33 / 41
中等部
中等部からの暮らし
しおりを挟む
「ご機嫌よう」
「ご機嫌よう。大友様」
「ご機嫌よう大友様。今日はいい天気ですわね」
「ご機嫌よう大友様。今日もお綺麗ですわ」
私が一言『ご機嫌よう』と言えば、周りの皆がそう返してくる。別にそうして欲しいと頼んだ訳では無い。
中等部に上がってからお金持ちの生徒達のほとんどが、家の上下関係に影響されたグループで生活を始めた。その中でも私の家。大友グループは、この数年で今や世界で三本指に入る大手企業になた。
‥‥‥つまり。
「皆さん。そろそろ先生が来ますわ。席におつきになりましょう?」
「ええ。大友様」✕取り巻き
見事な取り巻きが出来ました。
私が望んでできた訳でもないし、学校にいる時は常に気を張ってお嬢様をしなくてはいけない私は、精神は平気だが体が疲労を訴えて来る。この頃の悩みは肩こりだ。
「‥‥中学生で肩こりが悩みって、どんだけって話よね。はぁー」
周りにはバレないように呟き、ため息をついた。
この学校生活。フッと気を緩めたが最後、そこに付け込まれて家が没落!なんて珍しくもない程、戦場の場と化している。
私は、高等部になればこれが少しでも良くなればと思うがそうはいかないだろう。ゲームでも、そこら辺が理由でいじめられている子がいた。せめて、私が中等部の間に、将弥と輝が入ってきた時に過ごしやすいように改造してやる。
「ご機嫌よう。皆様方」
そう考えていると、先生がやってきた。私は姿勢を正し、今日も学校という名の戦場の中を過ごす。
昼休み。私は先程まであっていた授業の道具を片付けながら、今日のお昼の事を考えていた。
授業は、流石に前世で高校生だっただけあって、余裕で授業やテストを受けている。そのおかげもあってか、テストではオール百。先生には授業中に高校の勉強を教えてもらっている。蘭夜の体の容量がいいおかげだ。
「蘭夜。昼食を一緒に食べないか?」
そう言って教室に入ってきたのは、弘輝だった。
今年は、弘輝や真士。心音とは違うクラスで、この三人はことある事に私のクラスに来ては、喧嘩を繰り返している。
「‥‥今日は一人なんですね。山笠様」
「ん?ああ‥‥‥ずっと邪魔者は灰徐したかったからな」
最後の方は聞こえなかったが、どうやら今日は一人でここに来たらしい。珍しい事もあるものだ。いつも、睨み合いながら三人で来るというのに。
「そうなのですか。お一人なのですね」
「ああ!だから、一緒に昼食を食べ「それでは、皆様と昼食をとってはいかがですか?」‥‥は?」
私はまだ教室に残っている令嬢達の方を手で指して、弘輝にその令嬢達とご飯を食べることを進める。
私は、前回弘輝が周りの人達に『蘭夜は俺の物だから手を出すな宣言』をした事をまだ許しておらず、弘輝と私が二人っきりになることは極力避けている。パーティーなどで親に言われてペアになってしまった時などはどうにも出来ないため、そのままペアになっているが、それ以外は別だ。
「‥‥‥何故だ。何故俺をそんなに嫌うんだ?」
私の提案を聞き、今にも泣きだしそうな辛い顔をした弘輝は、私を真っ直ぐ見てそう聞いてきた。
「もうお忘れですか?前回も言いましたが、山笠様は、私の婚約者でも親友でもございません。なのに何故一緒に昼食を食べなくてはいけないのですか?それも二人っきりで」
「‥‥それは「幼馴染だからというお答えは、前回も聞きました。それ以外でお願いいたします」っ!」
私は尽く弘輝の言葉を遮り、弘輝が言葉が出せない隙をついて、自分の財布と小さなカバンを手に食堂へと向かった。
弘輝は、どうにか私との間に出来てしまった溝を全力で埋めようと頑張っているが、私は全力でそれを拒否している。別に『全力』で拒否するつもりもなかったのだが、弘輝があまりにも『全力』なので、私も『全力』で相手をしなくてはいけない気がして、『全力』を出している。
