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26.外れた鎖

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「何してるんだ、グレイ!そんな危険なもの早く外せ!」

ルイがグレイの身を案じたことを言うので、グレイは不謹慎にも少し嬉しくなった。
さっき怒鳴られた時は悲しくてしょうがなかったのに、ルイの一挙一動でグレイの感情はコロコロ変わる。

「大丈夫だよ。聞いただろ?エリア外に出なければいいだけの話だ。」

首輪の爆発などどうでもいい。
グレイはとにかくルイを外に連れ出したかった。
早く自然の精気を吸って元気になってもらいたい。

「ははっ、似合ってるぜグレイ。その首輪は一度付けると魔王様以外、外せないぞ。」

「なっ、そう言うことは早く言え!どうするんだ、グレイ…。」

ルイは青ざめているが、当の本人のグレイは「ああ、そうなの?」と言って落ち着いている。

「ところでエリア内はどこなの?」

「ああ、サムラ村だ。治癒の泉がある村だ。魔王様は本当優しいよな。
じゃ、渡すモンは渡したし、俺はもう行くぞ。」

そう言ってルーフはグレイに鎖の鍵を渡し、さっさと地下牢から出て行った。

「鍵だよ!ルイ!!すぐ鎖を外すね!」

「あ…ああ、ありがとう…」

煮え切らない態度のルイには気にもせず、グレイはルイの後ろに周り鎖の鍵を外し始めた。

やっとルイが自由になれる。
この後、魔王様と戦わなきゃいけないのは心配だけど、やっと外へ連れ出せるんだ!

グレイは鼻歌混じりに全ての鍵を外した。

「全部外したよ!」

グレイは嬉しくてニコニコしながらルイの前に戻った。

ルイは繋がれていた手首を撫でながら「はは、本当に外れた…。」と呟いてから両手で顔を覆って、そのまま動かなくなってしまった。

なんでだろう。
条件があるとはいえ、自由になれたのに嬉しくないのだろうか。

「…どうした?ルイ。どこか痛むのか?」

グレイがルイの顔を覗き込むと、ルイに腕を掴まれ抱き寄せられた。

「ル、ルイ!?」

ルイの突然の行動にグレイは心臓が飛び出そうになった。

「ど、ど、どうしたの!?」

「ごめん、グレイ…。本当にごめん。
ありがとう。ありがとう。」

抱きしめるルイの腕に力が入る。
振り絞るような小さな声で何度も何度も謝罪と感謝の言葉がこぼれ落ちる。

「抱き付かれるのは得意じゃない」と言っていたルイにきつく抱きしめられ、戸惑うグレイだったが、控えめに抱きしめ返しルイの背中を優しく摩った。
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