あの時僕がみたもの

mirei

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由良かな

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日曜の一時、私は近所のデパートの犬の銅像の前にいた。

「あっかな!お待たせ~!」

「りな~!電車大丈夫だった?」

いきをきらせてきたのは梨田りな。中学生からの友達だ。
今日も彼女のさらさら黒髪ロングに見とれてしまう。


「かな~?またボーッとしてる」

目の前で手を振られたのでドキッとする。
またやっちゃった

「かなさ~、こないだの数学の授業でも先生にめをつけられてなかった?権田先生に目をつけられるとしつこいらしいから気を付けなよ~!」

先生のネクタイの柄がお父さんのもってるのとにてたんだよな~そんなので目をつけられるなんてたまったもんじゃない

「そういうりなも課題してなくてにらまれてなかった?」
「そそーだっけ?でもこないだは椎羅がいるから助かったわ。あいつもたまには役にたつもんだ!」

「たまには ね」
にやりと笑いあう。

「じゃなくて!今日はいやなこと忘れて、買い物するんじゃん!かな!私いきたい店いーーっぱいあるんだけど!」
くるりと前に切り返すりなのたなびく黒髪に巻き込まれるように私もまえへあわてて踏み込んでいった。

りなとの買い物は楽しい。自分が着ないようなふんわりとした綿のスカートやジャケット、赤いヒールや真っ白のワンピース。雑誌でみたことのある服をたくさんみた。試着をするりなを傍らでみるだけでも楽しい。
「かな!これどーかな?」
そうやってくるくる表情をかえるりなをみていると買い物を楽しんでいる実感がわく。
自分がひらひらした服を着るのは変な感じがするけど、人が着ているのをみるのはすごく好きだなあ。

と、りなの試着を待っていると赤色の石がついた腕輪が目についた。輪っかの部分は細いゴールドで石のついてる部分に向かってクロスしている。
華奢なりながするとすごくにあうと思った。

「なにこれかわいい!」とうしろから試着を終えたりなが話しかけてきた。
「ね!りな似合うんじゃない」
「かなも似合うじゃん!」
クロスしていると思ったリングは二つの輪っかでりなはひとつを私にはめてくれた。
こういうアクセサリーをするのははじめてでくすぐったくて、自分が自分じゃないみたいで照れ臭かった。

「ちょうど二つあるしおそろでかおう!」
私はりなの提案にのった。

友達とアクセサリーのおそろかあ~、なんか女の子してるな、私。
最近自分が女の子ということを忘れがちがったのでちょっと安心した。

「今日は楽しかったね~!また明日学校でね!数学課題忘れんなよ!」

あっ明日はまた学校かあ~!
でも今日買ったこの腕輪があるし、明日は乗り越えられそう。

    
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