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9.お互いの想い
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そんな事情があったのか、とエミリオは唾を飲む。叔父の作ったプレートをこの男は探してようやくここに来たというわけか。だが、事情を知ったからと言ってプレートを渡す気にはなれない。何故ならエミリオにとってこのプレートはシェメシュとの大切な思い出であるから。このままこっそりと隠れて聞いているわけにはいかないなとエミリオは立ち上がりトトと彼の方へ近づいた。
「事情は聞いたよ」
突然現れたエミリオに、赤い瞳の男は少し驚いた顔をした。
「アンタとまともに話すのは初めてだな。俺はエミリオ・ヴァンニ。悪いけどこっそり話を聞かせてもらった」
「……アノン・ベーリンガーだ。聞き耳は関心しないな」
アノンの見下すような視線とその言葉に、エミリオがカチンと頭にきて捲し立てる。
「しがたねぇだろ、アンタが毎日来るからこっちは迷惑してたんだよ。……ってそれよりさっきの話、アンタが叔父さん想いなのはよく分かった。叔父さんがこのプレートを作ってくれたことも感謝している」
感謝とはなんだ、とアノンは首を傾げた。
「このプレート、元々は俺の叔父のもので、小さい頃から俺はこれが好きだったから亡くなる前にくれたんだ。その代わり誰にも渡さないことを条件にね。渡すくらいなら割れっていうくらいプレートに執着してた。だから、お前がどんなに叔父さん想いで、このプレートを作った本人だろうがこれは渡せない。このプレートは俺と叔父の大切な絆なんだ。でもこれをこの世に生み出してくれたお前の叔父さんに感謝してる」
【混沌の青】という店名も、ロゴもこのプレートをモチーフにしているのは叔父であるシェメシュへの思いをこめているからだ、とも伝えると、アノンは手を口元に持っていき何かを考えこむような仕草をした。これで完全に諦めてくれるはずだとエミリオは最後にひと押しする。
「だから、売れないんだ。申し訳ないんだけど」
そしてしばらく沈黙が続き、城からマーケットの閉場時間を告げる鐘の音が聞こえた。ガヤガヤと周りの店は片付けに入る。トトはそっとその場を離れ、片付けを始めた。それでもアノンは動かない。
(しつこい奴だなあ)
エミリオはいつまでも付き合ってられないとその場を去ろうとしたとき、不意に腕を掴まれ、突然のことだったので思わず声を上げる。
「何するんだよ! 驚くじゃないか」
「事情は聞いたよ」
突然現れたエミリオに、赤い瞳の男は少し驚いた顔をした。
「アンタとまともに話すのは初めてだな。俺はエミリオ・ヴァンニ。悪いけどこっそり話を聞かせてもらった」
「……アノン・ベーリンガーだ。聞き耳は関心しないな」
アノンの見下すような視線とその言葉に、エミリオがカチンと頭にきて捲し立てる。
「しがたねぇだろ、アンタが毎日来るからこっちは迷惑してたんだよ。……ってそれよりさっきの話、アンタが叔父さん想いなのはよく分かった。叔父さんがこのプレートを作ってくれたことも感謝している」
感謝とはなんだ、とアノンは首を傾げた。
「このプレート、元々は俺の叔父のもので、小さい頃から俺はこれが好きだったから亡くなる前にくれたんだ。その代わり誰にも渡さないことを条件にね。渡すくらいなら割れっていうくらいプレートに執着してた。だから、お前がどんなに叔父さん想いで、このプレートを作った本人だろうがこれは渡せない。このプレートは俺と叔父の大切な絆なんだ。でもこれをこの世に生み出してくれたお前の叔父さんに感謝してる」
【混沌の青】という店名も、ロゴもこのプレートをモチーフにしているのは叔父であるシェメシュへの思いをこめているからだ、とも伝えると、アノンは手を口元に持っていき何かを考えこむような仕草をした。これで完全に諦めてくれるはずだとエミリオは最後にひと押しする。
「だから、売れないんだ。申し訳ないんだけど」
そしてしばらく沈黙が続き、城からマーケットの閉場時間を告げる鐘の音が聞こえた。ガヤガヤと周りの店は片付けに入る。トトはそっとその場を離れ、片付けを始めた。それでもアノンは動かない。
(しつこい奴だなあ)
エミリオはいつまでも付き合ってられないとその場を去ろうとしたとき、不意に腕を掴まれ、突然のことだったので思わず声を上げる。
「何するんだよ! 驚くじゃないか」
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