主人公をいじめぬいて最後は殺される悪役王子だった事に気付いた10才の俺。

はるか

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第1章

17 最後の厄災の中心で愛を叫ぶ

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「おままごと」はっきり言って最高だ。


素晴らしすぎて五・七・五詠んじゃった。


いつものようにアレンとおままごとした後、俺は力尽きて寝てしまった。しかし、11才の癖にあの性欲はなんだ?勇者だからか?そうなのか?……


ペロペロ……


「……んんっ……アレ、ンッ?」


全身を舐められる感覚で意識が戻ると、へそをペロペロと舐めているその頭をアレンと思い無意識に撫でた。


サラリ……



アレン、じゃない。アレンの髪はもっと猫ッ毛でふわふわ綿菓子……



「エン!? 」


人形ひとかたのエンは初めて会った時の姿をして俺のヘソを舐めていた。ゾワっと鳥肌がたち思いっきり押し退けるがびくともしねぇ。


「お前、俺の精液――」


【――小童のも混ざっておったが、流石天人と言ったところだな。】


顔を上げたエンの妖艶な微笑みにゾワゾワと鳥肌がたつ。これは貞操の危機ってやつなのか?


【……安心しろ無理強いはしない。……最後の疫災に行く約束だったな?】


思わぬ言葉にホッと肩の力が抜け、喜びが全身を駆け巡るとエンに抱きついた。


夢にまで見たボーナスダンジョン。体を舐め回されたのは気色悪いが許してやる。裸で抱きつく俺にエンは【煽るな、ぶち犯されたいのか?】と自身の中心を擦りつけてきたから、なんだよこれ・・、電柱かよと慌てて離れた。


【時間がない。行くぞ。】


合点承知の助だぁいっ!




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




バッタバッタと、とてつもなく強い敵を瀕死にしていくエンを呆然と見つめ、口があんぐりと開いてしまった。



「……エン、お前ただの変態龍じゃなかったんだな。」


エンは青白い顔をこちらに向けると早く止めを刺せとばかりに顎をクイッとした。


ハイハイ。仰せのままにと止めを刺していくと面白いくらいにレベルが上がった。


ふはははは!!!俺、最強になれるかもしんない。


俺が調子に乗って「やー!とーう!」と舞うように止めを刺しているとエンの動きが止まった。


「どうかしたか?」


エンの視線の先には光る青い鱗に覆われた一体の美しい魔物が息も絶え絶え横たわっていた。何かリュウグウノツカイをでかくしたような魔物だな。この鱗めちゃくちゃ高く売れそうだぞ?


これ・・は番で行動する筈だが……自分が犠牲になって逃がしたか……まぁ、よい。】


へぇ、魔物に番とかあるんだな。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




最近、お兄様が一緒に修行してくれない。可愛いアレンが頬を膨らませて言うもんだからデレながらダンジョンに一緒に行く事にした。


相変わらず背丈は同じくらいだが(辛うじて抜かれていないのは兄の面目を保つ為に毎日牛乳を飲んでいる俺の努力の賜物だ。)大きな眼をウルウルさせ唇を突きだして拗ねるアレンは可愛いがすぎる。


もうしばらくしたら、この可愛いアレンと会えなくなってしまうのに、俺はエンと強い敵を倒しに行く事に夢中になってアレンとの修行の時間を取らなくなっていた。

うん、エンが居たら俺が強くなる必要はないと思いがちだが、エンの野郎、蜥蜴さながら脱皮の期間があるらしく、平気で今度3ヶ月程身動きが取れないとか言い出したりするから、城を出た後その時期が来た時に強い敵に襲われたらどうする?と修行に励んでいる。まぁ、ぶっちゃけどんどんレベルが上がるが楽しくってしようがないんだけどな。