食堂に着けば、前世の高校の売店とは程遠い世界が広がっていた。
シャンデリアがついた天井は高く、席はテラスもあり高等部の生徒も使うので、数も多い。
料理は席に座ったら食堂のメイドが直ぐにメニューを持ってきてくれる。決まったらメイドに注文して、料理を持ってきてもらうのだ。ちなみに、このメイドは、最初っから最後まで同じ人が食堂を出るまでついていてくれる。お金は食べ終わった席で支払うのが決まりだ。
私は人気のない食堂の端の方へと移動し、日当たりの良い穴場の席へと座る。すると、直ぐにメイドがメニューを持ってきてくれた。
「‥‥‥今日はこれをお願い。えっと‥‥望月さん」
「‥‥かしこまりました」
私がメイドさんのネームプレートに書いてある名前を呼ぶと、メイドさんは目を開いて驚いた。だが、やはりプロ。直ぐに持ち直して厨房の方へと消えていった。
「‥‥これには、いつまで経ってもなれないのよね」
私は前世で庶民だった記憶があるせいで、普通の令嬢とは少し違うところがある。それは、メイドや執事などの召使いを人扱いする事だ。
ん?それが普通だって?ところがどっこい。ここは違うんだよ。
人扱い。それは、ここでは召使い達を名前で呼ぶ事を指す言葉として使われている。普通の令嬢や令息は、召使い達を名前で呼ばず、「おい」「そこの者」「お前」などなど‥‥。様々な呼び方で呼ぶが、決して名前では呼ばないのだ。つまりは、物扱いだ。
そんな扱いを受けてきたメイド達の哀れみからかもしれないが、私はこの学校で働いている人達を、名前でしっかり呼ぶようにしている。そして、その名前は二度と忘れないように努力している。まぁ、世にゆう「努力の無駄遣い」だ。
「お待たせしました」
「あら。ありがとう」
帰ってきたメイド。望月さんは、私がお礼を言ったことでまた目を見開き直ぐに持ち直した。そして、慣れた手つきでテーブルの用意をしてくれる。流石プロだ。
準備が出来たら、メイドは私達の斜め後ろに移動し、私達が食べ終わるまでの世話をしてくれる。
例えば、コップの飲み物がなくなったらつぎたしたり、フォークやスプーンが落ちたら交換してくれたりだ。
そうそう。私が今敬語を使わないのには理由がある。それは、メイドが卒倒してしまうのだ。
初めて来た時、メイドに敬語を使って接してしまい、メイドが驚く表情と共に卒倒してしまったのだ。それからは敬語は使わないようにしている。
望月さんの準備が終わるまで暇なので、準備中の動作をじっと見つめる。これが案外楽しかったりするのだ。
「‥‥ご用意が遅く申し訳ありません」
急に望月さんにそう謝られ、私は外見は変わらないが内心で慌ててしまう。
何故だ!何故謝られた!別に望月さんが言った「遅い」なんて事、一切思っていないのに!
「‥‥‥別に大丈夫よ。あなたのペースで進めていいわ。私、あなた達メイドの手際の良さを見るのが楽しいの」
「っ!‥‥申し訳ありません」
な、何故だ!何故なんだ!本心を言ったのに謝られた!こういう時って、ありがとうって言うんじゃないの?もうどうすれば正解だったのよ!
私が内心で慌てている間に、望月さんは準備を終えて、私の斜め後ろに移動した。
「‥‥いただきます」
「っ‥‥もう驚きませんよ?」
後ろからそんな声が聞こえたが、私は聞こえないふりをした。
それにしても、この料理は美味しい。
前世で庶民だった私には、この世界に来てからの食が全て美味しく感じてしょうがない。
朝昼晩全部豪華な食事。流石に飽きるかとも思っていたが、そこは流石プロの料理人。様々な国の料理を組み合わせ、数多くのレパートリーを生み出して、飽きさせるなんて感じさせない。もう幸せ。
「‥‥‥」
ふと、後ろからの視線が気になり、後ろを向くと、望月さんがこちらを暖かい目と笑顔で見ていた。
え、何?私何か変な事してた?やば。ご飯の時は幸せいっぱいで、気を抜く事が多いから気おつけておくよう言われてたのに!
