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8.理由
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「かわいそうに、散々な言われ方だなあ。まあ毎日こられたらそうなるか……マーケットが終わるまであと期間長いもんな」
マーケットはたいてい十日間行われる。そのうち六日間、男は顔を見せに来ていた。店に来るのは夕方で、そろそろ現れそうな時間になっているから、エミリオはソワソワしている。
トトが店頭に立ちエミリオは客から見えないところで商品の手入れを行なっていると二人の読み通り、あの男がやってきた。エミリオではない人間が店頭に立っていることに男は一瞬眉を潜めていたが気を取り直してトトに『プレートを見せてほしい』と話しかけてきた。トトは目の前の端正な顔立ちの男にプレートをゆっくり渡すと、エミリオが言い出せなかったことをあっさりと問う。
「なあ、お客さん。いつもの店主から聞いているんだけど、あなたは毎日このプレートを見に来ているとか。それはどうしてなんだ? こんなに見にきても、あいつはこのプレートを売ることはしないのに」
プレートを手にした男は目を離し、トトをじっと見た。その瞳は少し睨んでいるようにも見えて思わずトトは余計なこと言ったかなと怯んでしまう。
しかし意外にも男は口を開き、語り始めたのだ。その話にエミリオも身を隠しながら聞いてみることにした。
「綺麗な藍色のプレートが飾ってあるアンティークの露店がマーケットに出店しているという噂を聞いてきたんだ。実は我が家にも似たようなプレートがある。そちらは藍色ではなく朱色だ。だがこの無骨な釉薬剥き出しの造形となにより後ろの窯のマークが同じなんだ」
「家にあるならそれでいいじゃないか。何も藍色と朱色の二枚持たなくても」
身も蓋もないトトの言い方にエミリオは苦笑いしてしまう。そして意外なことに目の前の男も、口元を緩める。
「まあそうだな。だが元々、この二枚は対で作られた。それを作ったのは我が祖父の弟、私からすると叔父なんだ」
それを聞き、トトもエミリオも目を見開いた。まさかこのプレートを作った陶芸家の関係者だなんて。
「その窯は短期間で閉じてしまった。このプレートは窯を開いた直後に作成したもので、しかも二枚しかない。私は叔父のために数年、このプレートを探していたんだ」
マーケットはたいてい十日間行われる。そのうち六日間、男は顔を見せに来ていた。店に来るのは夕方で、そろそろ現れそうな時間になっているから、エミリオはソワソワしている。
トトが店頭に立ちエミリオは客から見えないところで商品の手入れを行なっていると二人の読み通り、あの男がやってきた。エミリオではない人間が店頭に立っていることに男は一瞬眉を潜めていたが気を取り直してトトに『プレートを見せてほしい』と話しかけてきた。トトは目の前の端正な顔立ちの男にプレートをゆっくり渡すと、エミリオが言い出せなかったことをあっさりと問う。
「なあ、お客さん。いつもの店主から聞いているんだけど、あなたは毎日このプレートを見に来ているとか。それはどうしてなんだ? こんなに見にきても、あいつはこのプレートを売ることはしないのに」
プレートを手にした男は目を離し、トトをじっと見た。その瞳は少し睨んでいるようにも見えて思わずトトは余計なこと言ったかなと怯んでしまう。
しかし意外にも男は口を開き、語り始めたのだ。その話にエミリオも身を隠しながら聞いてみることにした。
「綺麗な藍色のプレートが飾ってあるアンティークの露店がマーケットに出店しているという噂を聞いてきたんだ。実は我が家にも似たようなプレートがある。そちらは藍色ではなく朱色だ。だがこの無骨な釉薬剥き出しの造形となにより後ろの窯のマークが同じなんだ」
「家にあるならそれでいいじゃないか。何も藍色と朱色の二枚持たなくても」
身も蓋もないトトの言い方にエミリオは苦笑いしてしまう。そして意外なことに目の前の男も、口元を緩める。
「まあそうだな。だが元々、この二枚は対で作られた。それを作ったのは我が祖父の弟、私からすると叔父なんだ」
それを聞き、トトもエミリオも目を見開いた。まさかこのプレートを作った陶芸家の関係者だなんて。
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