執愛気質の幼馴染に全てを奪われていたお話

月咲やまな

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最終話(辻凉葉・談)

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 昼になり、一人で勝手に軽めの昼食を終えた私は地元密着型のフリーペーパーに目を通している所だ。昨日ポストに投函されていたもので、クーポンなんかもついていたりするし、美味しそうな店の新規開拓にも役立つので結構助かっている。
「……街コンかぁ」
 特集記事に書かれているワードをぽつりと呟くと、不意に「——興味、あるのか?」と訊かれて肩が少し跳ねた。顔を上げると、そこに居たのはいつも通り不健康そうな印象のある咲真君だった。
「そりゃまぁ、ね。結婚もそろそろ視野に入れ始めたい所だし」
 いつまでも失恋を引きずる気は無い。偶然にしろ、母と咲真君との関係を知ってしまった以上この家にいつまでも居たくもないし。長年恋人関係にあった二人にとっては成人した子供なんて正直邪魔でしかないだろうから早く退散してあげたい。

「……結婚、したいのか?」

 慢性的な寝不足感までは拭えていないが、珍しく『嬉しそうだ』と容易く判別出来る顔を咲真君がこちらに向ける。『余程私に早く出て行って欲しかったのか』と思うとまた胸がズキッと痛んだが、いつも気怠そうな彼の、明るい表情を見る事が出来た事自体はちょっと嬉しかった。
「あ、うん。いずれは子供も欲しいし」
「そうか。何人欲しいんだ?」
 前のめりになりながら訊かれて驚きを隠せない。視線をそっと逸らしながら「……三人、くらい?」とテキトウに返した。
「そう言う咲真君は?子供欲しいの?」
 母の歳的に正直かなりギリギリな気がする。それこそ今すぐどうにかしないと難しいかとは思うが、弟妹が出来る事自体は歓迎だ。父親が早くに亡くなったからずっと一人っ子で、今時珍しく子沢山で賑やかな狩谷家がちょっと羨ましかったから。
「あぁ」と咲真君が頷く。頬が赤く、少しそわそわとしていて、彼は本当に子供が欲しいんだなとすぐに察した。
「へぇ……。そう、なんだ」
 こりゃ、私に弟妹が出来る日が近い気がする。その事実に対して笑顔を返せた気はしないけど、いつかは祝福くらい出来る自分になりたいなとは思った。


       ◇


 夜となり、部屋に篭る。いつもなら二人共お休みだった日は眠くなるまで一緒にゲームをしたり、映画を見たりなんかして過ごすんだけど、今日は流石にそんな気分になれずお風呂上がりにはすぐに部屋に戻った。
 夕飯を一緒に作り、片付けなんかも二人でやって、最後に出されたサプリも飲んだ。そこまでは何とか空元気で乗り切ったけれど、お風呂に入ると気が緩んだのか、もういつも通りの対応なんかちっとも出来なかったからだ。『これじゃダメだ』とは思うがどうしても無理だった。幼馴染として当たり前に享受していた優しさが、“義理の娘”になるかもしれない相手への厚意だったなんて知りたくもなかったなぁ。

(……それにしても、いつの間に二人は愛を育んでいたんだろう?)

 咲真君と同じく研究職に従事している母の仕事はとにかく忙しい。病気で早くに亡くなった父と同じ病で苦しむ人達を救う新薬を作りたいと昔から仕事に没頭していて、私とは親子の時間なんか殆ど無かった程に。それなのに咲真君とは早くから恋仲だっただなんて意外過ぎる。ちっとも想像出来ない。でもまぁ……同じ屋根の下に住んでいれば色々出来るのか。——そう、色々と。昨日見た夢?みたいな事だって、半同棲状態であればやりたい放題だったのだろう。

(知らなかったのは自分だけ、か)

 切なくなる程の疎外感を抱きつつベッドに入る。抱えていた恋心に今日の今日までずっと無自覚だった割にはダメージが大きく、少し泣きたくなってきた。


       ◇


 ……——少し……肌寒い。布団が体に掛かっている感じがせず、まるで昨晩みたいだ。

(どういうこと?アレはやっぱり、夢じゃなかったの?)

 眠りの海から一気に浮上し、既視感の正体を確認すべく、くわっと目を開く。今日の私は昨日みたいに全然自由が効かないという状況下にはなかったみたいで、瞼を開けた途端真っ暗な部屋の様子が目に入った。

(動け、た。やった!)

