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番外編
先輩への想い
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オレが戸隠忍先輩と初めて会った時に持った印象は、『陰気っぽくで猫背で声が小さくって根暗そうで小柄な、可愛い人』だった。
父親の持っていた、戸隠先輩の書いた研究論文を偶然読み、それから受けた印象から先輩に興味を持ち、少しでもこの人に近づこうと四年間会わないまま想い続ける努力をし、やっと此処まで来た。湯川製薬の研究棟の地下にある先輩の研修室は窓も無くって薄暗く、影の薄い先輩にはぴったりの空間だ。
『初めまして。この度サポート役としてこちらに配属される事に決まった、瀬田葵です。よろしくお願いします』
そう言うオレに顔を向ける事も無く、先輩はかけている眼鏡の位置を指先で軽く直しながら『…… どうも』と小声で言うだけで、まともな対応など全くしてくれなかった。
だけどそんな距離感すらも、『コレって誰に対してもこうなんだったら、いずれはオレだけのモノに出来るって事なのか』と思うと、ついついニヤケ顔になりそうになってしまい、慌てて顔付きを引き締めたのだった。
◇
『…… この器具、洗ってもらえるかな』
『はい、了解っす』
入社してすぐはまともに話してくれなかった先輩も、一ヶ月目くらいになると、細々と頼み事をしてくれる様になってきた。
最初のうちはまだまだガッツリと新人研修中の身の上だったので、終業後や午後遅くの時間からの手伝いばかりだった為か、最初のうちはオレが先輩の研究室に行っても『…… お茶を、買って来てもらえますか?えっと、後で行くんで、そのお茶と一緒に休憩所の席を確保しておいて下さい』くらいしか頼まれず、誰も居ない休憩所で先輩が来るまでポツンと一人で待つ事から始まった。
研修時間中は大変なのに、仕事の間は休憩所でぼぉっとしているだけって…… どうなんだ?これで残業代が貰えるとかホントにいいのかよと思いつつ、先輩を待つ日々は思うところはありつつも、ちょっと楽しかった。
慣れてくると案外先輩は口数が多く、意外にもツッコミが鋭かった事には、本当に驚いた。
相変わらず吃っていてスローテンポな話し方ではあったものの、少しずつ心の距離感が近くなっていくのは心地いい。体の距離は出来る限り離れようと毎度されてしまうが、無理に詰めると逃げないでいてくれるので、きっとオレに興味を持ってくれているに違いない。
◇
先輩に会えた入社式から二ヶ月目程度が経過した、ある日の事。研究室の片隅で、椅子に座ったまま机に突っ伏して寝落ちしている先輩を発見した。
室温も湿度も適切に保たれているので寒くは無いだろうが、布団も無しに寝るのは冷えるだろう。そう思ったオレは、棚の中にしまってあるブランケットを引っ張り出し、先輩の背中にそっとそれをかけてやった。
「…… どんな夢、見てるんっすか?先輩」
美味しそうな匂いはしないので、残念ながら淫夢では無い様だ。だけどすごく気になる。真面目でお堅い先輩は、一体どんな夢を見るのんだろうか?あわよくばソレを強制的に淫夢に変更して、美味しく頂くのはどうだろうか。
先輩は特異体質の様で、魔女と同じく魅了の魔法がかからない。肉体だけでも先に美味しく頂いて、好きって気持ちは後で手に入れてしまおうと思っていたオレの計画が、初日に破綻した時は本当にとってもものすごくマジでショックだった。だけど、夢にまで侵入出来ない感じは無いので、コレはもう、夢から堕としてしまうのはどうだろうか?
『あんなにエッチな夢を毎晩見ちゃうなんて、もしかしたら私は葵君に犯されたいのかも!』
そう思ってくれたら、難無く先輩がオレのモノなのでは⁉︎
そしたら、自分から脚を開き、ぐじゅぐじゅに濡れてヒクつく隠部をくぱぁと指先で開いて、『早く挿れて』っておねだりしてくれるんじゃないのか?
「…… お邪魔しまーす」
善は急げと、先輩の夢の中に侵入する。自分の持つ性欲の強さでキツイ事も多々あるが、こういう行為が出来ると、淫魔に生まれて本当によかったと思えた。
——真っ暗な空間に降り立った。
何も無い。空っぽの空間は広いのか狭いのかもわからない。先輩がどこに居るのかも見えず、歩き回って彼女を探す。しばらく進んだ先で何か大きな物がドサッと倒れる様な音が聞こえてきた。
何の音だろうか?
不思議に思いながら音のした方へ行ってみると、やっと先輩を見付ける事が出来た。出来はしたのだが…… 先輩が、沢山居る。みんな真っ黒な服を着ていて、長い髪を無造作に揺らしながら取っ組み合いをしているみたいだ。
ある者は、包丁を片手に持って先輩に切り掛かって行く。
ある者は、先輩の首を絞め、先輩が崩れ落ちるまで必死に力を入れ続けている。
ある者は、腹に噛み付き、血が飛び散ろうがお構いなく歯を食い込ませている。
また、ある者は——
己同士で死闘を繰り広げ、殺し合い、数を減らしていく様子は地獄そのものであるとしか思えなかった。
何十分、何時間が経過したのかわからない。
所詮此処は夢の中でしか無いので、実際にはほとんど経過してはいないのだが、こんな夢が先輩のモノであるとはとてもじゃないが信じられない。
口元を軽く押さえた時、自分の手が震えていた事にやっと気が付いた。そして、先輩がいつもちょっと眠たそうで、眼鏡の奥に潜む愛らしい瞳の下に薄らとクマがある理由も…… わかった気がした。
先輩が一人だけになり、気が抜けたのかその場で体育座りをして、顔を伏せている。
「お疲れ様です、先輩」
オレがそう声を掛けると、ひどく驚いた顔をしながら、先輩が顔を上げた。
返り血で顔は汚れ、爪はボロボロだし、髪が無造作にちぎり取られ、服や肌も傷だらけになっていて今にも死にそうなくらいに弱っている。
「…… えっと、君は…… 」
誰だっけ?と言いたげに瞳が揺れ、かなり傷付いた。
オレは個人として認識されていなかったのだと、気が付いたからだ。
「ひどいっすね、先輩。ちゃんとオレ、自己紹介したじゃないっすか。貴方の後輩の、瀬田葵ですよ」
コレで覚えて下さいね、と言いながら、先輩の側にしゃがんでそっと頭を撫でてみる。両腕で咄嗟に顔を守り、その流れのまま一瞬反撃もされそうになったのだが、オレには敵意が無いとすぐに悟ってくれたのか、逃げられたりはしなかった。
「あ、温かいね…… 君の、手は」
ゆっくりと瞼を閉じ、頭をオレの方へ軽く傾けてくれる。甘える仕草がまるで猫みたいで、ホント可愛い。
「あざーっす」
短く礼を言い、隣にくっついて座ってみる。
そして再び後ろから手を伸ばして頭を撫でてあげると、安堵した様に微笑んだ後、先輩は夢の中なのに眠りについてしまった。
「きっとお疲れだったんですね。いいっすよ、オレに沢山甘えて下さいね」
何が原因なのか全くわからないが、あんな夢を見ていては、眠りなんか浅いものなのだろう。こんな夢からでは、淫夢に移行なんかしても全然美味しく無いのは確実だ。仕方がないので、先輩の疲れを取ることを優先し、オレは先輩の眠ってしまった体をそっと倒して、膝の上に頭が乗る様にしてやった。
「しっかり休んで行っていいっすよ。先輩が起きるまで、オレが膝枕してあげますから」
優しくゆっくり頭を撫で続け、子守唄を口遊む。随分長い間そうしてやったが、全然苦には思わなかった。
◇
あれから更に一ヶ月程度が経過した。
「先輩、最近顔色いいっすね」
先輩がうたた寝をしているたびに夢に入り、死闘を繰り広げた後の先輩を甘やかす様になってから、随分先輩の顔色が良くなっていった。最近では侵入しても真っ暗ではなかったり、殺し合いをしていなかったり、色のある夢を見ている事も増えてきたので、オレの行為は先輩に良い影響を与えられている様な気がする。
「うん、夢見も悪くないしね。…… もしかしたら、お手伝いしてくれる人が入ってくれて、仕事量がちょっと減ったからかなぁ」
相変わらずあまり目を合わせてはくれないが、前よりも更に話してくれる時間がかなり増え、雑談にまでのってくれる様になった。ツッコミを入れてくる時なんかはちょっと声まで大きめになって、言ってしまった後でハッとした顔をしてくれる瞬間が嬉しくって堪らない。
“淫夢を見せてエッチな先輩を育成しよう“といった計画は、“まずは体を犯して後で心をゲット計画“と共に破綻してしまったが、こうやって普通に互いの距離が近くなっていく感覚は、素晴らしい経験だった。
好きだ、好き、一生側にいたい——
そう思う気持ちは日に日に募る一方ではあるものの、今の立場の居心地の良さを理由に何とか我慢し続ける事が出来た。
だが所詮オレは淫魔だ。
