首をひねった戦鬼は、しばし走る子供たちを見送り、これは龍の感情かと納得したように胸元をさすった。
「どうかしたの?」
「えっ…あぁ…いや…懐かしいなと思って」
子供に視線を送る戦鬼に気づき、目を細めた門桜は、姿が見えなくなる子供へ再び目を向けてから、そっかとだけ小さく呟いた。
「ガキでもいたのか?」
「うーん、そんなとこかな」
壬生言葉に曖昧に呟いた門桜は、どうするのかと首をひねる。
「あー、とりあえず寄り合い所行っていいか?あそこで見れなかったからこっちで見ときたい」
「わかった、なら私たちは宿を探してくるよ。そうだね日暮れ前にあの下はどう?」
花に囲まれ、一際目立つ周りに比べて少し古い外壁の時計塔を、袖先で指すと壬生を見る。
「そうだな、なら日暮れにここで、それまでは好きにしてろ。お前さんぼーっとしてるから気をつけろよ」
わしっと黒くつやりとした髪と、ふわふわとした赤灰色の髪をかき回すように撫でる。
「宿だとか、店通りはこっちの方だ、俺はここに行ってるから何かあったらここに来い」
門桜に案内地図を渡すと、エリアを差しこの辺りが見つけやすいと勧め、自分のいる場所を指差す。
「それじゃ私たちはこれで、行こうか戦鬼」
「あぁ…わかった」
「んじゃま、また夕暮れ時に」
手をあげる壬生に返事をするように頷くと教えられたエリアの方へ足を向けた。

「離れて行動してよかったのか?」
日も登りきり、昼時も過ぎたこともあってか、人もまばらな通りを歩きながら、戦鬼は壬生を気にするように尋ねる。
「いつも一緒にってほどわたしたちは自立してない訳じゃないからね、それに壬生向かう場所は鬼狩りの寄り合い所…どちらにせよ極力近寄らないほうがいい」
問題はないけど、もし万が一にでもって時周りが敵だらけの場所に2人はきついと首を振る。
そういうものなのか、と首をひねりながらも門桜が問題ないというならいいのかと頷けば、辺りを見回す。
「そういえば体はどう?」
「うーん…そこまでか」
前の街にいる時ほど、体に感じる違和感は少なく問題ないといえば、共に行動する時間があるから慣れてきてるのかなと、空牙の考え通りだとホッと息を吐く。
「少しでも、おかしくなったらいうんだよ?」
「分かってる、その時はすぐに言うから」
心配性な門桜に笑って頷くと、本当にと言うように疑いの目を向ける門桜の頭を撫でて、ふわりとした髪を堪能する。
「私の方がお兄さんなんだけど…」
撫でられると少し不満そうに声を上げる門桜に、すまないと再び眉尻を下げて笑えば手を引っ込めて歩みを進める。
「よっそこの兄ちゃんたち!小腹減ってないかい?それとも遅い昼の後かい?」
店の前を通り過ぎた時、店主から声をかけられる。2人は自分達のことだろうかと不思議そうに首を傾げて足を止めると、短く切られ跳ね上がる頭にタオルを巻いた、いかにもとい男が白い歯を見せ、手に乗せた皿を見せてくる。
「花饅頭!ここらの名産品だよ!良かったら食べねぇかい?うちのは食べ歩きに向いた大型さ!」
店主の言葉通り手の平大ほどの大きさはある、白く中心に花の乗った淡い桃色の丸く少し潰れた塊が、皿の上に乗っている。
「へぇ、リュウ食べてみる?」
「俺は……」
リュウと強調するように呼ばれたことで、ここでは偽名かと戦鬼は判断する。門桜が食えないだろうといいかけた口を閉じ、悩むように首をひねる。
「ふふっ、おじさんそれ2つお願い」
「まいど!400…あー石のがいいかい?360石だよ」
「うん、石のほうがいいね。換金してないから……ありがとう。はい360石」
「ほいよっ、熱いから気をつけなよ」
店主に代金を渡せば、二つの湯気の立つ饅頭が手渡される。一つを戦鬼に渡せば、店を後にした。
差し出された饅頭を受け取った戦鬼は、どうしてと言うように饅頭と門桜を見比べる。戦鬼が受け取ると、気にしなくてもいいのにと笑いながら、食べれる時に食べるのがいいよと食べることを促した。
「そうか…なら」
門桜の言葉に頷くと、貰った饅頭に齧り付く。噛むとふかふかとした、生地が潰れ花の匂いだろうかふわりと甘い香りが鼻を抜ける。少し食べ進むと中に少し独特な甘さの餡が詰まっていた。
「ん…甘いな……それに不思議風味がある」
「この辺りは花の国だけあって、砂糖の代わりに蜂蜜使ってるみたいだね」
すんっと鼻を鳴らして香る匂いに笑う門桜に、自分だけ食べてる事へ再び申し訳なさを感じて手が止まる。
「美味しくない?」
「いや、そういうわけでは……」
「あぁ、私か…大丈夫だよ。これ私も食べてみたかったから、鉄扇さんに届けておこうと思って」
今度行った時に作ってもらうからと笑うと、今一緒に味わえないのは残念だけど、後で思い出しながらまた食べようと首を傾ける。
「鉄扇さんの所のとりどりの料理の理由って…」
「うん、私」
目を細めて頷く門桜に、成る程と納得してから、残すのもとパクパクと食べ終える。
「なぁ、か…コンはそれじゃないと駄目なのか?」
マスクでなければ食べれるのではと、尋ねれば門桜は首を振る。
「口がちょっと怖がらせる形をしてるから…旅する上で不便なんだ。」
頬に触れるようにマスクを触ると苦笑いを浮かべる。いかにも人を食べるよみたいな口だからねと苦笑いを浮かべた。
「そうか……」
そんなに変なところはなかったような気がしたけどと、鉄扇の元でマスクを外した門桜の姿を思い出す。
そういえば確かに、歯は鋭かった気はすると首を捻ってからでもそれだけだったようなと再び反対に首を動かした。
「そりゃご飯食べるときはね、でも大きく口開けるとこの辺まで開くから」
頬骨あたりを指差して耳元まで口が開くことを暗に示せば、油断した時に開けちゃって色々詮索されるのは面倒でしょ?と笑う。
「でも、なら俺たちだけの時までつけてなくても」
「あー、それはまた別かな…言ったでしょ私も同じなの」
戦鬼の眼帯をしめすように自分の目元をとんとんと指して片目を閉じる。
その言葉にそうだったと、眉尻を下げれば別々にすればよかったのにと呟いた。

出店通りを抜けると、娯楽施設や宿が並ぶ。
温泉が栄える街だからだろう。あちこちの宿から湯気が立ち、道脇の水路からも湯気が登り、あたりは花と、立ち込める湯の香りに包まれていた。
「3人部ありますか?」
「3人はないねぇ…4人部屋ならあるけど…それでいいならあるよ」
こじんまりとした、安すぎるわけでもなく、あたりに連なる豪華な宿でもない場所を見つければ、中に入る。
店の従業員に声をかければ、ペラペラと台帳を見た、女性は首を振ってから提案する。
「値段は?」
「うちの都合だからねぇ、兄さんたちが問題ないんなら同額でいいよ」
提示された金額に頷いて、サラサラと出された紙に、壬生、鬼狩りと必要事項を記入していく。
「…落ち着かない、きつい」
書き終えて鍵を受け取った門桜の裾が軽く引かれると、戦鬼が小さく呟く。
「えっ、ちょっとまって…うっわ」
ぐらついた戦鬼が門桜にもたれかかり慌てて支える。驚いた店員が近寄ろうとすると手で制し、抱き支えるようにして示された部屋へ移動する。
「戦鬼、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫…大丈夫だが…」
腕がと小さく呟くと眉根を寄せて己の腕をきつく掴む。
「饅頭屋の時は平気だったのに…ここはダメ…反応する人間に差があるね…」
やっぱり、条件は人間以外と背中をさすりながら寝台に座らせると、腕の状態を確認するために袖をめくる。
腕は強く握った跡がくっきりと残り、触れた肌はひどく熱を持っていた。
宿を変えるべきかと、悩む門桜を戦鬼は強く抱きしめる。
「せっ戦鬼?…ちょっと…くるし」
驚いたように声を上げるも、ぐるぐるとなる喉に、とんとんと落ち着かせるように背中を叩きながら目を細めた。
「すこし、少しだけ……」
小さく呟く戦鬼に、笑うと背を撫で続ける。

「戦鬼、落ち着いた?」
日が傾きだした頃、静かに撫でていた門桜がゆっくりと声をかける。