「……あ、やっと起きたんだな」
 不意に声が聞こえ、顔を軽くあげて声の方を見る。するとそこには何故か咲真君が居た。真っ暗な部屋の中、何でか私の脚に跨った状態で。
「今夜は薬を飲ませてないし、そろそろかとは思ってたけど、それでもちょっと遅かったな」
 食後にちゃんとサプリを飲んだのに、彼もそれを知っているのに、どうして『飲ませていない』と言うのだろうか?いや、でも待って、今はそれどころじゃないな。

「……えっと、何をしてるの?」

 部屋をお間違えでは?咲真君の部屋はお隣ですよ?と暗闇にまだ慣れぬ瞳を彷徨わせていると、私の着ているパジャマの前側を軽く引っ張り上げ、彼は慣れた手付きでボタンを外し始めた。
「ちょ、何?何で外すの?」
「何でって……子供、欲しいんだろう?」
 咲真君に『何言ってんだ?お前』みたいな声色で訊かれたが、お前こそ何言ってんだ。母の部屋は一階だし、そもそも今夜も仕事で帰れないと連絡があった。最近昼間は会議続きで、あまり研究が進んでいないから職場に泊まりたいそうだ。当然咲真君だってそれを知っているはずなのにコレとか、人違いにも程がある。

「いやいやいや!だからって、何でこうなるの!?」

 彼の手首を掴んで行為を止めると不満そうな顔をされてしまった。
「『結婚したい』って言ったのはそっちだろ」
「……い、言ったけど、え?」
 確かに言った。言ったけど、どうも我々には認識にズレがある気がする。
「ずっとお前の要望聞いて我慢してきたけど、結婚するんならもう良いよな?」

(や、だから、何が!?)

 咲真君の言い分が一つも理解出来ないし、この行動の意図もわからない。なので必死に掴んだ手首をぐっと押してみているのだが、抵抗虚しく私のパジャマの前側が全て開いた状態になってしまった。開帳されたせいでブラに覆われた胸が晒される。だが寝転んでいるせいか元が元だからか、平べったいせいで色気もクソもなくって何だか段々悲しくなってきた。
「……か、可愛い、な」
 照れくさそうに褒めてくれたが、それはブラの話か?それとも子供みたいな胸に対してか?あ?

 もぞっと脚の上で動かれて視線をずらす。すると幸か不幸か咲真君の下腹部が目の前にあって、彼の言った『可愛い』が、ちゃんとこの胸に対して興奮しているという意味であると瞬時に理解してしまった。

(——や、ダメだろ、それは!)


 そう思い、咄嗟に胸を両腕で覆う様に隠した。顔も耳もめちゃくちゃ赤くなっている気がする。男性の興奮状態にある股間なんか初めて見たせいか頭の中がパニック状態に陥った。
「……胸はまだ恥ずかしいのか?……んなら、しょうがないなぁ」と言い、咲真君が私の脚から退いてくれた。やっとこの状況が間違いであると気が付いてくれたのかと安堵しかけたのも束の間。彼は私の足首を掴んで持ち上げると、そのまま下半身を彼の目の前に晒す様な体勢に持っていく。その為自分の両腕が両膝で押されて身動きが取れなくなった。ただでさえ電気が消えていて暗い室内だって言うのに、自分の両膝のせいで余計に前がよく見えない。
「あ、あの?咲真、君?何コレ、ストレッチか何か?」
 肩や背中といった上半身だけで体重を支えているからかちょっと呼吸が苦しいし、この体勢はかなり、その、恥ずかしい……。せめて早く元の体勢に戻して欲しいのに、「まさか」と軽く笑われるだけで欲しい答えをくれない。咲真君はいつも言葉が足りないが、今日はその極みといった感じだ。
「いつもみたいに『眠っている間に終わってる』訳じゃないからちょっと怖いかもだけど、結婚するんならこっちの方が自然だろうからもう諦めろよ」
「……は?え?」
 何の話?と思っている間にずるっとパジャマのズボンをズラされた。肌に当たるヒヤリとした空気からして、多分コレはショーツごと脱がされたと思う。
「やめっ!——あひゃぁ!」
 私が『やめて欲しい』と言う前に熱いモノがとんでもない箇所に触れた。熱いだけじゃない、妙にぬるっとしているし、肌の上を這うみたいに動いている。

(コレってまさか舌?舌なの?)

「汚いから、やっあぁぁ」
「汚くないって。凉葉に汚い所なんか無いから」
 何かで読んだ事ある台詞を頂いてしまった。だけど汚いという事実は変わりないし、そもそもこんな事は幼馴染である彼とはしちゃいけない行為だ。なのに、どうも彼は相手を間違っている感じではない。『じゃあ……代わり?母さんの身代わりって事?』と一瞬思ったが、だからってそんな場所を丹念に舐める理由としては納得出来なかった。だって身代わりだって言うんだったら、大人な玩具でも使う時みたいに手堅く潤滑ゼリーでも流し込んでしまえばいいだろう。なのにそうしないだなんて……え、待って、マジで状況がわからんぞ。
 ぬるぬると舌が秘裂に沿って動くもんだから思考力が急速に落ちていく。押さえつけられたままの脚はビクビクと震えるだけで蹴りの一つもかませやしない。口からは変な声が溢れ始めるしで、もう最悪だ。
「大丈夫だ、ちゃんと濡れてるから痛くはないだろう?……起きてる方が、やっぱ良いよな?気持ちいいだろ?ほら、ココとか」と言ったと同時に敏感な箇所をチュッと強めに吸われ、悲鳴に近い声が出た。でも悲鳴だったと断言するには不覚にもちょっと甘い色が混じっていた気がする。
「そ、そこ、やぁぁぁ」
 刺激の強さに耐えきれず、半泣きになりながら懇願する。なのに咲真君は止めるどころか「そっか、やっぱココが気持ちいいんだな」とか言いやがり、か弱い肉芽を容赦なく攻め始めた。過敏な箇所を舌先で舐め、強弱を用いて吸い、時には甘噛みしと。過度な快楽を体に叩きつけられるせいで頭ん中がバカになる。『あんっ』とか『んっ』みたいに色っぽい声なんか一つも出せず、獣みたいに喘いでしまうが自制なんか到底無理だった。
「驚いたか?今まで丹念に育ててきたんだ、今じゃすっかり皮を剥くのも簡単だしな。なぁ、シコシコッて指で軽く擦ってやろうか?きっとスンゲェ気持ちいいぞ。女でも、オレらがチンコ擦った時みたいな感覚味わえるんじゃないか?」
 やめて欲しくって体を捩ったが、まともに動けないせいで逃げられない。状況の改善なんかちっとも出来ぬまま、彼が指先を肉芽にそっと当てがった。唾液と愛液とで充分ぬるついているからか指先が動いてもちっとも痛くない。それどころか気持ち良くって堪らない。こんなの自慰の比じゃないせいで背中が仰け反りそうになるのにこの体勢のせいでそれも出来ず、逃げ場が何処にも無い。肉芽を擦るみたいに指先が動くたびに大きな波が体を襲い、ソコを起点にして甘い痺れが下半身に広がり始めた。

(何コレ、昨日のより、凄いっ)

 昨晩の経験よりも大きな快楽が体を包む。アレは金縛りにでもあった様な、もしくは何処か遠くの他人事みたいな感じが多少はあったけど、コレは確実に“自分の体”がとんでもない状況に陥っているからか気持ち良過ぎて死んでしまいそうだ。
「クリイキしそうなのか?……いいよ、イッちゃっても。だからお前は、起きてる方が断然良いって身をもって知ろうなぁ。んで、この先はもう二度と『寝てる間に全部終わっていれば良いのに』なんて言うなよ?」
 そんな事言った記憶なんて無い。反射的にそう思ったが、奥底に沈んでいた記憶が頭の中でふわりと浮上してくる。

(……あ、いや……すっごい前に、一緒に観た映画の感想で言った、かも?)

 小学生くらいの頃。初めて観た映画の濡れ場シーンにビビってそんな事を言った様な気がする。

(——え、待って。咲真君はまさか、その言葉を間に受けてたの?じゃあ、まさか、昨日の金縛りか夢みたいなアレって、現実だったとか?)

 嘘、嘘嘘嘘っ!到底信じられず頭の中が混乱してしょうがない。そんな私の心は置いてきぼりに、体の方は好き勝手に弄られたままなせいで、もう何も考えられなくなっていく。
「ほーら、我慢しなくて良いんだぞ?」
 優しく言われても困るだけだ。それに『こんなの駄目だ』って思っても、すぐにそんな考えは霧みたいに消えていって快楽ばかりで満たされてしまう。
「ふぐっ、んんっ!」
 大きな波に包まれたみたいな感覚になった時、甘い痺れが体を満たした。変な姿勢のまま、どうやら私は達してしまったみたいだ。だけどこんなのすぐには受け入れられずボロボロと涙が出てくる。
「……大丈夫か?」
 そっと足をベッドの上に下ろしてくれ、顔を覗きながら訊かれても「大丈夫じゃない……」としか返せない。だって本当に少しも大丈夫なんかじゃない。『なんで?どうしてこんな事するの?』と不思議でならないのに、咲真君はこっちの心境なんかちっとも気にしていないみたいだ。
「でも気持ち良かっただろう?」
 ニタリとした顔で訊かれたが私は無言を突き通した。……は、恥ずかしいから『うん』だなんて死んでも言いたくない。
「じゃ、もう良いよな」と言い、咲真君が私の脚の間を陣取る。そして直様先走りに濡れる熱塊をそっと秘裂に当てがった。

「——駄目!」

 大きな声をあげ、手を伸ばして突き飛ばそうと思ったのに、どちゅっと聞き慣れない水音が耳に届いた。と同時に感じる、下腹部の大きな違和感。「あ、あぁ、ふぇ?」と情けない声を溢しながら秘部の方へ視線をやると、ピッタリと咲真君の体と結合している部分が目に入った。
「ぬ、ぬい、抜いてぇ、駄目、無理っ」
 駄々をこねる子供みたいになりながら、涙声で必死に訴える。上半身を無理に起こし、シーツを掴み、どうにか抜こうと体の位置を変えようとしたが、むしろその、抜け出る感覚があまりに気持ち良くって体が仰け反った。
「駄目じゃないだろ?オレが動くから、凉葉はじっとしてていいぞ」と咲真君が言い、私がどうにか抜いた分をナカに戻す。
「んおぉっ!」
 勢いよく奥をズンッと突かれ変な声が出た。同時に全身から汗が滲み出て体温がどんどん上がっていく。

(コレ、今動かれたら絶対にダメなやつ!)

 頭ん中では『自分はこんな行為初めてなのに』とどうしたって思うのに、体の反応がそれと全然一致しない。どうやら昨夜のアレは現実だったみたいだという事実を加算してもだ。
 体が小さく震え、何度も雑な呼吸を繰り返す。どうにか起死回生出来ないものかと思うも活路なんか到底見付からない。『どうしようどうしようどうしたら?』と考えながら涙に濡れる瞳をゆっくり動かすと、咲真君と目が合った。恍惚としたその瞳を嬉しそうに細めると、とうとう彼は腰を動かし始めた。愛液と先走りとを馴染ませ終わったソコは難なく彼の動きを助け、膣壁を容赦無く擦っていく。その度に快楽が体を走り抜け、酩酊したみたいに目の前がふらついた。
「今日は起きてるからかな、いつも以上にキツイや」
 起こしていた上半身がバタンと後ろに倒れる。もう体に力なんか入らず、与えられる享楽に全身が支配されていく。どちゅどちゅと容赦なく突かれ、時には胸先を手で摩られて声が我慢出来ない。
「ぁぁぁっ!んんーっ♡」

 好きだって自覚して、でもその場で失恋したと思ったその夜に、まさかこんな目に遭うだなんて。

 だけど気持ち良くって堪らない。『初めて』なんかじゃなく、何度も何十回も下手をすると何百回と体を重ね続けてきた者同士みたいによく馴染み、的確に劣情を叩きつけてくる。知らぬ間に何度も抱かれてきたのだと嫌でも痛感してしまう。体が勝手に応えてしまう。だけどその事実に失望や嫌悪を抱かないで済んでいるのはきっと、この淫猥な行為が好意の伴ったものであると咲真君の表情から察する事が出来てしまうせいだろう。
「気持ちっ……んっ、はぁ」
 吐息をこぼし、幸せそうな表情のまま、咲真君の不健康そうな顔が近づいてくる。元がいいからつい魅入っていると、そのまま唇がそっと重なった。

「あは♡や、やっと……凉葉とキス出来たぁ」

 嬉しそうに顔を蕩かせながら言われて思いっきり胸を突かれた。こんなの、鷲掴むとかそんなレベルじゃない。ただでさえ『好き』と思っていた相手だっていうのに、これ以上何を捧げたらこの感情を表現出来るんだろうか。
「ず、ずっとしたかったけど、寝てる凉葉にしたってつまらないだろう?」
 ココでふにゃりと笑うとか勘弁して欲しい。
「うぐっ」と声を詰まらせたと同時にキュッとナカが動いたせいか、咲真君は腰を震わせた。
「これ以上締めるとか……そんなに、早く欲しいのか?なら、あげないと、だよなぁ」
「そ、そういうワケじゃ——」なんて言葉は聞いてくれず、彼の動きが激しくなる。普段の気怠そうな様子からは想像も出来ない激しさだ。気遣いの片鱗はありつつも、自分がイク事を目的とする動きなせいか遠慮が無い。私を気持ち良くさせて楽しむといった感じも全然無いのに、体を貪られている感覚が心地良くって堪らず、まるで彼の情炎に焼かれていく様だ。
 愛液でしとどに濡れる秘部は肌がぶつかり合うたびにばちゅばちゅと音が鳴る。その音と共に自分の嬌声が重なり、鼓膜に響く。耳まで侵されている様な錯覚に支配されていると、「——も、出るっ」と咲真君が小さく呟いた。体重をかけない程度に覆い被さり、最奥を熱塊でゆるゆる擦られ、次の瞬間には質量の増しているソレと白濁液とで膣内がいっぱいになる感覚で満たされ、私の体もギュギュッと力が入った。目の前に光が散って一瞬意識が飛ぶ。その感覚がゆっくりと抜けた途端、今度は全身から力がはいらなくなっていき、甘い痺れがじわじわと体に広がった。
「ココ、ちゃんと気持ちよくなれたか?」
 グリグリと下腹部を手で押される。子宮を外側から押されている感じがしてなんか変だ。
「凉葉は余裕でナカイキ出来るんだな。偉い偉い」
 頭を撫でてもらえて嬉しいのに、少しずつ胸の奥に不安が生まれる。今さっき果てたはずなのに、確実に今出したはずなのに、ナカに挿入ったままである彼の熱塊は相変わらず見事に勃起したままだからだ。しかもゆるゆるとまたナカを擦られ、ソレに合わせて甘い声が勝手にまろび出た。
「も、無理っ。許して、抜いてぇぇ」
「まだまだイケるって、大丈夫。子供欲しいんだろう?なら、もっと子種をココで飲まないと」
 また腹を撫でられ、キュンッとナカがきつくなった。その反応をどう受け止めたのか、咲真君がふふっと笑い、私の体をうつ伏せの状態に変えさせる。
「部屋に来る前に薬飲んできたし、今日は沢山あげられるから心配しなくていいぞ。いっぱい奥で飲んで、可愛い子供沢山孕もうな」

(い、いったい何の薬だ!しかもあれは、すぐ欲しいって話じゃなかったのに!)

 言い訳をする暇も与えては貰えず、硬いモノで肉壁をゆるゆると擦られる。二度もイッた後なせいか敏感なソコはもう三度目を迎え入れてしまいそうなくらい過敏に反応してしまう。寝バックという体位のせいか腹が常に押された状態だし、彼の熱塊をさっきよりもはっきりと感じ取れる。太くて硬いソレがちょっと動くだけで嬉しくなってしまうとか、もうこの行為を知らない頃には戻れない気がしてきた。
「よく今までずっと、睡眠姦だけで我慢出来たな……。凉葉が起きてる方が、断然気持ちいいや。中出ししてももうアフターピルも飲ませなくていいし、もっと早くに『結婚したい』『子供が欲しい』って言ってくれりゃ良かったのに」

(アフター……?え?)

 鈍っている頭では聞こえてきた呟きを上手く処理出来ない。
「オレの就職と同時に『凉葉連れて家出る』って言った時、辻のおばさんに『家がもったいないからまだ待って』って止められてなかったら、もうちょっと違ったんだろうなぁ」
「おかぁ、さん?」
「あぁ、おばさんはもう知ってるよ。オレ達が相思相愛だってね」

(待って、相思相愛だったなんて私は知らないんですが!?)

「『結婚するまで避妊はちゃんとして』って言われてたけど、凉葉のナカが気持ち良過ぎてあの手この手と回避策を用意したうえで中出し沢山してたけど、もう気にしなくていいんだって思うとちょっと感慨深いな」
「……す、好きなの?私の、事……」
「当たり前だろう?初めて逢ったあの日から、オレはずっと凉葉一筋だし、オレの全部全部を凉葉にあげたし、凉葉のモノも全てオレのもんだよ♡」
 激しく突かれながら言われるせいで頭ん中にちゃんと入ってこない。そんな中でただ一つ——

 私の全てをいつの間にか全部咲真君に奪われていたという事実だけは、どうにか理解出来た。


【完結】
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