眠り姫の憂鬱

月咲やまな

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本編

【第五話】犯されていく心と体②(アステリア談)

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 抗えぬ焦りからか、冷たい汗が額を流れ床へと落ちていくような気がする。
「すごいですね。体は眠っていても、ココはちゃんと反応出来るみたいだ」
 嬉しそうにそうにヒョウガが私の陰部から溢れ始めた蜜をすくい取り、「ほら、見えるでしょう?」と言いながら“私”の方へと自分の濡れる指を見せてくる。
 かぁと真っ赤に染まる頬を押さえ顔を逸らすと、ヒョウガは蜜の滴る指を口に含み、妖艶な動きで自らの指を舐め始めた。
 細くて長い彼の指を濡らす蜜と、淫靡なソレを愛おしむ様な表情のせいで呼吸が乱れる。荒い息遣いのまま私がヒョウガの姿に魅入ってしまっていると、彼がニヤッと笑みを浮かべ「私に触れたくなりました?」と訊いてきた。
 その言葉に対して一瞬素直に頷きそうになったが、必死にそれを止め、“私”は首を横に振った。
「あーあぁ、すごく残念です。私はアステリアに触れたくて堪らないというのに、貴女はそれを我慢できるとは…… まだまだ攻めが足りないようですね」
 ヒョウガは一度は引っ込めていた指の先の長い爪を再び露にすると、その爪で今度は私の下腹部を覆っていた白いレースの下着の両端を切り始めた。

『…… え』

 抵抗の声をあげる暇もなく私の下腹部が露わになる。
 彼は長い爪を深爪に近い程短い状態へ戻すと、裂いた下着を一気に引き抜き、“私”の前へとその下着を投げ捨てきた。
 目の前に落ちる下着は陰部から溢れ出た蜜のせいでぐっしょりと濡れていて、酷い状態になっている。
『ヤダ!』
 こんなに濡れている現実を受け止められなかった私は声をあげて立ち上がると、ヒョウガの方へと手を伸ばし、彼が私の陰部へ直接触れようとしている手を止め様としたが——精神体でしかない今の私にはそれを止める事など出来るはずがなく、ただ、彼と自分の体をすり抜けてベットの上へと倒れこんでしまっただけだった。
 慌てて起き上がり、ヒョウガの服に手を伸ばして『触らないで!』と、はしたなくても叫ぶ。
 絶対にこの男を止めなければという思いを込めて服にしがみつくと、彼に触れることが出来てしまい、自分で自分に驚いてしまった。
 今まで一度も物に触れる事など出来なかったのに、自分にこんな力があったなんて…… 。追い詰められる事で目覚めた力、なのだろうか。
 しかし、今の状況を改善出来る程のものだとは思えないのが残念だ。

 するとヒョウガも私にそんな能力があった事に驚いたのか、「精神体のまま物まで触れる事が出来るとは…… 、私が思っていたよりも、人間の王族の魔力は侮れそうにないな」と呟く。
 だがすぐに不敵な表情に彼は戻ると、精神体である“私”の額にキスをするような仕草をし、「じゃあ、傍で見てて下さいね」と言いって、獣耳をピクピクと動かしながら、場違いな程可愛く微笑んだ。

『そ、傍で見てろって…… んあああ!』

 突然感じる、体の芯をナイフで貫かれでもしたかのような感覚のせいで大声があがる。体の方を見ると、ヒョウガの指が私の陰部の中へ沈められていくのが目に入った。
「わかりますよね?アステリアの中に私の指が入っているのが。相当辛そうですが、大丈夫ですか?濡れているので二本ぐらい平気かと思ったんですが…… 相当狭いな。これはちゃんと優しくしないといけませんね、妻となる者の体を労わるのは夫の役目ですから」
『獣と婚姻の約束を交わした記憶などないわ!』
 痛みで涙目になりながらそう言うと、ヒョウガは私の陰部からゆっくりを指を抜き、私の右脚をグッと持ち上げ、膣の中へと舌を入れてきた。
『ヒャ、あ、ぁぁぁ…… 』
 ぬめっとした感触が体の中に入ってくる感じに、全身から力が抜け落ちていく。
 ヒョウガの服を掴んでいた手からは力が抜け、彼の体もすり抜けて、私はベットの上で背を反らせ甘い声で喘いでしまった。
 獣の長い舌がぐちゅぐちゅと音をたてながら私の中を犯してくる感触と、その様子を別の視点から見ている事の異常な状況に、精神までも侵食されているのが自分でもハッキリわかる。
「すごいな、アステリアのあられもない姿を両方同時に見る事が出来るなんて…… 」
 興奮気味にそう呟き、今度は私の陰部にある赤い肉芽を舌で転がすようにヒョウガが舐める。
 ベットのシーツに噛み付き、“私”は声を必死に堪えた。感じた事のない快楽に溺れてしまわぬようにと、必死に抵抗しようと心では思っても、それが行動に移せない。自然と腰が動くような仕草をしてしまうが、体が動いていないのでどうにも出来ないもどかしさを感じる。
「そちらの白い太股が露になっていますよ。いっその事、その大きな胸も曝してみてはどうですか?この体と同じように、ね」
 意地の悪い声でヒョウガはそう言うと、一度は抜いてくれた指を再び膣の中へと入れてきた。
 肉芽を舌で舐められる感触と、膣の中を蜜の絡んだ指が這う感触とが私の全身を包み込み、呼吸を整える事が出来ない。『嫌だ』『止めて』という言葉も私の口から出る事はなく、甘い喘ぎだけが唇を支配し、思考の全てが停止する。
 卑猥な水音が陰部から聞こえ、ヒョウガは長い腕を私の胸の方へと伸ばすと、大きな胸の膨らみを優しく揉みだした。時折胸の先に触れる指が、高揚する私の快楽を更に搔きたてる。
「私を獣だと罵倒していた貴女が、ここまで堕ちるとはね…… 。嬉しくてなりませんよ、アステリア姫」
 そう呟く吐息すらも、私に快楽を感じさせてくる。呼び捨てになっていた呼び名に、あえてまた姫を付けられる嫌味に対してすら、ぞくりと心が震えてしまった。

