秘書は蜜愛に濡れる

吉良龍美

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秘書は蜜愛に濡れる

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「今日は奈緒のパーティーだから、二人仲良くしてくれると嬉しいんだが」
 二人はハッとして、龍之介に抱き上げられた奈緒を見上げた。
 大樹は奈緒に歩み寄ってごめんと謝る。奈緒はにっこりと微笑して、大樹に手を伸ばした。
 龍之介は奈緒を降ろすと、奈緒は片手を大樹の手と繋ぎ、もう片手をディオと繋ぐ。
「なおね? だいきとディオ大好き」
 にっこり微笑の奈緒を間に挟んで、二人の少年の胸には愛の矢がプスプスと突き刺さる。
「親父、俺決めたぞ! 将来奈緒ちゃんと結婚する!」
 両家双方固まり、ディオは真っ赤な顔で怒鳴った。
「バカヤロウ! 奈緒は男だ!!! やっぱお前許さん! 手打ちにしてやる!」
 ディオの言葉に今度は大樹が驚愕した。
「男ーーー!?」
「はい?」
 奈緒は可愛いらしく首を傾げ、大樹の頬を小さな両手で挟み、グイッと寄せて…。
「!?」
 キスをした。しかもベロチュウ。
「「「奈緒!?」」」
  龍之介と聡、ディオが叫ぶ。
 チュパッと唇が離れて大樹はにへら顔。思考は何処かへ旅立った。頭の周りで鳩が飛ぶ。
「だいき好き~なお結婚するの! ね?」
 大樹は奈緒に問われてコクコクと頷いた。
「奈緒~」
 ディオが泣いて龍之介にしがみ付く。
 龍之介と聡が顔を見合わせ溜め息を着いた。
 そして奈緒の爆弾発言降下。
「パパと聡ちゃんみたいに仲良しする」
「「うわ~っ!」」
 大人二人の真っ赤な顔に、大樹は首を傾げるばかり。
「…親父?」
 奈緒は大樹の手を握り締めて、人差し指を唇に当てた。
「ひみつです」
 頬を染めた大樹に、奈緒はもう一度キスをした。
 その後ケーキをみんなで食べたが、ディオはひとりふてくされていた。
「へえ~四歳の高平さんですか~見てみたいわ」
 此処は細川製作所秘書室。
 大樹が回転椅子でクルクル回りながら、秘書室内の社員に自慢話しを繰り広げていた。
 女性陣達はきゃあきゃあ騒ぎながら、昼休憩を、大樹の話で盛り上がる。「もう天使のように愛らしくてね~私は運命を感じたのだよ~」
「ほう~運命ですか」
「そう…………運命……奈緒ちゃん…」
 冷や汗ダラダラの大樹を見下ろしながら、渦中の奈緒がにっこりと微笑。秘書室内は凍り付いた。
「会議をすっぽかして何をしてるかと思えば、課長が泣きながら社長をお探しです! 今日は上半期の決済報告の日ですとお伝えしましたが? そんなに会議をすっぽかして放浪なさりたいなら、アラスカにでも熨斗付けて送りますよ!?」
「アラスカ寒くて私には耐えられないよ奈緒…」
 ずりずりと大樹は秘書室から御用となり、エレベーター内にて。
「社長…」
 奈緒は大樹を壁に押し当て、端正な顔を見上げた。
「奈緒…」
 大樹はぞくりと背を戦慄かせる。奈緒の指が大樹の目許から頬へ下りていき、唇を辿る。
「奈緒…此処で君を裸にして、いけない事をしそうだよ」
 奈緒は微笑して爪先立ちになり、顔を寄せる。
 大樹の唇を舌先でなぞると、大樹は口付けを深めて奈緒の腰を抱き寄せた。「焦らないで、大樹…ちゃんとお仕事したらご褒美を差し上げますからね」
 大樹のジュニアを優しく撫でた奈緒が、離れる。
「奈緒っ」
 奈緒は人差し指を自分の唇に当てた。
「今夜は寝かさないで下さいね?」
 奈緒はとても小悪魔? でした。
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