アレンも着々と強くなっていたが、エンとSランクの魔物を倒しまくってる俺はもうアレンより強いと思う。アレンをでこぴんで100mは飛ばせるはずだ。



「……最近お兄様から得体の知れない何かを感じます。」


顔を傾け赤い瞳をぐるんと上目使いさせながらメンチをきってくるアレンにちょいとビビる。


目がでけぇ。


「そうかぁ?」


俺は明後日の方向を向いて惚けた。


「……お兄様、『最後の疫災』ってご存知ですか?」


最後の厄災――


俺がこの前行った25階層の事を思い出していると、アレンが俺に抱きつき、次の瞬間に俺達は最後の厄災のダンジョン25階層にいた。



「な、んで?」



「――やっぱり行ってたんだ。この前、お兄様のマジックバックにここにしかいない魔物の角が入ってたから、もしかしてと思って試したけど当たりでしたね。」


俺が最後の厄災ダンジョンを想像するよう誘導してテレポートを唱えたのか。テレポートは行った事のある所にしか行けないが、一緒に移動する者が行った事があれば唱えた者が未踏の地でも行けるのだ。

「おいおい、こんな危険な所に来てどうするつもりだ?」

アレンはニコニコと無邪気に笑うと下を向いた。

――そして次に顔を上げた時にはもう目がイっていた。

あっ、何かデジャ・ビュ。


一瞬にして雰囲気の変わったアレンに背筋が寒くなる。

そして固まっている俺の横を弾丸のように通りすぎ次々とボス級の敵を最強魔法を駆使した剣技で嬉々として倒して行くアレン。その姿はさながら破壊神のようだ。

それにしても粗削りだが確実に強い。

……アレン、お前、力を隠していたのか。

俺が呆然とその殺戮風景を見つめていると、が表れた。

奴の鱗はその怒りを、いや悲しみを表しているのか、青い筈なのに赤黒く色を変え、シュロロロロと蒸気を発している。


そう、奴はあの時倒した魔物の片割れだった。


アレンはそいつに気付くとニタリと笑った。


「アレン、よせっ!」


お前、もうボロボロじゃねぇかっ!


身体中に傷を負いながら、ニタニタと笑いそいつに斬りかかるアレン。俺はハラハラしながらハイヒールで援護するが、全く追い付かない。まずいな、魔力が底をつきそうだ。庭に散歩にでも行く気分で出てきたからマジックポーションも何も持ってきていない。しかし――


「ふん?俺の魔力を吸いとるのか?やれるものならやってみろ。」


魔物の動きがピタリと止まりアレンの魔力を吸い始めた。どんどん巨大化していく魔物からアレンが押されているように見えるが、無尽蔵に溢れ出てくるアレンの魔力を許容量を超えてもなお、強制的に吸いとらされた魔物は、風船のように膨らむと断末魔の叫びを上げて爆発した。


爆風を両腕で防ぎながら辛うじて目を開けると、その中を平然と立っていたアレンが「ふん、魔力が尽きたか、あの程度の魔物に情けない。」と言って自身の掌をじっと眺めていた。


俺は末恐ろしいものを感じながらも、アレンが無事な事にホッとしていた。その時――



「ぐぅっ!? 」



姿形は似ているがさっきの魔物より小さい魔物が現れ、俺とアレンを串刺しにした。完全に無防備だった俺達は急所をとらえられてしまった。


さっきの魔物は子供を遺して逝ったのか。


しかし、アレンは痛みに顔を歪めながらも剣でそいつを真っ二つにして片膝をついた。その一撃で息絶えた魔物の串刺しから解放された俺はアレンにハイヒールを唱える。

回復するのは当然だといった風情で俺を見たアレンの大きな眼が更に大きくなる。

「な、にを?早く回復を……まさか、魔力が――」

うん、ピクリとも体が動かねぇ。だけど無惨に死に行く自分が満足感に浸っている事に気付いて笑えた。


あんなに生きたいと思っていたのに……けど俺は何度でも同じ事をするだろう。アレンさえ助かれば俺は死んでもいいんだなと気付いた16才の秋って感じで締めたい。


「――んでっ。」


アレンが駆け寄ってきて俺を抱き上げる。


弟を守るのは兄の役目だからな。俺が清々しい気持ちで笑うとアレンの宝石のような赤い瞳が限界まで開いた。


相変わらず目がでけぇ。俺の大好きなその瞳をもっとよく見せ……て……くれ……。 


「テレポート、くそっ、魔力が……嫌だ……ライ……そんな……」


アレンの美しい赤い瞳からキラキラと宝石の様な涙が溢れ出てくる。


ああ、綺麗だな。そう思ったのを最後に俺の意識は途絶えた。


【――馬鹿者が。】


意識が途切れる直前、エンの声が聞こえた気がした。

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