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ドラゴンの女王編

第六十六話 声が可愛いいお姉さんを倒して、猫耳と尻尾の生えたコスプレおっさん助けたい奴いるぅ?(普通なら)いねぇよなぁ!!!o(`ω´ )o

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 風呂から天使が出て行って20分が経過した。

「そろそろ起き上がれる……か」
 
 強烈な痛みがやっと治まり風呂から出る事ができた。
 なんの安らぎもない風呂だった。これも全部天使のせいだ。

「天使のやろう」

 込み上げる怒りを気合いと根性と友情と努力と勝利で鎮めて、アザセルさんから支給されたオシャレな装備一式を手に取った。
 それは俺が着ていた装備より(たぶん)性能は劣るものの、RPGでいう最終ステージで手に入るような装備一式のようでかっこいい。

「ふっ、なかなかいいじゃねぇか」
 
 鏡の前で戦士風のポーズを取りながら着心地を確認する。
 どのポーズもかっこよかった。

「ふっ、合格だ」
 
 かっこよくポツリと呟いて、部屋の外に出てミイナ達が待っているだろう王宮の入り口へと向かう。
 廊下を歩いている途中、朝食を食べた部屋の前で止まった。
 部屋の中ではメイドさんと兵士達がせっせと掃除や片付けをしていた。大変そうだ。頑張れと念を送っておこう。
 ちなみにだが、ドアの前にはバラバラになった兵士の体があちこちに落ちているが、けっしてグロい物ではなく全部兵士の銅像の破片だ。
 その理由は、あの部屋の前にいた兵士達は本物の兵士ではなくリアルな銅像だったからだ。

「どおりで荒っぽく入ってもぴくりとも動かないわけだよ」
 
 なんで本物の兵士じゃなくて銅像をドアの左右に置いているのか、気になった俺は部屋から出てすぐアザセルさんに質問した。
 するとアザセルさんは「陛下が気に入ったからです」と汚れた体で答えてくれた。
 どうでもよすぎて同じく汚れた体で「そうっすか」とだけ返した。
 ちなみにぼろぼろだったアザセルさんは『天使の奇跡』とやらで今は完全回復している。
 奇跡の瞬間を初めて見たが、なんか超凄かった。うまく言葉にして伝えたいがアレは初見で伝えるのは難しい、とにかく凄かったとしか感想が出ないくらい凄かった。初めてディ◯ニーのパレード見た時よりも凄かった。

 ーーー

 階段を降りて、また迷ったので途中メイドさん達に聞きながら入り口へ向かうと、そこにはミイナ、リンリン、アザセルさん、門番兼御者のおじさんと、クソ天使の姿があった。

「天使コロ……誰だ」
 
 天使のすぐ隣にウサギの耳が生えた見知らぬ少女がいた。
 ウサ耳少女のインパクトで天使への殺気が消えていく。

「新キャラか? ウサ耳とは俺的にポイント高いな」

 初見なのに好感度が90%まで上がる。
 天使に構っている場合じゃねぇ!
 
「とっとと合流してあのウサ耳少女に挨拶するか。ひょほー!」
 うきうき気分でみんなに声かける。

「ごめん待たせた」

「おっっっっそいわよ!」

 ゲンコツ!!

「痛ってぇ!!」

 来て早々、仁王立ちしたミイナにゲンコツされた。
 ううう、天使のせいで遅れたのに……。
 殺気を込めながら天使を睨む。

「ぽっ❤️」
 
 俺の殺気に気づいた天使の頬が赤くなり、照れて顔を背けた。
 ……なんだこの敗北感は。
 ……やばい泣きそう。
 
「泣きたいなら、泣けばいいよ、ホト――ジンくん」

「急に何言ってるのよ天使」

 そうだ何言って…………まてよ。

「うえええん!」

「ええ!?」

 きっとミイナなら、泣いている俺に優しくしてくれるだろう。
 そう判断した俺はとりあえず泣いてみた。やってみよう精神で園児のように可愛く泣いてみた。

「うえええん、うえええええん!」
 
 完璧だ。これでミイナから『よしよし』してもらえるぜ!
 内心ぐふふと思いながら、チラッとミイナの顔色を窺う。

「「「「「うわぁ……」」」」」

 ミイナ、リンリン、アザセルさん、おじさん、ウサ耳少女がドン引きしていた。

「ジンくん可愛い、よしよし❤️」

 唯一、天使だけは頬を赤く染めながら俺の頭を撫でてくれた。
 ……シクシク、マジで落ち込むわー。

「……とりあえずジンも来たし、国王様助けに行かない?」

 ミイナがそう言うと、俺とアザセルさん以外の全員が微妙な顔で頷き、

「で、ですね、ミイナ様」とリンリンが拳を手の平にパンっと合わせながら答え、

「賛成だよ、お姉ちゃん」と天使が俺の頭を撫でながら答え、

「乗るのは初めてですが『メガワシ車』の操縦は任せてください」とおじさんが答え、

「僕も頑張るウサ」とウサ耳少女が両足をぴょんぴょんしながら答えた。なんでこんなに馴染んでいるんだ? ジンお兄さんにコツを教えてくれよ。
 目だけでそう伝えたが、ウサ耳少女は俺と視線を合わせてくれない。
 ……俺も今の気持ちを言うか。

「オラっ!」

「きゃっ❤️」
 
 撫でてくる天使の手をはたいてどかし、枯れかけた涙を袖で拭いた俺は、真面目な顔に切り替えてドン引きしてくれたみんなの顔をそれぞれ見た。

「ジン?」「ジン様?」「ジンくん?」

 みんなの視線が目ではなく俺の顔に集まった。
 ……まあいいか、よーし言うぞー!
 息を大きく吸い、ドラコお姉さんまで聞こえるように願いを込めながら、ハッキリとこう言った。

「マジで国王助けに行くのかよおおおおおおおおおおおおおおお!!」
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