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番外編
疑問点は解消せねば気が済まない(戸隠 忍・談)
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『はたして人は、レポートや論文を読んだだけで、その著者に惚れる事などあるのだろうか?』
私が出した答えは『否』だ。
当然だろう。だって、そんな経験私は一度も無い。完成度の高い素晴らしい研究報告書を読んでも、尊敬の念を抱いたり疑問点が残ったりする事などはあったとしても、それ以上の何かを思う事など無い。百歩譲って、書き手の方に是非とも会ってみたいと思う事はあったとして、それは愛情からくるものでは到底無いのだ。
「——なるほど?それで、オレの愛情を先輩は疑っている訳っすね?」
「…… そ、そうは言っていないけど。…… 疑問では、ある、かな」
休憩室の扉には鍵を掛け、私は今研究室の椅子に——何故か一人掛け用の椅子に、二人で座っている。瀬田君の膝の上ってやつだ。腰を後ろからギューッと抱かれ、首筋に何度もキスをされているもんだから、全く思考に集中出来ない。コレでは、彼にとっては愛し合う為だけのスペースでしかないらしいベッドのある部屋にわざわざ鍵を掛けた意味が無いではないか。
「そもそもオレは、レポートを読んで『惚れた』とは言ってないっすよ?『興味を持った。逢いたくなった』くらいで話したと思うんっすけど」
「…… そう、だっけ?」
そうだとしても、たったそれだけの気持ちで淫魔な彼が、行く必要も無い大学へ四年もきちんと通い、製薬会社に就職する条件を揃えてまで逢いになんて来るものだろうか?
「んー…… 言っても信じないと思うんですけど、聞きます?」
「自在に動く尻尾をスカートの中に忍び込ませながら言われて信じられない言葉なんて、『何もしない』くらいだから大丈夫だよ」
「なら良かった」
「良くは無いよ⁈今は休憩時間ではあるけど、それでも就業中なんだからね?」
ハイハイ、と瀬田君が私の言葉をサラッと流す。
普段は色々きちんとしている事の多い彼なのに、性的な事が絡むと本能剥き出しになってしまうのは淫魔故の性なのだろうが、自重して頂きたいものだ。
「浮世離れした先輩でも、運命の赤い糸って聞いた事ありますよね?」
「ホント一言多いね、君は。まぁ…… 流石に知ってるよ、運命の相手とは小指同士が赤い糸で繋がっているってやつだよね?本当にあるとは、思っていないけど」
「それっす。先輩のレポートを読んだ時に感じたのは、アレの一旦を掴んだ様な感覚ですね。今これを無視したら絶対に後悔するなってのが本能的にわかって、速攻で母親に『この人に会いたい』ったんですけどね、待てって言われたんですよ。今のままじゃ、好意は持ってもらえないって」
——彼が言う事には、生まれたと同時に両親の持っている知識は受け継がれているらしいのだが、経験までは自分で得なければならないらしく、『知っている』と『出来る』は全然違うそうだ。そんな自分が書類だけ誤魔化して入社しても『このままじゃ、葵は箸にも棒にもかからないよ。そうなったら強姦騒動起こしちゃいそうだから、まずは色々勉強だね』と大学へ進学する事を勧められたそうだ。幸にして父親が高校教師なので大学に進学出来るレベルでの知識量に問題は無く、私の出身校と同じ大学へ入学したらしい。
「気になる人に四年も逢いに行けないのは正直キツかったんすけど、進学してホント良かったとは思っています」
「だろうねぇ…… 男女問わずにオモテになったでしょうしねぇ、君なら」
「まぁ、そうっすね。そりゃめんどくせぇなと思う程度には」
私は嫌味っぽい口調で言ったのに、サラッと認められたせいかイラつきもしなかった。
色白で端正な顔、金髪にシトリンの瞳、高身長で頭がいいとか、行動がたまに幼かろうが納得しか出来ない。
「それなりに友人も出来ましたしね、全部人外っすけど」