理性なんてモノは常に薄っぺらい氷上の上に乗っている状態なので、いつ何をしてしまうか自分でもわからない。
いつか恋心と性欲が暴走してしまう前に、少しでも先輩と親密度を深めていく事が出来る様、切に願う。
【終わり】
父親の持っていた、戸隠先輩の書いた研究論文を偶然読み、それから受けた印象から先輩に興味を持ち、少しでもこの人に近づこうと四年間会わないまま想い続ける努力をし、やっと此処まで来た。湯川製薬の研究棟の地下にある先輩の研修室は窓も無くって薄暗く、影の薄い先輩にはぴったりの空間だ。
『初めまして。この度サポート役としてこちらに配属される事に決まった、瀬田葵です。よろしくお願いします』
そう言うオレに顔を向ける事も無く、先輩はかけている眼鏡の位置を指先で軽く直しながら『…… どうも』と小声で言うだけで、まともな対応など全くしてくれなかった。
だけどそんな距離感すらも、『コレって誰に対してもこうなんだったら、いずれはオレだけのモノに出来るって事なのか』と思うと、ついついニヤケ顔になりそうになってしまい、慌てて顔付きを引き締めたのだった。
◇
『…… この器具、洗ってもらえるかな』
『はい、了解っす』
入社してすぐはまともに話してくれなかった先輩も、一ヶ月目くらいになると、細々と頼み事をしてくれる様になってきた。
最初のうちはまだまだガッツリと新人研修中の身の上だったので、終業後や午後遅くの時間からの手伝いばかりだった為か、最初のうちはオレが先輩の研究室に行っても『…… お茶を、買って来てもらえますか?えっと、後で行くんで、そのお茶と一緒に休憩所の席を確保しておいて下さい』くらいしか頼まれず、誰も居ない休憩所で先輩が来るまでポツンと一人で待つ事から始まった。
研修時間中は大変なのに、仕事の間は休憩所でぼぉっとしているだけって…… どうなんだ?これで残業代が貰えるとかホントにいいのかよと思いつつ、先輩を待つ日々は思うところはありつつも、ちょっと楽しかった。
慣れてくると案外先輩は口数が多く、意外にもツッコミが鋭かった事には、本当に驚いた。
相変わらず吃っていてスローテンポな話し方ではあったものの、少しずつ心の距離感が近くなっていくのは心地いい。体の距離は出来る限り離れようと毎度されてしまうが、無理に詰めると逃げないでいてくれるので、きっとオレに興味を持ってくれているに違いない。
◇
先輩に会えた入社式から二ヶ月目程度が経過した、ある日の事。研究室の片隅で、椅子に座ったまま机に突っ伏して寝落ちしている先輩を発見した。
室温も湿度も適切に保たれているので寒くは無いだろうが、布団も無しに寝るのは冷えるだろう。そう思ったオレは、棚の中にしまってあるブランケットを引っ張り出し、先輩の背中にそっとそれをかけてやった。
「…… どんな夢、見てるんっすか?先輩」
美味しそうな匂いはしないので、残念ながら淫夢では無い様だ。だけどすごく気になる。真面目でお堅い先輩は、一体どんな夢を見るのんだろうか?あわよくばソレを強制的に淫夢に変更して、美味しく頂くのはどうだろうか。
先輩は特異体質の様で、魔女と同じく魅了の魔法がかからない。肉体だけでも先に美味しく頂いて、好きって気持ちは後で手に入れてしまおうと思っていたオレの計画が、初日に破綻した時は本当にとってもものすごくマジでショックだった。だけど、夢にまで侵入出来ない感じは無いので、コレはもう、夢から堕としてしまうのはどうだろうか?
『あんなにエッチな夢を毎晩見ちゃうなんて、もしかしたら私は葵君に犯されたいのかも!』
そう思ってくれたら、難無く先輩がオレのモノなのでは⁉︎
そしたら、自分から脚を開き、ぐじゅぐじゅに濡れてヒクつく隠部をくぱぁと指先で開いて、『早く挿れて』っておねだりしてくれるんじゃないのか?
「…… お邪魔しまーす」
善は急げと、先輩の夢の中に侵入する。自分の持つ性欲の強さでキツイ事も多々あるが、こういう行為が出来ると、淫魔に生まれて本当によかったと思えた。
——真っ暗な空間に降り立った。
何も無い。空っぽの空間は広いのか狭いのかもわからない。先輩がどこに居るのかも見えず、歩き回って彼女を探す。しばらく進んだ先で何か大きな物がドサッと倒れる様な音が聞こえてきた。
何の音だろうか?
