ホントの気持ち

神娘

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39、溢れる涙

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名取side

空のことを理解できているつもりだったが、全然理解できていなかった。

無意識の発言が空を怖がらせてしまっていた。
風呂に行くのが少しでも遅れていたら、命も危なかったかもしれない。
空はずっと怯えながら生きてきたんだ。
それが日常だったんだ。
時間はかかると思うが、安心して過ごせるようにしたい。





ガラッ

「こんにちは、」

城崎先生が来てくれた。

「こんにちは、すみません、今空寝てて」

「いえ、大丈夫ですよ。熱あるんですよね。」

「朝よりは下がったんですが、平熱が低いのでまだしんどいかな」

「そうですか…」

「まぁ寝たら良くなりますよ。」




俺はベッドに座り、城崎先生にはイスに座ってもらった。

城崎先生には退院してからも色々とお世話になるため、
空の体調や気持ちを知っておいてほしいと思い、
今日あった風呂でのできごとを伝えた。

「それって家でそういうことをされてたってことですか?」

「空がそう言ったわけではないですが、おそらく家でされていたのだと思います。」

「………」

城崎先生は眉間に皺を寄せ、拳に力を込め気持ちを抑えていた。

「城崎先生が怒るのも分かります。
正直俺も空の話を聞いてあの父親に対して殺意が湧きました。
医者がそんなこと思ってはいけないんだろうけど、空が苦しんでる姿を見てここまで傷付けたあの父親が許せないです。」

ふつふつとあの父親への怒りが湧き出ていた。


「早く辛かった過去を忘れさせてあげたい。」
城崎先生が共感してくれた。

「そうですね、今自分たちができることをしましょう。」

っ!!

急に城崎先生が抱きしめてきた。

「ど、どうしたんですか?」

「辛い顔してたから、
夕紀が苦しんでる姿見るの辛いですよね。
名取先生は、俺や神山より夕紀と長い時間一緒にいるから。辛いですよね。
全部1人で背負わないでください。
たまには弱音吐いて良いですよ。
先生が頑張ってるの知ってますから。」

城崎先生は抱きしめ頭を撫でてくれていた。
こんな事されたの何時ぶりだろう。
空にする事はあってもされることはなかった。
こんなに安心するんだ。
気付けばボロボロ涙が落ちていた。

「泣いて良いですよ。」

「でも、空がいるから」

「大丈夫、気持ち良さそうに寝てるのでちょっと泣いたくらいでは起きないですよ。大丈夫、大丈夫、」

今まで空を守らなきゃって、これ以上辛い思いさせたくないって気を張っていたせいか1度ストッパーが外れると、子どものように泣き崩れてしまった。

城崎先生は俺が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた。



「大丈夫ですか?」

「すみません、ありがとうございます。」

「いいえー、目腫れちゃうかな~」

城崎先生は俺の涙を拭いながら言った。

「ちょっと待っててください。
蒸しタオル持ってきます。」

「そのくらい自分で取ってきますっ」

「夕紀が起きた時、名取先生がいないと不安になっちゃうでしょ、すぐ戻るんで待っててください。」

そう言われ、待つことにした。

城崎先生が持ってきてくれた蒸しタオルを目に当て空のベッドに横になった。

ずっと城崎先生は頭を撫でてくれていた。
撫でられるのってこんなに安心するんだ。
知らなかった……
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