「‥‥私の顔に何かついていますか?」
「え、あ、いえ!そのようなことはございません!」
「‥そう。なら、何故そんな顔をして私を見るの?」
私は少しだけ威圧的に望月さんにそう言った。本当の心は、『お願い!至らないところがあったなら教えて!そこを早急に直すから!』と慌てているというのに。
「‥‥申し訳ありません!大友様があまりにも美味しそうに、幸せそうに料理をお食べになるので‥‥‥つい!」
土下座をしそうな勢いで謝ってきた望月さんは、頭を下げたまま動かなくなった。
‥‥そんなに怖かったのかな?悪いことしたな。
私は心の中で反省し、望月さんから目線を外し、頭を上げるように言った。
「別にいいわ。気の抜けた変な顔を見せてしまったわね」
「い、いえ!そのようなことはございません!大変可愛らしいお顔でした!」
「‥‥お世辞は結構よ。食事を再開します」
「‥はい」
この『蘭夜』の体は、中学生にしては高い身長と発達した体。それに加えて、そこらの人と比べたら美人の類に入る容姿だ。
だが、最近になって、急に目元がツリ目気味になってきた。これじゃあ悪役令嬢だ。そんな私に、『可愛らしい』なんて表現は程遠いと思う。
「‥‥ごちそうさま」
「お下げ致します」
望月さんが素早く食べ終わった食器を片付けていく。
望月さんが厨房の方へ向かおうとした時に、私は望月さんを呼び止めて伝言を頼んだ。
「シェフに、今日の料理も素晴らしかったとお伝えして」
「‥‥‥かしこまりました」
望月さんは呆れ半分な顔して、厨房の方へと消えていった。
私は望月さんが完全に見えなくなるまで見届け、お金と手紙をその場に置いてその場をあとにした。
「ご機嫌よう。大友様」
「ご機嫌よう大友様。今日はいい天気ですわね」
「ご機嫌よう大友様。今日もお綺麗ですわ」
私が一言『ご機嫌よう』と言えば、周りの皆がそう返してくる。別にそうして欲しいと頼んだ訳では無い。
中等部に上がってからお金持ちの生徒達のほとんどが、家の上下関係に影響されたグループで生活を始めた。その中でも私の家。大友グループは、この数年で今や世界で三本指に入る大手企業になた。
‥‥‥つまり。
「皆さん。そろそろ先生が来ますわ。席におつきになりましょう?」
「ええ。大友様」✕取り巻き
見事な取り巻きが出来ました。
私が望んでできた訳でもないし、学校にいる時は常に気を張ってお嬢様をしなくてはいけない私は、精神は平気だが体が疲労を訴えて来る。この頃の悩みは肩こりだ。
「‥‥中学生で肩こりが悩みって、どんだけって話よね。はぁー」
周りにはバレないように呟き、ため息をついた。
この学校生活。フッと気を緩めたが最後、そこに付け込まれて家が没落!なんて珍しくもない程、戦場の場と化している。
私は、高等部になればこれが少しでも良くなればと思うがそうはいかないだろう。ゲームでも、そこら辺が理由でいじめられている子がいた。せめて、私が中等部の間に、将弥と輝が入ってきた時に過ごしやすいように改造してやる。
「ご機嫌よう。皆様方」
そう考えていると、先生がやってきた。私は姿勢を正し、今日も学校という名の戦場の中を過ごす。
昼休み。私は先程まであっていた授業の道具を片付けながら、今日のお昼の事を考えていた。
授業は、流石に前世で高校生だっただけあって、余裕で授業やテストを受けている。そのおかげもあってか、テストではオール百。先生には授業中に高校の勉強を教えてもらっている。蘭夜の体の容量がいいおかげだ。
「蘭夜。昼食を一緒に食べないか?」
そう言って教室に入ってきたのは、弘輝だった。
今年は、弘輝や真士。心音とは違うクラスで、この三人はことある事に私のクラスに来ては、喧嘩を繰り返している。
「‥‥今日は一人なんですね。山笠様」
「ん?ああ‥‥‥ずっと邪魔者は灰徐したかったからな」
最後の方は聞こえなかったが、どうやら今日は一人でここに来たらしい。珍しい事もあるものだ。いつも、睨み合いながら三人で来るというのに。
「そうなのですか。お一人なのですね」
「ああ!だから、一緒に昼食を食べ「それでは、皆様と昼食をとってはいかがですか?」‥‥は?」