不思議に思いながら音のした方へ行ってみると、やっと先輩を見付ける事が出来た。出来はしたのだが…… 先輩が、沢山居る。みんな真っ黒な服を着ていて、長い髪を無造作に揺らしながら取っ組み合いをしているみたいだ。
ある者は、包丁を片手に持って先輩に切り掛かって行く。
ある者は、先輩の首を絞め、先輩が崩れ落ちるまで必死に力を入れ続けている。
ある者は、腹に噛み付き、血が飛び散ろうがお構いなく歯を食い込ませている。
また、ある者は——
己同士で死闘を繰り広げ、殺し合い、数を減らしていく様子は地獄そのものであるとしか思えなかった。
何十分、何時間が経過したのかわからない。
所詮此処は夢の中でしか無いので、実際にはほとんど経過してはいないのだが、こんな夢が先輩のモノであるとはとてもじゃないが信じられない。
口元を軽く押さえた時、自分の手が震えていた事にやっと気が付いた。そして、先輩がいつもちょっと眠たそうで、眼鏡の奥に潜む愛らしい瞳の下に薄らとクマがある理由も…… わかった気がした。
先輩が一人だけになり、気が抜けたのかその場で体育座りをして、顔を伏せている。
「お疲れ様です、先輩」
オレがそう声を掛けると、ひどく驚いた顔をしながら、先輩が顔を上げた。
返り血で顔は汚れ、爪はボロボロだし、髪が無造作にちぎり取られ、服や肌も傷だらけになっていて今にも死にそうなくらいに弱っている。
「…… えっと、君は…… 」
誰だっけ?と言いたげに瞳が揺れ、かなり傷付いた。
オレは個人として認識されていなかったのだと、気が付いたからだ。
「ひどいっすね、先輩。ちゃんとオレ、自己紹介したじゃないっすか。貴方の後輩の、瀬田葵ですよ」
コレで覚えて下さいね、と言いながら、先輩の側にしゃがんでそっと頭を撫でてみる。両腕で咄嗟に顔を守り、その流れのまま一瞬反撃もされそうになったのだが、オレには敵意が無いとすぐに悟ってくれたのか、逃げられたりはしなかった。
「あ、温かいね…… 君の、手は」
ゆっくりと瞼を閉じ、頭をオレの方へ軽く傾けてくれる。甘える仕草がまるで猫みたいで、ホント可愛い。
「あざーっす」
短く礼を言い、隣にくっついて座ってみる。
そして再び後ろから手を伸ばして頭を撫でてあげると、安堵した様に微笑んだ後、先輩は夢の中なのに眠りについてしまった。
「きっとお疲れだったんですね。いいっすよ、オレに沢山甘えて下さいね」
何が原因なのか全くわからないが、あんな夢を見ていては、眠りなんか浅いものなのだろう。こんな夢からでは、淫夢に移行なんかしても全然美味しく無いのは確実だ。仕方がないので、先輩の疲れを取ることを優先し、オレは先輩の眠ってしまった体をそっと倒して、膝の上に頭が乗る様にしてやった。
「しっかり休んで行っていいっすよ。先輩が起きるまで、オレが膝枕してあげますから」
優しくゆっくり頭を撫で続け、子守唄を口遊む。随分長い間そうしてやったが、全然苦には思わなかった。
◇
あれから更に一ヶ月程度が経過した。
「先輩、最近顔色いいっすね」
先輩がうたた寝をしているたびに夢に入り、死闘を繰り広げた後の先輩を甘やかす様になってから、随分先輩の顔色が良くなっていった。最近では侵入しても真っ暗ではなかったり、殺し合いをしていなかったり、色のある夢を見ている事も増えてきたので、オレの行為は先輩に良い影響を与えられている様な気がする。
「うん、夢見も悪くないしね。…… もしかしたら、お手伝いしてくれる人が入ってくれて、仕事量がちょっと減ったからかなぁ」
相変わらずあまり目を合わせてはくれないが、前よりも更に話してくれる時間がかなり増え、雑談にまでのってくれる様になった。ツッコミを入れてくる時なんかはちょっと声まで大きめになって、言ってしまった後でハッとした顔をしてくれる瞬間が嬉しくって堪らない。
“淫夢を見せてエッチな先輩を育成しよう“といった計画は、“まずは体を犯して後で心をゲット計画“と共に破綻してしまったが、こうやって普通に互いの距離が近くなっていく感覚は、素晴らしい経験だった。
好きだ、好き、一生側にいたい——
そう思う気持ちは日に日に募る一方ではあるものの、今の立場の居心地の良さを理由に何とか我慢し続ける事が出来た。
だが所詮オレは淫魔だ。
理性なんてモノは常に薄っぺらい氷上の上に乗っている状態なので、いつ何をしてしまうか自分でもわからない。
いつか恋心と性欲が暴走してしまう前に、少しでも先輩と親密度を深めていく事が出来る様、切に願う。
【終わり】
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