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しおりを挟むこの世界にはあまりにも似つかない。
初めは、面白いおもちゃみたいな、普段とは違う珍しい遊びの道具みたいに思っていた。
そして、興味は疑問へと変わり、今では謎のさざめきを生み出している。
エルとの行為は、今までにないほど唆るものだった。
しかし、さざめきは不完全燃焼だ。
何かが満たされない。壊したいような欲求に似て、少し違うものだった。
(──自分の運命を生きる?)
テイラーは、視線の端で背後の扉を振り返った。
そして、すぐに首を振る。
戯言だ。
主の客人──否、お気に入り。
深入りすることは許されない存在。
釈然としない気分を、かぶりを振るのと同時に消し去る。
こんなにつまらなくて中途半端な思いは、初めての事だった。
(何故だ?)
「欲しいっすね」
「·····は?」
「ああ、いや」
バレンは含み笑いと共に、窓の向こうを眺める。
この顔をしている時は、ろくなことを考えていない。
「変な気を起こすなよ」
「まさか」
テイラーの警告に、バレンは軽く首を振った。
冷静沈着なテイラーと、陽気なバレン。
狂人にもいくつかの種類がある。顔こそそっくりなものの、二人の男の性格は似ても似つかないのだ。
テイラーは、バレンの考えを見据えたように、彼を睨み返した。
「ただ、心配してるんですよ」
バレンがテイラーを抜かし、先を歩き出す。
ピタリと立ち止まった彼は、背後を振り返らぬまま呟いた。
「人の気持ちまでは、必ずしも思いどおりになるとは限りませんから」
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