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秘書は蜜愛に濡れる
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「相変わらず叔母様譲りの美しさ。迎えに来たよ奈緒」
「誰が誰を迎えに来たって?」
不機嫌丸出しの細川大樹が背後に現れて、奈緒は息を呑んだ。
「だ…社長」
「なんだお前か。イタリアくんだりで何しに来た」
「…勿論奈緒を迎えにだクソ馬鹿ヤロー」
ハリスが賺さずお下品ですと窘めるが、聞いちゃいない。
陽斗が居た時はまるでお花畑の光景だったのが、今や嵐の大海原。
遠巻きで眺めていた傍観者達はそそくさと御退場。
「な・ん・だ・と~?」
「しゃっ社長、お客様には会議室の方へ案内しますね? お二人共此方へ」
奈緒が慌てて大樹の腕を掴み、火事場のくそ力よろしく大樹を引き摺ってその場を離れた。
「奈緒はイタリアだろうが、何処だろうが、私の傍からは放さないぞ」
此処は会議第二室。
秘書課からお茶を運ばせて、ディオとハリスを前に、向かい合わせで椅子に腰掛けた大樹が、開口一番に云い放った。
「大樹」
互いの間には、会議で使う長テーブルがコの字に置かれ、奈緒は大樹の隣に座っている。
「私は奈緒に云っている。奈緒どうか私とイタリアへ。父も奈緒に会いたがってる」
ディオが真剣な眼差しで奈緒を見詰める。奈緒はキュッと唇を結んで、隣の大樹を見た。
大樹はテーブルの下で、奈緒の手を握り締める。
「ディオ」
奈緒は大樹に頷いて、ディオを振り返った。
「ディオは私にとって大事な従兄弟だよ。私には今愛しい人が居る。初めて逢ったあの日から」
「奈緒」
大樹が嬉しそうに眼を細める。幼い頃に出逢い、互いが恋に落ちたのだ。
この手を離したくはない。ディオは溜め息を零して立ち上がった。
「……奈緒の気持ちは解った。……私にとって奈緒は昔も今も未来も、愛しい存在だよ」
「ディオ…」
「若旦那様」
ハリスは悲しそうに呼ぶ。
「大樹、奈緒を不幸にしたら許さないからな」
「しないしさせないさ」
ディオは微苦笑し、会議室を出て行った。
「宜しいのですか?」
ハリスはディオの想いを知っているから、あっさりと身を引いた事に驚きを隠せないでいる。
「不思議なんだが余り私はショックを受けていないんだよ。むしろ何故だろう? ホッとしているんだ」
エスカレーターまで来た時、壁に貼られたポスターに眼を留めた。
「先程の元気な少年ですね」
飲料水のイメージキャラクター、陽斗の可愛い笑顔がディオの眼を釘付けにする。
「柏木陽斗…」
その名を口にした刹那、ディオの胸が暖かくなる。
「ハリス。私はどうしたのだろう? あの少年が気になるんだが」
「若旦那様…」
「奈緒は…変わらず私の愛しい人だが、私が思っていたのとは違うようだ。ハリス、あの少年を調べてくれないか」
「畏まりました」
ハリスは深くお辞儀をした。
「お疲れ様ー」
監督の声にみんながお疲れ様と声を掛け合い、陽斗もまた挨拶をして、ロケバスに乗り込んだ。
「はいお疲れ様」
草壁がミネラルウォーターを、陽斗に手渡す。
「そういえばあの外国人、貴族だなんて凄いよな~しかもあの高平さんの従兄弟かあ…凄い家系なんだな」
「…俺もう帰る」
すっかり拗ねてしまった陽斗はロケバスから出ようとした刹那、草壁の携帯がなった。
「はい。社長? え、陽斗なら今此処に…え…え!?」
陽斗は呼ばれて振り返り、首を傾げた。
「高平さんの従兄弟さんが、陽斗の部屋にホームステイするって」
話の内容に連いて行けない。
陽斗は固まり、絶叫。
「なんだって―――――――っっ!?」
一時間後。
陽斗はセキュリティー万全なマンションに駆け込み、脱力した。
「…本当に居やがった」
にこやかなディオが満面の笑顔を貼り付けて、のたまった。