私はまだ教室に残っている令嬢達の方を手で指して、弘輝にその令嬢達とご飯を食べることを進める。
私は、前回弘輝が周りの人達に『蘭夜は俺の物だから手を出すな宣言』をした事をまだ許しておらず、弘輝と私が二人っきりになることは極力避けている。パーティーなどで親に言われてペアになってしまった時などはどうにも出来ないため、そのままペアになっているが、それ以外は別だ。
「‥‥‥何故だ。何故俺をそんなに嫌うんだ?」
私の提案を聞き、今にも泣きだしそうな辛い顔をした弘輝は、私を真っ直ぐ見てそう聞いてきた。
「もうお忘れですか?前回も言いましたが、山笠様は、私の婚約者でも親友でもございません。なのに何故一緒に昼食を食べなくてはいけないのですか?それも二人っきりで」
「‥‥それは「幼馴染だからというお答えは、前回も聞きました。それ以外でお願いいたします」っ!」
私は尽く弘輝の言葉を遮り、弘輝が言葉が出せない隙をついて、自分の財布と小さなカバンを手に食堂へと向かった。
弘輝は、どうにか私との間に出来てしまった溝を全力で埋めようと頑張っているが、私は全力でそれを拒否している。別に『全力』で拒否するつもりもなかったのだが、弘輝があまりにも『全力』なので、私も『全力』で相手をしなくてはいけない気がして、『全力』を出している。
食堂に着けば、前世の高校の売店とは程遠い世界が広がっていた。
シャンデリアがついた天井は高く、席はテラスもあり高等部の生徒も使うので、数も多い。
料理は席に座ったら食堂のメイドが直ぐにメニューを持ってきてくれる。決まったらメイドに注文して、料理を持ってきてもらうのだ。ちなみに、このメイドは、最初っから最後まで同じ人が食堂を出るまでついていてくれる。お金は食べ終わった席で支払うのが決まりだ。
私は人気のない食堂の端の方へと移動し、日当たりの良い穴場の席へと座る。すると、直ぐにメイドがメニューを持ってきてくれた。
「‥‥‥今日はこれをお願い。えっと‥‥望月さん」
「‥‥かしこまりました」
私がメイドさんのネームプレートに書いてある名前を呼ぶと、メイドさんは目を開いて驚いた。だが、やはりプロ。直ぐに持ち直して厨房の方へと消えていった。
「‥‥これには、いつまで経ってもなれないのよね」
私は前世で庶民だった記憶があるせいで、普通の令嬢とは少し違うところがある。それは、メイドや執事などの召使いを人扱いする事だ。
ん?それが普通だって?ところがどっこい。ここは違うんだよ。
人扱い。それは、ここでは召使い達を名前で呼ぶ事を指す言葉として使われている。普通の令嬢や令息は、召使い達を名前で呼ばず、「おい」「そこの者」「お前」などなど‥‥。様々な呼び方で呼ぶが、決して名前では呼ばないのだ。つまりは、物扱いだ。
そんな扱いを受けてきたメイド達の哀れみからかもしれないが、私はこの学校で働いている人達を、名前でしっかり呼ぶようにしている。そして、その名前は二度と忘れないように努力している。まぁ、世にゆう「努力の無駄遣い」だ。
「お待たせしました」
「あら。ありがとう」
帰ってきたメイド。望月さんは、私がお礼を言ったことでまた目を見開き直ぐに持ち直した。そして、慣れた手つきでテーブルの用意をしてくれる。流石プロだ。
準備が出来たら、メイドは私達の斜め後ろに移動し、私達が食べ終わるまでの世話をしてくれる。
例えば、コップの飲み物がなくなったらつぎたしたり、フォークやスプーンが落ちたら交換してくれたりだ。
そうそう。私が今敬語を使わないのには理由がある。それは、メイドが卒倒してしまうのだ。
初めて来た時、メイドに敬語を使って接してしまい、メイドが驚く表情と共に卒倒してしまったのだ。それからは敬語は使わないようにしている。
望月さんの準備が終わるまで暇なので、準備中の動作をじっと見つめる。これが案外楽しかったりするのだ。
「‥‥ご用意が遅く申し訳ありません」
急に望月さんにそう謝られ、私は外見は変わらないが内心で慌ててしまう。
何故だ!何故謝られた!別に望月さんが言った「遅い」なんて事、一切思っていないのに!
