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🍸69.ルビーチョコ🍾
しおりを挟むノンデリ男だ。
「よっぽど気に入られたんですね」
ウィッグを外したら、彼は目の前に跪いて、今度はこっちのヒールを脱がせてくる。
自分でやるって言ってるのに、チョコがついたら汚いとまた嫌なことを言われた。
「貰ったものなんでも口にするんすか」
「はい?」
「甘いものくれる男なら誰でもいいんすか?」
なんか、言い回しが嫌だ。
甘いものに罪は無いだろう。
今日はよく話す黒服は、何が言いたいんだろうか。
「·····」
「·····?」
「さっきなんで笑ったんですか」
「·····??」
それ、今の話となにか関係あったのか?
意味がわからない。
とりあえず疲れたし、眠たい。車を出るために彼を越えようとしたら、つまずいて前のめりに身体が傾いた。
抱きとめた男の場所が悪かった。
下腹に顔面が激突して、おしりを抱えられたのだ。
「ふぁぁぁ」
「うるさい」
ソファに座り直させられる。
時刻は深夜23時半だ。
たしかに、近所迷惑だった。
「あ、あの、ごめん·····」
嫌味なことばっかり言われたことは置いておいて、彼に激突してしまったのと、抱きとめてくれたのも含めて謝ったら、
「そのチョコ食べるのやめた方がいいですよ。細身なのに意外と体脂肪率高そうだ、とくに尻」
と。
余計なお世話だ、コノヤロウ。
しかも、身体がぷにぷにしてるのは、密かに気にしていたことなのに。
「·····太られても困るんで、明日べつの買ってきますよ。どんな金持ちの客か知りませんが、明らか脂肪率高いそっちのは、事務所とかに置いて·····」
「へんたい、嫌い」
「はぁ?」
とうとうガン無視して家に入る。
日に日にノンデリで口が悪くなってる。
シンヤなんてチョコの代わりに犬のウ〇チでも食べたらいいのだ。
家の中は暗かった。
誰もいないらしい。
初日以外は誰かと鉢合わせたことがない。ほっと息をついて、廊下を進む。
シンヤのせいで終わりは微妙だったが、今日は多分、素敵な一日だった。
まだまとまった訳では無いが、自分の中でも、想いに区切りをつけることができそうだと思った。
心機一転。
また明日から───。
「どこの売女が転がり込んだかと思ったら」
「·····!」
背後から聞こえてきた声に慌てて振り返る。
ハスキーな低音。
そこにいた人物に、紙袋を握りしめる。
「ハルくん·····」
「は、何そのカッコ」
乾いた笑みをこぼして、彼は壁によりかかった。
白いシャツにスラックス姿で、紫の髪は少し濡れている。
シャワーを浴びたのだろうか?
ちゃんと拭かないと風邪をひいてしまうかもしれないのに。
心配になるけれど、きっと要らないお節介だと、鬱陶しがられる。
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