「そろそろ、私も貴女を感じたい」

 ヒョウガは荒い息の混じる声でそういうと、腰を少し浮かし、自らの履く着衣を少しずらして自身の下腹部を露にし始める。そのせいで、膣や肉芽を執拗に攻められたせいで朦朧となりつつあった意識が、一気に冷めた。
 高揚に赤く染まっていた頬は青くなり、未経験者特有の逃げ腰な反応をしてしまう。

『い、嫌ぁぁぁ!助けて!誰か——』

 “私”はベットの隅まで必死に逃げ、首を大袈裟なくらい横に振って必死に叫んだ。が、何かが変わるはずなど無く。無情にもヒョウガは、凶器じみた自らの怒張を露わにし、ニヤッと笑いながら私の濡れそぼる陰部に当ててくる。

 そんなモノ入るはずがない。体に杭を打たれる刑を執行されるも同然だわ!

「誰も来ないと一番よく知っている貴女が言うセリフですか?精神体のまま何処かへ助けを求めに行かれては?体は私の腕の中なので、その間に美味しく喰べておきますけどね」
 内腿を伝い落ち、ベットのシーツまでもを濡らす程に溢れ出ている蜜を絡めるように、ヒョウガが己の怒張を私の陰部に擦りつけてくる。赤黒いソレからは先走りの汁が伝い落ち、彼の興奮度をありありと感じた。
 グチュックチュッと、擦れるたびにたつ卑猥な水音が私の聴覚をも犯す。

『それだけはイヤ!』

 震えながら、無駄でもとにかく叫ぶ。気持ちが萎えて止めてくれる事を期待して。
 だが、私の細やかな期待は簡単に打ち砕かれた。ヒョウガは全く行為を止めてはくれず、陰裂や肉芽が怒張に擦られる感触が与えてくる快楽が、否応なしに全身を包みこんで襲いかかる。
「体に戻っては?このままでは無抵抗なまま、獣如きにお姫様の高貴な純潔が無抵抗のまま奪われてしまいますよ?」
『っんく…… ぁ…… 』
 擦れる感触伝わり続け、返事も出来ない。
「大丈夫、私は貴女をとても深く愛していますよ。だから、私にはアステリアの全てを奪う権利があるはずだ——」
 消え行く声と共に、陰部の入り口が大きく開かれ、指や舌とは比較にならぬモノが入ろうとしている感触が私を包んだ。
 狭隘な膣がギチッ!と無理に引き裂かれて血が滲み、陰部が悲鳴をあげている気がする。

『止めてぇ!お、お願い!言う通りにしますから…… お願い…… 』

 ボロボロと際限なく、瞳から触れる事の出来ない涙が零れ落ちる。私の心に呼応する様に、人形の様な体からも涙が流れ落ち、頬と髪を濡らしていく。
「最初から応じていれば、泣く事もなかったでしょうに」
 ヒョウガはふうっと息を吐き、ベットの隅で全身を震わせている私に向かい、優しく微笑んだ。

「さぁ、どうぞ。体へお戻り下さい」

 陰部へ深く入りかけていた熱く滾る怒張を、ヒョウガが「うくっ」と小さくこぼしながら、ゆっくりとした動きで引き抜く。口元を引き絞り、そのまま戻し入れたい衝動を堪えているみたいだ。
 血の混じる蜜に濡れながら、存在感のあるモノが目の前に曝され、ソレから目が離せない。
「…… それとも続けたい?」
 意地悪く微笑み、私にそう問うヒョウガに向かい、力いっぱい首を横振ったが…… この心の火照りと昂りを沈める事が出来るのならそれも悪くないかもしれないなどと、自らの行動とは相反する考えが、正直心の隅にはあった。

 だが、私は一国の姫だ。

 眠りから覚めれば、私は城の中で眠る両親と共に、眠りについてしまったこの国を立て直す義務がある。その私が、一時の快楽に任せて獣などと関係を持ってしまっては、巻き添えで犠牲にしてしまった者達に申し訳が立たないわ。
 グッと快楽に溺れてしまいたいを思う気持ちを胸の奥へとしまい、私は瞼を閉じて体の方へと意識を向ける。
 百年という永い歳月の間、一度も意図的に戻る事のなかった体の中に久しぶりに入った途端、私の意識は途絶え、目の前が真っ暗になった——
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