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🍸42.チョコレート🍾
しおりを挟む彼の腕に縋り付いた手は、必然のように握り返された。
数秒の沈黙のあと、ミチルは慌てて言葉を紡ぐ。
「ぁ、ありがとう、ございました」
「君·····」
サングラスの向こうで鋭い眼差しが見開かれて、目いっぱいこちらを凝視してる。
エキゾチックな雰囲気もある美男だ。
吸い込まれそうになる。
「·····良ければ、少し付き合ってくれないか?」
一緒に飲もうという誘いを断ることは出来なかった。
客の残っている卓はまばらで、隠れ蓑がない。
おまけに恩人だ。
臆病なくせに理由を見つけて彼の卓へ着いて行った。
「何がいい?」
彼が勧めるのに甘んじてカシオレを頼んだら、何故かクスリと笑われた。
キミを指名したつもりだったと言う。シャンパンとか、洒落たものとか、高い酒を頼めばよかったのか?全然分からない。
「ごめんね。何でもいいんだよ」
セクシーな口の端が引き上がって、白い歯が零れるのだ。
誰が見てもため息を漏らさずにはいられないだろう。
「その様子だと、入店したばかり?」
「は、はい·····あ·····」
宅に着いたら一番にしなければならない、自己紹介を忘れていた。
源氏名を告げたら、彼は自分をレイとだけ名乗った。
「名刺をもらえる?」
「あ、名刺は、まだ·····作っていなくて·····」
「そう」
責める様子もない。
丁度レイの背後から15メートル程先、バックヤードの方がなにやらざわめいている気がする。
なんだろう。
通路のミカさんはバツが悪そうにこちらをチラと見やる。レイのことなら、とにもかくにも騒がれるほどの美形ではあるが、それにしては妙な雰囲気だ。
「!」
運ばれてきたカシスオレンジにはしっかりアルコールが入っていた。
喉が渇いていて一気に口に入れたからむせかけて、慌てて飲み込む。
(やっちゃった)
空きっ腹に酒はマズイのだ。
そろそろ呼び出しが入ってもいいはずなのに、名前は呼ばれない。
相手が残った酒を飲み干して同じのを追加する。
横顔をみながらしっかりしようと思った矢先、視界が少し歪む。
追記で、体に合わない酒だったようだ。
(あし、すごく長い·····)
スラリとした太ももをぼーっとみていた。
「甘いほうが好き?」
半分聞いてなかった。
酔っ払ってるって、自分ではわかってるのだ。気をつけようと思っても、意識が離れてしまう。
頷いたら大きな手に手を取られた。
「酔い覚まし」
チョコレートだ。
「ありがとう·····」
「どういたしまして」
血中濃度が上がって副交感神経が有利になる。リラックスするのに、胸は駆け足なのが特徴だ。
半ば夢の中みたいな心地になる。
「レイさん、ほかの人を·····呼んだ方がいいです」
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