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🍸78.矛盾🍾
しおりを挟む「ハルキってお水ちゃんの事」
続きを聞く前に相手は部屋を出ていってしまう。
『ジャマ』
ジャマをしたのはハルキの方だ。
これみよがしに牽制して、ミチルをソファから引き剥がした時、鋭い視線は確かにこちらを見ていた。
「お水ちゃんの事が~·····」
つぶやきを繰り返して、部屋に残された男はふっと笑う。
好きな子をいじめる小学生とは訳が違う。
他に取られるなら、食い殺してしまおう。そんな目をしていた。
ちょっと困った。
長い指がテーブルを叩く。
だって、諦めるには惜しい。せっかく楽しくなってきた。
それなのに。
「·····?」
唇をさすっていた手が止まる。
胸の奥で、小さく蟠っている消化不良。
このムカつきは、なんだろうか?
泣きそうな顔を最後に、ミチルは踵を返していった。
自分の性癖に刺さる泣顔をしてる。だからもっと傷つけて、惨めになるなら何が理由でも構わない、その筈だ。
(なんだ?)
『お水ちゃん、膝くる?(笑)』
咄嗟にでた、いつもの軽口。
本当はもっと別のことを言った方が楽しかった。
───けれど泣きそうだったから。
「おかしくね?」
かすれ声は誰にともなく呟く。
分からないことは考えるのをやめて、胸ポケットのタバコを取り出す。
昨夜ぶりなのに、味はよく分からなかった。
「ね~ミチルちゃん」
廊下を進んで名前を呼んでみる。
なんだか家に住み着いたノラネコを探してる気分だ。
そもそも、ミチルって名前が猫みたいだ。ビビりなところも猫っぽい。
「隠れんぼかな~」
夜の仕事でいちばん面倒なのは、色恋に溺れてる女。
そっとしとく否ほっとくのが一番だ。
どうしたの、話聞こうか、なんて、B級の男どもがやっとけばいい。
関わったって埒が明かない。イライラしてぶん殴りたくなる。
何よりモットーの「楽しければおっけー」が全く通用しない。
無価値。
何よりも嫌いだ。
「さっきのはさぁ、ハルキが悪いよね」
じゃあなんでミチルが気になるんだ?
先のことなんてわかってるじゃないか。
「·····お水ちゃん」
ベットが少し盛りあがってる。
ほら、やっぱり泣いてる。
面倒くさい。血迷ってここまで来たが、知らないフリして戻ろう。
そう思った矢先だった。
ポンッ。
響いたのは、某ネットショップの購入音。
ベットからほくほくした表情が顔を出して、こっちに気がついてまた引っこもうとする。
「待って待って」
思わず羽毛を取り上げてスマホをのぞき込む。
さっき見た、11月発売の情報誌。ハルキが表紙のアレだ。
「10部??」
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