「待って、人外さんってそこら中にいる者なの⁉︎」
驚きを隠せず、勢いよく後ろに振り返る。目が合った瞬間ちょっと嬉しそうに彼の口元が綻び、照れ臭い気持ちになった。
「いやぁ、流石にそうでも無いですよ。でも不思議と似た様なのが集まってくるんすよ、類友って奴じゃないっすか?」
「なるほど…… 」
母校に人外さんが居ると思うと不思議な気分になってくる。ご両親を含め、面白そうなので是非とも瀬田君のお友達にも会ってみたいものだ。
「でもサークルには入らなかったし、勉強以外は先輩の足跡探しばっかの毎日でしたけどね」
「残ってるわけないよね⁉︎」
「…… いや、言葉のまま受け取らないで下さいよ」
「君に言われたくはないなぁ」
「図書館の貸し出しカードに先輩の名前を見付けたりとか、先輩の事を覚えている先生に話を聞きに行ったりとかって話ですって」
「先生はわかるとしても、本の貸し出しって、もう全部データで管理してるんじゃないの?」
「してますよ。だから先輩みたいに古い人の貸し出しカードでも、まだ一部の本の中に残ったままだったんすよ」
「あのねぇ…… 古い人って、言い方ぁ!」
こっちは怒っているのに、瀬田君は嬉しそうに口元を綻ばせながら「まぁまぁ」と言って私の頭を撫でてくる。撫で方まで絶妙なのでそうしてくれるのは嬉しいのだが、どうして彼はこうも言い方を選ばないのだろうか。
「結局は、先輩の話を先生に訊きに行くのが一番多かったっすね。そういや、獣医学部の准教授が会いたがっていましたよ」
そう聞いて、思い浮かぶのは森先生だった。
薬学部だった私とは本来接点が無いのだが、毒を持つ蛇や蜘蛛などをメインの研究対象としている先生だったおかげで話が合った為、たまに研究レポートを書いた後などに完成度を見てもらいたくって研究室まで行ってしまっていた。あの時の、毒蜘蛛がケースの中に多数並んでいる様子を見ながら飲んだ紅茶の、なんと美味しかった事か。
「そ、そっかぁ…… じゃあ今度行ってみようかな」
「俺達も一緒じゃ無いとダメっすよ」
「あ、うん。神霊君にも会わせたいし、丁度いいね」
もじもじと手を揉みながら、うんうんと頷く。今から先生に会う日がとっても楽しみだ。
——ガチャリ。
不意に不遜な音が鳴り、動きが止まる。今聞こえたのは一体何の音だろうか?
「あ、やっと開いたか」と言って、瀬田君が隣の休憩室に続く扉に視線をやる。
「…… はい?」
「シンレイ、ありがとなー」
無表情な雰囲気が完全に消え、瀬田君の表情が珍しくとても眩しい笑顔になる。
それと同時に、絶対に鍵をかけたはずの扉が自然と開き、中からズルズルと白蛇の神霊君が這い出て来た。
それにしても、いつの間に私の神霊君の名前が“シンレイ”になっていたのだ!ズルイ、二人は意思疎通出来るからきっと話し合って決めたのだろう。
「さてと、時間稼ぎは終わったんで隣の部屋に行きましょうか」
「え?」
にこやかに微笑み、私の体を瀬田君が横向きにして抱き上げる。
「待って!就業時間中!」
壁掛けの時計をチラリと見上げ、「あと数十分程度じゃないっすか。誤差っすね」と凛々しい顔で言われたがちょっと待て。
「誤差じゃなーいー!」
瀬田君の腕の中で暴れてみたが、神霊君が這い上がってきてグルンと手首に巻きついてくるせいでそれすら出来なくなる。
「ま、待って待って待って⁉︎仲良すぎじゃない、君達ぃ!」
「そりゃぁそうっすよ、オレの使役なんですから」
「ズルイ、ズルイよ!」
「全然ズルくないっすよ。仲良くしていた方が、先輩だって嬉しいでしょう?」
「そりゃまぁそうだけど、でもね、でもね!コレはなんか違うと思うんだ!」
私の言葉は二人ともサラッと流し、休憩室へ向かって元気に歩いて行く。
もうだめだ、まだ仕事時間も終わっていないというのに、瀬田君のお食事コースまっしぐらになってしまう。
「疑われた愛情分、たっぷり愛してあげますんで覚悟していて下さいね」
