11 / 123
🍸10話.消耗品🍾
しおりを挟む「ハルくん、好き」
「·····」
夢の中で見た記憶。
今、その時と変わらず、それどころかもっと燃え上がった想いを告げる。
「好きなの·····」
適当に会話を繋ぎながらアルコールを流し込む。
オーバーなリアクション、身にまとったブルガリの香り。
少し視線を流せば、それだけで客を魅了するには十分だ。身に付けたアクセサリーやこの声さえ、華やかなネオンの主役となる。
このエンターテインメント街で最も価値のある男こそ、この自分である。
酔った鼓膜に歓楽街の騒音が心地良い。
今宵も愉快で退屈な時間を謳歌するかと思っていた。
迷い込んだカモは金のガチョウだった。
(別に金なんて腐るほどある。ただ、アイツがアホみたいに必死こいて、勧めるままシャンパン開けるのが愉快で面白かった)
気弱で反抗しないし、妊娠しなくていい。
ストレス発散にも、性欲処理にも最適の道具を見つけた。
しかしひとつ、妙な点があった。
それはとても些細で、気にするにも値しないほどのものだった気がする。
「こいつ、俺のATMだから」
それほどの価値だと知らしめたくなった。
崇拝するように従って、真逆に貪欲に求めたりする。
ミチルの中で余程自分は神のように見えるのか、最早神を自分だと思ってるのか。
男のくせに何から何までキモチワルイ奴だ。
わざと卓に行くのを遅らせたりもした。
完全な気まぐれだ。
なぜだったか。
考えたって、それがいつからか分からない。
なんだか癪に障るのだ。
セックスは淡々と終わらせて帰る。ナカに注ぎ込む時は満たされるが、すぐにまた消化不良の嫌な感じが残る。
奥を殴りつけるように犯してやりたい。
奥だけではない。何かで縛りあげて、この手で叩いて、噛み付いたり焦らしたりして、従順で物静かに泣くこいつを、もっと酷く、跡形もなくぐちゃぐちゃにしてやっていいと思う。
何かあるだろうか?
多分何も残らないだろう。
色恋や酒の回りは朝になれば消えて、日が落ちればまた別の誘惑を連れてくる。
(消耗品だ)
「好きなの·····」
何度だって聞いた浅い言葉がこちらを苛立たせる。
臆病なピンクの瞳がこちらを見つめようとしてくる。
それで────。
「ねぇミチル」
他の男の香水の匂いがする。
「もうココ来ないでよ」
返答などわかりきってて突き放す。
こいつの絶対は俺で、無しでは生きていけない。
「つか来んな」
なんなら泣けばいい。
ホストにハマって醜態を晒す惨めで痛い客、それだけだ。
「ぁ」
小さな唇はよく分からない音を残したきり無音になった。
いつもならば、必死になってこちらの気を引こうとする全ての行動が、今は全く動作しない。
直径たった1メートルの空間を、カラリと冷たい音が響いた。
それを合図に、相手の糸が解けたようだった。
「いや」
女より高い声だと思う。
「い、いや、なんで·····ハルく·····ハルくん」
それが震えて鈴みたいだ。
嫌だとかごめんとかなんでとか、よく分からない単語をぐちゃぐちゃに並べて細い指が伸びてくる。
最近こういうのが足りてなかった気がする。
こいつは這いつくばってでも求めるべきだった。
間違っても、この俺の前で他の男の香水を匂わせる身分では無い。
58
あなたにおすすめの小説
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しております
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる