恋は媚薬が連れてくる

月咲やまな

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本編

【第18話】伝えたい気持ち⑧

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 みどりのマンションへと向かい走る車の中。
 座席に全身を預けたみどりの呼吸は、相変わらず走った後のように乱れたままだった。時間の経過と、座っている事の安心感からか先程より高揚してきた体を必死に宗一郎に気が付かせまいと堪えている。
 その様子を運転しながら宗一郎が横目に見た。
(この感じだと、薬の効果が薄れた訳ではなさそうだな…… )
 始めてみどりへ媚薬を飲ませた時と、同量に近い量を先程飲ませたフルーツジュースの中へ入れていた。全ては時短の為だ。

 もう、彼の中で積もりに積もった感情の抑えが利かず、付き合うという約束をした事が余計に宗一郎の理性の邪魔をしている。
 心までも手に入れた自信は正直皆無だ。返事を躊躇されてしまった事がそれを物語っている。

(薬なんかで手に入る感情はないということか?)

 ハンドルを握る手に力が入り、宗一郎が軽く下唇を噛んだ。

(堕ちたのは、結局俺だけだというのか…… )

 宗一郎の心に不安が募り、みどりへの感情が更に暗く…… 深く、執着に近いものへと変わっていった。

       ◇

「着いたよ。降りられそう?」
 宗一郎が助手席に座るみどりに声をかけた。
「あ…… 」
 何度も意識が飛びそうになる中、宗一郎の声に気が付いて、きつく閉じていた瞼をみどりが開けた。
 ぐったりと座席に体を預けたまま、動かないみどりの首の後ろに宗一郎が手を回し、自分の方を向かせる。
「お別れのキスくらいは、許してくれるだろう?」
 そう告げ、みどりの返事も待たぬまま、宗一郎が唇を重ねる。
「んんっ!」
 過剰とも言える程に敏感になったままのみどりの全身に、痺れに近い快楽が走った。柔かい唇の感触を確かめるように舌でなぞり、軽く開けられた唇を割って入り、みどりの舌を貪るように自らの舌を絡める。みどりが宗一郎のスーツの胸元にしがみつき、キスだけでも達してしまいそうになる快楽を必死に堪えた。
「んっ…… んん…… 」
 甘い声が漏れ、みどりの中で種火の様にわずかに残る理性すらも消えそうになる。
 そんな理性を消し去る為、宗一郎は丹念にみどりの口内を舌で犯し、頭の後ろへと回していた手を耳元へとずらして、彼女の耳たぶを優しく撫で始めた。
 外輪をなぞり、耳の裏を撫でる。
 その指を下へと移し、首筋をなぞりながら鎖骨のラインへと指を這わせた。
 みどりが宗一郎から唇を無理矢理離し、「あああっ!」とスーツを強く掴みながら叫ぶような声をあげ、背をそらした。
 すぅと体から力が抜け、宗一郎の胸元へとみどりの体が倒れる。
「…… 部屋まで送って行くよ」
 宗一郎はみどりの体を優しく自分から離し、助手席のシートへ体を預けさせる。
 多少車を停めていても問題のなさそうな場所へと車を移し、宗一郎はみどりを部屋まで送り届ける権利を強制的に手に入れたのだった。
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