「あぁ……そのすまない」
体を離すと大人しく背を撫でてくれていた門桜に、ばつが悪そうに呟く。門桜は首を振って、ゆっくりと離れた戦鬼の頭を撫でた。
「気にしないで、何か抱きしめてると落ち着くよね?私もよく師匠にくっついて愚図ってたから」
くすくすと笑いながら、まだ生まれたばかりみたいなものだから仕方ないよと、立ちあがる。
「それはそれでなんか、どうかと思う」
門桜の言葉に少し不服そうに声を上げた後、吊られるようにして笑うと、そろそろ約束の時間だなと窓の外を見て呟く。
「うん、ここで待っててもいいよ。どうせ壬生をここに連れてくるだけだし」
立ち上がろうとする戦鬼に、外出ればさっきの番頭に合うかもしれないしと呟くと、様子を伺うように戦鬼を見る。
「そうか……そうだな…部屋の中でおとなしくしてたほうがいいな」
門桜の言葉に頷くと一人で大丈夫かと聞きかけてから、俺の方が問題かと苦笑いを浮かべる。
その言葉に笑いながら、それじゃぁ迎えに行ってくると扉に向かう門桜の後を見送るためについて行く。
「大丈夫だとは思うけど、気をつけて」
「はいはい、戦鬼こそ、おとなしくお留守番しててね」
まるで子供に言い聞かせるように笑いながらいう門桜に、揶揄うなど膨れながらも、扉を出て行く門桜に軽く手を振った。

「そういえばこれまで、一人になった事ないな…」
あの水晶の中では確かに一人だったけどと、扉を見ながら呟き、しんと静まり返った部屋をゆっくりと見回す。特に何もないかと先ほどの変化を整理するかと腰を下ろして目を閉じた。
「俺は何に…こんな強く揺さぶられてるんだ…」
意識したわけではない、偶々向かいの寝台へ目を向けた。
「っ!おまえ…は…どこから」
目を見開いた先には、光の加減でキラキラと淡く虹色に輝く真っ白な髪を持つ娘が座っていた。静かにこちらに向ける瞳は色が定まらず光を受けきらめく。
どくんどくんと胸がきつく痛む。止まっていた心臓が動き出すかのように脈打つ。
よく似た顔、女、何故俺がこんな目に、憎い、ニくい、いタイ、クルシイ…
これまで、理解に苦しむ苦痛だったものに言葉が乗る。それは深い憎悪、どっと頭を体を支配する。
落ち着こう、落ち着こうと息を吐く。いつからそこにいた、そもそもどうやって、重なる視線をそらすこともできず、目を血走らせ動けないでいた。
ふと違和感にようやく視線を外す。それは、あまりにもはっきりと顔が見えている、娘の背には夕暮れの日が入り込み、本来ならその顔に陰を落とす。しかし、娘の顔に背から浴びる光の影はない。なにより、こちらに伸びてくるはずの、娘の影がなかった。
実在しないもの、そんな考えが頭をよぎる。
途端に心が落ち着く、波立っていた湖畔が鎮まるように、すぅと上っていた熱が冷えてくる。
「お前はなんだ、俺なのか?」
「我は汝、だが汝は我ではない」
静かに問えば思ったよりも掠れた声が出た。娘は静かにそう答えれば、静かに笑む。ぞわりと背筋に冷たいものが走る。娘の笑みには、ただ目が弧を描き、口角が上がるそれだけだった。

「ーーき!ーーーて!」
どれくらいその娘を見ていただろう、口を開こうとすると、唐突に視界が揺れる。どこか遠くで声がする、そして、そのまま部屋が遠くなる。
「戦鬼!大丈夫?」
「っ!あ……門桜…?」
「おー、目を覚ましたか…大丈夫か?」
パチリと目を開いた戦鬼を門桜と壬生が覗き込んでいた。何が起きたと目を瞬かせながら視線を巡らせて、窓を見れば日が落ち墨をたらしたような闇が広がっていた。
「寝てた…のか?」
「うん、正確には倒れてた。」
帰ってきたら倒れてるんだもんビックリしたよと、きょとんとする戦鬼に安堵の息を吐くと額を小突く。
「まったく、戻ってくるなり脅かしやがって…」
話を聞けば、二人が合流して宿に戻ってくると、部屋の中で戦鬼が苦しそうに倒れていたのだという。慌てて寝台に移動させ、一向に目を覚まさずうなされる戦鬼に、門桜が声をかけ続けていた。
どれくらい眠っていたのかと窓を見ると、すでに月が頂上まで登りきっていた。
「やっぱり、さっきのが原因なのかな…」
「さっき…?」
「うん、私が受付とやりとりしてるときに、少し、反応してたから。」
頷いてから、連れて行く方が問題だと思って残してたと説明を受ければ、深く息を吐き門桜と戦鬼を交互に見た。
「あぁ、そうだ!おれはさっきまで女…と……おれによく似た真っ白な妙な女と居たんだ」
あれは夢だったのかと突然戦鬼が声を上げる。
「戦鬼によく似た女の夢?」
「あぁ、そしたら、苦しいとか痛いとか…憎いとかいろんな俺の声が頭に響いてきた…それで…それでたしか……」
首をかしげる門桜と壬生に、ゆっくりと思い出しながら呟く。
「それでなんだ?」
続きを促すように壬生が問えば、戦鬼は眉を寄せてなんだったと呟く。
「そうだ…そいつに俺なのかって聞いた…そしたらそいつは俺だって…でも俺はそいつじゃないって返された」
「どういう事なんだろう」
「その女はこいつで、こいつはその女じゃない…?さっぱりわからんな」
なんでそんな質問したんだと言わんばかりの壬生に、軽く門桜が肘で小突いてから戦鬼へ視線を向ける。
「俺もなんでそんな事聞いたのかわからない…けど、聞かなきゃと思った」
首を振った戦鬼に、どんな夢だよと眉根を寄せ、呟く壬生とは対照的に、門桜は黙り込む。
「門桜…?」
「いや、うんちょっと待ってね…考えるから」
不思議そうに、名を呼べば静止するように手を戦鬼の前に突き出し、もう片手は自身の口元に手を当てて考え込む仕草をする。
しばらく、そのまま沈黙が流れれば、ゆっくりと門桜が顔を上げる。
「まだわからないし、確証は無いけど…それがもしかしたら戦鬼の本来の力なのかもしれない……もしくは、私達の知らない君を構成する第3の存在」
今回、何か条件が整った事で戦鬼はその力と対話することが出来たのかもと、戦鬼の目を見る。
「憎いのは人間?」
「いや……多分そうだけど…どうだろうか」
「じゃぁ、女?」
ぽつっと呟いた門桜の言葉に、戦鬼が目を見開きびくりと固まる。
壬生は質問の意図が掴めずなんだって、そんなピンポイントにと首を傾げてから、戦鬼の変化に眉を寄せる。
「これは、どういう」
「壬生、君が男で心底良かったと思うよ」
ふっと門桜が笑う。今日立ち寄った店の店主は男だった。彼に話しかけられた時の戦は普段通りであった。
それが宿屋で同じように店員とやりとりていただけだった受付けに関してはひどく反応を示した。
饅頭屋の店主のほうが、濃く会話もしていたと言うのに、反応したのは宿屋の方、会話の長さが原因では無い。戦鬼の死因には女ノ国が深く関わってる。だから人間ではなく人間の女に深く反応するのかもしれないと固まる戦鬼の背を撫でた。
「おいそりゃまずくねぇか?女なんてこの世の中わんさかいるぞ」
「すれ違うとかその程度だと平気なんだと思う、前の場所でもそうだけど少なくともこの通りを歩く間何度も女とはすれ違ってたけど、そこで戦鬼が反応はしなかった」
焦る壬生に対して、どちらにせよ急に襲う害のある方の反応では無いと首を振る。
「だとしても、だ、その都度気絶だの、今回みたいな状態だのになるのはまずくねぇか?」
「それもそうだね…何か対策は考えたほうがいい…出来れば無反応とまでいかなくても、ある程度克服出来ればいいけど…」
今後の力との接続次第だから、すぐになんとかできる訳でと無いとけどと言いながら、不安げに迷惑をかけてすまないと、落ち込む戦鬼の隣に腰掛ける。
「死因に直結する要因は、鬼になるほどの感情を募らせてる訳だからね…そう簡単にはいかない。むしろこの程度で済んでるならいい方だよ」
背中を優しくさすりながら、慰めるように声をかける。
そして、しばらくは不便だけど付き合ってもらうよと壬生を見れば、めんどくさいことに関わってしまったと言わんばかりに壬生は深く深くため息をついた。

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