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第11章|ミレーユ、被害者ムーブで王太子に寄る
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セレナが去ったあとの茶会室は、音が消えたようだった。
紅茶の湯気だけが細く揺れ、窓辺の光が白く床に落ちる。
誰もが“今、何を言えばいいか”を測っている。
言葉を選ぶというより、言葉が刃になることを恐れている。
ミレーユは、椅子の背に指先を置いたまま、しばらく動かなかった。
頬は赤い。唇は震えている。目尻に涙が溜まっている。
さっきまでの“悪びれない笑顔”とは違う。
——今度は、傷ついた令嬢の顔。
リディアはそれを見ない。見れば、情が動く。
情が動けば、妃は揺らぐ。
揺らぎを見せた瞬間、王宮はすぐに嗅ぎつける。
アーヴィンは、カップを持ったまま、視線を下げた。
彼の中にあるのは、罪悪感よりも“困惑”に近い。
なぜこんなことになったのか。誰が悪いのか。どう収めればいいのか。
——収める。
その発想が、リディアの胸を冷やす。
そこへ、控えの近衛騎士ルシアンが微かに視線を動かした。
扉の方。
まもなく別の騎士が入ってくる気配。
次の瞬間、茶会室の扉が開いた。
「失礼いたします、殿下」
入ってきたのは、騎士カイルだった。
若く、表情が柔らかい。誰にでも親切な顔つき。
“空気を悪くしない”という才能を持つ男——そして、それが今日の場では毒になる。
カイルは一礼し、すぐに状況を察した。
沈黙。涙。張りつめた空気。
彼の視線が、ミレーユに止まる。
泣きそうな令嬢に、優しい男は弱い。
「……伯爵令嬢、どうかなさいましたか」
その声が、ミレーユの背中を押した。
彼女は、震える息をひとつ吸い込んで、立ち上がった。
「ごめんなさい……わたくし、何も知らなかっただけなのです」
涙が一粒、落ちる。
床に落ちる前に、彼女は袖で拭う。
“健気”の演出が、完璧だった。
「妃殿下を侮辱するつもりなど、ありませんでした。殿下のお役に立ちたくて……ただ、それだけで」
“役に立ちたくて”。
その言葉は、妃の役目を奪いながら、妃の領域に踏み込む免罪符になる。
カイルが、思わず一歩前に出た。
助け舟を出したい顔。
守ってあげたい顔。
「殿下……伯爵令嬢は、悪意があって動いたわけではないように見えます」
彼はアーヴィンへ向けて言った。
その言葉が、リディアの胸をさらに冷やす。
——悪意がないなら、許される?
——悪意がないなら、私が我慢するの?
アーヴィンは、カイルの言葉に乗るように頷きかけて——止まった。
セレナの警告が、まだ耳に残っているのだろう。
彼は中途半端に息を吐いた。
「……ミレーユ。君は、王宮に慣れていない。それは分かる」
分かる。
その言葉が、ミレーユを救い、リディアを置き去りにする。
ミレーユは、その瞬間を逃さなかった。
彼女の視線が、まっすぐにアーヴィンへ絡みつく。
「殿下……ごめんなさい。わたくし、殿下のことをお慕いしているから……つい、距離を忘れてしまって」
胸に手を当てる。
震える声。
涙。
そして最後に——“恋”を盾にする。
アデラの扇が、ほんの少しだけ揺れた。
“面白い”という匂いが、部屋の隅に立つ。
エステルが扇の影で、小さく息を漏らす。
勝ちを確信した笑いだ。
こうなれば、妃が何を言っても“嫉妬”にされる。
妃が沈黙すれば、“事実”として噂が広がる。
ミナの指が、白くなる。
ヘレナが一歩前に出かけて、また止まる。
侍女が動けば、主が“けしかけた”ことになる。
リディアは、微笑んだ。
その微笑みは、もはや鎧ではない。
——心を守るための、最後の壁だった。
「伯爵令嬢」
リディアは柔らかい声で言う。
“怒り”ではなく、“確認”として。
「あなたのお気持ちは、どうぞ胸の内に。王宮は恋を否定いたしません。ですが、王宮には順序がございます」
正しい。
完璧に正しい。
だからこそ、冷たく聞こえる。
ミレーユが、唇を震わせた。
「妃殿下……わたくし、怖いのです。王宮の方々は皆、厳しくて……妃殿下まで、そんなふうに」
怖い。
その言葉で、妃を加害者に変える。
被害者の位置を奪う。
カイルが、思わず口を挟む。
「妃殿下……伯爵令嬢は、ただ不安なだけです。どうか、少しだけ——」
“少しだけ”。
その言葉が、リディアの心を刺す。
少しだけ譲れ。
少しだけ笑え。
少しだけ優しくしろ。
——妃の席を踏まれても、少しだけ。
リディアは、視線を落とした。
自分のカップの中の紅茶が、静かに揺れている。
そして気づく。
この場で“優しさ”と呼ばれているものは、妃の痛みを見ないことだ。
アーヴィンが、ようやく口を開いた。
「リディア……」
名を呼ぶ声が、頼るように聞こえた。
助けてくれ、という声に。
その瞬間、リディアの胸の奥で何かが、静かに折れた。
——あなたは、私を守るために呼んだのではない。
——この場を守るために、私を使う。
リディアは微笑みを深くした。
そして、最も王太子妃らしい声で言った。
「承知いたしました。では、伯爵令嬢には女官長より改めて作法のご説明を」
それは救済ではなく、手順だった。
手順でしか、この場を救えない自分が、悲しかった。
ミレーユは、涙のまま頷く。
勝利の形で。
カイルは安心したように息を吐く。
“良かった、丸く収まった”という顔で。
——丸く収まったのは、空気だけ。
リディアは、紅茶を飲んだ。
苦味が、舌に残った。
紅茶の湯気だけが細く揺れ、窓辺の光が白く床に落ちる。
誰もが“今、何を言えばいいか”を測っている。
言葉を選ぶというより、言葉が刃になることを恐れている。
ミレーユは、椅子の背に指先を置いたまま、しばらく動かなかった。
頬は赤い。唇は震えている。目尻に涙が溜まっている。
さっきまでの“悪びれない笑顔”とは違う。
——今度は、傷ついた令嬢の顔。
リディアはそれを見ない。見れば、情が動く。
情が動けば、妃は揺らぐ。
揺らぎを見せた瞬間、王宮はすぐに嗅ぎつける。
アーヴィンは、カップを持ったまま、視線を下げた。
彼の中にあるのは、罪悪感よりも“困惑”に近い。
なぜこんなことになったのか。誰が悪いのか。どう収めればいいのか。
——収める。
その発想が、リディアの胸を冷やす。
そこへ、控えの近衛騎士ルシアンが微かに視線を動かした。
扉の方。
まもなく別の騎士が入ってくる気配。
次の瞬間、茶会室の扉が開いた。
「失礼いたします、殿下」
入ってきたのは、騎士カイルだった。
若く、表情が柔らかい。誰にでも親切な顔つき。
“空気を悪くしない”という才能を持つ男——そして、それが今日の場では毒になる。
カイルは一礼し、すぐに状況を察した。
沈黙。涙。張りつめた空気。
彼の視線が、ミレーユに止まる。
泣きそうな令嬢に、優しい男は弱い。
「……伯爵令嬢、どうかなさいましたか」
その声が、ミレーユの背中を押した。
彼女は、震える息をひとつ吸い込んで、立ち上がった。
「ごめんなさい……わたくし、何も知らなかっただけなのです」
涙が一粒、落ちる。
床に落ちる前に、彼女は袖で拭う。
“健気”の演出が、完璧だった。
「妃殿下を侮辱するつもりなど、ありませんでした。殿下のお役に立ちたくて……ただ、それだけで」
“役に立ちたくて”。
その言葉は、妃の役目を奪いながら、妃の領域に踏み込む免罪符になる。
カイルが、思わず一歩前に出た。
助け舟を出したい顔。
守ってあげたい顔。
「殿下……伯爵令嬢は、悪意があって動いたわけではないように見えます」
彼はアーヴィンへ向けて言った。
その言葉が、リディアの胸をさらに冷やす。
——悪意がないなら、許される?
——悪意がないなら、私が我慢するの?
アーヴィンは、カイルの言葉に乗るように頷きかけて——止まった。
セレナの警告が、まだ耳に残っているのだろう。
彼は中途半端に息を吐いた。
「……ミレーユ。君は、王宮に慣れていない。それは分かる」
分かる。
その言葉が、ミレーユを救い、リディアを置き去りにする。
ミレーユは、その瞬間を逃さなかった。
彼女の視線が、まっすぐにアーヴィンへ絡みつく。
「殿下……ごめんなさい。わたくし、殿下のことをお慕いしているから……つい、距離を忘れてしまって」
胸に手を当てる。
震える声。
涙。
そして最後に——“恋”を盾にする。
アデラの扇が、ほんの少しだけ揺れた。
“面白い”という匂いが、部屋の隅に立つ。
エステルが扇の影で、小さく息を漏らす。
勝ちを確信した笑いだ。
こうなれば、妃が何を言っても“嫉妬”にされる。
妃が沈黙すれば、“事実”として噂が広がる。
ミナの指が、白くなる。
ヘレナが一歩前に出かけて、また止まる。
侍女が動けば、主が“けしかけた”ことになる。
リディアは、微笑んだ。
その微笑みは、もはや鎧ではない。
——心を守るための、最後の壁だった。
「伯爵令嬢」
リディアは柔らかい声で言う。
“怒り”ではなく、“確認”として。
「あなたのお気持ちは、どうぞ胸の内に。王宮は恋を否定いたしません。ですが、王宮には順序がございます」
正しい。
完璧に正しい。
だからこそ、冷たく聞こえる。
ミレーユが、唇を震わせた。
「妃殿下……わたくし、怖いのです。王宮の方々は皆、厳しくて……妃殿下まで、そんなふうに」
怖い。
その言葉で、妃を加害者に変える。
被害者の位置を奪う。
カイルが、思わず口を挟む。
「妃殿下……伯爵令嬢は、ただ不安なだけです。どうか、少しだけ——」
“少しだけ”。
その言葉が、リディアの心を刺す。
少しだけ譲れ。
少しだけ笑え。
少しだけ優しくしろ。
——妃の席を踏まれても、少しだけ。
リディアは、視線を落とした。
自分のカップの中の紅茶が、静かに揺れている。
そして気づく。
この場で“優しさ”と呼ばれているものは、妃の痛みを見ないことだ。
アーヴィンが、ようやく口を開いた。
「リディア……」
名を呼ぶ声が、頼るように聞こえた。
助けてくれ、という声に。
その瞬間、リディアの胸の奥で何かが、静かに折れた。
——あなたは、私を守るために呼んだのではない。
——この場を守るために、私を使う。
リディアは微笑みを深くした。
そして、最も王太子妃らしい声で言った。
「承知いたしました。では、伯爵令嬢には女官長より改めて作法のご説明を」
それは救済ではなく、手順だった。
手順でしか、この場を救えない自分が、悲しかった。
ミレーユは、涙のまま頷く。
勝利の形で。
カイルは安心したように息を吐く。
“良かった、丸く収まった”という顔で。
——丸く収まったのは、空気だけ。
リディアは、紅茶を飲んだ。
苦味が、舌に残った。
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