骸の王~異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

パブロフ

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3章

93話

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お詫びもかけた宴が無事に終わり、一郎は盆地の開拓作業を始める。

まず取り急ぎ必要なものは輸送路の構築である。

魅力的な地形であり、今後の発展は十分見込まれるのだが、他の街への移動手段は現在一郎の骨のドラゴンを用いた空からの移動のみである。

このまま鎖国の様な状態ではセントロイスの民を救うどころか人が住むことすらままならない。

一郎は1ヶ月をかけて一郎は骸の軍団を用いて輸送路構築を行う。

盆地からセントフリー南の砦をつなぐ道は草を刈り石を取りぞき平らにした簡単な道である。

幅は馬車が2台ほど通れる幅にした。

砦から盆地周辺の森までの道は順調に工事を進めることができたが、盆地周辺の森に入ってから苦労した。

モンスターの夜襲が頻発したのである。

一郎が寝ている夜中はスケルトンの兵の行動は単調な動きでしかなくそこを狙われたのである。

奇襲をかけられ作業をおこなっていたスケルトンの部隊は何度も壊滅していた。

一郎自身は生身の人間である為、四六時中指揮をすることは出来ない。

材料となる骸は幸いなことに湖の主が残した大量の骨がある為、半ば強引に作業を進めていく。

また盆地の森の中の植物は巨大な広葉樹が多く、作業をより困難なものにした。

距離的には全行程の1/3程度の距離なのに苦難の連続であった。

自然の城壁といえば聞こえは良いが今後の国の発展の為には解決しなければならない。

ジェノサイドの傭兵団が盆地防衛の為に通ることになったのだが、曲がりくねる視界の悪い薄暗い森の中では、彼らの騎兵の機動力は生かせず、一郎の広域索敵で事前にモンスターの位置がわからなければ、死者が出たかもしれない。

「ふーようやく道はできましたが、しばらくは使えなさそうですね」

「そうだな。一郎の広域索敵とうちらの傭兵団でも苦労するのは問題だな。
俺らの当面の仕事は森の獰猛なモンスターの間引きだな」

片道を通っただけで負傷者が続出した。

実力のある傭兵団でさえこれである。今のままの状態ではとても行商が発展するとは思えない。

「限られたスペースでの戦い方を考えないといけませんね」

エレナも今後の対策に色々と戦術を考えている様だった。

その後ジェノサイドには当面、盆地の仮設テントを拠点に盆地周辺のモンスター退治を行う方針になった。

それまで物資の運搬は主に一郎の骨のドラゴン頼りである。

一郎は仮設テントの一室で遠距離指揮とアンデッド召喚でジェノサイドの索敵支援と囮の骸の兵を用いて支援する傍ら、余った兵力で盆地内の整地を行なっていた。

「一郎さん今いいですか?」

「ジャンヌ女王ではないですか?どうかしましたか?」

ジャンヌ派の解放軍は道の開拓が始まる時に盆地に拠点を移し、様々な農作物を植え今後の国を成り立たせる為に農業を中心に活動していた。

「今まで通りでお願いします。名ばかりの国の長なので…
例の場所に来て頂いてもよろしいですか?」

作物の育ちは概ね良好セントロイスの畑と異なり農作物の成長速度が早いとのことであった。

特殊な環境のせいかもしれない。

そして一郎が持ち込んだ食材が環境に適していた。

「あぁ懐かしい光景ですねしかし成長早すぎませんか?私のいたところでは年に1回しか収穫できないのですが…」

「そうなのですか?私達はてっきり成長の早い植物なので進めたのかと思ってました」

目の前には金色の稲穂をたれ下げた光景が広がっていた。
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