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〈番外編〉3 王都でのその後……アルフ視点
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「ドニー!」
ドニーの職場である庭に出ると、仕事仲間だろう若い庭師とドニーが全身びしょ濡れで笑い合い、楽しそうに一緒に噴水の掃除をしていた。
何をニコニコとしてんだ、あいつは!
良くも悪くも人懐っこいドニーは、すぐに誰とでも打ち解けてしまう。良い事なんだが、俺としては内心面白くない事もある。こういう場面を目にした時とかな!
「あれ? アルフ、どうした?」
「お、お前っ、またっ!! な、な」
俺の呼びかけに振り向いたドニーの服はピッタリと肌に張り付き、薄っすらと胸の突起が透け、細く引締まった腰から最近丸みをおび始めた尻への曲線がハッキリ浮かび上がり、尻の割れ目すら分かる程にズボンが……
破廉恥過ぎんだろうがぁ!!!
塗れた髪から滴る水が鎖骨を流れていく様は舐めとって吸い付きたくなる程艶めかしくて、握ったデッキブラシすら卑猥に見える。
「今度、坊ちゃんが御学友を集めて水遊びをしたい、とご所望らしくって今洗ってんだけど。もしかして何かあったか?」
「大ありだ! なんて格好で、おまッ、おまッッ!! こんなあられもない姿を他の男の前で晒すんじゃねぇ!」
着ていたジャケットを脱いでドニーの肩から掛けるが、もう既に一緒に掃除をしていた男には散々ドニーの艶っぽい姿を見られたはずだ。
くそ! 俺が慈しみ育てたせいでぷっくり実った乳首が、濡れたシャツ越しに浮かび上がるのがこんなに蠱惑的だとは……それを、他の男が舐め回す様に見ていたかと思うと、はらわたが煮えくり返りそうだ。
今すぐ俺を挑発する魅惑の実にむしゃぶりついて摘まみ上げたい衝動をグッと抑えて、ドニーの痴態を見ていただろう男を睨み付ける。途端にビクッと肩を揺らした男が必死に首をふるが、俺は許すつもりは無いぞ。
「止めろアルフ! ベアネ先輩はなんも悪く無ぇだろうが! てか、仕事の邪魔すんじゃねぇよ。ほら、用がねぇなら戻れ戻れ」
「ちょっ、ドニー! せめて隠せ!! それは駄目だ!」
「誰も彼もが、てめぇみてぇに頭湧いて無ぇんだよ!」
男を睨む俺を無理矢理引きずって家屋内へと戻そうするドニーへせめて、と、食い下がるがどこまでも鈍感なドニーに素気無く切り捨てられる。
分かってねぇなぁ! お前のそういう無自覚な行動のせいで俺以外にも頭湧いちまう奴は出て来んだよ!
これは絶対にいる……旦那様の言う様にドニーは真面目で勤勉だ。それに加えてこんなに可愛くって魅惑的なのが知られてしまったら、確実にドニーを狙う輩が後を絶たないに決まってる!
仕事の手を止めさせるのも邪魔をするのも本意では無いが、だからといってこんな姿のドニーをこのままにしてトチ狂った奴に襲われたら大変だ。ここは多少文句を言われても着替えに行かせるか……
「おい――」
「お前、俺にかまってばっかいねぇで早く仕事に戻れ、俺も忙しいんだよ。だから……今日はお前のジャケット借りたまま仕事すっから、それで良いだろ? な?」
肩に掛けた俺のジャケットに腕を通して、首を傾げながら聞いて来るドニーの姿にグッと喉がなる。
サイズの合っていないブカブカのジャケットにドニーは少し不満そうにしつつもその場でクルリと回って見せる。
俺と比べたら身長も体格も小柄なドニーが着れば、確かに透けた胸も露わになった尻も隠れる、が……俺の服を身に着け、まるで俺の所有だと言わんばかりの姿で仕事を続けると? しかも、良く見ると服が肌に張り付いたせいで、今も尚、付けてくれている俺が辺境の地でドニーに一番最初に贈ったネックレスも浮かび上がっていて……めちゃくちゃ俺色で最高か?
「文句無いな? 無いよな? じゃ、お仕事頑張って、いってらっしゃーい」
破壊力バツグンなドニーの姿に目を奪われている内に裏口近くまで引きずり戻された俺は、手を振るドニーに見送られながら屋内に戻った。
ジャケットを着ず、ワイシャツにベストのみの俺に他の執事やメイドが不思議がり訝しがられたが、今もドニーが俺のジャケットを着たまま過ごしていると思うと、そんな些細な事は気にもならない。
兎に角、あんな無防備なドニーを放っておく事は出来ない。俺という存在をしっかりと周りにも知らしめないと……その為にもやはり……
『お前の為だけのフラグを掴み取って回収しろよ』と、ドニーが言っていた言葉を思い出す。
うん、そうだな。早く結婚しよう。
ドニーとの結婚、ドニーが新妻、という甘い蠱惑的な言葉に俺の顔は、旦那様に大笑いで指摘されるまで、その日は終始緩みっぱなしだった。
「面白い位に慌てふためいた謝罪の手紙が辺境伯から届いたよ。それと、これは君達への結婚祝の品だそうだ。折角だから受け取っておきなさい。さて、私も君達へ結婚の品を用意したいんだが、いつ頃用意したら良いのかな?」
後日、執務室へ呼ばれた俺は何冊もの商品目録に目を通している旦那様から、実に楽し気に聞かれていた。
外堀はどんどん埋められて、俺とドニーの結婚が現実味を帯びて来る。
この事をドニーが知ったら、また、「てんめぇ、馬鹿じゃねぇの!? いい加減にしろよ!!」って怒って来るかもなぁ。
それでも、いつもみたいに怒りながらも「しょうがねぇなぁ……」って、俺がドニーの横にいる事を甘受してくれるだろうか?
その時のドニーの反応が、怖いようで楽しみでもある。
雲一つ無い晴天の庭の中心で跪き。ドニーへ永遠の愛を誓うまで、後十日。
ドニーの職場である庭に出ると、仕事仲間だろう若い庭師とドニーが全身びしょ濡れで笑い合い、楽しそうに一緒に噴水の掃除をしていた。
何をニコニコとしてんだ、あいつは!
良くも悪くも人懐っこいドニーは、すぐに誰とでも打ち解けてしまう。良い事なんだが、俺としては内心面白くない事もある。こういう場面を目にした時とかな!
「あれ? アルフ、どうした?」
「お、お前っ、またっ!! な、な」
俺の呼びかけに振り向いたドニーの服はピッタリと肌に張り付き、薄っすらと胸の突起が透け、細く引締まった腰から最近丸みをおび始めた尻への曲線がハッキリ浮かび上がり、尻の割れ目すら分かる程にズボンが……
破廉恥過ぎんだろうがぁ!!!
塗れた髪から滴る水が鎖骨を流れていく様は舐めとって吸い付きたくなる程艶めかしくて、握ったデッキブラシすら卑猥に見える。
「今度、坊ちゃんが御学友を集めて水遊びをしたい、とご所望らしくって今洗ってんだけど。もしかして何かあったか?」
「大ありだ! なんて格好で、おまッ、おまッッ!! こんなあられもない姿を他の男の前で晒すんじゃねぇ!」
着ていたジャケットを脱いでドニーの肩から掛けるが、もう既に一緒に掃除をしていた男には散々ドニーの艶っぽい姿を見られたはずだ。
くそ! 俺が慈しみ育てたせいでぷっくり実った乳首が、濡れたシャツ越しに浮かび上がるのがこんなに蠱惑的だとは……それを、他の男が舐め回す様に見ていたかと思うと、はらわたが煮えくり返りそうだ。
今すぐ俺を挑発する魅惑の実にむしゃぶりついて摘まみ上げたい衝動をグッと抑えて、ドニーの痴態を見ていただろう男を睨み付ける。途端にビクッと肩を揺らした男が必死に首をふるが、俺は許すつもりは無いぞ。
「止めろアルフ! ベアネ先輩はなんも悪く無ぇだろうが! てか、仕事の邪魔すんじゃねぇよ。ほら、用がねぇなら戻れ戻れ」
「ちょっ、ドニー! せめて隠せ!! それは駄目だ!」
「誰も彼もが、てめぇみてぇに頭湧いて無ぇんだよ!」
男を睨む俺を無理矢理引きずって家屋内へと戻そうするドニーへせめて、と、食い下がるがどこまでも鈍感なドニーに素気無く切り捨てられる。
分かってねぇなぁ! お前のそういう無自覚な行動のせいで俺以外にも頭湧いちまう奴は出て来んだよ!
これは絶対にいる……旦那様の言う様にドニーは真面目で勤勉だ。それに加えてこんなに可愛くって魅惑的なのが知られてしまったら、確実にドニーを狙う輩が後を絶たないに決まってる!
仕事の手を止めさせるのも邪魔をするのも本意では無いが、だからといってこんな姿のドニーをこのままにしてトチ狂った奴に襲われたら大変だ。ここは多少文句を言われても着替えに行かせるか……
「おい――」
「お前、俺にかまってばっかいねぇで早く仕事に戻れ、俺も忙しいんだよ。だから……今日はお前のジャケット借りたまま仕事すっから、それで良いだろ? な?」
肩に掛けた俺のジャケットに腕を通して、首を傾げながら聞いて来るドニーの姿にグッと喉がなる。
サイズの合っていないブカブカのジャケットにドニーは少し不満そうにしつつもその場でクルリと回って見せる。
俺と比べたら身長も体格も小柄なドニーが着れば、確かに透けた胸も露わになった尻も隠れる、が……俺の服を身に着け、まるで俺の所有だと言わんばかりの姿で仕事を続けると? しかも、良く見ると服が肌に張り付いたせいで、今も尚、付けてくれている俺が辺境の地でドニーに一番最初に贈ったネックレスも浮かび上がっていて……めちゃくちゃ俺色で最高か?
「文句無いな? 無いよな? じゃ、お仕事頑張って、いってらっしゃーい」
破壊力バツグンなドニーの姿に目を奪われている内に裏口近くまで引きずり戻された俺は、手を振るドニーに見送られながら屋内に戻った。
ジャケットを着ず、ワイシャツにベストのみの俺に他の執事やメイドが不思議がり訝しがられたが、今もドニーが俺のジャケットを着たまま過ごしていると思うと、そんな些細な事は気にもならない。
兎に角、あんな無防備なドニーを放っておく事は出来ない。俺という存在をしっかりと周りにも知らしめないと……その為にもやはり……
『お前の為だけのフラグを掴み取って回収しろよ』と、ドニーが言っていた言葉を思い出す。
うん、そうだな。早く結婚しよう。
ドニーとの結婚、ドニーが新妻、という甘い蠱惑的な言葉に俺の顔は、旦那様に大笑いで指摘されるまで、その日は終始緩みっぱなしだった。
「面白い位に慌てふためいた謝罪の手紙が辺境伯から届いたよ。それと、これは君達への結婚祝の品だそうだ。折角だから受け取っておきなさい。さて、私も君達へ結婚の品を用意したいんだが、いつ頃用意したら良いのかな?」
後日、執務室へ呼ばれた俺は何冊もの商品目録に目を通している旦那様から、実に楽し気に聞かれていた。
外堀はどんどん埋められて、俺とドニーの結婚が現実味を帯びて来る。
この事をドニーが知ったら、また、「てんめぇ、馬鹿じゃねぇの!? いい加減にしろよ!!」って怒って来るかもなぁ。
それでも、いつもみたいに怒りながらも「しょうがねぇなぁ……」って、俺がドニーの横にいる事を甘受してくれるだろうか?
その時のドニーの反応が、怖いようで楽しみでもある。
雲一つ無い晴天の庭の中心で跪き。ドニーへ永遠の愛を誓うまで、後十日。
応援ありがとうございます!
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みんなの感想(117件)
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最高でした(*^^*)
辺境伯夫人を躱すのも面白くて
アルフとドニー二人の掛け合いが癖になります〜
読んでる途中から脳内にて好きなキャラ(HQの影○と日○)で再生されてもだえてしまいました!
最後のアルフ視点もご褒美でした💕
ありがとうございます🙏
ケム様
感想ありがとうございます
二人の掛け合い癖になって貰えましたかwとても嬉しいです!
脳内で声を当てて貰えるほど読んで頂けて嬉しいですね~。結構ピッタリで笑いました!
最後まで読んで下さりありがとうございました
( ◜ω◝ )また周回、、、鳥さーん最高ですです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨周回やめらんないよぉ
語彙力皆無の人様
わぁ! 周回ありがとうございます!嬉しいです!
楽しんで頂けている様で感無量です
今後とも暇な時のお供に宜しくお願いします
完結おめでとうございます( ; ; )
最終的に結ばれて良かったです…
わたがしあめ様
感想ありがとうございます
無事ハッピーエンドで完結する事が出来ました!
最後まで楽しく読んで頂けていれば嬉しいです
また、機会がありましたら宜しくお願い致します!