骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

２章

65話

「敵軍は食料確保の部隊含めて後2000位かな」

一朗は焼け野原になったモンスターの陣営を観察する。

先程火災で相手の士気が落ちると思われたが、上位種が残っているせいか敵軍は本日も門に向かって攻撃を行っていた。

攻撃に参加しているモンスターは既に負傷しているモンスターしかもいつもの倍の数である。

「あれは口減らしの捨て駒か囮ですね」

一朗は門戦況だけでなく戦場全体を索敵すると気になる部隊を見つけた。

門の戦闘そっちのけで海岸付近に移動する部隊を見付けた。

その部隊は全て軽装である。

嫌な予感がする。

次の瞬間モンスターの部隊が海に飛び込み始めた。

一朗は船着場に続く外壁の上を走る。

以前防衛の穴を指摘し鉄条網を設置しておいたがまだ試験運用をしていない為、どの位効果があるか分からない。

奇襲を仕掛けた部隊はオークとゴブリンの混成隊。

突破され街の奥深くに侵入されれば非戦闘民の多い船着き場近くは多大な被害を被る。

また一度街に侵入されれば敵軍の指揮も高くなる可能性がある為必ず防がなければならない。


一朗は久しぶりの激しい運動に肩で息をしながら船着場の降りる階段まで移動した。

鳥の索敵では見たところ奇襲部隊はざっと見て200侵入を成功させるわけにはいかない。

「これからモンスターが海を渡ってきます。近隣の住民に避難を呼びかけてください。

私も防衛に参加します」

一郎は船着場の警備していた兵に連絡し守備陣形を作る為、マジックバッグから骨の山を作りスケルトンゴブリンを召喚する。

外壁の先端には弓を持たせたスケルトンゴブリン50体ほど配置して射撃をしているのだが波の影響で効果が薄い。

幸いなことに鉄条網の効果で敵の進行速度が遅れている。

海が所々血の色で染まっていった。

「効果が高くて助かった。しかしこのままだと突破されるのも時間の問題ですね。次の一手を行いますか…」

迫り来るモンスターの手段の前方に、一郎は外壁からブラックスケルトンを召喚し海にダイブさせた。

体重の重いブラックスケルトンは大きな水柱を立たせ沈むそして矢から逃れる為に海中に潜っていたモンスターを掴み振り回すことにより、水中にいたモンスターを次々と溺死させていった。

上からは矢の雨が、海中にはブラックスケルトンが大暴れしている。

そして移動しようにも鉄条網が行く手を阻み、棘で負傷して血が流血し体力を奪われる。

モンスター達は動きと呼吸が制限される中

奇跡的に船着場についたモンスターはすでに所々を負傷し疲労困憊で足どりもおぼつかない。

そこに容赦なくブラッドスケルトンが複数で迎え撃つ。

防衛にあたっていた兵は参戦する機会を失い苦笑いしている。

船着場の波打ち際は血で染まりモンスターが流れ着く地獄化していた。

進行してきたモンスターの反応が半分を切り逃走をはかる敵兵も出始めたが、逃げ道にブラックスケルトンを落とし塞ぐ。

こうしてモンスターの奇襲は失敗に終わり無数の屍が海に漂うのであった。