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死なない程度に呪って頂戴
初めて君と出会ったのは七歳の時だった。
公爵家主催のつまらないティーパーティを抜け出して庭を彷徨いていたら、一人の少女の笑い声が聞こえてきた。声のする方へと向かうと、そこには僕と同じくティーパーティに呼ばれていた令嬢の姿があった。
(あれは確か…レイミエール侯爵家のルウシェ嬢?)
そっと近づくと、ルウシェは誰かと話している様子だった。だが、近くを見渡すも話し相手と思しき人影はない。首を傾げていると、偶然近くを通りがかった他のご令嬢達がコソコソとルウシェを指差して嘲笑しながら通り過ぎていった。
「見て、またルウシェ様ったら、誰と話しているのかしら」
「本当奇妙なお方よね。『奇人令嬢』の名は伊達じゃありませんね。この世ならざるものとお話しされてるのでは?」
「おほほ、まさか~面白いことをおっしゃるのね」
「おほほほほ」
(『奇人令嬢』…?)
怪訝な顔をしながら物陰からルウシェの様子を眺めていると、誰かと話していたルウシェがくるりとこちらを向いた。ギョッとしたのも束の間、ルウシェはパァッと表情を明るくして駆け寄ってきた。
「ごきげんよう!私はルウシェ!あなたは…?」
「ぼ、僕はギュンター」
「そう、ギュンター様っていうのね!」
ニコニコと屈託のない笑顔で話すルウシェは、花のように可憐で、ふわふわとしたクリーム色の髪が風に靡いては甘い香りが漂った。
「ギュンター様?」
急に無言になったからか、ルウシェは不安げに大きくて薄茶色の瞳を揺らした。
思わず見惚れていたらしい。ハッと我に返った僕は、もっとこの子と話がしたい。仲良くなりたいと思った。
「誰と話していたの?僕も仲間に入れて」
そう言って微笑みかけると、ルウシェは花のように笑った。
「嬉しいです!私、お友達がいなくて…もしよろしければ私のお友達第一号になってくださいませんか?」
「も、もちろん!」
友達第一号。その素敵な響きに僕は舞い上がった。
ルウシェは僕の手を取ると、庭の端にちょこんと置かれたベンチに導いた。そして二人で並んで腰掛けた。ルウシェの手は小さくて柔らかくて、どきどきした。
「あのね、さっきお話ししていたのは昔ここに住んでいたお姫様!当時の生活のことを色々と教えていただいていたのよ」
「えっと…?そ、そうなんだ?」
「これはね、内緒のお話です。お友達ですから、お話ししますね!私、実は霊が見えるのです」
ルウシェは自分が霊が見え、話ができると語った。なるほど、それで『奇人令嬢』と言われているのかと少し納得したが、ルウシェが嘘を言っているようには思えなかった。
きっと彼女の両親をはじめ、誰も彼女の言うことを信じてこなかったのだろう。それがどれほど辛く心細いことか。
それなのに、ルウシェは擦れることなく、その瞳は真っ直ぐに澄んでいて穢れを知らないように見えた。僕はその純粋さにどうしようもなく魅了された。僕だけは彼女のよき理解者になろう。幼いながらにそう誓った。
◇◇◇
「君が自分らしく生きてくれたらそれで良かった。それが僕の隣でなくとも、君が心から笑える居場所を見つけられたのなら、僕はそれを側で見守るつもりだった。ずっと良き友人として側に居るつもりだった」
「ギュンター様…」
『ほうほう、いいぞ、続けろ』
ギュンター様は私の手を握り、真っ直ぐに目を見つめながら言葉を紡ぐ。私は一言一句聞き逃すまいと耳を傾けた。
「だけど今回のことでやっと目が覚めたよ。誰かが君を幸せにする?いや、それは他の誰でもない、僕の役目だ」
「…」
『我もおるぞ。ルウシェのことは我が守る』
「…好きだよ、ルウシェ。誰よりも君のことを愛している。僕の隣でずっと笑っていて欲しい」
そして、ギュンター様は今まで見た中で一番優しく、柔らかく目を細めて私に微笑みかけた。
ああ、私のことを見てくれていた人がこんなに近くにいたなんて。
「……はい、私でよければ、ギュンター様のお側にいさせてください。これからも、ずっと」
「ルウシェ…!」
『おおっ!小僧!やりおったな!』
ちょっとさっきから外野がうるさい。せっかくギュンター様が告白をしてくれているというのに。私はジロリとアーノルドを睨みつける。が、アーノルドは嬉しそうにグッと親指を突き出してうんうん頷いている。
「お、おい…盛り上がっているところ悪いんだが、俺はどうなる?ぐえぇ」
すっかり存在を忘れていたレイナード様の方を振り返ると、私たちの邪魔をしないようにか、数名の霊達がレイナード様の上で胡座をかいていた。それにより金縛りにあったように身動きが取れないレイナード様は、床に突っ伏した状態でどうにかこうにか顔だけこちらに向けていた。
不特定多数の女性との不貞、実家のお金の使い込み、そして私の家のお金も狙っていたレイナード様。結婚する前に色々明らかになって本当に良かった。
『さて、この馬鹿が婚約解消を言い出したことで、収まるところに収まったしな。半殺し程度で勘弁してやろう』
「なっ!?何をするつもりだ…」
アーノルドの物言いに、サッと顔を青ざめさせるレイナード様。助けてくれと目で訴えかけてくる。
「アーノルド」
『なんだ?』
「あんまりレイナード様をいじめてはダメよ?」
私の言葉にホッとした様子のレイナード様。私はにっこりとレイナード様に微笑みかけた。
「…くれぐれも死なない程度に呪って頂戴」
『!承知した!!任せておくがよい!!』
「ルウシェ!?ちょ…ギャァァァァァ!!!」
レイナード様の断末魔のような叫びを背に、私はギュンター様と仲良く手を繋いでノロワレール侯爵家を後にした。
帰りの馬車の中、私たちはぴったりと肩がつく距離で隣同士に腰掛けていた。長年友達として付き合ってきたため、少々気恥ずかしいが、私の心はじんわりと温かい気持ちで満たされていた。
「ルウシェ」
「はい。なんでしょうか?」
優しく名を呼ばれ、ギュンター様の方へと顔を向けると、そこには真剣な眼差しのギュンター様が。
「あんな告白になってしまったけど、僕がずっと君のことを見てきたことに変わりはないよ。これからずっと長い時間をかけて、どれだけ僕が君のことを好きか知ってもらえるように頑張るね」
「は、はひ…」
うう、友達から晴れて婚約者(正式な手続きはこれからだけど)となり、ギュンター様の甘さのテイストが変わった気がする。彼の一挙一動にどきどきしてしまう私は単純だな、と自嘲する。
「そういえば、ずっと聞かなかったんだけど、レイナード殿とは何もなかったんだよね?」
「何も、とは?」
「手を繋いだり、キスしたり」
「キッ!?なななないです!!手もダンスの時ぐらいしか繋いでませんっ!!!」
ギュンター様の突拍子もない問いかけに、私はひっくり返りそうになりながらも全力で否定した。ギュンター様は私の様子を見て、プッと吹き出しながらも安心したように微笑んだ。
「そうか。よかった」
「え、と…ギュンター様…?」
ギュンター様は私を見つめたまま、そっと手を重ねてきた。そして端正なご尊顔がゆっくりと近付いてきてーーー
私は咄嗟にぎゅうっと目を瞑った、のだが。
「えーーーーっと…なんでここにアーノルド殿がいるの?そんなに見られると、その、しにくいんだけども…」
『…まだ早い』
「「え?」」
『気持ちが通ったその日に接吻など、小童にはまだ早いわぁぁ!!!』
「ええええっ!?そんなぁ…」
いつの間にか、馬車の対面に腕組みをしたアーノルドが物凄い形相で座っており、喝を入れられてしまった。ギュンター様はがくりと肩を落としたが、私は少しホッとした。だってキ、キキキキスだなんてそんな急に…
私はパタパタと火照る頬を手で仰いだ。その様子をどこか嬉しそうにギュンター様が見ている。
「あれ、アーノルド、レイナード様への制裁はもう済んだの?」
「ああ、これからだ。七日ほど留守にすると言いそびれてな。という訳で、しばらく離れるが何かあったら近くの霊に言伝をするように」
「ふふっ、大丈夫よ。…ギュンター様も居てくれるし。くれぐれもやり過ぎないようにね」
『任せておけ』
アーノルドはニヤリと悪い笑みを残して、ノロワレール家の屋敷へと消えていった。少し心配だが、レイナード様もこれに懲りて公正してくれることを祈ろう。
私とギュンター様は顔を見合わせて苦笑すると、肩を寄せ合って心地よく揺れる馬車に身を任せた。
暗い雲が上空を覆い尽くしていたノロワレール家から離れ、外は小鳥が囀り、新緑が芽吹き、暖かい日差しが降り注いでいる。私たちは温かな気持ちを抱きながら帰路に着いたのであった。
後に、ノロワレール家は呪われた侯爵家と呼ばれ、家族揃って田舎に居を移したという。
レイナード様は田舎で生まれ変わったように家業に専念し、誠実な仕事ぶりが評判になった。
そして私は、『決して害を加えてはならない侯爵令嬢』と社交界で評判になった。レイナード様が一方的な婚約解消を突きつけたことで呪われてしまったため、私に危害を加えたら同じ目に合うかもしれないと思われたのだ。後ろ指を指されて馬鹿にされることはなくなったが、別の意味で倦厭されるようになってしまった。
私は成人を迎えてギュンター様と晴れて夫婦となった。心優しい旦那様と、私に過保護な悪霊に護られ愛され、幸せに暮らした。生まれてきた子供たちも何と霊が見える体質らしく、アーノルドは我が子のように子供たちを可愛がり甘やかした。悪霊憑きも案外悪くないな、なんて思ったり思わなかったり。
ーーーーーーーーーー
最後まで読んでくださりありがとうございます!
息抜きにお馬鹿な話が書きたいな~と書き始めたものの想定の倍は長くなってしまいました。
もしよろしければ、感想など頂けましたら喜びます。
今後ともよろしくお願いします!
公爵家主催のつまらないティーパーティを抜け出して庭を彷徨いていたら、一人の少女の笑い声が聞こえてきた。声のする方へと向かうと、そこには僕と同じくティーパーティに呼ばれていた令嬢の姿があった。
(あれは確か…レイミエール侯爵家のルウシェ嬢?)
そっと近づくと、ルウシェは誰かと話している様子だった。だが、近くを見渡すも話し相手と思しき人影はない。首を傾げていると、偶然近くを通りがかった他のご令嬢達がコソコソとルウシェを指差して嘲笑しながら通り過ぎていった。
「見て、またルウシェ様ったら、誰と話しているのかしら」
「本当奇妙なお方よね。『奇人令嬢』の名は伊達じゃありませんね。この世ならざるものとお話しされてるのでは?」
「おほほ、まさか~面白いことをおっしゃるのね」
「おほほほほ」
(『奇人令嬢』…?)
怪訝な顔をしながら物陰からルウシェの様子を眺めていると、誰かと話していたルウシェがくるりとこちらを向いた。ギョッとしたのも束の間、ルウシェはパァッと表情を明るくして駆け寄ってきた。
「ごきげんよう!私はルウシェ!あなたは…?」
「ぼ、僕はギュンター」
「そう、ギュンター様っていうのね!」
ニコニコと屈託のない笑顔で話すルウシェは、花のように可憐で、ふわふわとしたクリーム色の髪が風に靡いては甘い香りが漂った。
「ギュンター様?」
急に無言になったからか、ルウシェは不安げに大きくて薄茶色の瞳を揺らした。
思わず見惚れていたらしい。ハッと我に返った僕は、もっとこの子と話がしたい。仲良くなりたいと思った。
「誰と話していたの?僕も仲間に入れて」
そう言って微笑みかけると、ルウシェは花のように笑った。
「嬉しいです!私、お友達がいなくて…もしよろしければ私のお友達第一号になってくださいませんか?」
「も、もちろん!」
友達第一号。その素敵な響きに僕は舞い上がった。
ルウシェは僕の手を取ると、庭の端にちょこんと置かれたベンチに導いた。そして二人で並んで腰掛けた。ルウシェの手は小さくて柔らかくて、どきどきした。
「あのね、さっきお話ししていたのは昔ここに住んでいたお姫様!当時の生活のことを色々と教えていただいていたのよ」
「えっと…?そ、そうなんだ?」
「これはね、内緒のお話です。お友達ですから、お話ししますね!私、実は霊が見えるのです」
ルウシェは自分が霊が見え、話ができると語った。なるほど、それで『奇人令嬢』と言われているのかと少し納得したが、ルウシェが嘘を言っているようには思えなかった。
きっと彼女の両親をはじめ、誰も彼女の言うことを信じてこなかったのだろう。それがどれほど辛く心細いことか。
それなのに、ルウシェは擦れることなく、その瞳は真っ直ぐに澄んでいて穢れを知らないように見えた。僕はその純粋さにどうしようもなく魅了された。僕だけは彼女のよき理解者になろう。幼いながらにそう誓った。
◇◇◇
「君が自分らしく生きてくれたらそれで良かった。それが僕の隣でなくとも、君が心から笑える居場所を見つけられたのなら、僕はそれを側で見守るつもりだった。ずっと良き友人として側に居るつもりだった」
「ギュンター様…」
『ほうほう、いいぞ、続けろ』
ギュンター様は私の手を握り、真っ直ぐに目を見つめながら言葉を紡ぐ。私は一言一句聞き逃すまいと耳を傾けた。
「だけど今回のことでやっと目が覚めたよ。誰かが君を幸せにする?いや、それは他の誰でもない、僕の役目だ」
「…」
『我もおるぞ。ルウシェのことは我が守る』
「…好きだよ、ルウシェ。誰よりも君のことを愛している。僕の隣でずっと笑っていて欲しい」
そして、ギュンター様は今まで見た中で一番優しく、柔らかく目を細めて私に微笑みかけた。
ああ、私のことを見てくれていた人がこんなに近くにいたなんて。
「……はい、私でよければ、ギュンター様のお側にいさせてください。これからも、ずっと」
「ルウシェ…!」
『おおっ!小僧!やりおったな!』
ちょっとさっきから外野がうるさい。せっかくギュンター様が告白をしてくれているというのに。私はジロリとアーノルドを睨みつける。が、アーノルドは嬉しそうにグッと親指を突き出してうんうん頷いている。
「お、おい…盛り上がっているところ悪いんだが、俺はどうなる?ぐえぇ」
すっかり存在を忘れていたレイナード様の方を振り返ると、私たちの邪魔をしないようにか、数名の霊達がレイナード様の上で胡座をかいていた。それにより金縛りにあったように身動きが取れないレイナード様は、床に突っ伏した状態でどうにかこうにか顔だけこちらに向けていた。
不特定多数の女性との不貞、実家のお金の使い込み、そして私の家のお金も狙っていたレイナード様。結婚する前に色々明らかになって本当に良かった。
『さて、この馬鹿が婚約解消を言い出したことで、収まるところに収まったしな。半殺し程度で勘弁してやろう』
「なっ!?何をするつもりだ…」
アーノルドの物言いに、サッと顔を青ざめさせるレイナード様。助けてくれと目で訴えかけてくる。
「アーノルド」
『なんだ?』
「あんまりレイナード様をいじめてはダメよ?」
私の言葉にホッとした様子のレイナード様。私はにっこりとレイナード様に微笑みかけた。
「…くれぐれも死なない程度に呪って頂戴」
『!承知した!!任せておくがよい!!』
「ルウシェ!?ちょ…ギャァァァァァ!!!」
レイナード様の断末魔のような叫びを背に、私はギュンター様と仲良く手を繋いでノロワレール侯爵家を後にした。
帰りの馬車の中、私たちはぴったりと肩がつく距離で隣同士に腰掛けていた。長年友達として付き合ってきたため、少々気恥ずかしいが、私の心はじんわりと温かい気持ちで満たされていた。
「ルウシェ」
「はい。なんでしょうか?」
優しく名を呼ばれ、ギュンター様の方へと顔を向けると、そこには真剣な眼差しのギュンター様が。
「あんな告白になってしまったけど、僕がずっと君のことを見てきたことに変わりはないよ。これからずっと長い時間をかけて、どれだけ僕が君のことを好きか知ってもらえるように頑張るね」
「は、はひ…」
うう、友達から晴れて婚約者(正式な手続きはこれからだけど)となり、ギュンター様の甘さのテイストが変わった気がする。彼の一挙一動にどきどきしてしまう私は単純だな、と自嘲する。
「そういえば、ずっと聞かなかったんだけど、レイナード殿とは何もなかったんだよね?」
「何も、とは?」
「手を繋いだり、キスしたり」
「キッ!?なななないです!!手もダンスの時ぐらいしか繋いでませんっ!!!」
ギュンター様の突拍子もない問いかけに、私はひっくり返りそうになりながらも全力で否定した。ギュンター様は私の様子を見て、プッと吹き出しながらも安心したように微笑んだ。
「そうか。よかった」
「え、と…ギュンター様…?」
ギュンター様は私を見つめたまま、そっと手を重ねてきた。そして端正なご尊顔がゆっくりと近付いてきてーーー
私は咄嗟にぎゅうっと目を瞑った、のだが。
「えーーーーっと…なんでここにアーノルド殿がいるの?そんなに見られると、その、しにくいんだけども…」
『…まだ早い』
「「え?」」
『気持ちが通ったその日に接吻など、小童にはまだ早いわぁぁ!!!』
「ええええっ!?そんなぁ…」
いつの間にか、馬車の対面に腕組みをしたアーノルドが物凄い形相で座っており、喝を入れられてしまった。ギュンター様はがくりと肩を落としたが、私は少しホッとした。だってキ、キキキキスだなんてそんな急に…
私はパタパタと火照る頬を手で仰いだ。その様子をどこか嬉しそうにギュンター様が見ている。
「あれ、アーノルド、レイナード様への制裁はもう済んだの?」
「ああ、これからだ。七日ほど留守にすると言いそびれてな。という訳で、しばらく離れるが何かあったら近くの霊に言伝をするように」
「ふふっ、大丈夫よ。…ギュンター様も居てくれるし。くれぐれもやり過ぎないようにね」
『任せておけ』
アーノルドはニヤリと悪い笑みを残して、ノロワレール家の屋敷へと消えていった。少し心配だが、レイナード様もこれに懲りて公正してくれることを祈ろう。
私とギュンター様は顔を見合わせて苦笑すると、肩を寄せ合って心地よく揺れる馬車に身を任せた。
暗い雲が上空を覆い尽くしていたノロワレール家から離れ、外は小鳥が囀り、新緑が芽吹き、暖かい日差しが降り注いでいる。私たちは温かな気持ちを抱きながら帰路に着いたのであった。
後に、ノロワレール家は呪われた侯爵家と呼ばれ、家族揃って田舎に居を移したという。
レイナード様は田舎で生まれ変わったように家業に専念し、誠実な仕事ぶりが評判になった。
そして私は、『決して害を加えてはならない侯爵令嬢』と社交界で評判になった。レイナード様が一方的な婚約解消を突きつけたことで呪われてしまったため、私に危害を加えたら同じ目に合うかもしれないと思われたのだ。後ろ指を指されて馬鹿にされることはなくなったが、別の意味で倦厭されるようになってしまった。
私は成人を迎えてギュンター様と晴れて夫婦となった。心優しい旦那様と、私に過保護な悪霊に護られ愛され、幸せに暮らした。生まれてきた子供たちも何と霊が見える体質らしく、アーノルドは我が子のように子供たちを可愛がり甘やかした。悪霊憑きも案外悪くないな、なんて思ったり思わなかったり。
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