「宜しく頼むよ少年」
今日程事務所の社長を恨んだ事は無いだろう。
「なんでこうなるんだよ~」
陽斗はガクリと肩を落としたのだった。
「誰が誰を迎えに来たって?」
不機嫌丸出しの細川大樹が背後に現れて、奈緒は息を呑んだ。
「だ…社長」
「なんだお前か。イタリアくんだりで何しに来た」
「…勿論奈緒を迎えにだクソ馬鹿ヤロー」
ハリスが賺さずお下品ですと窘めるが、聞いちゃいない。
陽斗が居た時はまるでお花畑の光景だったのが、今や嵐の大海原。
遠巻きで眺めていた傍観者達はそそくさと御退場。
「な・ん・だ・と~?」
「しゃっ社長、お客様には会議室の方へ案内しますね? お二人共此方へ」
奈緒が慌てて大樹の腕を掴み、火事場のくそ力よろしく大樹を引き摺ってその場を離れた。
「奈緒はイタリアだろうが、何処だろうが、私の傍からは放さないぞ」
此処は会議第二室。
秘書課からお茶を運ばせて、ディオとハリスを前に、向かい合わせで椅子に腰掛けた大樹が、開口一番に云い放った。
「大樹」
互いの間には、会議で使う長テーブルがコの字に置かれ、奈緒は大樹の隣に座っている。
「私は奈緒に云っている。奈緒どうか私とイタリアへ。父も奈緒に会いたがってる」
ディオが真剣な眼差しで奈緒を見詰める。奈緒はキュッと唇を結んで、隣の大樹を見た。
大樹はテーブルの下で、奈緒の手を握り締める。
「ディオ」
奈緒は大樹に頷いて、ディオを振り返った。
「ディオは私にとって大事な従兄弟だよ。私には今愛しい人が居る。初めて逢ったあの日から」
「奈緒」
大樹が嬉しそうに眼を細める。幼い頃に出逢い、互いが恋に落ちたのだ。
この手を離したくはない。ディオは溜め息を零して立ち上がった。
「……奈緒の気持ちは解った。……私にとって奈緒は昔も今も未来も、愛しい存在だよ」
「ディオ…」
「若旦那様」
ハリスは悲しそうに呼ぶ。
「大樹、奈緒を不幸にしたら許さないからな」
「しないしさせないさ」
ディオは微苦笑し、会議室を出て行った。
「宜しいのですか?」
ハリスはディオの想いを知っているから、あっさりと身を引いた事に驚きを隠せないでいる。
「不思議なんだが余り私はショックを受けていないんだよ。むしろ何故だろう? ホッとしているんだ」
エスカレーターまで来た時、壁に貼られたポスターに眼を留めた。
「先程の元気な少年ですね」
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「柏木陽斗…」
その名を口にした刹那、ディオの胸が暖かくなる。
「ハリス。私はどうしたのだろう? あの少年が気になるんだが」
「若旦那様…」
「奈緒は…変わらず私の愛しい人だが、私が思っていたのとは違うようだ。ハリス、あの少年を調べてくれないか」
「畏まりました」
ハリスは深くお辞儀をした。
「お疲れ様ー」
監督の声にみんながお疲れ様と声を掛け合い、陽斗もまた挨拶をして、ロケバスに乗り込んだ。
「はいお疲れ様」
草壁がミネラルウォーターを、陽斗に手渡す。
「そういえばあの外国人、貴族だなんて凄いよな~しかもあの高平さんの従兄弟かあ…凄い家系なんだな」
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「はい。社長? え、陽斗なら今此処に…え…え!?」
陽斗は呼ばれて振り返り、首を傾げた。
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話の内容に連いて行けない。
陽斗は固まり、絶叫。
「なんだって―――――――っっ!?」
一時間後。
陽斗はセキュリティー万全なマンションに駆け込み、脱力した。
「…本当に居やがった」
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