「‥‥‥別に大丈夫よ。あなたのペースで進めていいわ。私、あなた達メイドの手際の良さを見るのが楽しいの」
「っ!‥‥申し訳ありません」
な、何故だ!何故なんだ!本心を言ったのに謝られた!こういう時って、ありがとうって言うんじゃないの?もうどうすれば正解だったのよ!
私が内心で慌てている間に、望月さんは準備を終えて、私の斜め後ろに移動した。
「‥‥いただきます」
「っ‥‥もう驚きませんよ?」
後ろからそんな声が聞こえたが、私は聞こえないふりをした。
それにしても、この料理は美味しい。
前世で庶民だった私には、この世界に来てからの食が全て美味しく感じてしょうがない。
朝昼晩全部豪華な食事。流石に飽きるかとも思っていたが、そこは流石プロの料理人。様々な国の料理を組み合わせ、数多くのレパートリーを生み出して、飽きさせるなんて感じさせない。もう幸せ。
「‥‥‥」
ふと、後ろからの視線が気になり、後ろを向くと、望月さんがこちらを暖かい目と笑顔で見ていた。
え、何?私何か変な事してた?やば。ご飯の時は幸せいっぱいで、気を抜く事が多いから気おつけておくよう言われてたのに!
「‥‥私の顔に何かついていますか?」
「え、あ、いえ!そのようなことはございません!」
「‥そう。なら、何故そんな顔をして私を見るの?」
私は少しだけ威圧的に望月さんにそう言った。本当の心は、『お願い!至らないところがあったなら教えて!そこを早急に直すから!』と慌てているというのに。
「‥‥申し訳ありません!大友様があまりにも美味しそうに、幸せそうに料理をお食べになるので‥‥‥つい!」
土下座をしそうな勢いで謝ってきた望月さんは、頭を下げたまま動かなくなった。
‥‥そんなに怖かったのかな?悪いことしたな。
私は心の中で反省し、望月さんから目線を外し、頭を上げるように言った。
「別にいいわ。気の抜けた変な顔を見せてしまったわね」
「い、いえ!そのようなことはございません!大変可愛らしいお顔でした!」
「‥‥お世辞は結構よ。食事を再開します」
「‥はい」
この『蘭夜』の体は、中学生にしては高い身長と発達した体。それに加えて、そこらの人と比べたら美人の類に入る容姿だ。
だが、最近になって、急に目元がツリ目気味になってきた。これじゃあ悪役令嬢だ。そんな私に、『可愛らしい』なんて表現は程遠いと思う。
「‥‥ごちそうさま」
「お下げ致します」
望月さんが素早く食べ終わった食器を片付けていく。
望月さんが厨房の方へ向かおうとした時に、私は望月さんを呼び止めて伝言を頼んだ。
「シェフに、今日の料理も素晴らしかったとお伝えして」
「‥‥‥かしこまりました」
望月さんは呆れ半分な顔して、厨房の方へと消えていった。
私は望月さんが完全に見えなくなるまで見届け、お金と手紙をその場に置いてその場をあとにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
451
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる