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番外編 数年後の再会
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王都の街並みは、数年前と変わらないようで、少しずつ変わっていた。
舗道に新しい店が並び、人々の顔ぶれもどこか若く見える。
久しぶりの外回りで、馬車を降りた時だった。
「……あ」
人混みの向こう、見覚えのある横顔があった。
春風に揺れる淡い色のドレス。
優しく微笑みながら、小さな手を引いて歩いている。
あの手は――エリシアの手だった。
(……あれが、あいつらの子か)
幼い金髪の少女が、何かを指差しながら楽しそうに話している。
エリシアはその横で頷き、柔らかい声で応えていた。
その穏やかな笑顔を見ただけで、胸の奥の何かが緩む。
俺に気づいた彼女が、足を止めた。
「……レオニード様」
変わらない声。けれど、瞳の奥には母としての落ち着きがあった。
「元気そうだな」
「ええ。……あなたも」
短い沈黙が落ちる。
過去を引きずるような会話は、お互いに避けた。
代わりに、少女が俺の前に立つ。
「おじさま、こんにちは!」
「……こんにちは」
不思議なことに、その笑顔を見て、ほんの少しだけ救われた気がした。
この子がいるなら、彼女はきっと幸せだ。
「また、どこかで」
それだけを交わして、俺たちは別れた。
振り返れば、彼女は少女の手を取り、人混みに溶けていく。
その背中は、もう俺が追うべきものではなかった。
それでも、心のどこかが温かかった。
幸せそうな彼女を見届けられたことが、俺にとっての救いだった。
(……もう、泣かされることはないな)
そう呟き、俺は再び歩き出した。
舗道に新しい店が並び、人々の顔ぶれもどこか若く見える。
久しぶりの外回りで、馬車を降りた時だった。
「……あ」
人混みの向こう、見覚えのある横顔があった。
春風に揺れる淡い色のドレス。
優しく微笑みながら、小さな手を引いて歩いている。
あの手は――エリシアの手だった。
(……あれが、あいつらの子か)
幼い金髪の少女が、何かを指差しながら楽しそうに話している。
エリシアはその横で頷き、柔らかい声で応えていた。
その穏やかな笑顔を見ただけで、胸の奥の何かが緩む。
俺に気づいた彼女が、足を止めた。
「……レオニード様」
変わらない声。けれど、瞳の奥には母としての落ち着きがあった。
「元気そうだな」
「ええ。……あなたも」
短い沈黙が落ちる。
過去を引きずるような会話は、お互いに避けた。
代わりに、少女が俺の前に立つ。
「おじさま、こんにちは!」
「……こんにちは」
不思議なことに、その笑顔を見て、ほんの少しだけ救われた気がした。
この子がいるなら、彼女はきっと幸せだ。
「また、どこかで」
それだけを交わして、俺たちは別れた。
振り返れば、彼女は少女の手を取り、人混みに溶けていく。
その背中は、もう俺が追うべきものではなかった。
それでも、心のどこかが温かかった。
幸せそうな彼女を見届けられたことが、俺にとっての救いだった。
(……もう、泣かされることはないな)
そう呟き、俺は再び歩き出した。
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