そもそもがそういう疑問では無かったのだが、『ごめんなさい、もうしません!』と心の中で叫ぶ。ベッドに辿り着く前にはもう私の口を瀬田君の綺麗な唇で塞がれてしまい、それを言う事は最後まで出来なかったのだった。
【終わり】
私が出した答えは『否』だ。
当然だろう。だって、そんな経験私は一度も無い。完成度の高い素晴らしい研究報告書を読んでも、尊敬の念を抱いたり疑問点が残ったりする事などはあったとしても、それ以上の何かを思う事など無い。百歩譲って、書き手の方に是非とも会ってみたいと思う事はあったとして、それは愛情からくるものでは到底無いのだ。
「——なるほど?それで、オレの愛情を先輩は疑っている訳っすね?」
「…… そ、そうは言っていないけど。…… 疑問では、ある、かな」
休憩室の扉には鍵を掛け、私は今研究室の椅子に——何故か一人掛け用の椅子に、二人で座っている。瀬田君の膝の上ってやつだ。腰を後ろからギューッと抱かれ、首筋に何度もキスをされているもんだから、全く思考に集中出来ない。コレでは、彼にとっては愛し合う為だけのスペースでしかないらしいベッドのある部屋にわざわざ鍵を掛けた意味が無いではないか。
「そもそもオレは、レポートを読んで『惚れた』とは言ってないっすよ?『興味を持った。逢いたくなった』くらいで話したと思うんっすけど」
「…… そう、だっけ?」
そうだとしても、たったそれだけの気持ちで淫魔な彼が、行く必要も無い大学へ四年もきちんと通い、製薬会社に就職する条件を揃えてまで逢いになんて来るものだろうか?
「んー…… 言っても信じないと思うんですけど、聞きます?」
「自在に動く尻尾をスカートの中に忍び込ませながら言われて信じられない言葉なんて、『何もしない』くらいだから大丈夫だよ」
「なら良かった」
「良くは無いよ⁈今は休憩時間ではあるけど、それでも就業中なんだからね?」
ハイハイ、と瀬田君が私の言葉をサラッと流す。
普段は色々きちんとしている事の多い彼なのに、性的な事が絡むと本能剥き出しになってしまうのは淫魔故の性なのだろうが、自重して頂きたいものだ。
「浮世離れした先輩でも、運命の赤い糸って聞いた事ありますよね?」
「ホント一言多いね、君は。まぁ…… 流石に知ってるよ、運命の相手とは小指同士が赤い糸で繋がっているってやつだよね?本当にあるとは、思っていないけど」
「それっす。先輩のレポートを読んだ時に感じたのは、アレの一旦を掴んだ様な感覚ですね。今これを無視したら絶対に後悔するなってのが本能的にわかって、速攻で母親に『この人に会いたい』ったんですけどね、待てって言われたんですよ。今のままじゃ、好意は持ってもらえないって」
——彼が言う事には、生まれたと同時に両親の持っている知識は受け継がれているらしいのだが、経験までは自分で得なければならないらしく、『知っている』と『出来る』は全然違うそうだ。そんな自分が書類だけ誤魔化して入社しても『このままじゃ、葵は箸にも棒にもかからないよ。そうなったら強姦騒動起こしちゃいそうだから、まずは色々勉強だね』と大学へ進学する事を勧められたそうだ。幸にして父親が高校教師なので大学に進学出来るレベルでの知識量に問題は無く、私の出身校と同じ大学へ入学したらしい。
「気になる人に四年も逢いに行けないのは正直キツかったんすけど、進学してホント良かったとは思っています」
「だろうねぇ…… 男女問わずにオモテになったでしょうしねぇ、君なら」
「まぁ、そうっすね。そりゃめんどくせぇなと思う程度には」
私は嫌味っぽい口調で言ったのに、サラッと認められたせいかイラつきもしなかった。
色白で端正な顔、金髪にシトリンの瞳、高身長で頭がいいとか、行動がたまに幼かろうが納得しか出来ない。
「それなりに友人も出来ましたしね、全部人外っすけど」
「待って、人外さんってそこら中にいる者なの⁉︎」
驚きを隠せず、勢いよく後ろに振り返る。目が合った瞬間ちょっと嬉しそうに彼の口元が綻び、照れ臭い気持ちになった。
「いやぁ、流石にそうでも無いですよ。でも不思議と似た様なのが集まってくるんすよ、類友って奴じゃないっすか?」
「なるほど…… 」
母校に人外さんが居ると思うと不思議な気分になってくる。ご両親を含め、面白そうなので是非とも瀬田君のお友達にも会ってみたいものだ。
「でもサークルには入らなかったし、勉強以外は先輩の足跡探しばっかの毎日でしたけどね」
「残ってるわけないよね⁉︎」
「…… いや、言葉のまま受け取らないで下さいよ」
「君に言われたくはないなぁ」
「図書館の貸し出しカードに先輩の名前を見付けたりとか、先輩の事を覚えている先生に話を聞きに行ったりとかって話ですって」
「先生はわかるとしても、本の貸し出しって、もう全部データで管理してるんじゃないの?」
「してますよ。だから先輩みたいに古い人の貸し出しカードでも、まだ一部の本の中に残ったままだったんすよ」
「あのねぇ…… 古い人って、言い方ぁ!」
こっちは怒っているのに、瀬田君は嬉しそうに口元を綻ばせながら「まぁまぁ」と言って私の頭を撫でてくる。撫で方まで絶妙なのでそうしてくれるのは嬉しいのだが、どうして彼はこうも言い方を選ばないのだろうか。
「結局は、先輩の話を先生に訊きに行くのが一番多かったっすね。そういや、獣医学部の准教授が会いたがっていましたよ」
そう聞いて、思い浮かぶのは森先生だった。
薬学部だった私とは本来接点が無いのだが、毒を持つ蛇や蜘蛛などをメインの研究対象としている先生だったおかげで話が合った為、たまに研究レポートを書いた後などに完成度を見てもらいたくって研究室まで行ってしまっていた。あの時の、毒蜘蛛がケースの中に多数並んでいる様子を見ながら飲んだ紅茶の、なんと美味しかった事か。
「そ、そっかぁ…… じゃあ今度行ってみようかな」
「俺達も一緒じゃ無いとダメっすよ」
「あ、うん。神霊君にも会わせたいし、丁度いいね」
もじもじと手を揉みながら、うんうんと頷く。今から先生に会う日がとっても楽しみだ。
——ガチャリ。
不意に不遜な音が鳴り、動きが止まる。今聞こえたのは一体何の音だろうか?
「あ、やっと開いたか」と言って、瀬田君が隣の休憩室に続く扉に視線をやる。
「…… はい?」
「シンレイ、ありがとなー」
無表情な雰囲気が完全に消え、瀬田君の表情が珍しくとても眩しい笑顔になる。
それと同時に、絶対に鍵をかけたはずの扉が自然と開き、中からズルズルと白蛇の神霊君が這い出て来た。
それにしても、いつの間に私の神霊君の名前が“シンレイ”になっていたのだ!ズルイ、二人は意思疎通出来るからきっと話し合って決めたのだろう。
「さてと、時間稼ぎは終わったんで隣の部屋に行きましょうか」
「え?」
にこやかに微笑み、私の体を瀬田君が横向きにして抱き上げる。
「待って!就業時間中!」
壁掛けの時計をチラリと見上げ、「あと数十分程度じゃないっすか。誤差っすね」と凛々しい顔で言われたがちょっと待て。
「誤差じゃなーいー!」
瀬田君の腕の中で暴れてみたが、神霊君が這い上がってきてグルンと手首に巻きついてくるせいでそれすら出来なくなる。
「ま、待って待って待って⁉︎仲良すぎじゃない、君達ぃ!」
「そりゃぁそうっすよ、オレの使役なんですから」
「ズルイ、ズルイよ!」
「全然ズルくないっすよ。仲良くしていた方が、先輩だって嬉しいでしょう?」
「そりゃまぁそうだけど、でもね、でもね!コレはなんか違うと思うんだ!」
私の言葉は二人ともサラッと流し、休憩室へ向かって元気に歩いて行く。
もうだめだ、まだ仕事時間も終わっていないというのに、瀬田君のお食事コースまっしぐらになってしまう。
「疑われた愛情分、たっぷり愛してあげますんで覚悟していて下さいね」
そもそもがそういう疑問では無かったのだが、『ごめんなさい、もうしません!』と心の中で叫ぶ。ベッドに辿り着く前にはもう私の口を瀬田君の綺麗な唇で塞がれてしまい、それを言う事は最後まで出来なかったのだった。
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