79 / 217
〖77〗気がかり
しおりを挟む一体どんな変装をするのだろう。
彼なら、どんな格好をしても様になってしまうに違いない。シオンの興味津々な様子に、リヒトは黄金色の瞳を細めた。
「リアムがそんなに気になるか?」
「?」
伸びてきた腕が両腰に添えられる。シオンは簡単に持ち上げられて、膝の上に乗せられた。
「俺に抱かれても尚他の男を想う奴は初めてだ」
耳元で囁かれた声に、同じ男であるはずなのに、ドキリと鼓動が跳ねる。
「あっ」
こめかみに吸いつかれた。続いて首筋へとリップ音を落とされ、反対側も同じようにされる。
シオンは慌てて彼の胸元を押した。
「い、ま、女装してない…」
自分は男だ。
こんなことをする必要はない。戸惑って彼を見上げると、彼は釈然としない顔でこちらを見下ろしていた。
釈然、というには大袈裟かもしれない。
不意をつかれたような視線は一瞬だった。彼の顔が、再び首元へとうずめられる。
「…っひ…」
ヂュ、と、濁ったリップ音と共に、甘い痛みが襲った。
「あいつなら、コロシアムにいる間は黒髪に変装してる」
熱い唇から吐息が漏れる。
「ひゃん」
シオンは慌てて口元をおさえた。
変な雰囲気だ。
耐えきれず、彼の膝の上から降りようとする。
しかし、相手はそれを許してはくれなかった。
「…へっ?」
先程痛みを感じた首元へ舌が這われる。体制を崩したシオンの腰は、リヒトに支えられた。
「他には聞かなくていいのか?」
「·····──んっ」
舐めるように唇を塞がれる。後退ると、片方の手で後頭部を固定された。
「ん、んぅ…っ」
柔らかな舌が優しく口内を犯す。味わうようなキスにはふはふと息をし、身体からは力が抜けてゆく。
腰を支えていた手はいつの間にか背に伸び、シャツをまさぐりながら脇を撫で、上へと上がっていった。
不意に、指の腹が胸の突起の周りを優しく撫でる。
「ひゃう…っん…ふ…♡」
ゾクゾクと痺れるような快感が襲う。
長い指は執拗に乳頭の周りだけを撫で続けた。
もどかしくて、身体をくねらせる。気持ちが良くて、頭がぼんやりしてくる。
シャツをめくりあげられると、突起は触れられてもいないのに、ぴんと腫れ上がっていた。
「んぅ·······♡」
シオンは1度離された唇から逃げるように俯いた。
掬われるように、触れるだけのキスを落とされる。
「恥ずかしいのか?」
彼は愉快そうな余裕之ある笑みを浮かべていた。
「ん?」
先程まで自分と深く口付けていた唇だ。シオンはキュッと唇を閉じた。
リアムの変装についてもっと聞きたかったのに、聞けなくなってしまった。
リヒトが服の下からそっと手を引く。
「あっ…」
「·····」
1
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる