上 下
91 / 677

91、歯磨き 奏side

しおりを挟む
「起きよっか、」

「うん、」

布団を出て一緒に部屋を出る。

洗面所…苦手な場所…
でもそれは斗真さんは分かってくれてて、顔を洗うためにタオルを濡らしてくれて歯を磨くためにコップに水を入れてくれる。

顔を拭いたら歯を磨く、
水はコップに入れてくれてるからそこまでは怖くない…けど、歯ブラシを口に入れるのが怖くてなかなか口を開けない。

それでも斗真さんは嫌な顔一つせず待ってくれる。
申し訳なくて急ごうって思うけど体は思い通りには動いてくれない。

やっと磨けたのは10分ほど経ってからだった。

「頑張ったね。」
頭を優しく撫でてもらって怖かった気持ちが消えていく。

それでも、斗真さんを待たせてしまった罪悪感は残ったまま。

「おいで、」
目の前にしゃがんで両手を広げた斗真さんに抱きしめてもらう。

「どうした?歯磨きちゃんとできてたよ。」

背中を優しく撫でてくれる。

「おそい…」

「歯磨き?」

「うん…斗真さん待たせちゃう…ごめんなさい…」

「俺は奏くんが頑張って歯磨きしようとしてくれてるだけで嬉しいよ、ゆっくりでいい。パニックならずに自分で気持ち落ち着かせてからできるようになったのはすごい成長なんだよ。
俺のことは気にしなくて大丈夫。」

「うん…」

成長…ちゃんとできてる…
斗真さんがちゃんと見てくれてたことが嬉しい。

もっと斗真さんに褒めてほしい。
もっと頑張る。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:171,153pt お気に入り:7,831

乙女ゲーム関連 短編集

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,640pt お気に入り:155

美しい弟

BL / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:14

ホラー小説のお話

ホラー / 連載中 24h.ポイント:15,719pt お気に入り:3

【完結】私がいなくなれば、あなたにも わかるでしょう

nao
恋愛 / 完結 24h.ポイント:15,511pt お気に入り:938

あまり貞操観念ないけど別に良いよね?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,179pt お気に入り:2

処理中です...